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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.102点
最終レビュー日 2019年10月22日
666 557 14 2,133
レビュー 店舗 スキ いいね

「煮干しらーめん ¥880」@煮干鰮らーめん 圓 名古屋大須店の写真日曜日 晴天 14:05 外待ち5名 中待ち2名 後待ち3名

台風一過を都内のサウナで迎えた午前中、最近もっぱら力が入ってきた〝サ活動〟のために、サウナの脱衣所のテレビのニュースに見入る。山手線と東海道新幹線の運行状況を確認してから、憧れのサウナがある名古屋へと出発した。

道中の新幹線の車内でライフワークでもある〝ラ活動〟も並行して行おうとRDBを開いてみる。名古屋市総合ランキングの第1位には、いつのまにか煮干し系の人気店が君臨していた。苦手なセメント系のそちらを除けば、上位陣は制覇していると思った中に第4位のコチラを見つけた。同じ煮干し系の店だが、八王子にある本店の淡麗煮干には良いイメージしかなく今回の名古屋遠征での一食目に決めたのだ。

名古屋駅からはバスルートを検索しておいたがバス停が見つけられずタクシーで店を目指した。若者で賑わう繁華街の交差点で降ろされると、ナビを片手に大通り沿いを歩いて進んだ。すると大型立体駐車場の入口に、青い看板の下に並ぶ行列を見つけると最後尾に付けて待機を開始する。

その間に店頭のメニュー写真の中から、本日のお題を決めておく。私の前列は駐車場に併設されたゲームセンター帰りの若者三人組だったが、話しているゲームの内容を聞いても、ちんぷんかんで全く意味が理解できなかった。ゲームウォッチの「ファイア」や「ボール」で育った世代のオジサンには分からなくても仕方ないはずだ。そんな時代の流れを感じて、店先まで漏れてくる煮干しの香りに包まれていると、10分程で中待ちに昇格した。

白い暖簾をくぐって店内に入ると、入口正面に設置された券売機から目星を付けておいた最上段にある表題を発券して中待ちイスに座った。すると客の回転が良いのか、すぐにカウンターへと案内されて再昇格となった。

L字カウンターに腰を下ろして店内を見渡すと、白木を基調とした清潔感のある店内を本日は二人体制で回している。着席すると女性スタッフさんがお冷を持ってきてくださり、喉を潤しながら厨房内を眺めてみる。基本的な厨房設備の中で、特にピカピカに磨き上げられているのが電動スライサーだ。盛り付け直前の切り立てではないが、少量の切り置きだけに見られる。麺を茹でながら、具材を準備してスープを器に張る。この安定したルーティンなので、ロットによる仕上がりムラなどは心配なさそうで安心だ。そんな調理工程を見ていると着席して4分で我が杯が到着した。

その姿は三色が鮮やかな雷紋柄のクラシカルな切立丼の中で、今の世が令和だという事を忘れさせてくれるような景色を見せている。一切の流行とは無縁の具材たちが、バランスの良い配置で整列している。その清らかな表情には、食べずとも王道を感じさせる安定感がある。そんな派手さのない姿に最大限に期待を高めてレンゲを手にした。

まずは照度の高い黄橡色のスープをひとくち。表層には粒子のない油膜が張り巡らされていて、初見ではスープの熱を感じられない。そんな液面にレンゲを沈めてみたが、一切の湯気が上がってこないので不思議に思いながらレンゲを介してスープを口に含んでみた。陰りと透明感を併せ持ったスープは、ぬるくはないが熱くもない。スープというよりは香味油が、ぬるく感じさせるのかも知れない。スープは常に大型寸胴鍋で、営業中も焚き続けている調理法なので冷めているとは思えない。その上しっかりと専用の湯煎鍋で盛り付け前に器を温めていたが、その効果は半減してしまっていた。個人的にはスープもサウナも熱めの方が好みなので、ファーストアタックとしては物足りなさを感じた。そのため味覚は反応しやすくなっていて、苦味の少ない軽やかな煮干しの旨みが主体となっている。しかしカエシの塩分が高めなのも舌は感じとってしまった。

丁寧に整えられた麺線を崩すのが、もったいないような美しい麺線に箸を入れる。麺上げまで105秒の中細ストレート麺がスムーズに引き上げられた。その箸先には卵を使って打たれた自家製麺が、黄金色に輝いて見える。麺肌のフスマの粒が全粒粉配合を思わせ、36センチほどに切り出しされた長さも特徴的である。そんな麺を一気にすすり上げると、切刃のエッジが鋭い口当たりを生んでハードに滑り込んでくる。スープの温度よりも熱く感じる麺からは、強いハリが唇を通じて伝わりシャープで力強い印象を残す。スマートさと、男らしさの両面を持つ麺は好印象だ。長さのある麺なので、すすり込む回数が必然と増える食べ方となる。その度にスープの香りが伴ってくるので、煮干しの香りに後押しされて食べ進められる。麺を噛めば細身ながらも奥歯を押し返すようなモッチリとした歯応えがあり、食べ応えも十分にある。咀嚼した後には内麦ならではの香りと甘みがスープの塩気を和らげてくれ、箸を持つ手が止まる事はない。

具材のチャーシューは、トンカツに用いられる豚ロースで仕込まれてあった。下味に使われた日本酒の香りが残るくらいの薄味仕立てで、良質の豚肉本来の味わいを楽しむタイプだ。ややパサつき感のある赤身の舌触りの悪さを、脂身の食感がサポートしていた。

太メンマも発酵食品特有の香りを残した薄味で仕込まれていたが、部分によっては繊維が口に残ってしまった。硬めに仕上げてあるのは食感のアクセントとなって良いが、噛み切れない不快さは残念だった。

基本でも半個入りの味玉は、見た目のインパクトからも一朝一夕では為し得ない熟成度合を見せつける。浸透のグラデーションを見せない均一化された色合いながらも、漬けダレの塩気は淡く白身本来の旨みも残してある。浸透圧によって余分な水分が抜けてゲル状になった黄身の旨みは、即席では生まれない深い味わいだった。

薬味の白ネギの小口切りは盛り付けの少なさから寂しさはあるが、香りや舌触りの良さは一級品である。

序盤に感じたスープのぬるさが常に気になってしまうが、冷蔵庫から出したばかりの具材の冷たさが一因と思われた。衛生上の観点からは最善策とは思われるが、温めて直す一仕事があればスープの熱を奪う事もなかったのではと勝手な事を望んでしまった。

食べ終えて店を後にすると久しぶりに会う名古屋嬢との同伴前に、念願の〝名古屋蒸し〟で身を清めにサウナへと向かった一杯でした。

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「旬の創作麺 上湯煮干し (ちぢれ麺) ¥720+味玉 ¥90」@味どころ 龍の羽の写真平日 晴天 12:30 先客8名 後客6名

〝ニューオープン 探検記〟

昨夜は最近もっぱらのお気に入りである駒込駅前の「カプセル&サウナ ロスコ」にて安定の〝ととのい〟を手に入れた。

客層の中心が地元の方なので、夜遅くなるとサウナが空いているのが魅力なのだ。特別な仕掛けがあるサウナでもなく、室温も水風呂も平均的な温度だが居心地の良さは都内では随一かもしれない。若者のグループ客がおらず、年季の入ったオジサンだけが、サウナの中で自分自身と向き合っている光景には尊さすら感じる。そんな地元のベテランサウナーの邪魔にならないように、昨晩も最上段をお借りして見事な〝ととのい〟を得られた。

さらに魅力のひとつが 24時間営業の食事処で、私はコンセントのあるカウンターがお気に入り席だ。そこで極冷えジョッキの生ビールを飲みながら、RDBの新店情報を漁るのが至福の時なのである。もちろん食事も豊富だが深夜のカロリー摂取を控えているので、ビールの相棒は冷奴と決まっている。そんな中で見つけた新店が本日の目的地であるコチラで、今朝も朝サウナで汗を流していると正午のチェックアウトが迫っていた。

本日は新店訪問のために、朝食も摂らずに万全の胃袋で挑もうと決意していた。身支度を整えて正午少し前に駒込駅を出発し、日暮里経由で京成線にて最寄りの堀切菖蒲園駅まで30分程でやって来た。改札を抜けて目の前の通りを少し行くと、大きな駅前交差点のそばで揺れる赤ちょうちんを見つけた。店頭の大きな看板には〝濃厚(こってり)〟〝淡麗(あっさり)〟 と書かれている。さらには〝白湯〟や〝清湯〟など文字も並び、店先に置かれたメニューには〝上湯〟の表記まである。さらには、週の前後半で提供するスープが違うような告知も記されていた。この時点では店の方向性が全く分からず戸惑いを隠しきれなかったが、腹が減っていたので意を決して入口の前に立った。

