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「醤油ラーメン ¥750」@Renge no Gotokuの写真平日 曇天 10:50 先待ち1名 後待ち6名 後客15名

〝ニューオープン パトロール〟

都内を離れて高崎めぐりを楽しんでいる間に、続々とRDBの新店情報が飛び込んできた。そんな中で本日の連食計画を考えてみるが、最初に候補に挙がってきたのがコチラだった。

お店情報では昨年に諸処の事情で閉店した渋谷の人気店の形態を変えた再始動店となっている。以前の店には私がレビューをはじめる前に何度か訪れたことがあり、今回の移転先も大通りからは一本入った辺りのようだ。幸いにも自宅から徒歩圏内という事もあり、本日の一食目に決定した。

11時開店前の現着を目指して20分前に家を出て再開発の進むエリアを抜けて進んで行くと、渋谷と言えど雑踏とはかけ離れたイメージの桜坂を下ってきた。急坂の途中を脇道に入ると、開店祝いの花やバルーンで賑わう店先が目に飛び込んできた。定刻の10分前だったが、すでに並びがあり二番手に続いて待機をはじめる。新店舗の目の前には偶然にも私のレビューデビューとなったラーメン店があり、それからの14ヶ月間があっと言う間に思えてしまった。

店頭の立て看板には「渋谷のソウルフードがここにある」と書かれてあり、新店舗ながらも渋谷に根付いていた歴史の長さを思わせる。定刻の5分前には製麺所からの黄色い麺箱が届けられると開店準備が着々と進んでいくと、店頭の行列の方も着々と伸び始めていた。定刻ちょうどを迎えるとガラスの扉が開けられてオープンとなった。

店内に入ると入口左手の券売機にて本日のお題を品定めする。移転前から周知の通り〝排骨担々麺〟がイチオシなのは分かっているが、セオリーを無視してマイスタンダードの醤油系のボタンを探した。券売機の上位部に位置する大きなボタンはいずれも排骨関連なので、目線を下の方に落とすと小さなボタンの醤油ラーメンを見つけた。せめてもと味玉のボタンを探してみたが見当たらず、残念ながらラーメン単品だけを発券した。この選択がそもそもの間違いだと後で気付く事になった。

ホールの女性スタッフさんは「お好きな席にどうぞ」と言ってくれたが、後列が大勢並んでいたので先頭客に続いてカウンターの奥席から詰めて座った。良かれと思って詰めて座ったのだが、これが更なる悲劇を呼ぶのだ。食券を手渡す際に無料ライスを薦められたが、ラーメンに集中するために丁重にお断りをして店内観察を開始した。

背中合わせに並んだカウンターだけの店内だが四人客にも対応可能なコーナー席も設けてあり、移転前よりも手狭になったが客席数は十分に確保していて設計者のセンスが感じられる。見事に導線も確保してあり三人体制がベストと思われるレイアウトの店内を、本日は開店特需に備えた万全の四人体制で回している。右側の壁一面には屋号にも使われている蓮の花が描かれていて、さらには屋号の「Renge no Gotoku」をもじった「蓮華の五徳」と大きく書かれてある。「蓮華の如く」とも読めるのには深い意味がありそうで、中華料理を想像させる〝レンゲ〟と中華鍋には欠かせない調理具の〝五徳〟の意味も含めたトリプルミーニング的なネーミングセンスも面白い。そんな渋谷でのリスタートに賭ける思いを感じながら待っていると、着席して6分でワンロット3杯の中のひとつとして我が杯が到着した。

その姿は白磁の高台丼の中で両隣り客の排骨担々麺に比べると迫力はないが、丁寧さを欠いた雑にも見える盛り付けがワイルドに映った。器の口縁に飛び散ったままのカエシや、まとまりを得ない水菜の盛り付け方には作り手の魂が込められてないと感じてしまう。1st ロットの提供順序も後客の排骨担々麺が優先されて、二番手の私のラーメンは時間を置いた三番目の配膳だった点にも排骨担々麺に対するこだわりは強く感じたが基本のラーメン愛は感じなかった。

