なんとかデータベースラーメンカレーチャーハンぎょうざうどんそば
 

のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.102点
最終レビュー日 2019年10月22日
666 557 14 2,131
レビュー 店舗 スキ いいね

「特製中華そば ¥930」@中華そば 青葉 中野本店の写真平日 曇天 12:50 先客11名 後客 5名

〝リカバリーショット 傑作選〟

RDBの新店情報だけを頼りに新店めぐりをしていると、いい加減な誤情報に振り回される事が多々ある。そんなRDBの情報に裏切られた時に、リカバリー先を探すのもRDBなのだ。今回は中野での新店情報を見つけてオープン初日に向かったが、店の前に着いてみると内装工事の最中だった。どうやらオープンは明日以降だと思われ、仕方なく新店めぐりを断念した。

そこでスマホを取り出しリカバリー先を探していると、昔から知ってる名前を近くで見つけた。それが「中華そば 青葉」である。

私も二十年近く前になると思うが、当時はスマホではなくラーメン本を片手に訪れた記憶がある。当時は1時間以上は並んで食べたが、今はどうなっているのか気になって店へと向かってみた。フラれた店から歩いて数分で、記憶通りの場所で当時と変わらぬ佇まいが特徴的な屋台風の店先を見つけた。昔と変わらず開けっ放しの扉が街の景色に溶け込んでいた。今回は昼のピークを過ぎたのか、店先には名物の行列もなく店内には空席も見られる。店頭に設置された券売機の前に進み標題を発券すると、久しぶりの店内へと入った。

空いてるカウンターへと腰を下ろすと、お冷やが差し出されて食券を引き渡す。ほぼ満席の店内を懐かしむように見渡してみると、当時から大まかなレイアウトは変わっていないカウンターだけの客席を本日は四人体制で回している。今や老舗店になっていると思われるが、店内に貼られた「昆布水つけ麺」のトレンドメニューに、流行りに遅れまいとする姿勢が見えて意外に映った。スタッフ各人が持ち場の仕事をこなす分業スタイルで、次々とラーメンが仕上がっていく。本日の麺上げ担当は女性で、小柄ながらも力強く湯切りをされていた。そんな安定感のあるオペレーションを眺めていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁に唐草の高台丼の中で、もはや風格すら感じさせる表情をしている。店舗展開が進んで多くの駅周辺で見かける事があるが、やはり中野本店となるとオーラが違って見えるから不思議なものだ。系列店を含めても久しぶりの姿に、はやる気持ちを抑えてレンゲを手にした。

まずは胡桃色のスープをひとくち。特製だけあって液面には多くの具材陣が場所を取っており、スープが顔を見せる部分はわずかしかない。そんな少ない部分にレンゲを押し込みスープをレンゲに湛えると、程よい濃度を感じさせながら注がれてきた。いざスープを口に含むと粘りを感じる粘着質が、唇から口の中全体に張り巡らされた。それは油っぽさとは明らかに違う、動物性コラーゲンの粘性である。味わいとしても豚骨や鶏ガラなどの動物系出汁が土台を築き、鰹節などの魚介出汁が重なりを付ける。その両者のバランスの良さは、長きに渡り業界を牽引してきた、Wスープの先駆者としてのプライドすら感じる。私には若干カエシの塩気が高かったが、進化しながらも昔を思い出させるスープの仕上がりには脱帽だ。

麺上げまで120秒ほどの麺を持ち上げてみると、30センチに切り出しされた長めの麺が現れた。麺幅と麺圧の割合から平打ち麺にも見える形状で、緩やかに麺の折り返しがウェーブとなっている。麺肌に溶け出し始めたグルテンが切刃のエッジに透明感を与え、やや太めの麺質が食べ応えを想像させて食欲を刺激する。そんな麺を堪らず一気にすすり上げると、柔らかさの中にも強いハリを感じる口当たりで滑り込んできた。見た目以上に滑らかさと力強さを併せ持った食感には、長年人気店に君臨する底力と重なる〝粘り腰〟を感じた。優しいアプローチで口の中に入ってきた麺は、強い弾力ある歯触りで八面六臂の活躍をみせる。いざ麺を噛みつぶすと小麦の甘みが湧いてきて、スープの塩気と相まって麺の甘みレベルが上がった。スープだけでは強気だったが、麺と合わさる事を計算されての設計図なのだろう。絶妙なスープと麺の組み合わせを楽しんだ後は、豊富な具材陣を味わってみる。

具材のチャーシューには豚肩ロースが煮豚で仕込まれているが、ここは流行りの低温調理に流されていない。薄味ながらも丁寧に時間をかけて煮込んであるので、見た目以上に柔らかく仕上がっている。それによって豚肉本来の旨みは煮汁の方に奪われてしまっている気がするが、盛り付け着前の切り立てにこだわっているのでパサつき感はない。そんなチャーシューが三枚も盛り付けてあるが、これがレアチャーシューに変わってしまったら「青葉」のラーメンに見えなくなるだろうなと、要らぬ想像をしてしまった。

メンマも当時から使われている板状タイプで、かなりの薄味がスープの塩気を和らげる箸休めとして活躍してくれる。少し硬さを残した適度な歯応えも、時々アクセントとなってサポートしていた。

大好物の味玉にも期待していたのだが、最初の見た目でメニュー写真とは随分と違って見えた。メニューには半熟感のある美しい味玉が写っていたが、実際には固茹でに近い味玉だった。思い違いであって欲しいが、そんな失敗作の味玉をチャーシューで覆い隠すように盛り付けてあったのは故意の仕業なのだろうか。青葉のラーメンの宣材写真といえば、オレンジ色に輝く半熟の黄身が印象的だったが、今回分は全く違っていて残念だった。味玉には珍しく手の込んだ飾り切りが施してあるが、本質的な美しさがないので嘘っぽく見えてしまう。

薬味のネギは悲しいくらいにしか入っていないが、これは昔からこうだった気がするので仕方ないかと諦める。

海苔は黒々とした見た目の割には風味が弱く、口掛けも悪かったので保存状態の問題だろうか。しばらくスープに浸してみたが、硬い舌触りは変わらなかった。

中盤以降も麺の旨さに引っ張られて箸が進み続けたが、スープ単体で飲む事は出来ずにレンゲを置いた。

私が座ったのは麺袋の細かな文字まで見える席だったので、麺袋の消費期限の日数までも読めてしまった。麺の鮮度にこだわっているのが、その日付からも感じられた。通常の麺よりも短めに消費期限が設定されている中でも、出荷された当日の麺が使われていたのには驚いた。このこだわりが麺の食べ応えとして、しっかりと伝わってきた。

丁度まかないのタイミングだったようで、スタッフ用のラーメンが作られていた。その麺の茹で時間が通常よりも短かったが、それはそれで歯応えのより強い食感なのだろうと他人のまかないまで気になってしまった一杯でした。

投稿 | コメント (1) | このお店へのレビュー: 1件

「しょうゆラーメン ¥750+味付け玉子 ¥100」@ケンラボの写真土曜日 曇天 11:00 先客5名 後客2名

〝ニューオープン 探検記〟

昨晩は雨の中の銀座線で、ホームサウナのある上野で下車せずに田原町で降りて浅草のサウナにやって来た。それは、つくばエキスプレス沿線で見つけた新店舗のこちらへ初訪問を果たすためだ。

宿泊施設を利用した、サウナライフを満喫した今朝も快調に目が覚めた。しかしこの施設の難点は、朝の9時にはチェックアウトしなければならない事だ。しかも大浴場は午前8時までと、のんびりと朝の時間を過ごすのが難しいのだ。今朝も朝食を摂る時間よりも、朝風呂を選んで汗をかいた。つくばエキスプレスの浅草駅直結なので、出発までの時間を近くのカフェで過ごす事にした。土曜日の浅草界隈は、競馬新聞と赤ペンがよく似合う。このカフェにいる半数以上の客も、競馬の予想に余念がない。そんな独特な雰囲気の中で時間をつぶしてから、10時半前に浅草駅を出発した。

各停でも20分もすれば最寄りの南流山駅に着くと、そこからは歩いて5分で開店祝いの花が並んだオシャレな外観の店先を見つけた。11時オープンちょうどの現着となったので、先客陣が店内へと入っていくタイミングだった。それに続いて暖簾はないが、オリジナルのウェルカムマットの敷かれた入口を越えて店内へ入った。

入店すると入口左手に設置された券売機の中から、予習不足なので念入りに品定めをする。左上部の筆頭を魚介豚骨系が飾っており、二番手には味噌系が陣取っている。その二大看板メニューの下にマイスタンダードの醤油系のボタンを見つけ、味玉追加の100円トッピングのボタンも押した。二枚の食券を手に取り、カウンターに腰を下ろして店内観察を開始する。

