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「瀬戸内しょうゆらーめん ¥850+味付け玉子 ¥120」@ねいろ屋の写真平日 曇天 13:30 先待ち4名 後待ち3名

本日は正月でもないのに初詣限定での店探し。なかなか好みのラーメンに出会うことが出来ずお宝を見つけられないまま哀しみの繰り返しを重ねる日々。ちょっと久々の中央線沿いでの宝探しと参ります。

RDBのマップや沿線情報などを自分なりに駆使してみるも気になるのは過去の訪問で自分にとって惜しいと思った店ばかり。例えば麺とスープは好みなのに具材がイマイチだったり、逆にほぼ完璧なのに大切な麺が好みでなかったりと勝手な好みで採点が低めになってしまった店がこの中央沿線にはたくさんあって悩む。西荻窪のオルタナが響く人気店や三鷹の貝類を使った人気店など私にとってだけあと一歩なのにと自分本位な悔しさがある。

しかし本日はお初に絞っての店探しなので再訪希望は押し殺し真面目に取り組む。この時期は夏季休暇などの臨時休業も視野に入れて潰しが利くように激戦区の荻窪に突撃する。あまり出発が遅くなると昼営業に間に合わないと困るのでとりあえず13時に家を出る。

荻窪に着くまでに決めようと思い道中もマップとにらめっこが続く。ブックマークのカテゴリーを整理しないと訳が分からなくなっていてあまり機能してないのでマップにてしらみ潰しに当たる。駅から徒歩10分圏内を基準にし北から開いていくと割と早い段階でこの店がヒットした。レビューは少ないが写真は私のタイプである。営業時間や休日を確認するが問題はなさそうだ。ただひとつ不安なのはかき氷も併設されてるようで女性客が多く滞在時間が長そうな事である。多少の不安を抱えて荻窪駅北口に降り立つ。

幾度となく来たことのある街だがこの教会通り商店街に足を踏み入れるのは初めてだ。入口辺りは駅近のよくある商店街の雰囲気だが奥に向かうと少しづつ気配が変わってくる。さほど歩いてないが行く先に人並びがある。ここだ。

店先に置かれた丸イスの待ち席の最後を確保した。並ばれてる方は皆んな女性で評判通りだが決して若くはなく同じ世代の匂いがする。待ち席から眺める景色はすごくオシャレで石畳みこそ人工石だがパリの小径を思わせる。素敵な路地でしばし待つ。店内からは続々と人が出てくる。懸念した回転の悪さも無さそうだ。しかし出てくる人の年齢層の高さと言ったら都内でもトップクラスかと。私くらいでは若輩者だ。

待つ事10分で入店の案内が。店内はテーブル席が多くカウンターは少ない。そのカウンターに通されると手作り感満載の卓上メニューにてスタッフさんにオーダーする。とりあえずはトップに挙げられてある醤油ラーメンに味玉は追加で。瀬戸内醤油のメニューには〝夏〟の表記があり夏限定ということだろうか。しかし他の醤油系が見当たらないのでこれに決定。

店内はラーメン屋らしからぬ雰囲気。調理場とホールの関係が本当にディスりとかではなくて田舎にある食堂のようなレイアウトというか、もしくは田舎の海水浴場にある海の家といった感じ。本当に悪口ではなくて。こちらのスタッフさんは若くて明るいが、もしおばちゃんたちが明るくワイワイと仕事をしていても何の違和感もないはず。客層も自ずとそうなるのか。店内に置かれてあるみかん箱で作られた募金箱も気になった。

提供までの時間はかからず5分で我が杯到着。見た目は特有の厚みの白磁に呉須の藍色で絵付けられた砥部焼の器に溢れんばかりに盛り付けられている。さして下品にはならずスープの色が重なり白 紺 茶の濃淡の変化による配色が食欲をそそる。砥部焼やみかん箱など見ると瀬戸内しょうゆらーめんというのもうなずける。

この中年層のおばさま方を魅了するスープには大いなる期待が高まる。食べる前から脳からは美味しい信号が出ている。砥部焼の器と対照的な無機質のステンレス製のレンゲでひとくち。