〝Wing of Dragon 〟と店名が英語表記で書かれた、茶色の暖簾をくぐって店内に入った。しかし入口左手に設置された券売機の前で、あまりにも難解なメニューボタンに戸惑ってしまった。数多くあるボタンの半数以上が × 印になっており、本日は何があるのか全く分からない。店側も分かりづらいのを承知していて、案内係のホームスタッフまで配置している。そのスタッフの案内に従って醤油系のラーメンを教えてもらい、どうにか発券する事はできた。本日は辛いラーメンか表題だけの少ないメニューしかなかったので、表の看板が大袈裟に思えた。さらに追加したい味玉のボタンを探したが、販売してないメニューにボタンを占領されて各トッピングのボタンが設定されていない。90円や120円と金額別のボタンとなっているが、トッピングの種類が分からず困ってしまった。またスタッフさんが助け舟を出してくれ、券売機に貼られた手書きのトッピングメニューを教えてくれた。分かりづらさを説明できないくらいに、とにかく分かりづらい券売機とメニュー構成に振り回されて、注文するだけで疲れてしまった。

何とか食券を手渡してカウンターに腰を下ろすと、続いてはカスタマイズの質問攻めが待っていた。まずはスープを〝煮干し〟か〝宗田鰹〟を選び、無料サービスの〝背脂の有無〟を聞かれる。次は〝ストレート麺〟〝細麺〟〝ちぢれ麺〟と三種類ある麺の中から好みの麺を選ばなくてはならない。全てを伝えた時には、クタクタになるくらい疲れるシステムだ。各人が好みの一杯に仕立てられるのは有難いが、基本的な店のオススメがあると助かると思ってしまった。後客たちも店のオススメを聞いていたが「そらぞれのお好みですので」と応用力のない返答をしていた。

そんな後客をよそに、無事に注文を済ませた私はカウンター越しに店内を見回してみる。私が座っているL字カウンターの他にも奥にテーブル席もあるが、スタッフと思われる方がパソコンで事務作業をしている。見た目は客席に見えるが、本日は事務デスクとして使われている。昼時を過ぎて来客が増え、行列が出来てもテーブル席は使われずのままだ。客を並ばせてまでも必要な事務仕事があるのかと、私にはとても不思議に映った。提供スピードが間に合わないための策だと思うが、中待ち席として座らせてくれれば、行列の高齢者も楽に待てたはずなのにと思ってしまった。

そんな店内を、本日は事務仕事のスタッフを含めると四人体制で回している。カウンターには花柄が透し彫りされた天板が使われていたりと、シックながら面白みのある設えとなっている。お冷には水素水が使われたり、店内の仕切り暖簾には数々のウンチクが書かれてあったりと随所に拘りが詰まっている。そんな中に〝無化調〟への変更も可能である説明書きを見つけたが、時すでに遅しで我が杯が到着してしまった。

その姿は「川越 頑者」「宮崎 栄養軒」「伊勢崎 麺&cafe Coi.Coi.」「池袋 ナベラボ」など、各地の有名店でも使われている鳳凰の描かれた白磁の切立丼で登場した。タコ唐草や雷紋柄に次いで好きな器だけに、興奮を抑えきれずにレンゲを手にした。

まずはスープをひとくちと思ったが、液面には盛りだくさんの具材や薬味が所狭しと盛り付けられている。そんな渋滞状態の液面の中から、わずかに見える部分にレンゲを沈めてみる。そこに見える赤白橡色のスープからは、商品名の〝上湯煮干し〟の煮干しの香りが主役のようで、上湯の香りは影を潜めている。煮干し特有の水泡と共にレンゲに注がれてくるスープを見ると、若干の動物性コラーゲンの粘度を感じる。見た目では上湯でも清湯でもなく半濁したスープを口に含むと、鶏出汁がベースのような動物系スープが土台を築いている。そこには上湯には必須の〝金華火腿〟の旨みの強さは感じられず、上湯の表記が疑問に思った。鶏ガラ主体に煮干しなどの乾物類で炊いた出汁に節粉で調整したスープに、高級スープである上湯のイメージとは違う仕上がりに思えた。そんなスープに合わせるカエシも高めの設定なので、単体で飲む事は諦めて麺に移行した。

麺上げまでジャスト90秒の麺を引き上げると、黄色い透明感のある昔懐かしい中細ちぢれ麺が現れた。切り出しは 20センチにも満たない短さだが、箸先には力強い重みを感じるので加水率は高そうだ。そんな手応えのある麺を一気にすすり上げると、短波な麺のちぢれが唇をくすぐりながら滑り込んでくる。かなり硬めの茹で加減が独特の口当たりを表現するが、後客の高齢女性の二人組が話していた内容に同感した。

「これは若者向きのラーメンだね、婆さんには硬すぎるわ」

ふと隣を見ると、お年寄り女性もスープは違ったが私と同じ、ちぢれ麺を選んでいた。硬すぎるとまでは思わなかったが、たしかに若者向けだとは思った。氷で締めたのではと感じるくらいに、ゴリゴリマッチョな歯応えを残している。時代が昭和ならばテーブルをひっくり返して出て行く客がいてもおかしくない麺の硬さだ。

その女性たちの会話の中に出てきた、懐かしい言葉も聞き逃せなかった。それは消費税増税前に買いだめをした話だったが、何を買ったかと言うと〝ちり紙〟を買い込んだらしいのだ。平成を経て令和になった現代でもトイレットペーパーではなく、ちり紙なのだ。私も子供の頃はそう呼んでいたが、いつのまにか外来語に魂を売ってしまい呼び名を変えてしまった。そんな懐かしい言葉を思い出しながら具材を楽しんでみる。

一般的に思い描くチャーシューは入っておらず、切り落とし部分だけが盛り付けてある。形が整っていないので部位が不明だが、鶏モモ肉と豚バラ肉を混ぜ合わせたものだろうか。煮豚と思われる小さな肉片を噛んでみるが、特に味わいがある訳ではない。切り落としがあるならば基本のチャーシューがあるはずだが、周囲を見ても辛いラーメンにも入っていなかったので詳細は分からずじまい。

ふんだんに盛り付けられた板メンマは滑らかな舌触りと食感だが、とにかく味付けが甘すぎる。噛むたびに、じんわり滲み出てくる甘みはメンマを食べている感覚を麻痺させる。よく言えば、デザート感覚のメンマだった。

唯一追加した味玉は、写真からも分かるように完全な固茹でたまご。メニューには半熟とは書かれてなかったので固茹でなのは理解できるが、味玉と名付けるには余りにも味付けの無さが残念だ。白身の表面だけには薄っすらと漬けダレが染みているが、そこ以外は普通の固茹でたまごと変わりない。よく言えば、素材重視の味玉だった。

具材には九州のラーメン以外では珍しくキクラゲも大量に添えてあったが、特有の歯応えが麺の強さと競り合うように食感をアピールしている。キクラゲは嫌いではないので大歓迎だが、スープや麺との相性には疑問が残る具材だ。よく言えば、未知との遭遇を思わせる具材だった。

薬味の青ネギは、俗にゆう〝博多万能ねぎ〟を使われている。笹切りよりも筒切りのような切り方が特徴的で、彩りも兼ねて添えてある。香りも食感も穏やかなのが持ち味だが、小口切りよりも切り口の面積が少ない切り方なので、より優しい香りを生んでいる。それに反して食感の方は、小口切りよりも大胆に感じられる。

そんな中で、粗く刻まれた玉ねぎは素晴らしい仕事をしてくれた。玉ねぎ自体の香りが高く、刺激的な辛みの後から追いかけてくる甘みが最終的に残る。よほど良質の玉ねぎを見つけられた店主さんの目利きの高さが伝わってくる薬味だ。

中盤からも強麺の歯応えは衰える事なく、力強さをアピールし続けている。初見では分からなかった節粉が丼底に沈んでいたので、麺を引き上げるたびにスープが濁ってきた。それに伴って煮干しの苦味が徐々に強くなりザラつきも舌に残るようになってきた。旨味成分の底上げは感じなかったのが救いで、強情っぱりな麺だけは平らげる事ができた。やりたい事や遊び心にあふれていたが本領発揮となるのは、これから先のようである。

スープや具材は残してしまったが、行列が増えてきたので慌てて席を立って店を出ようとしたら、ホールにいた男性スタッフにこう言われた。

「丼を上げてください」

たしかに卓上には説明書きが小さく書かれてあったので見逃した私が悪いが、目の前のホールにいるスタッフさんに催促されるとは思いもしなかった。入口から引き返して器を高台に上げてテーブルをティッシュで拭いて店を出たが、どうにも後味の悪い一杯となった。ちなみにラーメンだけの採点なので 61点となったが、環境や接客を含めると過去最低にも準ずる評価となる一杯でした。

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「味玉【煮干そば】¥950」@ドリルマンNERIMAの写真平日 晴天 13:20 先客7名 後客2名

〝ニューオープン 探検記〟

午前中に八王子の新店を訪ねた後、この一週間で三たび練馬駅へと向かう事にしてみた。

実は開店してからコチラへは二度も訪問しているのだがオープン当初は、つけそばと油そばだけの提供のみで、マイスタンダードのラーメンの販売がなかった為に、二度とも退散した曰く付きの新店なのだ。そこで本日もダメ元で〝三度目の正直〟となるか〝二度あることは三度ある〟になるかと、不安を抱えたまま前食を終えたばかりの八王子駅を出発した。