店主さんのワンオペながらも、お冷はセルフではなく店主さん自らが差し出してくれる。それと引き換えに食券を手渡すと、いよいよ調理がスタートだ。新店らしくステンレス製の厨房機器は、ピカピカに輝いていて気持ちが良い。無機質な厨房に対して、客席にはオールビンテージ調の木材を使用して温かみのある有機質を醸し出している。小さなコの字カウンターの他にも壁に向かった補助的なテーブルも置かれてあるが、それでも7人も座れば満席となるので中待ちイスも準備されている。再び厨房内に目を向けると、新品の茹で麺機が中央に鎮座していた。その中には7個のテボが円を描くように並んでいたが、それが不運の始まりになるとは思いもよらなかった。

どうやら一番客は、かなり早い入店だったのか第1ロット目で直ぐに配膳されていた。その直後に第2ロットの調理が始まったのだが、6杯分の麺を次々に茹で釜に投入しはじめた。スープの違いで麺の種類も異なるようで、太さによって時間差では投入されていた。しかし麺上げのタイミングは同時なので、6杯分の盛り付けにはかなりの時間を要していた。嫌な予感がしながら待っていると、着席して10分程で我が杯も到着した。

その姿は白磁に雷紋柄のポッチャリとした高台丼の中で、丁寧な盛り付けが好印象を与えてくれる。流行りの要素を取り入れながらも安心感のある表情を見せる。第一印象は素晴らしく、スープを味わうためにレンゲを手にした。

まずは紅檜皮色のスープをひとくち。表層に浮かんだ香味油が液体ではなく油膜となって見えるスープにレンゲを沈めると、熱そうな湯気と共に上がってきたのは魚介出汁の香りだ。中でも清らかな鰹節が主体となった、日本人が慣れ親しんだ香りが気持ちを落ち着かせてくれる。そんなスープを口に含むと、土台には豚骨由来のどっしりとした旨みのある動物系出汁が支えとなっている。やや白濁したスープには微かな粘度も感じるので、動物性コラーゲンが豊富に含まれているのだろう。そこに合わせるカエシの塩気も、高めではあるが許容範囲内でありがたい。見た目とスープの表面上は何ら問題のない様子だが、水面下の麺の状態が心配でレンゲを箸に持ち替えた。

醤油系には中細タイプの麺が使われているが、麺上げまで 100秒のタイマーよりも 10秒以上は長く茹でられていた。しかも茹で釜から引き上げてもテボの中で更に10秒以上は放置されていた。それからワンロット6杯を盛り付け終わるまでは 90秒もかかり、麺の劣化が不安なままに麺を持ち上げてみた。箸先には少しばかりウェーブした透明感のある麺が現れ、麺幅と麺圧のバランスからは平打ち麺のようにも見える。32センチ程度に切り出しされた長めの麺を持ち上げた箸先からは、やはり強いハリは感じられない。すでに、麺がダレ始めているような気がして仕方ない。そんな麺を慌てて一気にすすり上げると、力強いハリはないが柔らかすぎるといった口当たりでもなかった。早めに食べ切ってしまえば麺がダレる前に完食できそうな気がして更に箸を進めてみた。

急いで箸を突っ込んでみると、丼の底の方に何かの具材のような硬い感触が箸から伝わってきた。まだチャーシューや味玉は液面に浮かんでいるので、不思議に思って拾い上げてみた。すると20本ほどの麺が結着してしまい、太い束となって入っていたのだ。この麺のかたまりを見た時に、やはりワンロット6杯には無理があると思ってしまった。テボの中で麺が対流してないのが原因だと思うが、盛り付けの際に気が付かないのも問題だと思う。箸先では、ほぐしきれないので指を使って麺をバラバラにしなければならなかった。黄色い麺箱が山積みにされていたので、あの製麺所の麺だと思うが、これでは麺職人が打った麺が台無しになっていた。とても残念な麺の仕上がりを挽回する為に、具材陣に気持ちを切り替えた。

具材のチャーシューは豚肩ロースが低温調理で仕込まれていて、鮮やかなロゼ色に発色した美しさが今っぽく映る。小ぶりながらも厚みを持たせてカットされているので食べ応えもあり、丁寧な下処理でスジも残っておらず食べやすい。かなり脂身の多い部位が当たったが豚肉本来の質が良いので、しつこさや臭みも全く感じない。薄味ながらも下味のソミュール液が利いており、盛り付け直前の切り立てに拘ったシットリ感も味わえた。

追加した味玉も常温よりも温かくなっていて、食べた時に旨みを感じやすく仕上げてある。きちんとした下茹での半熟具合も良く、黄身にまで浸透した漬けダレの味染みも素晴らしい。好みの熟成タイプではないが、即席味玉ではない事は間違いない。

板メンマは滑らかな舌触りで醤油感を利かせたタイプ。少々味付けは強めだがアクセントとしては、これくらいが程よいのかも。でも、ラーメンの中よりもビールのツマミとして本領を発揮しそうなメンマだった。

黒々とした海苔は、しっかりと目の詰まった良質の海苔を目利きされていて鮮度も抜群だった。

薬味には白ネギ、青ネギともに添えられていて、粗々しい切り口だが手仕込み感がある。どちらも歯触りや香りが良く、薬味としての持ち味を表現していた。

中盤からは心配した麺の劣化が始まってしまい、コシのない麺を食べなければならなかった。今回は私のラーメン史上最大の癒着事件となってしまったが、それがなければ軽く80点オーバーは確実な内容だっただけに悔いが残った。ちなみに私の後に入店した客にはワンロット1杯の調理工程だったので、うらやましく思ってしまった。そんな独占調理法違反を黙認せざるを得ない状況下で、次回は大量生産でないラーメンを食べてみたいと心から思った一杯でした。

投稿 | コメント (0) | このお店へのレビュー: 1件

「らーめん (醤油) ¥700 +あじ付き玉子 ¥100」@麺処 あさ川の写真平日 曇天 先客2名 後客1名

〝ニューオープン 探検記〟

新店めぐりをしていて思う事がある。なぜに誤情報があふれているのだろうかと。先日に訪れた二軒はどちらも内装工事の途中で、オープンしていなかった。

また本日もRDBで新たに見つけた新店に挑もうとしているが、現時点では定休日も営業時間すらも掲載されてない新店だ。本日もフラれる覚悟で、新橋のサウナを午前10時前に出発した。

京急線直通の浅草線快速特別に乗り込んで、最近ラーメンめぐりで頻繁に降りている上大岡駅に着いた。「煮干しらーめん 紫乱」「川の先の上」と立て続けの新店ラッシュに湧く上大岡駅からは神奈中バスに乗り、一路こちらを目指す。バスターミナルを出発すると15分ほどで最寄りの永作バス停に着いたが、ひとつ前のバス停の名前に驚いた。「下車ヶ谷」と書いて「かしゃけど」と読むらしい。小学二年生でも習う漢字の組み合わせなのに、全くもって読めなかった。

新橋のサウナを出発してからトータル1時間ほどでやって来たが、店の開店時間すらも分からずで不安が募る。ナビを片手にバス停から歩いて向かうが、環2沿いで大型店舗はチラホラあるだけでラーメン屋らしき店が見えない。それでも信じて大通りの急坂を下っていくと、突然にド派手な黄色い看板が目に入った。そこには大きく店名が書かれ、店先には開店祝いの花が届いている。ガラスの扉越しにはスタッフさんの影も見えるので、本日開店は間違いなさそうだ。

少しホッとして店先へと歩み寄ると、店頭には11時半オープンと書かれてあった。11時開店と予測して来たので30分以上も早かったようだ。それまでの時間を途中にあったコンビニで水分補給をしたり、何もない環2沿いを歩いてみたりと時間をつぶした。

定刻ちょうどに店先に戻ると店頭には営業中の幟旗が置かれ、店内には先客が入店していた。私も続いて深緑色の暖簾をくぐり店内に入ると、好きなカウンターへと案内された。券売機はなく卓上メニューを見て、初めてラインナップを確認する。苦手なガッツリ系への不安もあったがメニューを見る限りでは、そうではないようだ。メニューはシンプルに醤油ラーメンだけで、トッピングとサイドメニューが少しあるだけだ。この絞り込んだメニューに安心して味玉追加で注文した。お会計はデポジット方式なので、先に支払ってから店内観察を始める。

レゲエ風の黄色い壁が明るい印象を受ける店内にはL字カウンターと、奥には 100円で食べ放題のごはんコーナーが設けてある。店主さんのワンオペなので人手のかからないセルフスタイルをとっているが、お一人で仕切るには導線が大変そうである。年季の入った店構えは居抜き店舗に思えるが、右奥のカウンターを拭く為には大きく遠回りをしなければいけない造りとなっている。そんな余計な心配をしながら前の通りを走るトラックの音をBGMにして待っていると、着席して8分で我が杯が到着した。

その姿は黒釉薬の高台丼の中で、醤油系ながらもギラギラした色気を見せつける表情をしている。サッパリしてながらも野生味にあふれた魂を持っているように映るが、それはまるで福山雅治のようである。爽やかな笑顔の中にも男の本能を隠すことなく表現する様は、まさにそのものだ。液面を覆い隠した鶏油がそう思わせるのだろうが、かなりの油量に戸惑いながらレンゲを手にした。