なんというおいしさなんだ。あまりの旨さに続けてもうひとくち。これはうまい。久しぶりにスープに感激した。まずは本当に優しい煮干しの香り。きっと大羽とかではなく小さめのいりこからの繊細な煮干しの風味。最近は煮干しと言えば濃厚とかガッツリのイメージが強いが元々は毎日飲む味噌汁に入っているような飽きのこない出汁だったと思う。それを再現されていることに感動。骨組みとなる鷄ベースの出汁も雑味を出さないように取られていてその後ろには複雑な風味が見え隠れするが一体感があり結果としてシンプルなスープに。そのスープのまとまりを更に強固たるものにするのが醤油のカエシだ。一見すると褐色の中でも黒茶よりの茶褐色なので醤油のキレやエッジを想像していたが良い意味で裏切られた。とにかく優しいスープに同調するような穏やかで円みのある醤油感。以前に四国の瀬戸内側で食べた朝ごはんの刺身用の醤油や味噌汁の甘みを思い出した。関東のように強めのキレはない代わりに独特の甘みと旨みがあった。大きな回遊魚のマグロやカツオの刺身には合わないかも知れないが瀬戸内海の特に小魚と甘めの醤油の相性は至福だった。

穏やかな瀬戸内の海と化した口の中に角のあるストレート細麺を解き放つ。舌で味わう前に唇が先に喜びをあげる。ツルッと滑り込んできた麺は舌の上で踊りそれを噛むとしなやかな細麺ながら歯応えもありスパッとした歯切れも良い。三拍子がそろった麺に会えたのも初訪問では久しぶり。女性受けする要因のひとつであろう極淡の鷄油もこの穏やかなスープを壊してしまいがちなのだが最低限の潤いと香味を与える程度に抑えられて計算し尽くされている。麺と麺の隙間によって持ち上げられたスープと鷄油の潤いで寄せ付けられたスープが束となりやって来る。全く箸が止まらない。

具材は基本でも三枚も入っている焼豚がうれしい。肉質のしっかりした豚モモ肉の焼豚は飾り気のない昔っぽい焼き豚だが赤身の肉を引き立てる香辛料でしっかり漬け込んであるがこれまた程よい。低温調理焼豚のようにスープによる加熱など心配せずに他の具材や麺に集中できる。それに反して最近は過保護な焼豚が増えすぎている。

メンマは流行りの穂先メンマだがコリッとした歯切れは残しながらしっとり仕上げられて味付けもちょうど。このちょうど感や程よい感を出すのは難しいことで現代の食生活の中では過剰な塩分摂取や偏りが常であり、この程よい味を持って商いにすると薄いとか足りないとか味がないなどと言われがちな世の中でこれだけのこだわりと言うよりはお客さんに対しての愛を持って向き合ってくれてることに感謝したい。贅沢を言えばご主人が仕込んだ細切りメンマとこのラーメンを一緒に食べてみたい。もちろん完全発酵の本物の乾燥メンマを使って。

追加した味玉は色白ながら出汁の香りが移り込み優しい。味玉としては物足りないかも知れないが一貫した徹底ぶりも素晴らしい。ただ好み的にはもう少し熟成して温度も常温以上だったら私にはパーフェクトだった。

彩りの瀬戸内産の海苔は江戸前の海苔のような香りは無いが肉厚でスープにも負けない存在感がある。半分に切られてあるので少なく感じるがこの海苔の歯応えなら追加でトッピングしても損はないと思った。また薬味の青ねぎの小口切りも九条ねぎのような甘みはないが細やかな切り口で麺とも仲が良くこのラーメンには不可欠な存在。関東以北の煮干し系なら白ねぎを使うだろうがこの繊細ないりこ系ラーメンには青ねぎが合っていた。

あっと言う間の完食だった。醤油ラーメンには珍しく替え玉のシステムもあるようだがこの一杯で完結したくて箸を置いた。となりの女性客が特製トッピングを食べていて焼豚はオールスターがそろい豪華なラインナップだが低温焼豚が美味しいと思えない私には本日の焼豚で十分以上だった。

入店前はかき氷のことも気になっていたがラーメンに集中し過ぎて背後のテーブル席の様子など見る余裕も無かったのが本音だが、お会計で席を立つ時にふと見ると半数以上の女性の前にはかき氷があった。これが回転率の悪さを懸念した理由だ。渋谷あたりだと他人の事など考えない客も多いだろうが、こちらの御婦人方は思慮深く良識ある方のようで食中は楽しむも食後はサッとお会計を済ましてるように見受けられた。私自身もそうありたいと言い聞かせた。

帰り際にわずかな釣り銭とポケットの中の小銭を宮内みかんの段ボールで作られた募金箱に入れさせてもらった。普段なら駅前などで募金活動をされてる人には、募金活動してる時間を全てバイトして、そのバイト代の全額を募金する覚悟があるなら俺だって手伝うよ。と変な思いがあるくせに自然と何かの役に立てればと思わせてくれたラーメンに感謝の意が止まらない。ここに記していても、もうすぐにでも食べたいと思うラーメンだ。

今日、偶然にも見つけた宝物は大げさだけど私の人生を豊かにしてくれると感じた。現代には逆行してると思うが「足りない豊かさ」を表現していると心から思える一杯にでした。また行きます。

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