本来ならば中央線を利用して新宿経由の大江戸線で練馬駅へ向かうのが最短ルートだが、連食への時間稼ぎのために、移動時間はかかるが最安値ルートで向かう事にした。八王子駅からは八高線で拝島駅へ、そこからは西武拝島線に乗り換え小川駅まで行き、西武国分寺線へ乗り継ぎ東村山駅まで来ると、今度は西武新宿線で所沢駅を経由して最後は西武池袋線で最寄駅の練馬駅まで1時間半 かけてやって来たのだった。普段は利用機会の少ない西武線を短時間で4路線も乗り継いだ。時間は無駄にしたが運賃は節約できたので、大満足で練馬駅南口を出た。

もう三度目ともなれば、さすがにナビなしでも道順を覚えている。「おいしい街」とアーチに書かれた飲食店街の、中程にある店先までは迷う事なくやって来られた。前回訪問時の先週よりも開店祝いの花は枯れて少なくなり、華やかな開店ムードはなくなっている。二回もフラれている未売だったラーメンが、今回こそはメニューアップされている事だけを願って、店頭に置かれたメニュー看板を覗き込んだ。するとそこには前回同様、まさかの〝品切れ〟となっていた。

ある程度は覚悟していたので、さほど気落ちする事もなく (嘘) 気を取り直して、せめて今回は店内の様子だけでも見ようと、ガラス越しに中を覗いてみた。すると入口近くの男性客が丼を両手で持ち上げ、スープを飲んでいるような仕草が見えた。つけそばの器にしては大きく、油そばならばスープを飲む事はないだろうと不審に思い、念のため券売機を確認する為に店内に入ってみた。

入口左手に設置された券売機は、ほとんどのボタンが品切れを意味する × 印になっていたが、私の望んでいたラーメンの「煮干そば」は品切れではなかった。単に店頭メニューが書き換えられてなかっただけのようだ。あまりの急な展開に取り乱しそうになったが、あくまで冷静を装って確認のためにスタッフさんに尋ねてみた。

「今日は、つけそば以外もありますか?」

なんとも卑怯な聞き方である。素直に「煮干そば、ありますか?」と聞けばいいものを、品切れや未売を恐れて姑息な問い方をしてしまった。すると「ありますよ」と素っ気ない返事が返ってきたが、やっとの思いで出会える事を喜んで味玉入りのボタンを押した。

空いているカウンターに座り、食券を手渡してから店内観察を開始する。レンガ造り風の壁紙が貼られた奥へと細長い店内には、L字カウンターとテーブル席が設けてある。そんな店内を本日は二人体制で回しているが、不思議な事に厨房内には新店舗のような新しさや清潔感がないので居抜き物件なのだろうか。系列店には何度か行った事があるが、乱雑に置かれた什器や備品がイメージと全く違う。オシャレで清潔感のある系列店とのギャップに戸惑いながら待っていると、着席して10分で我が杯が到着した。

その姿は受け皿に乗った白磁の切立丼の中で、大胆と言うよりかは丁寧さを欠いた盛り付けが悪印象を残した。それは調理工程を見ていても思ったが、食品を扱う意味を問いたくなるような仕事ぶりだった。しかしながら環境面や衛生面を評価の対象としない方針なので、目の前のラーメンだけに集中すべくレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。スープの色調が見えないくらいに、表層には厚手の油膜や豚背脂が浮かんでいる。そんな荒々しい大海原にレンゲを沈めると、ゆらゆらと大きく波を打った。その波のリズムに合わせて上がって来たのは、控えめにも思える煮干しの香りだ。見た目のヤンチャな印象とは違ったアプローチに驚きながらスープを口に含んでみると、軽やかな苦味を持った魚介出汁が口の中で花開いた。飲み干したレンゲの中を見ると、背脂を含んだ油膜がレンゲをコーティングして鈍い輝きを放っている。スープ自体に粘着性や濃度はないが、重たさを感じるのは香味油のせいだろうか。そんなインパクトのあるスープに合わせたカエシにも、塩っぱさというパンチが効いている。油分の甘みに隠れた不要な旨味も初動から強く感じたので、早々にスープは諦めてレンゲを箸に持ち替えた。

麺上げまで 300秒のロングスパンで茹でられた麺を持ち上げると、黄色みを帯びた強太麺が現れた。箸先にかかる重みには、威圧感がある程の力強さを見せつけている。実は麺上げ作業の最中で、麺の仕上がりが心配になるような出来事があったのだ。円筒型のテボで引き上げられた麺を、すぐに盛り付けずに茹で麺機の上に30秒以上も放置されていたのだ。それはスープを小鍋で沸かし直すタイミングが合わなかったのが原因だった。そんなタイムロスで麺ディションが心配だったが、見た目や箸先の感覚では問題なさそうなので、ひとまずは安心して麺を楽しむ事にした。系列店と同じ木製のオリジナル麺箱を見れば、自ずと自家製麺への期待は高まるが実際には違うようだ。ひとくちで収まるように配慮された、切り出し20センチの麺を一気にすすり上げた。するとストレートな形状ながらも、麺の折り返し跡が唇を刺激しながら飛び込んできた。実際に食べてみても先程のタイムロスは影響がなかったと思える口当たりで、ノビやダレなど微塵も感じさせない。むしろ、まだ硬さが残っているような麺質だ。噛めばモッチリと奥歯に吸い付くような弾力をみせ、適度な歯切れの良さが楽しめる。噛みつぶした断面からは小麦の甘みが溢れてくるが、その甘みでは太刀打ち出来ないくらいにスープが強い。これをバランスが良いと思う人もいるだろうが、私には強すぎる塩分濃度で残念だ。

具材のチャーシューは豚モモ肉で仕込まれていて、盛り付け直前に炙っていたのが印象的だ。昔ながらの七輪で、じっくりと塊肉の表面を炙ってからスライスされたチャーシューだ。よって香ばしさが食欲をそそり赤身肉ならではの食べ応えはあるが、舌触りにはパサつきを感じる。肉の旨みも飛んでいるように思うのは、肉汁が抜け落ちているからだろう。せっかくの拘りだが、炙りすぎたチャーシューは本来の持ち味を失っていた。

追加した味玉は固茹でに近い下茹で加減で、ネットリとした黄身の舌触りを楽しむタイプではなかった。しかし卵本来の質が良く提供温度も常温まで戻っていたので、ゆで卵としては楽しめた。しかし味玉としての評価は残念ながら個人的には低くなった。

厚みや幅が不揃いな板メンマは、その形状を利用してランダムな食感がアクセント役を務める。薄味仕立てなので強気なスープの中では箸休めとなって、口の中の疲れを緩和してくれた。

海苔は提供時から器の口縁に張り付いており、剥がすのに苦労するほどだった。ようやく剥がした海苔に食感はなく、香りも乏しく存在感をアピールできていない。

薬味には、白ネギの芯と青ネギの葉先や玉ねぎまでもが添えてあり、いずれにも手仕事感が出ていた。切り損じて蛇腹になった青ネギも、ご愛嬌といったところだ。それぞれの薬味が辛味や甘味、彩りといった各所で持ち味を見せていた。

序盤から可能な限りスープを麺に絡めないようにして食べ進めたが、麺を平らげる前に味覚の方が白旗を上げてしまった。麺の印象が良かっただけに残念に思いながら箸とレンゲを置いてしまった。

こちらのオープンが話題となって3週間が経ってしまったが、お目当てのラーメンに出会えた事だけは嬉しく思いながら店を後にした一杯でした。

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「味玉煮干中華そば ¥950」@煮干中華蕎麦 舞〜Mau〜の写真平日 晴天 13:05 先客7名 後客6名

〝ニューオープン 探検記〟

最近お気に入りである錦糸町のサウナに前泊してからの新店めぐりを思いついた。RDBの新店情報で見つけたこちらは、お隣は埼玉県の中でも行った事のない吉川市で産声を上げた新店だ。

埼玉県南部を横断する武蔵野線の吉川駅が最寄り駅で自宅からではアクセスが困難なので前乗りの宿泊施設を探していると、武蔵野線を使わずとも辿り着けるルートが挙がってきた。それは越谷駅を経由するルートだったので、地下鉄半蔵門線の駅を持つ錦糸町に宿泊先の白羽の矢が立ったのだ。

となれば、蒸し風呂密集地帯である錦糸町の中でも利用頻度が多くなっているサウナへと向かう事にした。駅から少し離れた繁華街にあるサウナだが、お気に入りの理由の一つにチェックアウトが昼の12時と遅い事が挙げられる。通常のサウナは10時チェックアウトがほとんどだが、こちらは朝風呂ならぬ昼風呂の背徳感を味わえる点が最大の魅力である。予約客限定の焼鮭朝食を楽しんだ後の世間の喧騒とは無縁の昼風呂を、ゆっくりと楽しんでいる時の浮世離れした感覚は他では味わえない恍惚の時間だ。