それでも目の前のラーメンには罪はないので、心を落ち着かせてレンゲを手に取った瞬間に次の悲劇に襲われたのだった。それは座った席の目の前には食洗機と並んで洗い場が併設されているのだが、カウンターの壁が低いので洗い物をした濯ぎ水がカウンターを越えて我が杯の中に入ったのだ。もちろん大量だったならば作り直しをお願いしたが、ほんの数滴だったのと私以外は誰一人と気が付かないような微量だったので店側に告げる事なく食べ始めた。

まずは赤褐色のスープをひとくち。あくまでもオーソドックスな色調のスープは、清湯醤油系の王道を行くような景色を見せている。透明感もあるが微かな陰りも感じられるスープには、ドットのまばらな香味油が散りばめられている。そんな液面にレンゲをそっと沈めてみると、良い意味での平凡な香りが立ち昇った。そこには奇をてらったような香り付けをされる事もない、昔ながらの基本を貫いた潔さで満ちている。いざ口に含むと、鶏ガラ主体と思われる動物系スープには野菜の甘味が溶け込んでいて、カエシの利かせ方もシンプルでシャープではあるが過度な醤油感を与えていない。醤油ダレの香りも穏やかなので全体的な香りを一番主張しているのは、香味油に含まれるネギ油の香ばしさと思える。やはりバランス感覚に優れた清湯醤油系スープではあるが旨味のベースアップもなかなかで、課長を通り越して部長クラスに昇進を果たしていた。

スープを断念して麺へと取り掛かってみる。麺上げまでジャスト90秒の中細ストレート麺を箸で持ち上げてみると、切刃のエッジが全く見られない丸い形状の麺が現れた。麺肌は少し黄色味を帯びて見え、物腰の柔らかさが箸先から伝わってくる。そんな女性的に見える中細麺を一気にすすり込むと、スープ単体では感じなかった香味油のオイル感が手伝って口当たりの良さを増長させている。麺肌にも適度にグルテンが膜を作っているので、滑らかな舌触りが更に特徴的な印象を受ける。見た目通りに柔らか仕上げなので歯応えは強く感じられず食べ応えの面では好みとは違っていたが、同じ麺を同じ茹で時間で使用している排骨担々麺ならば、サクッとした排骨の揚げ衣と柔らか麺の相性の良さは間違いないであろう。この時に自身のメニューがミスチョイスだったのだろうかと感じ始めていた。

具材のセンターを陣取るチャーシューは豚バラの巻き煮豚型が薄切りで二枚盛り付けられている。つかんだ箸でも切れるくらいに柔らかく仕込まれているが、スライスされてからは時間が経っているのか切り口がパサついていた。柔らかくはあったが肉汁のジューシー感のないチャーシューはスープに浸してから食べる事で難を逃れた。味付けが程良かっただけに切り置きの長さが残念に思える。

基本でも大量に添えてあるメンマは大きさや太さが不揃いで食感の違いが様々なアクセントとなってくれるが、味付けは汎用品のように無難な味付けとなっていた。少し滑りのある舌触りも、どこかで食べた事のあるように思えた。

薬味の白ネギのみじん切りは、香味油の香ばしいネギの香りに加えてフレッシュな白ネギの香味をプラスしている。細かく刻まれる事で食感のアクセントよりも香りでサポートしていて名脇役となっていた。それに反して青み役の水菜にはどうしても〝薬味愛〟を感じられない。水洗いして切っただけの青みの水菜には手間のかかった茹で青菜には遠く及ばない、やっつけ感ばかりが裏側に見えてしまうのだ。

中盤からも不自然な旨味に追いかけられながらも、麺は8割程度は食べ終えてレンゲと箸を置いた。個性を押し付けないスープだっただけに旨味の足し算が際立ってしまったようだ。もしイチオシの排骨担々麺であったなら様々な香辛料の陰に隠れて感じ方が違っていただろうと、メニューのミスチョイスを悔やんだ。

誰よりも早く食べ終えて席を立た時に見回した店内には、誰一人として醤油系のメニューを食べている客がいなかったのを見て改めて〝郷に入れば郷に従え〟の意味を噛み締めた一杯でした。

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