まずは光沢の下の栗皮茶色のスープをひとくち。表層の油膜は避けられそうにないので迷わずにレンゲを沈めてみると、レンゲの中には多くの鶏油を含んだスープが注がれてきた。そこに強く息を吹きかけて出来るだけ油分を飛ばしてから口に含んでみると、香ばしい焦がしネギの風味が広かった。それでも油っぽさを強く感じるので口の中には、まったりとした油膜が張りめぐった。そんなオイリーなスープには、鶏ガラ主体の動物系出汁と魚介出汁のバランスがとれたオーソドックスな組み合わせとなっている。そこに焦がしネギの香りが加わる事で、昔懐かしい雰囲気のあるスープに仕立てられている。カエシも強めに利かせてありそうだが、油分の甘みが先行するので感じづらくなっている。

タイマーを使ってないように見えたが、およそ90秒ほどで麺上げされたのはストレート細麺だった。36センチ程度に切り出しされた長めの麺は、箸で持ち上げても液面から離れようとはしない。箸先からは個性的な要素を感じない優等生タイプの麺質に見える。そんな麺を一気にすすり上げると、滑らかな麺肌に加えて香味油が後押しするように滑り込んでくる。麺の長さから大胆に音を立ててすする食べ方になるのだが、先客陣も同じようにすすっていた。無音の店内にはオジサン三人が麺をすする音が輪唱のように鳴り響いている。東京五輪を前にヌーハラなどと言われる昨今だが、これを機に麺をすすった時に唇が震える心地良さを全世界に発信したいものである。そんな勢いよく飛び込んできた麺を噛みつぶすと、平均的な歯応えと喉越しを残して胃袋へと落ちていった。この特筆すべき点がない事が、店主さんの麺選びの基準なのかもしれない。

具材のチャーシューには、部位も調理法も異なる二種類が盛り付けてある。それを見ただけで、手間隙を惜しまない作り手の思いが伝わってきた。先に淡白そうな鶏ムネ肉の方から食べてみると、低温調理のしっとり仕上げとなっている。かなり肉厚にカットされているので食べ応えもあり、炭火で炙られたような香ばしさがあるので焼鳥を食べているかのようだ。一方の豚肩ロースは煮豚で仕込まれていて、こちらも肉厚で炙られた香りが食欲をそそる。鶏ムネ肉に比べると、若干パサついた印象も受けるが不快なほどではない。柔らかく煮込まれた赤身に焦げた部分の食感が変化をもたらしている。

メンマは長さのある極太メンマで仕込まれている。縦の繊維は柔らかく口当たりは良いが、横には歯が立たないくらいに硬い。なので欲張って口の中に放り込むと、噛み切るのに一苦労するので注意が必要だ。味付け自体は素晴らしく、派手な主張をする事なく添え物に徹している。

追加した味玉は、今まで食べた事のない不思議な味わいだった。それは微かに感じるカレーのような風味で、ゆで卵とカレーの相性は悪くないがラーメンの中に入ると違和感があった。エサのパプリカ色素と思われるオレンジ色の黄身が特徴的な卵を使われており、下茹での半熟具合は申し分ない。しかし漬けダレの浸透はなく、熟成感にも乏しい味玉だ。また冷蔵保存の冷たさが残っていて、熱々のスープの中では違和感があった。

黒い器と同化するように海苔も添えてあったが、黒々しさのない緑色の海苔からは良質さは伝わってこない。実際にも香りも食感も良くはないが、新店だけに鮮度の良さは感じられた。

薬味の白ネギは笹切りで添えてあり適度な辛味と歯触りがアクセントになったが、青みのカイワレからは〝薬味愛〟を感じない。このタイプの昔ながらの組み合わせならば、やはり青みは茹でた青菜を望んでしまった。

序盤で感じた油っぽさも、麺に引き寄せられてスープには残っていないかと思ったが、麺を食べ終えた後のスープの液面には大量に残っていた。結果としてスープは飲み干せずにレンゲを置いてしまった。出汁がしっかりしていたので、香味油のコクに頼らなくても足りるような気がして残念だった。私には三分の一の香味油でも十分だったかもしれない。

先客の話によると以前にもラーメン店があった場所らしく、半年ほどで閉店してしまったようだ。今回は地元客の胃袋をつかんで、長く根付いて欲しいと思って一杯でした。

投稿 | コメント (0) | このお店へのレビュー: 1件

「あさひ醤油 玉子 ¥790」@らーめん あさひの写真平日 曇天 11:25 先待ち1名 後客2名

〝ニューオープン 探検記〟

深夜ドラマも終わり、少し落ち着きを取り戻してきた上野のサウナで朝を迎えた。昨夜の食事処での晩酌中に見つけた新店めぐりの為に、10時にチェックアウトすると目の前の上野駅に向かう。

常磐線の快速から松戸で各停に乗り継ぐと、上野を出発してから40分程で最寄りの南柏駅に着いた。西口を出てすぐ右手にある「出逢いの街 にしぐち通り」と書かれたアーチをくぐって歩いて行くと、3分くらいで開店祝いの並んだ店先を見つけた。駅からも近く、辺りには飲食店が多いエリアでの移転オープンのようだ。

11時半オープンの少し前に現着となったが、すでに1名の待ち客がいた。しかし整列順がある感じではないので近くにいながら定刻を待った。店の外観は赤と黄色を配した独特の看板が印象的で、すでに掛けられている暖簾も同じデザインだ。それは子供の頃に見た〝人造人間キカイダー〟の左半身を思わせる。

そんな昔を懐かしんでいると、定刻よりも1分ほど早くオープンとなり暖簾をくぐった。店内に入ると入口右手に設置された券売機の中から味玉入りの標題を選び、食券を手にしてカウンターに腰を下ろした。

配膳担当の女性スタッフさんに食券を手渡すと、すぐさま店内観察を始める。カウンターの目の前には歴史を感じる昔ながらの赤のれんが飾られているが、移転前に使われていたものだろうか。現在使われている物は、北海道の風習である製麺所から寄贈された暖簾なので、昔からの取引がある信頼の証だろう。

この時になってようやく、新松戸に同店名のラーメン店があった事を思い出した。しかしこちらは柏市内からの移転となっているので関係性は定かではないが、複数の飾られた暖簾たちが関連を意味している気がした。その他には柏レイソルのチームタオルが飾られてあったりと、地元愛も感じさせる。そんなカウンターだけの店内を、本日は揃いのピンク色のTシャツ姿の二人で回している。調理場が奥まっているので調理工程は見られないが、左利きの店主さんから繰り出される旭川ラーメンに期待が高まる。もしかしたら新松戸のお弟子さんなのだろうかと思いながら待っていると、着席して8分で我が杯が到着した。

その姿は木製の角盆に乗せられた瑠璃色の多用丼は、北海道ならではのスープの熱を逃がさないように厚手の器を使われている。そんな器の中で、イメージしていた旭川醤油ラーメンよりも濃厚そうな表情を浮かべていた。Wスープだとは想像していたが、見た目からは動物系が特出しているように感じる景色だった。そんな予想を覆す姿に、新たなラーメンとの出会いを求めてレンゲを手にした。

まずは半濁した丁子染色のスープをひとくち。これも北海道発祥のラーメンらしく、液面には厚みのあるラードが張り巡らされている。一見すると油っぽく感じるスープにレンゲを沈めてみると、見た目同様の豚骨由来の香りが湯気とともに立ち昇ってきた。レンゲの中に注がれたスープにも多くのラードが入っているので、強く息を吹きかけて表面の油分を飛ばしてからレンゲを口に当てた。かなり高温のスープが唇に触れると、そこからは吹き飛ばしたはずの油膜が口内に張り付いた。その中には豚骨特有のクセがあり、不自然な旨味による甘さを強く感じた。いい意味で野暮ったさがあるスープだが、旨味の底上げをダイレクトに感じてしまい残念なスタートとなった。Wスープの相方であるはずの魚介出汁は、豚骨スープの主張が強いので影に隠れてしまっていた。卓上には味が濃いと感じたら割りスープがあると書かれてあったが、醤油ダレに関してはベストな塩梅だったと思う。それだけに、余計な旨味の演出が悔やまれた。早々にスープから麺へと気持ちを切り替えてレンゲを箸に持ち替えた。

割りスープの他にも客目線で対応されていると感じる点があったのが麺の茹で加減で、基本は硬めに仕上げてあると明記してあった。柔らかめにも対応可能な案内もしてあったので、ある程度の硬さを承知して麺を持ち上げてみた。箸先には 20センチほどに切り出しされた、黄色みのある中細ちぢれ麺が現れた。それを見ただけで北海道産の麺を感じさせる雰囲気があり、箸先の重みには加水率の高さを思わせる。そんな北海道から空輸された店主さんこだわりの麺を一気にすすり上げると、思ったよりも硬さのない程よい口当たりで滑り込んできた。ちぢれのリズムが心地良く唇を通過すると、適度なハリを感じさせながら口の中を跳ね回る。そんな麺を抑え込むように噛みつぶすと、小麦の甘みが生まれてくる。