サウナの詳細は前回の「房州館山 にぼし味らーめん めん楽亭」のレビューに記しているので割愛するが、今回の新たな発見だけは書き残しておきたい。昼前までサウナを含めた大浴場を楽しんた後は脱衣所にて館内着に着替えをするのだが、鍵付きロッカーではなく棚が設けられただけの銭湯スタイルの脱衣所なのだ。他の入浴客の着替えと間違えないように棚には工夫が凝らしてあり、棚には覚えやすいように番号ではなく都道府県名が割り当てられているのだ。全部で54個ある棚なので47都道府県をすべて振り分けても余りがあるはずなのに、不思議な事に無い都道府県名がいくつもあるのだ。北は北海道から順調に配列されているかと思いきや、都道府県名ではない札幌や仙台の棚が現れた。54個の棚なので苦肉の策だと思っていたが木更津や松本や博多までも登場してきて、さらには丸の内の棚までもが存在していたのだ。南国の九州地方の順番になると案の定、都道府県名の無い地方が現れてきた。熊本 宮崎 鹿児島の名前は確認する事が出来なかったのに、なぜに丸の内の棚があるのか疑問で仕方なかった。

そんなモヤモヤを抱えながら新店めぐりの為に錦糸町を出発した。東武スカイツリーライン直通の半蔵門線錦糸町駅から南栗橋行きにて40分で越谷駅に着くと、東口から出ている朝日バスの吉川駅北口行きに乗車すると25分ほどで最寄りの保第二公園バス亭までやって来た。そこからは3分も歩くと非常に珍しい一文字だけの地名〝保(ほ)〟にある交差点の脇にある〝煮干中華蕎麦〟と書かれた白い看板を見つけた。店先には開店祝いの花が並んでいたので、すぐにそこが店だと分かった。

昼時を過ぎていたので行列はなく店内にひと席だけ空席があるのをガラス窓越しに確認すると、さっそく扉を開けて店内に。入口右手に設置された券売機の中のヘッドライナーは当然ながら〝煮干そば〟が飾っているが、その隣には〝煮干中華そば〟というイメージ的には煮干感の弱そうなボタンを見つけたので好物の味玉入りのボタンを発券してカウンターに腰を下ろした。

新店舗らしい真新しい店内をカウンター越しに見渡すと、商品の説明書きの貼り紙が店内の壁に貼ってあった。するとそこには私のオーダーした〝煮干中華そば〟の方が〝煮干そば〟よりも少し濃厚となっていて、ニボ耐性の弱い私は勝手な憶測で判断してしまった事を悔やんだ。さらにはより濃厚な〝煮干そば極〟なるメニューもあったので、それよりは淡麗そうなので良かったと自分に言い聞かせた。本日の客層は若い方が、多く私が瞬間最高年齢を記録したようだ。白を基調とした清潔感のある店内は郊外の立地を活かした広々とした造りとなっていて、テーブル席は無いが中待ちスペースも設けてある。そんな店内を本日はお二人で切り盛りせれていて、ピカピカの厨房内で黙々と調理を進めている。厨房内からあふれてくる煮干しの香りに包まれながら待っていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は受け皿に乗った白磁の切立オシャレ鉢の中で、よく見かける景色ではあるが器の口縁にカエシなどの飛散が見られない丁寧な盛り付けを見せている。煮干系としては非常に好印象な初対麺で、店主さんの仕事ぶりが詰まっていると感じながらレンゲを手にした。

まずは煤竹色のスープをひとくち。その液面が鶏と煮干しのスープである事を物語っていて、鶏由来の油膜と煮干し由来の水泡が見られる。先客のご夫妻が〝煮干そば〟と〝煮干中華そば〟の食べ比べをしていたので何気なく見比べてみると、色調としては〝煮干そば〟の方が明らかに濃く濁った色をしていた。味の感想も「全然違うね」との事だが、何がどう違うのかまでは聞き取れなかった。ヴィジュアル的にはセメント系とは見えない表層にレンゲを沈めてみると、やはり濃度の強さをレンゲを持つ指先には感じない。表層の油膜の下にはサラリとした印象のスープが潜んでいて、淀みなくレンゲの中に収まってくる。そんなスープを口に含むと、苦味が最優先ではあるが旨みもしっかり基礎を築いている。煮干出汁の旨みも感じられるが、やはり主体となってあるのは鶏出汁だ。そこに煮干特有の香味が重なる事でバランスのとれたスープとなっている。初動では強く感じた苦味も時とともに和らいで、後味の良い良質な苦味だった。

続いて麺上げまでジャスト45秒の中細ストレート麺を持ち上げるが、こちらの割箸は長めの七寸箸なので箸さばきが楽でとても持ちやすい。他店では経費の都合上で安価な六寸箸が主流となっているが、持ちやすさを重視した長めの割り箸を採用している店主さんの客目線の思いやりが素晴らしい。箸さばき良く持ち上げられた箸先には、煮干系には定石の身軽い手応えが伝わってきた。悪く言えば〝またおま系〟と認識しながら一気に麺をすすり上げると、予想外の密度の濃いグルテン質が唇を通過していった。切刃の角が残るシャープさの中にも、みっちりと重厚感のある舌触りに驚いた。そんなキレと図太さを持ち合わせた麺を噛みつぶすと、よくある粉っぽい歯切れはなく、もっちりとしたハリとコシが咀嚼行為を喜びに変えてくれる。先程まで〝またおま系〟かと思ってしまった自身の先入観を恥ずかしく感じた。麺上げ工程を見ていても〝煮干そば〟にも同じ麺が使用されているようなので、この麺と煮干しスープとの相性も大いに気になった。高加水麺ではないが、これだけ水分が含まれている麺ならば、ある程度の時間ならばダレる事はなさそうなので具材を楽しんでみた。

具材のチャーシューには豚肩ロースの低温調理が厚切りで二枚も添えてあり、見た目にも発色の鮮やかなロゼ色がまずは目を惹く。今回は豚肩ロースの中でも脂身の多い部位が切り分けられてあり、スジの多さを予想しながら口に運んだ。レアチャーシューなれど過剰な生っぽさを感じさせない低温調理を熟知された仕上がりではあったが、やはり懸念されたスジ切りの甘さが露呈していた。しっとりと柔らかな赤身に対して、脂身をつなぐスジが噛み切れず口の中に残ってしまう。下味のソミュール液などの赤身の仕上がりが良いだけに余計に歯切れの悪さが際立つ事で、結果として残念な印象が優位に立ってしまった。

追加した味玉も私の〝味玉論〟からは外れた仕上がりが残念だった。冷蔵庫から取り出されたばかりのような冷たさが残り、温め直しなどの一手間がなく熱いスープの中では異物感を生んでいる。漬けダレの浸透も白身の表面だけには色づいているが、黄身には全く届いておらず好みの熟成度は皆無。リッチな黄身の色を残してあり半熟ゆで卵としては満点ではあるが、味玉を名乗るには漬けダレの浸透圧の効果は出ていなかった。

口縁に添えられた十字4切の大判な海苔は硬めの強い食感ではあるが、磯の香りを存分に楽しめた。海苔自体の質の良さもあるだろが、保存状態の良さがあればこそ為せる香り高さと感心した。

薬味の玉ねぎアッシェは敢えて辛味を残したタイプとなっていて、フードプロセッサーなどの文明の力に頼らずに丁寧な手切り感を味わえる。手切りならではの切り口の滑らかな舌触りが、強烈なはずの玉ねぎ本来の辛味を幾分か和らげているようにも思える。そんな薬味ひとつにも強いこだわりを感じられた。

中盤以降は煮干しの持つ苦味にも慣れてきたので箸の勢いは止まる事を知らず、気がつけばチャーシューのスジ以外は平らげていた。初動では感じなかった酸味が後味をサッパリとしてくれたのは鰹節由来の酸味なのだろうか。そんな細部まで綿密に計算されたバランスの良いスープと食べ応え満点の麺だっただけに、具材の仕上がりが残念で仕方なく箸とレンゲを置いた。

帰りのバスまでは時間があったので吉川駅まで歩いて向かう事にしたが、次回は味玉抜きの煮干そばに挑戦して、チャーシューの切り分け部位が赤身中心である事を願って再訪したみたいと思った一杯でした。

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「味玉煮干しそば ¥900」@中華そば TORICOの写真平日 雨天 14:25 先客4名 後客なし

〝ニューオープン 探検記〟

本日の荻窪拠点の新店めぐりも、小雨の中を無事に一食目を食べ終えてアジトである荻窪駅近くのホテルに戻ってきた。15時チェックアウトの利点を活かして、大浴場で汗を流しながら胃袋の空き容量の回復を促す作戦だ。

誰もいない大浴場で真っ昼間から贅沢な時間を過ごすと館内のバーに寄って、生ビールとはいかないがコーヒーを飲みながら連食先の下調べをしておく。RDBのお店情報によるとオープンして20日ほど経っているようで、店名には見覚えがあるのを思い出した。それは数ヶ月前に下井草にオープンしたラーメン店と冠は違ったが店名の〝TORICO〟は全く同じなのだ。何らかの関係があるのではと確認の意味も含めて初訪問を試みた。

