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「白豚骨ラーメン (ベーシック豚骨) ¥750+味玉 ¥100」@豚骨ラーメン 色彩の写真平日 曇天 13:30 先客9名 後客1名

〝ニューオープン パトロール〟

本日の連食先に見つけておいたのが秋葉原に程近い末広町に、先日オープンして二日目のこちらなのだ。前食の渋谷から銀座線で20分程で乗り込んできたのだが、あまりの移動時間の少なさから連食できる余裕もなきので久しぶりのアキバ観光を楽しんでから向かう事にした。

時代の移り変わりの激しい東京の中でも目まぐるしく変化し続けている秋葉原なのだが、半年も来てないと街の変貌ぶりに驚かされてしまう。ひと昔前には宿泊施設など数えるほどしか無かったのに、外国人観光客をターゲットにした簡易ホテルなどが裏通りにまで乱立している。街中に外国語表記が増え続けて、今では日本語を探す方が難しく思ってしまうほどだ。そんな変わりゆく秋葉原を二時間ほど散策していると、随分と消化も進んで胃袋に空きスペースが出来たので新店への初訪問を目指してみた。

最寄駅は末広町となっているが、所在地は秋葉原と言っても良いくらいの目抜き通り沿いにあった。以前はサラリーマンの味方の蕎麦チェーン店があった場所に、突如としてド派手な店構えのラーメン店がお目見えした。屋号とリンクするカラフルな外観が目を惹く造りとなっていて、店頭のサンプルショーケースからも外国人観光客向けのインバウンド需要を狙った意図が汲み取れる造作となっている。

ガラス越しに見える店内は、ほぼ満席のようなので入口付近で呼び込みをしていたスタッフさんに中の様子を見てもらうと幸運にも空席が一つだけあったので並びなく入店となった。店内には券売機は設置されておらず POSシステムが採用されていた。しっかりと作り込まれた卓上メニューにも英語と中国語表記もされてあり、好条件な立地も含めて大手資本の後ろ盾を感じてしまう。来店前から不得手な豚骨系とは承知していたの卓上メニューの中から迷う事なく、基本と思われるお題と味玉追加をホールスタッフさんに告げてからカウンター越しに店内を物色してみる。

いかにも外国人観光客を意識した試みが随所に見られる。それは和紙をイメージさせる内装やスタッフの制服にも和柄の作務衣が採用されている点で、調理場内の什器などにも花柄の器も使われていてナントカ映えも良さそうである。ネオモダンな和風の店内を本日は四人体制で回している。調理場二名とホール二名に配置されているが、店長らしき男性が調理の全行程を担っている。まだオープン二日目なのでオペレーションも定まってない状況で、満席となった人数分のオーダーをこなすのは困難なようで POSシステムの伝票が長い帯となって繋がっている。替え玉1玉が無料なのでマー油を中華鍋であおっている最中にも替え玉の追加注文が飛び交って対応に追われている。もちろん無料なので追加伝票はなく注文した卓番が分からずに出来上がった替え玉が右往左往していた。そんなオペレーション不足に店長さんの焦りもピークに達して、イライラする様子が他のスタッフだけでなく客席にも伝わってくる。私以外のほとんどが外国人客だったのでその緊張感は伝わってないだろうが、日本人の私にはBGMのない無音の店内と重なって只ならぬ緊迫感が押し寄せていた。

そんな息苦しい店内ではあったが不思議な要素も感じていた。それは店内の空気のキレイさで独特の豚骨臭が一切しない事だ。いくら新店舗で換気能力が高いと言っても豚骨スープを炊いていれば否応なしに付きまとってくるはずの匂いがしないのには、驚くと同時にスープは別場所で仕込まれているのだと直感した。確信は持てないが工場を有する母体があるのだろう。しかし目の前のラーメンが美味ければ大手も個人店も関係ないので、心を無にして待っていると着席して15分で我が杯が到着した。