具材のチャーシューには豚バラの半巻き煮豚が盛り付けてあったが、薄味仕立ては良いのだが豚肉の品質からか獣臭さが出てしまっていた。

追加した味玉には黄身の小さな卵が使われていたが、白身の範囲が大きいので旨みの強い白身の弾力を楽しめた。今までは〝味玉の真髄は黄身にあり〟と思っていたが、白身にも味わいがある事を教えられた味玉だった。

細メンマは薄味で仕込まれていて、柔らかすぎず硬すぎずの歯応えが程よいアクセント役を演じてくれた。

薬味の白ネギの笹切りからは、シャキッとした歯触りと粗々しさを残した辛味が感じられた。それに引き換え青み役のカイワレには特筆すべき点を見出せなかったので、やはり旭川ラーメンには不釣り合いな薬味に思えた。

中盤からも麺は美味しく食べ進めたが、スープには手を付けられずにレンゲを置いてしまった。都内では個人店の旭川ラーメンを食べられる店が少ないので楽しみにしていたが、過剰演出が個人的には合わなかった一杯となりました。

投稿 | コメント (0) | このお店へのレビュー: 1件

「タンメン (ニンニクなし) ¥790+ 味玉 ¥120」@タンメン ニュータマヤの写真平日 晴天 11:30 先客5名 後客4名

〝第38回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を開催する事を宣言する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去36戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」「◯心厨房」「家系総本山 吉村家」「自家製麺 くろ松」「麺処 いち林」「miso style となみ」「AFURI 恵比寿」「拉麺 時代遅れ」「あってりめんこうじ」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は37戦16勝11敗9分8KO勝ち1KO負け1没収試合と、スパコンのオススメに対しては勝利が先行している状況だ。

今回の名古屋遠征は自身のライフワークとしている〝ラ道〟〝サ道〟〝キャ道〟の全てを網羅する壮大なプランである。すでに初日には〝キャ道〟を満喫すると、名古屋の名物サウナをハシゴして今朝を迎えた。

ゆっくりと朝風呂を浴びてから11時前にチェックアウトすると、サウナのある繁華街の栄から市営基幹バスで最寄りの清水口バス停に着いた。そこからは大通り沿いを歩いて進み、遠くからでも見える「麺」とだけ書かれた突出看板が見えてきた。店先には並びが見えたので慌てて駆け寄ってみると、食後のタバコを吸っていた客で行列ではなかった。ガラスの扉越しに店内を見ると空席が多くあったので、慌てる事なく外観を眺めてから券売機の前へと進んだ。

正面の大看板には、白地に赤文字で屋号が書かれた強烈で大胆なインパクトがある。さらには「野菜摂取」と書かれた看板もあったりと、ユニークな出迎えをしてくれる。すでに店先には炒め野菜の甘い匂いが漂っており、食欲を刺激してくる。店外に設置されている券売機なので、店内からの視線を気にする事なく、じっくりと品定めができる。豊富なラインナップの中には野蛮そうなメニューもあるが、左上部を飾っている味玉入りの表題発券して扉を開けた。

店内に入ると大きな調理場を取り囲む、ヘキサゴンを割ったようなカウンターが印象的だ。テーブル席はないが二人体制で回すには、かなり広いカウンターの客席となっている。中待ちイスも置かれた、余白スペースも広い贅沢な店内の造りだ。カウンターに座り食券を手渡す際にカスタマイズを問われたので「ニンニクなし」だけ告げて、その他は普通でお願いした。

厨房内に目をやるとツーオペでも豊富なメニューに対応できるよう、計算されたレイアウトとなっている。麺上げや中華鍋を使ったスープ張りを担当するスタッフと、麻婆や唐揚げなどのトッピングを調理するスタッフが向き合うように設計された独特の厨房設備の配置を眺めているだけでもワクワクしてくる。店先にまで漏れてきていた炒め野菜の匂いが、より一層強く感じるようになってきた。高温に熱された中華鍋からの煙に包まれながら待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿はメラミン製の受け皿に乗せられた雷紋柄切立丼の中で、私のミスチョイスのせいで王道の〝タンメン〟とは違う景色になってしまった。それは味玉を追加してしまったのが原因で、いくら好物とはいえ、無闇やたらに追加すれば良いものではないと実感した。やはり数あるラーメンには、それぞれに見合った器や具材があるのだと再確認してレンゲを手にした。

まずは枯色のスープをひとくち。無料サービスの野菜増しにしなかったので、具材の余白に液面が見えている。そんなスープにレンゲを押し込んで見ると、黒いレンゲの中には対照的な乳白色のスープが注がれてきた。その様子は大量のラードを伴って、ゆったりながらも熱々の湯気を立ち昇らせている。かなりの高温スープをヤケドに注意しながらレンゲを唇に押し当てた。すると予想以上の熱さがレンゲを介して伝わってきたかと思うと、すぐに口の中に油膜が張り巡らされた。そこには炒めた野菜の甘みが移ったラードが、さらに甘みを増して感じられる。その甘みに隠れた非天然由来の旨味成分も感じられ、ひとくち目でスープ単体で味わう事を諦めた。ベースには四つ足系のコラーゲンを多く含んだスープがあるだけに、旨味の底上げが残念に思いながらレンゲを箸に持ち替えた。

麺には中細ちぢれ麺が採用されていて、12センチ程と短めに切り出しされている。持ち上げた箸先には黄色みと透明感を併せ持った麺肌が特徴的で、指先には加水率の高さが伝わってくる。そんな麺を一気にすすり上げると短めの持ち味を活かして、ひとすすりで大量の麺が飛び込んできた。滑らかな麺肌の上にラード油が潤滑油となって、すすり心地の良さをアピールしてくる。スープとの絡みも良いので野菜から溶け出した甘みが、すすり込む度に寄り添ってくる。口の中を跳ね回るような硬めに茹でられた麺を噛みつぶすと、密度の濃いグルテンが奥歯を押し返すような弾力がある。その跳ね返しに逆らうようにして麺を噛み切ると、そこからは小麦の甘みが、にじみ出てくるようで野菜の甘みとの共演となった。この麺ディションならば後半までダレそうにないので、野菜たちと合わせて楽しむ事にした。

具材の炒め野菜には、キャベツとモヤシを中心に、豚こま切れやニラとキクラゲが入っている。中でも強い拘りを感じたのがモヤシで、大抵ならばキロ単位の業務用を使うのが普通だが、空気に触れて劣化する事を避けて小袋入りのモヤシを使われていた。よってモヤシを中心とした炒め野菜の歯応えは抜群で食感は素晴らしいのだが、過剰な旨味が具材たちを汚染しているような気がした。

追加した味玉は、半熟の黄身が流れ出すくらいの下茹で加減でスープを汚してしまった。今まで味わった事のない酸味の効いた味付けで腐敗臭すら感じた。漬けダレに、お酢でも使っているのではないかと思ってしまう程だった。最終的には複雑な旨味に負けてレンゲを置いてしまった。

今回の採点は 60点台になってしまったので、スパコンとの対戦は私の判定勝ちとなった。これで通算対戦成績は38戦17勝11敗9分8KO勝ち1KO負け1没収試合となり、私の勝ち数が大きくリードしている。

過去の中京エリアのオススメ店は淡麗系が多く、スパコンのオススメ店への信頼性が高かっただけに今回のガッツリ系は残念な一杯となってしまった。

投稿 | コメント (0) | このお店へのレビュー: 1件

「醤油ラーメン ¥750+全部のせ ¥250」@麺屋 如水 本店の写真日曜日 雨天 12:15 外待ち21名 中待ち30名 後客多数

今回の名古屋遠征では〝ラ活〟よりも〝サ活〟を優先して名古屋駅に降り立っていた。今回は〝キャ活〟も程々にしようと、昨日までは思っていたが、久しぶりの名古屋嬢との再会に我を忘れてしまった。

昨晩は恒例となっている寿司同伴を終わらせて、名古屋嬢のヘアメイクの時間を利用して一人で名古屋の街をふらついてみた。行きつけが出来たおかげで、ここ最近は夜のネオン街をウロウロする事もなくなったので新鮮な感じがした。

程々のつもりが深夜2時過ぎのお開きとなってしまい、再びサウナに戻り夜を明かした。翌朝は随分と酒の残った身体を朝サウナで目を覚ませ、気持ちを〝キャ活〟から〝ラ活〟へと切り替える。サウナのある今池交差点からはバスに乗り込んで、最寄りの東区役所バス停で下車した。そこからは大きな建立寺を迂回するように6分ほど歩くと、山口町交差点から見てもすぐに分かる大行列を見つけた。ちょうど雨が落ち始めたタイミングとなったが、隣接するビルのシャッター前の軒下に逃れた最後尾に付けた。