前食から2時間半もすると胃袋にも余裕が出てきたので、まだ小雨のやまない空を憎みながらホテルをチェックアウトした。午前中に利用した北口バス停とは反対の南口から出発するバスに乗るために、少し分かりづらい荻窪電話局バス停に向かった。駅の出口から離れているので迷いながらも関東バス 荻58系統 北野行きに乗車すると30分で最寄りの千歳烏山駅バス停に着いたが、やはりバスの縦軸へのアクセスの利便性の良さを実感する

そこからは歩いて千歳烏山駅をまたぐように南口の方へ進んで行くと、赤レンガ調の飲食ビルの一階に白提灯と白暖簾が掛かったコチラを見つけた。白提灯には屋号の他に「煮干し」と大きく書かれているので、店のイチオシは煮干し系と思いながら真新しい暖簾をくぐった。

店内に入ると入口右手に設置された券売機から本日のお題を品定めするが、左上段を飾るのは予想していた煮干し系ではなく醤油系の特製中華そばとなっている。いつもならばマイスタンダードの醤油系を選ぶのだが何故か提灯の煮干しの文字が気になったのと、煮干しのボタンには淡麗との説明書きがあるのを見てボタン設定では三番手に当たる表題のボタンを押した。もちろん今回は忘れる事なく味玉も追加発券して、カウンターに腰を下ろして店内を見渡してみる。

アンティーク調の白木がオシャレに映る今風の店内を、本日は若い男性お二人で回している。カウンターと二人掛けの小さなテーブルが設けられたこじんまりとした店内たが、しっかりと中待ちイスも置かれている。本日の客層は近くの学校の高校生男女四人組が部活帰りのようで、つけ麺を楽しそうに食べている。そんな若者たちの姿をうらやましく思いながら待っていると、着席して7分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の切立丼の中で〝またおま〟と〝不信感〟が入り混じった表情をしているので、思っていたものと全く違って見えた。最初に思ったのはオーダーミスではないかと思ってしまう程に、煮干し系を注文したはずが巷で流行りの〝鶏と水系〟に見えてしまった。さらには鮮明に個性を主張する具材がピンク色のナルトで、見た目のインパクト狙いだけならば必要のないナルトをティッシュに包んで回避させた。この時点で下井草の同店名のラーメン店とは無関係だろうと思えるくらいにビジュアル的には大きく違っていた。見た目は鶏と水系だが鼻先に届く香りは煮干しなので、オーダーミスではないと確信してレンゲを手にした。

まずは赤錆色のスープをひとくち。券売機の説明通りに淡麗のに文字がフィットする液面には、わずかな煮干し由来の水泡とマーブル模様の香味油が浮かんで見える。煮干し系の中でも透明感のあるスープにレンゲを沈めると、レンゲを持つ指先に係る抵抗が少なくスープが注がれてきた。

来店前は屋号の〝TORICO〟から鶏出汁のラーメンを予想して来たが店頭の提灯に書かれた煮干しの文字に惑わされ、目の前に現れたラーメンの姿に再び鶏と水系を思わされた。しかし実際の香りとしては煮干し系を認めざるを得ない現実が待っているという、二転三転する事実をようやく飲み込んでからスープを口に含んだ。唇に伝わったきたのはスープの熱さは別にして、最初に味覚として感じたのは〝旨み〟ではなく〝苦み〟だった。それはスープからと言うよりは香味油から感じられた苦みのように思われ、低温抽出された煮干オイルだろうか。しかし苦みと言っても不必要なエグ味は含んでおらず、キレの良い苦みだった。カウンターの後ろには産地の異なる煮干しの箱が積まれてあり、卓上のウンチクには〝動物系不使用〟となっているので煮干しを軸とした魚介オンリーなスープと思われる。広島産や長崎産を中心にした煮干しの仕入れルートの中に、長崎県の小佐々産のアジ干しの箱も見られた。煮干し一辺倒な味わいに思えないのはサッパリとしたアジ干しや、干し椎茸などの旨みも含まれているからだろう。そこに合わせるカエシも煮干しの塩分を考慮して、塩気が強く出過ぎないように計算されていると思った。アニマルオフでも深みのあるスープに麺の受け入れ態勢が整ったところでレンゲを箸に持ち替えた。

麺上げまで実質45秒と思われる麺を引き上げてみると、店内に積まれたお馴染みの黄色い製麺所だと分かる中細ストレート麺が現れた。切刃のエッジが立った麺肌は黄色みの中に全粒粉のフスマが見え、スープの中でも独特の色彩を放っている。箸先には低加水の軽やかな感覚が伝わってきて凛としたハリを感じる麺質となっているが、多少のパサつきが懸念されるタイプの麺にも思えた。そんな身軽い麺を一気にすすり込むと軽快な口当たりではあるが粉々しい感覚はなくパサついた印象も残さずに、切刃のシャープさだけを感じさせながら滑り込んできた。ハリはあるが決して硬茹でとは違う、初動にアジャストさせた茹で加減となっている。かと言って麺がすぐにダレそうではない芯の強さも持っており、中盤以降の麺質の変化が楽しみに思える良い印象から始まった。微かにだけ感じる麺肌の凹凸がスープを持ち上げてくるのでスープとの一体感もあり、すすり上げる度に煮干しの軽やかな苦味も寄り添ってくる。適度な弾力を生んだ麺を噛みつぶせば、小麦の甘みとスープの塩気が二重奏を織り成しながら喉の奥へと消えていく。

具材のチャーシューは豚肩ロースの低温調理が薄切りながら大判で二枚も盛り付けられていて、レアチャーシューらしい美しいロゼ色を発している。今や全国区となった低温調理のチャーシューで一番心配なのは、調理温度や加熱時間が足りずに半ナマ状態で提供される事だ。そんな心配をしながら口に含んでみると、見た目には脂身とスジが多く入っていたが硬さはなく薄切りの効果が出ている。下味のソミュール液の浸透も適度で旨みも乗っているが、食べ応えとしては物足りなさを感じてしまった。こればかりは薄切りチャーシューに求めてはいけないだろうが、硬さはないが歯応えは楽しめれば申し分ないと勝手気ままなワガママを思ってしまった。

しかし追加した味玉には新たな発見があり驚かされた。それは今までは黄身にばかりフィーチャーしてしまっていたが、今回は白身に注目してしまう味玉に出会った。アンバーカラーなパッと見には白身に移った醤油の色素の濃さからは醤油感を押し出した味玉かと思ったが、食べてみると出汁の含みが目を見張る。漬けダレには醤油よりも昆布出汁が効いており、塩気よりも旨みの方が優っている。それでいて白身本来の持つ旨みも残してある仕上がりには、他では味わえない美味しさを知った。もちろん黄身のゲル化も適度でネットリとした甘みが出ているが、やはり主役は黄身ではなく白身だと初めて思った味玉だった。

今やレアチャーシューとのコンビ化が定番となった穂先メンマも優しい味付けと軽い食感で脇役に徹しているが、柔らかすぎるとも感じるくらいに下処理がされていた。穂先が柔らかなのは良いが、茎の部分にはもう少し歯応えがあった方が歯切れの良さを生んでくれると思った。

薬味の玉ねぎアッシェは切り口がみずみずしくて果物のような潤いがあり、甘みと辛みの両面を持ち合わせた味わいがアクセントとなってくれた。また適度な歯触りや食感も心地よく、ここでも煮干し系との相性の良さを十分に発揮していた。それに反して青み役の三つ葉は葉先の部分だけを添えてあるが、かなりの分量なのでスープに香りが移り過ぎてサポート以上に邪魔をしているように感じてしまった。

中盤からもスープと麺の一体感は増してきて、少しばかり肥えた麺質がグルテンの弾力を増していた。この頃には初見で感じた麺肌の凹凸も膨れて丸みのある滑らかな口当たりに変化していた。もともとニボ耐性の弱い私にでも受け入れらるスープと相性抜群の麺との組み合わせに感謝しながら平らげて箸とレンゲを置いた。

同じ麺を使用しているか分からないが、次回は基本の醤油系も食べてみたいと思いながら店を後にした。後客こそ来なかったが、遠くから足を運ぶと言うよりは地元に根付いた店になりそうな気がした一杯でした。

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「牡蠣煮干蕎麦 ¥840+味玉 ¥100」@中華そば 先崎の写真平日 晴天 10:50 店内満席 先待ち5名 後待ち10名

〝麺遊空間いばらき 二泊三日ラーメンめぐり〟

急遽、舞い込んできた水戸嬢との食事同伴のために本日は矢継ぎ早に水戸めぐりをしている。先程は早い時間から営業している「ふる川」にて一食目を終わらせると、すぐにこちらに向かうバス停へと急いだ。