その姿は黒塗り盆の上に置かれた切立丼の中で、黒釉薬の器とスープの白がコントラストを生んで器選びのセンスの良さを感じられる。盛り付けのスピードの早さが麺にも影響しやすい豚骨ラーメンなので急がれたと思われる盛り付けには、やはり丁寧さは感じずに口縁にはみ出したキクラゲなどからも盛り付けの美しさは感じられなかった。しかしその急いだ盛り付けがラーメンの出来を左右するのも理解できるので、見た目の美しさは考慮せずにレンゲを手にした。

まずは乳白色のスープをひとくち。厚みのある陶器製のレンゲは重みがあり、液面に置いただけでも自然と沈んでいく程にスープの濃度は軽やかだった。表層には油膜も張っているので乳化加減も控えめに思われ、苦手なトンコツ感は少なく感じられた。レンゲに溜まったスープを口元に近づけてみるが、トンコツ特有の匂いが寄り添ってこないのも幸いして臆する事なく口に含んでみた。するとトンコツ由来の旨みもあるがサッパリとしていて、表層に浮かんだ香味油からかもしれないが鶏由来のコクも強く感じた。それはスープの分類を〝豚骨〟にしても良いものなのか悩んでしまうくらいに鮮明だった。周囲では赤や緑や黒いスープを楽しんでいるが、ベーシックな白に合わせてあるカエシには砂糖の甘味を強めに感じる仕上がりとなっている。全体的に甘みを中心とした動物系スープは臭みを感じさせず、トンコツマニアよりも外国人観光客を含めた万人向けと想像した。

続いて麺上げまで50秒ほどの麺を持ち上げてみると、極端な細さではない中細ストレート麺が現れた。〝豚骨ラーメン=低加水細麺〟を覆すような柔らかさが箸先から伝わってくる。見た目にも切刃の角を見せない丸い形状が予想を裏切ると、麺の重みからも低加水とは思えない手応えがある。この時は今回のロット分の茹で時間を間違えただけかとも思ったが、後のロットでも同じ茹で時間だったので基本の麺ディションで間違いないだろう。たしかに豚骨ラーメン店によくある〝カタメン〟や〝バリカタ〟などの説明書きがなかったので、王道の豚骨ラーメンとは別物のジャンルなのだろう。これが新世界への扉だと思いながら麺を一気にすすり上げると、やはり口当たりに鋭さは全くなく優しく滑りながら唇を通過して入ってきた。もちろん粉っぽさもなく、逆にグルテンの反発力をも感じさせてくれる麺だった。噛めば適度な弾力はあるが、小麦の香りや甘みはスープに負けて消されているようだ。あまり出会った事のないスープと麺の組み合わせに少し戸惑いはあったが食べ進める事は出来た。

具材はキレイに成形された豚バラ煮豚の巻き型が盛り付けてあり、見た目の美しさは表現していた。調理場内ではガスバーナーで炙る作業も見られたが、白豚骨に関しては炙られてないチャーシューが使われていた。スープによって香ばしさを加えるなどの差別化を図っているのだろうか。味付け自体は個性を抑えた平均的なチャーシューだが、目立ち過ぎずクセもない脇役的な存在となっていた。

キクラゲは細切りタイプが添えてあり、細身ながらも確かな食感がアクセントとなっていた。乾燥キクラゲに味の違いを見出せないので大きな特徴はないが、麺の歯応えの弱さをサポートしてくれて存在感はあった。

それに引き換え追加までした味玉は、薄っすらと白身に浸けダレの色素が移ってはいるが味の浸透は為されておらず私にとっては残念な味玉だった。唯一黄身に浸み込んでいたのは煮切り不足の料理酒の香りで、醤油感のない味付けはアルコール臭ばかりが際立ってしまっていた。

薬味の青ネギは粗めに刻まれているが切り口には潤いもあり、切り立てとはいかないまでも香りも感じられた。豚骨ラーメンの中では彩り要員とばかり思っていた青ネギだったが、香りとしてのアクセントとなっていたのはスープが穏やかだったせいもあるのだろうか。

中盤からは豚骨とは別ジャンルのラーメンを食べている感覚の方が大きくなってきたが、豚骨ラーメンが不慣れな私にも違和感ばかりが募ってきた一杯でした。

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