チラリと見えた店内にも外待ち以上の大行列があり、名古屋の人気店の行列の長さを実感する。以前の「紫陽花」の時も思ったが、名古屋の若者は雨の中でも並ぶ忍耐力が素晴らしい。雨足が強なってきても離脱する者なく順調に列が進んでいくと、外待ち30分で中待ちに昇格となった。すだれと白提灯が掛けられた入口を入ると、店内には待機用の椅子が壁沿いに並べられている。かなり膨大な収容能力誇り、同じ椅子に3分も座っている暇がないくらいに回転は良さそうだ。その間に手渡されたメニューの中から本日のお題を品定めするが、店内の壁に貼られたメニュー同様に多すぎるラインナップに戸惑ってしまう。またもや持論の〝メニューが豊富な店の基本のラーメンは味が不安定になりがち〟が頭を過ぎる。そんな中で筆頭を飾っているのは塩系だったが、マイスタンダードを押し貫いて醤油系のハイエンドモデルを注文した。

着々と進んでいく並びの中で、店内観察を始めてみる。ゆったりとしたL字カウンターの中には客席相応の広い調理場が設けてあり、各自がそれぞれの持ち場を守るシステムとなっている。本日は白と黒のキャップ姿の五人体制で回しているが、動きに全くの無駄がない、見惚れてしまうような連携プレーに初訪問でも安心感が生まれる。しかも接客にも、そつがなく目配りや気配り全てができている。そんな〝親切〟〝丁寧〟〝安心〟と引っ越し屋みたいなフレーズが、しっくりする店内の雰囲気となっている。

若者中心の客層ではあるが時折り私クラスの中年層も見られ、随分と高齢の年配者も楽しんでいる様子があった。そんな老若男女の地元客に愛される店内で待っていると中待ちの20分を合わせてトータル50分待ちでカウンターへの案内があった。グラスではなく蕎麦猪口のお冷で口を潤していると、着席して2分もせずに我が杯が到着した。客の流れを予測しての調理工程ならではの、スピード感あふれる提供だった。

その姿は受け皿に乗せられた白磁の多用丼の中で、大地に溶け込むようなシンプルな色調を見せている。それはまるで、砂漠迷彩仕様のザクII を思わせる茶褐色のコンビネーションだ。砂漠の中で息を潜め、身を隠すような目立たぬ容姿だ。一切の派手さのない穏やかな見た目からは、食べずとも自然の旨みが詰まっていそうに感じる。お店情報には〝無化調〟となっているが、それが嘘ではない事を確信してレンゲを手にした。

まずは灰茶色のスープをひとくち。表層には非常に細やかな粒子の香味油が浮かんでおり、繊細そうにスープの液面を覆っている。乳化タイプとは言わないまでも、微かな濁りの中に旨みも含んでいそうなスープにレンゲを射し込んでみる。その指先には高濃度ではないが、確かな粘着性がレンゲを介して伝わってきた。見た目以上の動物性コラーゲンを予想して口に含んでみると、それとは異なる感覚が先陣を切ってきた。それは予想外に魚介出汁の風味だった。半濁した見た目や粘性の高さから、動物系出汁が主体と思われたが違っていた。もちろん鶏ガラや豚ゲンコツのような旨みが土台にはあるが、それを凌ぐ魚介の旨みが押し寄せてきた。しかしその魚介出汁が、煮干しなのか鰹節か昆布なのかが判別できないくらいにバランスがとれている。言われてみれば全ての旨みを感じるが、何一つとして際立った主張をしてこないのだ。完璧な設計図を再現されたWスープに合わせるカエシは強気ではあるが、スープのバランスを壊す事なく輪郭を与えている。見事な計算で仕組まれたスープの味わいに、ひとくち目から惹かれてしまった。この時点でスープを飲み干せる事を確信して麺に移行した。

本日の麺上げ担当は小柄な女性が担当されていたが、魂の込もった麺上げ作業には目を奪われてしまった。この店の回転率の良さも、麺上げ技術の高さがあってこその早さであると納得した。多様なメニュー構成にも対応しながらも、ワンロット2杯にこだわった調理には圧倒的なスピード能力がある。左利きで麺上げされている動きが、星飛雄馬の大リーグボールの投球フォームと重なってしまう。そんな圧巻の力強いフォームから繰り出される、連続投球で生み出された麺に期待を大にして食べてみる。

麺上げまでジャスト40秒の早茹でタイプの麺を持ち上げてみると、26センチ程に切り出しされたストレート細麺が現れた。箸先からは細身ながらも強靭なハリが伝わってきて、滑らかそうな麺肌と相反する組み合わせを見せる。〝強さ〟と〝艶やかさ〟を併せ持った麺を一気にすすり上げると、想像を超えた力強さで滑り込んできた。細麺とは思えないような密集したグルテンを感じ、弾力のある歯応えで噛み切るとモッチリと奥歯を押し返してくる。その抵抗力の強さがコシとなって食べ応えの良さを表現している、往年の関脇 寺尾関を彷彿とさせる麺だ。

具材のチャーシューには豚バラの煮豚型が、薄切りながらも4枚入りと全部のせならではのボリュームだ。その枚数の多さを利用して麺を巻いて食べても良し、勿論そのまま食べても持ち味を発揮するチャーシューだ。今回は脂身の少ない赤身中心の部位だったのが、私には幸いだった事もあるが素晴らしい仕上がりだった。

煮たまごは全てのバランスがとれた逸品だった。卵本来の持つ白身の旨みを残しながら、浸透圧による適度な熟成の黄身の旨み。それでいて過度な醤油感を思わせない漬けダレの塩梅など過ぎる事なく足りなくもない、地味ではあるが計算されたバランスを保っている。

細メンマも歯応えを残した下処理が活かされた薄味仕立てで、過度なアピールをせずに食感のアクセントを与えてくれる。

薬味のネギや青みなどは一切添えられておらず余計な香りを加えないで、出汁本来の味わいを楽しめるようにしてある。

それは器選びにも感じられ、唇に当たる口縁の部分が大きい多用丼を使われている。その極端に厚手な器の口当たりが、スープを舌全体だけでなく口の中の隅々にまで行き渡らせる。よって舌先だけでなく鼻腔を含めた口内の全センサーで味わえるように考えられている。これは茶道にも共通する点で、抹茶や煎茶の味わいが茶碗によって全く違ってくるのと同じだ。

初見で感じたように躊躇する事なく完飲するほど出汁感を味わえたスープには文句なしだったが、細麺だけに急激に麺の食感が薄れていった点が残念に思いながら箸とレンゲを置いた。

また今回も名古屋麺のポテンシャルの高さを思い知りながら店を後にしたが、さらに強さを増した雨の中でも行列は止むことなく続いていた。再びバス停へと戻り〝ラ活動〟から〝サ活動〟へと気持ちを切り替えて栄の名物サウナへと向かった一杯でした。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

「煮干しらーめん ¥880」@煮干鰮らーめん 圓 名古屋大須店の写真日曜日 晴天 14:05 外待ち5名 中待ち2名 後待ち3名

台風一過を都内のサウナで迎えた午前中、最近もっぱら力が入ってきた〝サ活動〟のために、サウナの脱衣所のテレビのニュースに見入る。山手線と東海道新幹線の運行状況を確認してから、憧れのサウナがある名古屋へと出発した。

道中の新幹線の車内でライフワークでもある〝ラ活動〟も並行して行おうとRDBを開いてみる。名古屋市総合ランキングの第1位には、いつのまにか煮干し系の人気店が君臨していた。苦手なセメント系のそちらを除けば、上位陣は制覇していると思った中に第4位のコチラを見つけた。同じ煮干し系の店だが、八王子にある本店の淡麗煮干には良いイメージしかなく今回の名古屋遠征での一食目に決めたのだ。

名古屋駅からはバスルートを検索しておいたがバス停が見つけられずタクシーで店を目指した。若者で賑わう繁華街の交差点で降ろされると、ナビを片手に大通り沿いを歩いて進んだ。すると大型立体駐車場の入口に、青い看板の下に並ぶ行列を見つけると最後尾に付けて待機を開始する。

その間に店頭のメニュー写真の中から、本日のお題を決めておく。私の前列は駐車場に併設されたゲームセンター帰りの若者三人組だったが、話しているゲームの内容を聞いても、ちんぷんかんで全く意味が理解できなかった。ゲームウォッチの「ファイア」や「ボール」で育った世代のオジサンには分からなくても仕方ないはずだ。そんな時代の流れを感じて、店先まで漏れてくる煮干しの香りに包まれていると、10分程で中待ちに昇格した。

白い暖簾をくぐって店内に入ると、入口正面に設置された券売機から目星を付けておいた最上段にある表題を発券して中待ちイスに座った。すると客の回転が良いのか、すぐにカウンターへと案内されて再昇格となった。

L字カウンターに腰を下ろして店内を見渡すと、白木を基調とした清潔感のある店内を本日は二人体制で回している。着席すると女性スタッフさんがお冷を持ってきてくださり、喉を潤しながら厨房内を眺めてみる。基本的な厨房設備の中で、特にピカピカに磨き上げられているのが電動スライサーだ。盛り付け直前の切り立てではないが、少量の切り置きだけに見られる。麺を茹でながら、具材を準備してスープを器に張る。この安定したルーティンなので、ロットによる仕上がりムラなどは心配なさそうで安心だ。そんな調理工程を見ていると着席して4分で我が杯が到着した。