少し離れた県庁バスターミナルバス停まで10分以上かけて歩いて向かうと、東部工業団地行きに乗車して10分ほどで最寄りの緑岡中学校入口バス停に着いた。そこからは歩いてもすぐに店先が見えてきたが、定刻10分前の現着になったので並びが発生していた。慌てて最後尾に続いたのだが、すでに白のれんが掛かっており店頭に貼られた案内には10時オープンとなっていた。お店情報よりも1時間も早い開店時間だったようで結果的には外待ち待機という事で外待ち専用の4つの丸椅子は逃したが、大型扇風機の風を受けながら順番が来るのを待った。

それでも来店のタイミングが良かったのか続々と食事を終えた先客が退店していくと、スタッフさんに食券の事前購入の案内を受けて店内の券売機の前に立った。昨日の「麺や 虎徹」でのシジミを使ったラーメンの好印象が後を引いていたので、普段はあまり選ぶ事のない牡蠣を使ったラーメンと味玉を発券して再び行列に戻った。そこからも順調に行列が進んでいくと10分足らずで入店となり、一人客なのに優雅にも二名席のテーブルへと案内された。

テーブル席からでは調理工程が眺められないのが残念だったが、何気なく店内を見渡してみる。和装な外観とは異なり洋テイストのある店内を、本日は三人体制で回している。清潔感のある調理場内では手際の良さそうなオペレーションから次々とラーメンが仕上がっている。直接その様子を見たかったが手元が全く見えないので想像力を働かせながらメニュー名から推測して、ある程度のハード系を覚悟して待っていると着席して4分で我が杯が到着した。

その姿は背の高い白磁の高台丼の中で想像を遥かに超えた景色を見せつけてきた。それはいわゆるカプチーノ系のスタイルなのだが、以前に九州遠征で出会った豚骨カプチーノ系では二度と豚骨ラーメンが食べられなくなりそうな苦い思い出が残っている悪いイメージしかない。そんな記憶を思い出させる表情に気後れしながらレンゲを手にした。

まずは灰梅色のスープをひとくち。とても極細やかに泡立てられた水泡が液面を覆い隠しているスープにレンゲをそっと沈めると、破れた水泡の隙間には鶯色の液体が初めて姿を見せてくれた。その色調は煮干し由来の銀皮がキラキラとか輝いているが、濁ったといった感じのスープではない。それはレンゲを介した指先の感覚からも伝わってきて、濃度といった点では軽やかな印象だ。いざスープを口に含むと温度を低めに設定しているのだろうか、かなりぬるく感じる。その温度のおかげで旨みを感じるセンサーは機能しやすくなってはいるが、好みとしては熱々とは言わないまでも少し高めの方が良かった。その感じやすい旨みの主導権を握っているのは牡蠣由来のコハク酸の香味で、煮干しよりも旨みは強く引き出されている。フレッシュというよりは奥深い旨みなので牡蠣干しを使われているのだろうか。煮干しと牡蠣を使ったキレのある魚介系だけでなく動物系のコクも出ているので、スープに奥行きと幅が立体的に表現されている。初動での塩分濃度は最適に思われるのでカエシは控えめだとは思うが、牡蠣からの塩気が後半になってどう影響してくるか少し心配に思われる。個性的なスープは派手な見た目のインパクト重視かと思われたが、味わってみるとバランスの良い計算された仕上がりに思えた。

そんなオリジナリティのあるスープに合わせる麺は、煮干系には定番と思われる低加水のストレート細麺を採用されている。持ち上げた箸先からは硬めでゴワつきすら感じ、ハリの強さを主張している。スープを寄せつけそうにない乾いた麺肌だが、カプチーノ状のスープの水泡が麺に寄り添っているので一体感は生まれている。そんな麺を一気すすり込むと、エッジの効いた鋭い口当たりが唇を刺激しながら飛び込んできた。低加水ならではの軽やかな舌触りを感じながら麺に歯を立てると、ザクッとした歯切れで応えてくれる。ただ好みとは違った特異な麺質なので残念ではあるが、やはりこのタイプのスープとはベストの組み合わせなのだろうか。

具材のチャーシューには鶏と豚の二種類が盛り付けてあった。先に鶏ムネ肉のレアチャーシューの方から食べてみると、しっとりと柔らかい食感ながら半ナマではない低温調理のお手本と言うべき温度管理と加熱時間が守られている。そこに薫香を加える事で特徴のあるスープに負けないスモーク仕立てとなっている。その香りが強烈ではないので、全体のバランスを壊す事なく適度な個性を主張しているチャーシューだ。一方の豚肩ロースも低温調理となっていて、美しいロゼ発色を見せている。厚切りとは言えないまでも食べ応えも意識して、厚みを持たせてスライスされてある。味わいとしては豚肉本来の質の高さもさることながら、下味のソミュール液がしっかりと赤身にまで浸透しているので抜群の美味さを引き出している。これぞレアチャーシューといった素晴らしい仕上がりとなっていた。

興味本位で追加した味玉だったが、提供温度の低さ以外は納得の出来栄えだった。下茹で加減も良く、半熟の黄身の適度な熟成が生み出したネットリとした舌触りもある。また漬けダレには独特の風味があり、今まで味わった事のない香りか潜んでいる。それが何なのかを確かめたかったのだが、確証が持てないままに食べ切ってしまった。

薬味は水泡に隠れているが赤玉ねぎがアッシェ状にて添えられてあり、かなり大胆に刻まれているので一片が持つ食感と辛味を強く感じられる。繊細とは真逆ではあるが、これくらいの刺激がないと個性的なスープの中では薬味としての存在感が薄れてしまうのかもしれないと思った。

麺を食べ進めていくごとにスープに浮かんだ水泡が姿を消していき、中盤からは純粋なスープと麺の組み合わせを楽しめるようになった。その頃になるとハリやコシが多少弱まってきた麺になっていたので、スープの旨みを取り込み始めていた。その旨みには塩気も多く含まれているので終盤になると、若干の舌の疲れも感じ始めた。

最終的にはスープは飲み干せなかったが、食事中にホールスタッフさんが和え玉の追加の有無を尋ねに来た。店内には現金にて追加可能となっているバラエティに富んだ和え玉メニューが書かれてあるので、和え玉で完結するようなスープの塩気にされているのだろうか。残念ながら和え玉を必要としない私には、初動で懸念された若干の塩分過多な印象で幕を下ろした。

本来ならば苦手なタイプのラーメンのはずが、不思議な爽快感も感じながら席を立った。今回の出会いで、貝類を謳ったラーメンへのイメージが少し変わったかもしれない一杯となった。

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「味玉煮干しらーめん ¥880」@煮干しらーめん 紫乱の写真土曜日 小雨 11:10 先待ち2名 後待ち12名

〝ニューオープン パトロール〟

本日はオープン二日目の新店情報を見つけて初訪問を試みる。

昨晩は一週間ぶりに自宅のベッドで眠りに就いた。やはりホテルのベッドよりも格段に落ち着きはするが、残念ながら我が家にはサウナも大浴場もなく身体が整わないのだ。年間200日はサウナを愛する私なりの〝サ道〟を極めるために修行に勤しんでいる日々を、この何年間か続けている。

そんな私に新たな修行の道が突然として開けたのがラーメンとの出会いで、我ながらの〝ラ道〟を精進している最中でもある。そんな日々〝サ道〟と〝ラ道〟と時々〝キャ道〟を積み重ねている怠惰ながらも充実した毎日を送っている。そんな私の〝ラ道〟をサポートしてくれるのがRDBの新店情報で、昨晩は上大岡でのコチラのオープンを知った。お店情報では営業時間こそ掲載されているが、メニューなどの詳細は一切ない。多少の不安はあるが屋号を見る限りでは、最も苦手なJ系ではないと思えるので初訪問を決意したのだ。

唯一の情報でもある11時半開店前の現着を狙って、東横線と京急線を乗り継いで向かう事にした。運良く東横線は特急電車で、京急線は快速特急と乗車時間にすると30分ほどで最寄りの上大岡駅に着いた。最近も新店めぐりで降り立った駅だけに、不思議と慣れ親しんだ感じがする景色だ。

駅を出て目の前の鎌倉街道を鎌倉方面に5分も歩くと、店頭に開店祝いの花が並んだコチラを大通り沿いに見つけた。乗り継ぎが良かったので勇み足気味に定刻の25分も前に着いてしまったので、さすがに行列はないかと思ったが小雨の中でも二名の並びがあった。慌てて三番手をキープして雨を避ける軒下もない店先にて待機開始となった。

駅前ではないが交通量や歩行者も多い交差点の角地なので、突然の行列の発生に地元の通行人たちの不思議そうな視線が突き刺さる。しかしこの並びが最も効果的な宣伝になる事も分かっているので、しばしの時間を我慢してオープンを待った。店先には煮干しの香りが漏れてきているので、並んでいる間に少しでも自身のニボ耐性を上げておこうと匂いを浴びた。定刻の5分前には並びも10名に増えていて、地元の方の視線をより強く感じてきた。そんな戒めのような状況下で並んでいると、ありがたくも2分早くオープンとなった。真っ黒な布地に白い布で屋号が刺繍された手作り感にあふれる暖簾が掛けられると入店の案内があった。

店内に入ると券売機は設置されてないので、店からの指示はなかったが先客に続いて左奥の席から詰めてカウンターに腰を下ろした。先頭の客人だけは壁沿いに一席だけ設けられた不思議な席に座ったが店内を見渡せない席なので、あの席でなくて良かったと密かに思っていた。着席後は卓上メニューを見て新店の全貌を初めて知ったのだが、変化球的なメニューも多くラインナップされていた。それならば最初は基本のメニューからと思い、好物の味玉だけを追加してホールスタッフさんにお願いした。

卓上のお冷を汲んでカウンター越しに店内を観察すると、かなりタイトな坪数の店内を最大限に活かした造作となっている。それが先程の離れ小島のような席にも表れていて、よくぞこのレイアウトを設計されたと感心してしまった。熱源のある厨房機器類は客席から一番離れた場所に設置されているので、空調もしっかりと機能していて客席は涼しく居心地も良い。白っぽい木材と茶色を基調とした店内を本日は三人体制を敷いているが、開店特需を予想して案内係の人員も含まれている。その起用が当てはまり、客人をスムーズに誘導が出来ているように見えた。店内が満席になった所で全員分の食券を回収すると、各々のトッピングなどを確認しながら調理工程を組み立てている様子は作戦会議さながらだ。調理を担当する二人の打ち合わせが終わり、万全の準備が整うと第1ロットの調理が始まった。驚く事にワンロット1杯だけの渾身丁寧なオペレーションに期待感を抱いて待っていると、着席して8分の 3rd ロットにて我が杯が到着した。

その姿は白磁の鳴門丼の中で、初対面ながらも知り合いのような表情を浮かべている。思い出そうとしても思い出せないが、どこかで見た事のある容姿なのだ。しかし煮干し系にはよくある風景なのかもしれないと記憶リサーチするのをやめてレンゲを手にした。

まずは国防色のスープをひとくち。緑がかった煮干し由来の水泡が見られるコワモテな液面にレンゲを沈めると、店内に満ちた香りをさらに濃縮させたような煮干し香が立ち昇ってきた。これで視覚と嗅覚からの煮干しへの認識が伝達された所で、いざスープを口に含んでみた。レンゲを介して伝わってきたのは、高めの粘度ではあるが覚悟していたほどの苦味やエグ味がない味わいだった。自身の経験値が少し上がったおかげかもしれないが、顔を背けるような苦手意識はなくなってきた。煮干しの旨みを余す所なく引き出したスープには、仕方ないのだろうが煮干しの持つ塩気もプラスされている。煮干しが不得手な理由は苦味ではなく、この塩分過多なのだと再認識した。しかしこの強気な塩気も麺との相性を考慮された塩梅なのだろうと、気持ちを切り替えて麺へと進んでみる。

麺上げまでジャスト45秒の中細ストレート麺を持ち上げると、想像していた軽い質量が箸先から伝わってくるがハリやコシを強くは訴えてこない。むしろ柔らかな印象すら箸を持つ指先に感じられて、濃厚煮干し系にありがちな麺質とは違って見える。そんな柔軟性を持ち合わせた中細麺を一気にすすり上げてみると、切刃の角を感じさせるシャープな口当たりではあるが過剰な鋭さではなく、濃厚煮干し系に合わせる麺にしては優しく滑らかなファーストタッチで滑り込んできた。口の中でも穏やかに咀嚼に応じてくれて、ポソポソした歯触りではなく弾力も少しだけ感じられる。30秒ほどで麺上げされそうなタイプの麺ではあるが、15秒ほど長めに茹でられた事で生み出されたグルテンの熱変性が新たなテクスチャーを感じさせてくれる。もちろん低加水麺らしいサッパリとした歯切れは残しているが、巷にあふれる濃厚煮干し系によくあるタイプの麺質とは明らかに違っていた。

具材のチャーシューは見た目にも色鮮やかな豚肩ロースの低温調理が大判で盛り付けてありワンロットごとの切り立てにこだわっている点は素晴らしいが、開店直後のせいもあったのだろうが冷蔵庫の冷たさが残っていた。もちろんレア感を楽しむ為の温度だと思うが、チャーシューの旨みを感じ取るには冷た過ぎる気がする。後にスープで加熱されてから食べたチャーシューには味付けの良さもあり、豚肉本来の旨みも残った食べ甲斐のあるチャーシューだった。

追加した味玉には下茹での丁寧さを欠いた仕上がりとなっていた。黄身が中心からズレてしまい噛んだ瞬間に白身の薄い部分を破って飛び出すと、スープに黄身が流れ出してしまった。しかも温め直させてないので全体に冷たく私には残念な味玉となった。

薬味の玉ねぎはアッシェよりもコンカッセに近い大きな切り口が特徴で、不揃いな食感がアクセントとなっている。あえて辛味を残した薬味となっていて刺激的ではあるが、ラーメン全体を引き締める役割も果たしていた。

中盤からは丼底に沈んだ濃いめのスープが強さを増してきたので完食する事はできずに箸とレンゲを置いたが、新たな煮干し系スープとの相性の良い麺を十分に楽しんだ。

券売機に慣れてしまっているので後会計を忘れないように済ませて店を後にする時に表の行列を見ると、女性客や休日という事で親子連れも多く並ばれているのが印象に残った。新店オープンの続く大岡山界隈で、地元客の期待の大きさを感じた一杯でした。

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「煮干しそば ¥780 +味玉 ランチ無料サービス」@らーめんキッチン かえでの写真平日 曇天 12:55 先客4名 後客1名

〝ニューオープン パトロール〟

本日は新店めぐりの連食計画のために群馬まで足を伸ばしてみた。今回の二店舗とも新店と言っても、どちらも前回の高崎めぐりで出会ったラーメン店と関係のある店ばかりなのだ。

午前中の一食目に訪れたのは高崎から渋川に移転されたばかりの店で、連食先のコチラは高崎市内の人気店の2号店となっていてオープンして二週間ほどのようだ。前回の高崎行脚は本店を皮切りにスタートしたのだが、その際に店内には2号店のオープンの告知がしてあったので存在自体は知ってはいたのだ。そこで本日は渋川での前食を終えると直ぐに渋川駅に戻ったのだが、次発の電車までは一時間以上もあったので別ルートを調べてみるとバスでの移動ルートが浮かんできた。

そのバスの時刻までも30分程あったのだが、長いバスの乗車時間を含めても高崎駅への到着がたった10分ではあるが早く着くようなのでバスルートを選択して連食先のコチラへと向かう事にした。11:57発までの30分を冷房の効いた駅構内のベンチに座って待っていた時に、執拗に流れる唄が耳に残ってしまった。それは「 ♪ ハラ出せヨイヨイ、ヘソ出せヨイヨイ」と繰り返される謎の唄なのだが、渋川市民の皆さんにはおなじみのフレーズなのかもしれないが妙に耳から離れずに東京に戻ってからも口ずさんでしまっている。そんな魔性のメロディを聴きながら待っているとバスの発車時刻が近づき、目の前のバス停に向かった。

定刻通りに高崎行きの関越バスに乗車すると、ほんのわずかな乗客だけを乗せて走り出した。途中のバス停からも乗ってくる人は少なく、終始バスの車内は運転手さんも含めて多くても三人といった感じで進んで行く。そんな穏やかなローカルバスで55分ほど揺られると、最寄りの連雀町バス停に着いた。途中のバス停が40ヶ所を超える数はあったと思うが、停車したのは時間合わせを含めても5ヶ所も無かった気がするくらいに平日の昼間は利用客の少ないバスだった。

バス停を降りて目の前の大きな連雀町交差点を左に曲がると、何故か見慣れた風景が飛び込んできたのだ。まさかの目指していた「らーめんキッチン いいづか」の2号店は、先ほど前食を食べた「らぁめん家 有坂」の跡地だったのだ。

移転前の「らぁめん家 有坂」訪問時には、あまりの隠れ家的な外観に前を素通りしてしまったのだ。しかし今回は店先には大きな日除け暖簾が飾られ店名も大きく書かれていたので、見過ごす事もなく直ぐにコチラが店だと分かった。その日除け暖簾の奥には以前と同じくガラス張りの調理場が見えて女性スタッフさんが麺上げされているのが見えたので、営業中だと確認して店内に入った。

入店して最初に驚いたのが店内の明るさだった。何も比較する事はないのだが、以前はロックテイストな男気あふれる雰囲気だったと記憶している。しかし今回は店内のレイアウトは変わってないと思うがライティングの照度をかなり上げている為、メタリックなカウンターの天板もシックな装いからポップな印象へと変わっている。インテリアのところどころに赤の差し色を使うなど、女性だけの二人体制で営まれている雰囲気に出来るだけ近づけた内装となっている。

券売機は設置されてないので空いていたカウンターに座り、卓上メニューから本日のお題を品定めする。数種類あるラインナップの中、変化球的なメニューも多いが初訪問なので直球の煮干しそばと味玉をオーダーして店内をさらに見てみる。