その姿は三色が鮮やかな雷紋柄のクラシカルな切立丼の中で、今の世が令和だという事を忘れさせてくれるような景色を見せている。一切の流行とは無縁の具材たちが、バランスの良い配置で整列している。その清らかな表情には、食べずとも王道を感じさせる安定感がある。そんな派手さのない姿に最大限に期待を高めてレンゲを手にした。

まずは照度の高い黄橡色のスープをひとくち。表層には粒子のない油膜が張り巡らされていて、初見ではスープの熱を感じられない。そんな液面にレンゲを沈めてみたが、一切の湯気が上がってこないので不思議に思いながらレンゲを介してスープを口に含んでみた。陰りと透明感を併せ持ったスープは、ぬるくはないが熱くもない。スープというよりは香味油が、ぬるく感じさせるのかも知れない。スープは常に大型寸胴鍋で、営業中も焚き続けている調理法なので冷めているとは思えない。その上しっかりと専用の湯煎鍋で盛り付け前に器を温めていたが、その効果は半減してしまっていた。個人的にはスープもサウナも熱めの方が好みなので、ファーストアタックとしては物足りなさを感じた。そのため味覚は反応しやすくなっていて、苦味の少ない軽やかな煮干しの旨みが主体となっている。しかしカエシの塩分が高めなのも舌は感じとってしまった。

丁寧に整えられた麺線を崩すのが、もったいないような美しい麺線に箸を入れる。麺上げまで105秒の中細ストレート麺がスムーズに引き上げられた。その箸先には卵を使って打たれた自家製麺が、黄金色に輝いて見える。麺肌のフスマの粒が全粒粉配合を思わせ、36センチほどに切り出しされた長さも特徴的である。そんな麺を一気にすすり上げると、切刃のエッジが鋭い口当たりを生んでハードに滑り込んでくる。スープの温度よりも熱く感じる麺からは、強いハリが唇を通じて伝わりシャープで力強い印象を残す。スマートさと、男らしさの両面を持つ麺は好印象だ。長さのある麺なので、すすり込む回数が必然と増える食べ方となる。その度にスープの香りが伴ってくるので、煮干しの香りに後押しされて食べ進められる。麺を噛めば細身ながらも奥歯を押し返すようなモッチリとした歯応えがあり、食べ応えも十分にある。咀嚼した後には内麦ならではの香りと甘みがスープの塩気を和らげてくれ、箸を持つ手が止まる事はない。

具材のチャーシューは、トンカツに用いられる豚ロースで仕込まれてあった。下味に使われた日本酒の香りが残るくらいの薄味仕立てで、良質の豚肉本来の味わいを楽しむタイプだ。ややパサつき感のある赤身の舌触りの悪さを、脂身の食感がサポートしていた。

太メンマも発酵食品特有の香りを残した薄味で仕込まれていたが、部分によっては繊維が口に残ってしまった。硬めに仕上げてあるのは食感のアクセントとなって良いが、噛み切れない不快さは残念だった。

基本でも半個入りの味玉は、見た目のインパクトからも一朝一夕では為し得ない熟成度合を見せつける。浸透のグラデーションを見せない均一化された色合いながらも、漬けダレの塩気は淡く白身本来の旨みも残してある。浸透圧によって余分な水分が抜けてゲル状になった黄身の旨みは、即席では生まれない深い味わいだった。

薬味の白ネギの小口切りは盛り付けの少なさから寂しさはあるが、香りや舌触りの良さは一級品である。

序盤に感じたスープのぬるさが常に気になってしまうが、冷蔵庫から出したばかりの具材の冷たさが一因と思われた。衛生上の観点からは最善策とは思われるが、温めて直す一仕事があればスープの熱を奪う事もなかったのではと勝手な事を望んでしまった。

食べ終えて店を後にすると久しぶりに会う名古屋嬢との同伴前に、念願の〝名古屋蒸し〟で身を清めにサウナへと向かった一杯でした。

投稿 | コメント (0) | このお店へのレビュー: 1件
87

「中華そば 得のせ ¥950」@morrisの写真平日 晴天 11:10 待ちなし 後客4名

〝さえない中年オヤジの嘆き節〟

RDBの新店情報を信じて、意気揚々と乗り込んできた大山駅だった。地図を片手に辿り着いてみると、まさかの工事中と思わぬハプニングに襲われた。お店情報では確かにオープンとなっていたが、看板こそ掛かっていたが店内は改装中だった。

途方に暮れながら駅へと引き返そうと思ったが、この「遊座 大山」という商店街に見覚えがあった。実は前回の新店めぐりで訪れた「ラーメン モモジロウショウテン」がある商店街だった。前回は反対側の板橋区役所方面からのアプローチだったので、気付きづらかったが独特なネーミングの商店街だったので思い出した。たしか、そのラーメン店は月に数日の限定営業だったので、それ以外の日は通常メニューが食べられるはずだ。そう思うと自然と足が向かっていた。

降り立った大山駅とは反対方向の先に、わずかな希望の光を求めて進んで行った。するとオープン前ではあったが、前回とは違う木製看板の書かられた店先が見えた。店先のメニュー写真を見ても前回とはスープが異なるようで、奇跡のリカバリーショットを期待してオープンを待った。

私が開店前に並んでいるのに気が付いてくれたのか、定刻よりも少し早くオープンしてもらったようだ。ありがたく先頭にて店内に入り、セオリー通りに券売機の左上部のボタンを押してカウンターの奥に陣取り店内観察を始める。

とてもエアコンの効いたカウンター越しに店内を物色すると、前回同様にピカピカに磨き上げられた厨房がとても印象的だ。ガラス越しに見える奥の製麺室には複数の粉袋が見られ、室温計で室内の温度管理をされている。そこで打たれた麺が入った木製の麺箱には、鰹節屋の手ぬぐいが掛けられ麺の乾きを調節されている。そんな店内を本日は、玩具メーカーの「トミカ」のようなロゴ入りユニホームに身を包んだ二人体制回している。そんな二人の安定感のあるオペレーションを眺めながら待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の受け皿に乗せられた雷紋柄の屋号入りオリジナル多用丼の中で〝得のせ〟ならではの盛りだくさんな表情を見せている。一切の奇をてらったような素振りを見せず、優しい微笑みを投げかけてくるようだ。以前に食べた期間限定の「モモジロウショウテン」とは似て非なる景色を見せてくれる。前回は満足して店を後にした記憶があるので、今回も大きく期待を膨らませてレンゲを手にした。

まずは半濁した柿茶色のスープをひとくち。見た目には濃厚とは言えないが、かなりの濃度を感じるスープだ。表層に浮かぶ油膜が薄いので、かなり乳化されていると思われ液面にレンゲを押し込んでみる。すると見た目よりもスーッとレンゲの中に注がれてきたスープからは、強い濃度を感じられらなかった。いざスープを口に含むと、動物系スープならではのコラーゲンが唇に張り付くような粘着質がある。そのベースの後ろ盾をしているのが魚介出汁の旨みで、見事な豚骨魚介の組み合わせである。最良のバランスで炊かれて出汁に合わせるカエシの塩気も良く、出しゃばり過ぎない醤油感が全体を引き締めている。豚骨由来独特の臭みを一切感じさせずに、クセだけを排除して個性を引き出している。派手さはないが安心して先へ進めるスープに仕上げてある。

麺上げまではジャスト160秒だったが、茹で湯が沸騰を始めたのは麺を投入してから70秒後だった。本来ならば茹で湯が沸騰してから麺を投入するのがセオリーだと思うので、一番客ゆえのイレギュラーを心配しながら麺を持ち上げてみた。やはり箸先からは強いハリとコシが伝わってくるが、芯が残っているような手応えではない。切刃のエッジが鋭く残る中細ストレート麺を一気にすすり上げると、見た目通りにスクエアな口当たりで飛び込んできた。強めのハリは感じるが決して茹で不足ではない、抜群のベスト麺ディションと思われる。滑らかさと強さを持ち合わせた口当たりの後は、奥歯で噛みつぶして歯応えを楽しんでみる。しっかりと奥歯を押し返すような弾力の後で、適度な咀嚼に応えて弾けるような麺質が素晴らしい。常々「餅は餅屋、麺は麺屋」を訴えてきた私だが、こちらの自家製麺は勝手な持論を覆すような麺質である。前回同様に、よくぞこの麺を合わせてくれたと心よりの賞賛を送りたくなるような自家製麺だ。この麺質ならば食べ急がなくてもダレるような心配がないので、安心して具材陣を味わってみるとする。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚が〝得のせ〟ならではの三枚も盛り付けてある。箸では持ち上げられないくらいに柔らかく煮込まれているが、逆に豚肉本来の旨みと食感を損なっている。好みの赤身中心の部位だったが、肉々しい歯応えや旨みが煮汁に奪われてしまっていると感じた。

大量に添えられたメンマは発酵食品ならではの香りを残した仕上げをみせ、手仕込みならではのランダムな歯応えがアクセントになってくれる。やはり、この特有の香りと食感は乾燥メンマにしか表現できない個性だと感じた。

半カットされて盛り付けてある味玉は、見た目のグラデーションからも一朝一夕には作り出せない熟成感が伝わってくる。実際に口にしてみても、適度な浸透圧によって余分な水分が抜けた濃厚な味わいが魅力的だ。それでいて白身は柔らかさをキープした物理的に矛盾するような仕上がりとなっている。漬けダレや浸透度などの全てにおいてレベルの高い味玉は自称〝アジタマスキー〟を名乗る私の中でもトップランクに入る逸品である。

海苔は見た目の黒々しさからも高品質の焼き海苔を目利きされているのが分かり、保存状態にも細心の注意が払われている。よって香りや口溶けに不快な要素がなく、脇役としては豪華すぎる海苔となっている。

青みにも一仕事が見られる茹でホウレン草が添えてあり、切っただけのカイワレにはない〝青み愛〟を感じてしまう。逆に今回は薬味のネギが少量すぎて持ち味を発揮できていないように感じた。

中盤以降も箸のスピードは減速する事なく食べ進んだ。もう、箸の短さくらいしか文句が見つからない素晴らしい仕上がりだった。先程はRDBの誤情報に振り回されて〝どん底〟の気分を味わったが、気が付けば完食して〝丼底〟が見えていた一杯でした。

投稿 | コメント (4) | このお店へのレビュー: 1件

「らーめん ¥650」@らーめん つがるの写真平日 晴天 13:20 先客なし 後客なし

〝ニューオープン 探検記〟

昨夜から前泊していた横浜駅直結のサウナで、今回の新店めぐりの計画を立てておいた。

こちらのサウナは10月から24時間営業となって使い勝手がさらに良くなったので、またまた新橋から東海道線で乗り込んできた。やはりカプセル利用客のチェックアウトが9時から12時になったのは有難く、朝風呂を浴びた後の過ごし方に大きな違いが出てきた。

その恩恵を最も受けるのが朝サ飯だ。今までは食後に、せわしいのが嫌で食べる機会は少なかったのだ。しかし今月からは最終9時半までに食べ終えていれば、その後はレストラン内で食後のコーヒーを楽しむも良し、カプセルに戻って寝る事だって出来るのだ。

本日は久しぶりに「スカイスパ YOKOHAMA」での朝サ飯を楽しもうと、入館時に朝食券を予約しておいた。時間を逆算して早朝から軽めの朝サウナを2セットこなして、レストランへと向かった。不思議と、昨晩もレストランで深夜まで呑んでいたメンバーが揃っているのが笑える。まるで家族のような時間を共有していると、勝手な親近感が湧いてくるものだ。

朝サ飯といっても今回もラーメンめぐりの為に、女子的な量と内容しか食べられないのが残念だ。大好きな白メシや納豆を見ないように、洋食メニュー中心で OLさんカフェランチほどで我慢する。しかし普通ならば 580円でカレーやデザートまで食べ放題と、十分に満足できる内容なので横浜で宿泊される際はオススメできるサウナである。まるでステマのようになってしまったが、機会があれば楽しんでもらいたい朝食ビュッフェだ。

食後にコーヒーを飲んでからも2時間以上も滞在できるが、私のお気に入りスポットは午前10時半までの清掃時間を待ってから利用する事のできる〝コンフォートルーム ベイ・ビュー〟である。

その名の通り眼下に湾岸を見下ろしながらゴロ寝が出来る男女共有スペースだ。この時間帯になると大浴場の清掃が終わるので、大方の客はそちらに集まっていく。そんな貸切状態の広い部屋の中で、お目当ての反町駅でオープンしたばかりのラーメン店の予習をしておこうとRDBの、お店情報を開いてみた。すると昨晩までは明らかになっていなかった、新店の詳細が追記されていた。まさかの苦手な〝J系〟のジャンルに括られていたのだった。

無理して苦手なタイプのラーメンを食べるような気分でもなかったので、新たな情報を求めて急遽RDBを漁ってみる。すると幸運にも本日オープンの新店が新たに挙がっていた。所在地は八王子だが、現在地のサウナからは横浜線を利用すれば行けないエリアではないと知った。

そこで正午前にサウナをチェックアウトすると、横浜線 快速 八王子行きに乗車して八王子みなみ野駅までやって来た。生まれて初めて降り立った駅だが、不思議な地形を利用した構造となっている。崖沿いに駅舎がある為、乗り継ぎたいバス乗り場が駅前に見つけられない。訳も分からず人が流れて行く方へと身を任せると、エスカレーターを昇ったワンフロア上にあるバスロータリーに辿り着いた。駅舎よりも高い場所にバス乗り場があるとは思っていなかったので、ここは〝バスタ新宿〟を圧縮したような構造となっていた。

どうにか京王バス み05系統 グリーンヒル寺田行きに揺られて8分ほどで最寄りの寺田橋バス停に着いたが、そこからの道のりが大変だった。一級河川 湯殿川を越えて心臓破りの坂を12分 かけて歩いて行くと、山頂付近の交差点を左に曲がると派手な黄色い幟旗がたなびいていた。そこには〝ラーメン〟と書かれていたので、そここそが目指すべき新店だと悟った。

確信というよりも、願いに近い気持ちで近づいてみたが、どう見てもラーメン店らしい雰囲気ではなく不安になった。開けっ放しの扉の向こうには薄暗い店内が見えるが、テーブル席には衣装ケースが散乱していて営業中とは思えない様子となっている。今回もRDBの誤情報に弄ばされたかと思ったが、店内から「どうぞ」の声が聞こえてきた。

恐る恐る店内に入ってみて、バーの間借り営業なのが分かると、ようやく疑問が解けてラーメン屋らしくないのが理解できた。間借り営業らしく店内に券売機はなく、卓上に置かれた手書きメニューから品定めをする。せっかくなのでハイエンドのチャーシュー麺を口頭で告げた。すると「麺の量は130gなので大丈夫ですか」と、大盛りを薦められたが「少食なので大丈夫です」と遠慮した。

店内を見渡すと数々のボトルがカウンターの棚に並べられていて、すぐにでもマティーニが出てきそうな雰囲気だ。そんな店内を本日は二人体制で回しているが、調理工程の全てを若い店主さんが担っている。店主さんの立つカウンター内には簡易的な厨房設備しかなく、アルマイト製の両手鍋を茹で釜に代用している。そんな手狭な調理場から生み出されるラーメンに期待をしながら待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿を見た瞬間に注文したチャーシュー麺とは違う事が分かったが、オープン初日の緊張感もあったのだろうと、そのままのラーメンに向き合う事にした。

懐かしの雷紋柄の切立丼の中には、ここが本当に東京なのかと考えさせられるような地方感のある表情で出迎えてくれた。全く飾り気のない姿に物足りなさを感じてしまうどころか、不思議と喜びさえ生まれてしまった。そんな流行りとは無縁の景色に癒されながらレンゲを手にした。

まずは赤銅色のスープをひとくち。表層には薄っすらとした油膜が見られるが、ほとんどノンオイルといった感じを受ける。津軽ラーメンだと煮干主体と思っていたが、初動の香りからは強くは感じられない。ほのかな甘い香りが漂ってくるのは野菜由来だろうか。そんな威圧感のない液面にレンゲを沈めると、全くの抵抗を感じさせない清流のようなスープがレンゲに注がれてきた。この時点でも煮干香は立っておらず、穏やかなスタートを切った。いざレンゲを介してスープを口に含むと、香り同様に甘味が舌を支配する。野菜中心であるとは思うが、糖類のような甘味も潜んでいるので旨み以上に甘味が勝っている。唇には動物性コラーゲンの粘着質も感じるので、鶏ガラやゲンコツなどのオーソドックスな動物系スープが土台となっているのだろう。その奥には煮干しを中心とした魚介の旨みもあるが、派手な旨みや苦味ではなくバランスよく加わっている。甘さの立ったスープに合わせる醤油ダレは薄そうに感じるが、甘味に隠れて強めに利かせてある。

平ザルを使った麺上げまで90秒ジャストの細ちぢれ麺は、あまり見かけないタイプの麺質に思える。持ち上げた箸先には、一切のハリやコシの強さを感じさせない。やや弱々しくも感じながら麺をすすり上げると、箸先から伝わってきた印象のままに滑り込んできた。それは、麺のちぢれを感じさせないくらいに柔らかな食感だった。全ての麺類にハリとコシを求めてしまうタイプなので物足りなくはあるが、スープとの相性は優れていると思った。これがラーメン消費量上位の常連である青森のスタイルなのだと覚悟して、弱気な麺と向き合う事にした。噛み応えは乏しいが喉越しは良く、スルスルと胃袋へと落ちていく。見た目と同じく食感も独特で麺箱などが見られなかったので製麺所は不明だが、超個性的な細麺を採用されていた。

具材はチャーシュー麺を注文したはずが二枚しか入っていないので、すぐにオーダーミスだと分かった。これで後会計が、チャーシュー麺代と同じだったら申告しようと思いながら食べてみた。部位には豚バラを使用されていて調理法は煮豚だった。小ぶりではあるが厚切りにカットされているので、見た目の迫力は十分だ。今回は脂身が多い部分が切り分けられていたが、柔らかすぎる仕上がりではないので脂身にも歯応えが残っていた。とろけるような脂身が苦手な私にとっては、ありがたいチャーシューだった。

それに反して板メンマは柔らかく仕込まれていて、滑らかな口当たりが特徴的だ。見た目の醤油色よりは薄味で麻竹の持つ香りも感じられる仕上がりだ。麺が柔らかいので何かに強い食感を求めてしまうが、メンマも柔らか仕立てで残念だった。

薬味の白ネギの小口切りは粗々しい切り口だが、みずみずしい潤いがあり好印象。この穏やかなラーメンの中で感じるシャキッとした歯触りがアクセントになってくれる。また田舎っぽい辛味を残した白ネギが、ラーメン全体の甘さの中で刺激を与えてくれた名脇役を演じてくれた。

中盤からも好みとは違う点が多くあったが、東京にいながら作り手の思いが込もった〝津軽〟を感じて箸とレンゲを置いた。最後に後会計を済ませたが、やはり基本のラーメン代の650円だったので注文を間違えたようだ。これから多くのお客さんが来ても決して慌てず焦らずで、独自の津軽らしさを貫いて欲しいと願う一杯でした。

投稿 | コメント (0) | このお店へのレビュー: 1件

「濃厚蟹みそらーめん ¥880+味玉 ¥100」@濃厚蟹みそラーメン 石黒商店の写真平日 曇天 12:15 店内満席 先待ち2名 後客1名

〝ニューオープン 探検記〟

昨晩も最近のアジトとして活躍してくれている駒込のサウナ上がりに RDBを見ていると、新たな情報が挙がっていた。そこで初詣に参るために移動ルート諸々の計画を立てた。

駒込のサウナ「カプセル & サウナ ロスコ」は水風呂を含め、料理や飲料水にも地下より汲み上げた天然水を使用している。なので朝食に付く味噌汁が抜群に美味しいので、ついつい朝サウナ後に朝定食を食べてしまうのだ。本来ならば神保町でオープンした新店には、開店前の現着を目指すところだが、朝メシを食べたせいでスタートが出遅れて正午前の出発となってしまった。

このまま予定通りに神保町に着くとランチタイムのピークに遭遇してしまうので、ある程度の行列を覚悟して店へと向かった。駒込駅から巣鴨を経由して都営三田線に乗車して神保町駅に着くと、白山通りを後楽園方向へと歩いていく。

さすがに平日なので学生やサラリーマンで賑わっている大通り沿いにある、神保町名物となっている食べ放題の焼肉屋の大行列と、焼きそば屋の大行列の間の路地に佇む店先があった。知っていても通り過ぎてしまうような路地なので、開店祝いの花が並んでなければ見過ごしていたかもしれない。

昼時の真っ最中の現着となったが、心配された並びも少なく三番手で待機となった。多くの花の中には修行先と思われる有名味噌ラーメン店や、遠くは札幌からのお祝いも届いていた。やはり蟹を打ち出したメニューなので、北海道と縁があるのだろう。

店先にも蟹の匂いが漏れてきて食欲を刺激するが、大通りのイチョウ並木の銀杏が踏みつぶされた独特の臭いと重なって不快な臭いとなっている。早く季節が変わり、純粋な蟹の匂いだけを嗅ぎながら行列に並びたいものだ。

タイミングが良かったのか、店内から続々と先客陣が出てきて入店となった。先に食券の購入を案内されていたので、入口右手の券売機にて発券して回収されている。大きく〝蟹〟と書かれた、白のれんをくぐってカウンターに陣取った。

客層のほとんどが若い男性サラリーマンが占めているL字カウンター越しに店内を見渡すと、居抜き物件のような味わいが見られる。厨房設備こそ新しさがあるが、カウンターなどの設えは以前の飲食店の名残りがある。そんな店内を本日はオープン2日目という事で、万全の四人体制で回している。その内の、お二人が主に調理を担当していて本来ならばツーオペくらいが適当な客席数だろう。まだオープン直後で認知度が低いのか、私の来店後は昼時なのに客足が途絶えがちだ。なので私だけのロットで仕上がった我が杯が到着した。

その姿は屋号の書かれた赤色の高台丼の中で「これでもか!」と言わんばかりの盛りだくさんを見せつける。器を含めた、色とりどりの派手なビジュアルが印象的に映る。自称〝ラーメン保守党 清湯醤油大臣〟の肩書きを持つ私には、強い圧力を押し付けてくるガッツリ改革党の一員に見えた。そんな第一印象を受けながら、黒のレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。表層には多くの具材陣が盛り付けられているのでスープの本性が分かりづらいが、押し込むようにしてレンゲの中にスープを注ぎ込んだ。すると液体よりも油分の方が多く入ってきて、レンゲの中の半分近くを油膜が覆い尽くした。それだけ多くの香味油が使われているのだと推測する。確かに厨房内のガス台では、本日分と翌日分と思われる二台の中型寸胴鍋でスープが炊かれている。それよりも大きな寸胴鍋の中では大量の香味油を仕込んでいるので、それがスープに使われているのだろう。ひとまずはレンゲに注がれたままのスープを口にしてみると、灼熱の香味油が唇を襲ってくる。油分としてはサラリとしているが、凝縮された蟹のエキスを強く感じた。商品名の〝蟹みそ〟ではなく〝蟹の甲羅焼き〟のような甲殻類特有の香ばしさが先行するので、蟹の殻で抽出した蟹油と思われる。その油分を取り除けば、初めて蟹味噌の風味を持ったスープが顔を出した。土台となっているのは豚骨主体と思われる動物系の白濁スープで、寸胴鍋の中では蟹由来の赤い水泡が沸き立って見られた。濃厚というよりはオイリーといったスープに合わせる味噌は、油分の甘みに負けないように強めの塩分が潜んでいそうだ。全ての配合バランスは、麺のためにあると信じてレンゲを箸に持ち替えた。

麺上げまで170秒前後の中太ちぢれ麺はをスープの中から引き上げると、麺幅と麺厚のバランスから平打ち麺のようにも見える。18センチ程度に切り出しされた麺には、独特の黄色みのある麺肌を持っている。腕っぷしの強そうな麺を一気にすすり上げると、ちぢれ具合と麺の短さが生み出す口当たりが心地良い。ややハードに唇を刺激しながら飛び込んできた麺は、口の中でハリの強さをアピールする。暴れん坊なゴワつきを主張し続ける強麺を抑え込むように噛みつぶすと、モッチリとした歯切れの良さで答えてくれる。茹で麺機の横には太麺を得意とする浅草の製麺所の麺箱が積まれているので、北海道を思わせるスープと、東京屈指の太麺が見事にタッグを組んでいる。ストロングスタイル同士のスープと麺の組み合わせで、より最強タッグを目指して、激戦区である神田神保町に殴り込んできたようである。この強麺ならば時間が経ってもダレる心配はなさそうなので、豊富な具材たちを味わっていく。

具材のチャーシューには豚バラ肉の巻き煮豚が厚切りで盛り付けてあり、小ぶりながらも見た目の存在感は十分ある。箸で掴んでも崩れるような軟弱なタイプではなく、ずっしりとした重量級のチャーシューだ。味付けは煮汁の醤油感が立った仕上げとなっており、赤身と脂身のバランスが良い食べ応えを味わえる。

見た目には、まばらな染み方の浸透具合が心配になる味玉だ。いざ食べてみると、しっかりと温め直されているので熱いスープの中でも違和感なく味わえる。かなり小玉の卵で仕込まれているが、オレンジ色の黄身が熟成した旨みを放っている。見た目の心配をよそに、追加して良かったと思える味玉だった。

味噌ラーメンと相性の良いモヤシも茹で置きせずに、麺上げ作業と同時にモヤシを茹でていた。さすがに茹でたてなのでシャキッとした歯応えが残っており、食感でのサポートを見事にこなしていた。

これまた相性の良さは抜群である粒コーンが、強気なスープの塩気の中で自然な甘みで安らぎを与えてくれた。

大量に添えられた岩海苔は質の良さは香りや口溶けから分かったが、個人的には半分以下も入っていれば十分だったかと。終盤になると海苔の品質が良いだけに、海苔の印象しか残らないようになっていた。

薬味の赤タマネギとカイワレは彩り要員の役目が強く、味わいの点では貢献度は低かった。ただ赤タマネギの手切りの食感の良さは素晴らしかった。

最終的には岩海苔が液面を覆い尽くしたスープには手を付けずに、レンゲを置いてしまった。食べ終えて席を立ったのは 12時半すぎだったが、店内にはスタッフよりも少ない客数だけとなっていた。これから冬場を迎え、味噌ラーメンが恋しい季節がやって来る。その頃には通りの二大行列にも負けないような人気店になっている事を願いながら店を後にした一杯でした。

投稿 | コメント (0) | このお店へのレビュー: 1件