本店で見かけた女性スタッフさんが指揮をとっていて調理場のスペースは本店と比べると随分と手狭に感じると思われるが、そんな悪条件を全く感じさせず丁寧な調理工程と明るい接客で新規客の心をわしづかみにしているようだ。新店ながらも手馴れたオペレーションを眺めていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は胴が朱赤で口縁には雷紋柄のクラシカルな切立丼の中で、具材などの内容には変更はなさそうだがレイアウトを変えて盛り付けてある。昔ながらの器の中で整然と配置された美しさには女性らしさが感じられる。本店でも思ったのだが、この丁寧で美しい盛り付けが不得意ジャンルの煮干し系への警戒心を和らげてくれる。そんな初訪問での煮干し系への緊張感も薄れて、落ち着きを取り戻した所で赤いレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。液面の淵にはグループ店の代名詞とも言える魚粉が浮かんでいるのが見られ、煮干し系の一番の苦手要素のザラつきへの不安が再燃してきた。表層には一面に具材が盛り付けてあるのでチャーシューを押し込むようにレンゲを沈めてみると、思いのほか軽やかにスープがレンゲに注がれてきた。そんなレンゲを口元に近づけてみると、過度な煮干しを主張せずに美味しそうな香りが鼻先をくすぐった。見た目と香りでイメージが出来上がった所で、いざスープを口に含んでみる。先陣を切ってくるのは煮干しの旨みである事は間違いないが、必要以上の苦味などは排除されてインパクトよりも味わいに重きが置かれているようだ。スープが唇に触れた時に軽やかな粘りを感じたのが鶏由来のコラーゲンだと思う。旨みを支えているのが煮干しだけではなく鶏出汁も加わる事で、スープが単調にならずに深みと広がりを与えている。心配された魚粉のザラつきが全く無い訳ではないが、舌の上に残らないのが自家製魚粉ならではの特徴だろうか。相当メッシュの細やかな魚粉を仕込まれているのだと感じた。カエシも魚粉に含まれる塩分を計算されて低めの設定となっているため、トータルでジャストの塩梅となっていた。

続いて、こちらもグループ店の真骨頂でもある自家製麺は中細タイプの麺を本店から届けてもらっているようだ。麺上げまで70秒の自家製麺を持ち上げてみると、真っ直ぐとは言いづらい程度に緩やかにウェーブがかかっている。切刃の角も程よく残っているが、ふっくらとしたハリも見せる麺肌がいかにも美味そうである。たまらずに一気にすすり込んでみると、口当たりの時点でもっちり感が唇に伝わってきた。グルテンを豊富に蓄えた麺質ならではの噛み応えが、食欲を更に増加させるようなオリジナリティあふれる仕上がりは自家製麺ならではの食感だ。この奥歯を押し返すような食感がパスタに用いられるセモリナ粉を配合している理由なのかと思った。持論の〝餅は餅屋、麺は麺屋〟を否定してくれるような自家製麺に今回は出会ってしまった。

具材のチャーシューは豚バラの巻き式煮豚型の表面にバーナーで炙りを施して香ばしさを加えている。サイズ感も十分で赤身と脂身のバランスが良い部位が切り分けられてあり、煮汁の味付けも薄味ではあるが足りなさは感じさせない。食感も脂身は柔らかくても赤身はしっかりと歯応えも残してあり、派手な印象はないが食べ甲斐のあるチャーシューとなっていた。

追加した味玉は後会計の時に知ったのだが、ランチタイムは無料サービスとなっていたのだ。たしかに周囲の客人はライスや麺大盛りを食べている方が多かったので、それらもランチタイムの無料サービスだったようである。しかし独自の〝味玉論〟を持つ私に、いくらタダとは言えど容赦なく評価したい。などと息巻いていたが、味玉を頬張った途端に目尻は下がり口角は上がってしまうような出来栄えだった。それは漬けダレが見事に黄身まで浸透して完全にゲル化していながらも、卵本来の持つ白身の旨みも残っている。提供温度も温かくはなかったが常温程度までは戻してあったので、旨みを感じやすくなっていた。無料云々は関係なしに追加して良かったと思える味玉だった。

メンマはよく見るタイプの中細メンマが多めに盛り付けてあり、正直言って特筆すべき点が思い浮かばないのが特徴である。スープや麺に個性があるので、このメンマの普通さが食中を和やかなものにしてくれていた。全てが普通では物足りないが今回ばかりは〝普通が一番〟と思えるメンマだった。

薬味は青ねぎと玉ねぎの両者そろい踏みで添えられている。青ねぎの小口切りは見た目にも鮮やかな緑を与えてくれ、スープに清涼感を加えてくれる。玉ねぎアッシェは辛味を抜いてあり、果物のような甘みを発している。それは旬の梨を噛んでいるような、みずみずしい食感と甘さを放っていた。薬味の両者に共通するのは切り口の新鮮さだった。

序盤から濃度の低いスープだと思い食べ進んできたが、すすり上げる麺にはしっかりと魚粉が絡みついてくる。不思議に思っていたら終盤になって理由がようやく謎解けた。上層部こそ濃度の少ないスープだが、下層部の丼底には大量の魚粉が沈殿していたのだ。よって、見た目以上にスープの旨みを持ち上げていたのだった。さすがに丼底の溜まり部分を飲み干す事は出来なかったが、その魚粉の沈殿物だけを麺と絡めたら魚粉好きには堪らない逸品となる事を思い描きながらレンゲを置いた。

私にとっては本店よりもアクセスが良く、バスに乗らなくても来られる利便性は大変ありがたい。ただでさえハイクオリティなラーメン店が名を連ねる高崎に、またひとつ通いたくなるようなラーメン店が誕生してしまった。〝してしまった〟というのも日帰りでの高崎めぐりはもったいなく、次回はホテル代と高崎のネオン街での飲み代が加算される事が不安になってしまう一杯でした。

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「らぁめん 醤油 ¥790」@らぁめん家 有坂の写真平日 曇天 10:58 先待ち1名 後客なし

〝ニューオープン パトロール〟

高崎から渋川へと移転されたコチラへの初訪問を含めた連食計画を果たすために、本当ならば昨晩は前橋に前乗りして人生初の前橋ナイトを楽しむはずだったのだ。しかし都内での夜の会食が長引いてしまい高崎へ向かう最終の新幹線を逃してしまい、仕方なく上野の常宿にて朝を迎えた。

近々の十日間のうち五日はお世話になっている上野のサウナだが、もはや〝家なきオジさん〟のような生活を送っている毎日だ。言いかえれば、それだけ上野界隈や上野以北での新店ラッシュが続いているという事にもなる。今朝も快調に目覚めると朝サウナで身体と精神を整えると身支度をして、午前9時前にチェックアウトした。

少し前にRDBの新店情報の中に見つけたコチラの少ないお店情報によると、11時オープンとなっているので開店前の現着を狙って北陸新幹線に乗り込んだ。上野 9:10発 あさま605号 長野行きにて、一路高崎を目指した。濃紺の全自動リクライニングシートに身を沈めると、たった42分で高崎駅に着いた。高崎駅からは30分以上の乗り継ぎ待ちを経て、上越線 水上行きに乗車すると20分足らずで最寄りの渋川駅に着いた。

ここからは少し距離があるようだが、路線バスがちょうど出発したばかりで次発まで40分以上もあったので歩いて向かう事にした。駅前の黄色い看板のラーメン店には11時前に数名の行列があったので、渋川のラーメン需要の高さが心配になり早足で店を目指した。駅前の大通りを進み小さな川を越えると住宅街の中へとナビが示す通りに進んで行くと、少ないながらも飲食店が集中した場所へと出てきた。すると交差点の角に開店祝いの花が並んだ店先に看板が見え、入口の方へと回り込むと一名の外待ちが出来ていたので二番手をキープした。

まもなく定刻になったが、店先に駐車した軽トラックの横では座卓を修理している大工さんらしき人がいて慌ただしく作業している。店内も準備が整ってないのだろうかオープンにならずに定刻を過ぎた。2分程して中からスタッフさんが営業中の看板を持って出てくると、無事にオープンとなり入店となった。

店内には券売機はないのでカウンターに座り卓上メニューから本日のお題を決めるが、仕込みが間に合わなかったそうで品切れのメニューが多くあった。あとで twitterを確認すると、どうやら前日に配管トラブルで臨時休業されていたようだ。なので仕込みが追いつかずに慌ただしかったのだと知った。そんな前日の影響だと思うが、本日はスープの塩系と味玉が仕込めてないとの説明を受けたのでマイスタンダードの醤油にして、好物の味玉がないので泣く泣くトッピングは無しで口頭注文した。

わずか三席だけのカウンター越しに店内を見渡すと、小上がり席も設けてあるがしっかりと座卓が置かれてあるので修理中の座卓はどこのだろうかと不思議に思った。移転前よりも手狭になった店内には以前は見られた製麺機もなく、10種類以上も山積みにされていた煮干しの箱も半分以下に減っていた。もしかしたら二階などの別場所に製麺室を設けられたのであろうか。移転前の黒を基調としたBARのような内装と違って、客席には朱赤色の壁紙が貼られカウンター内の壁にはボトルキープ用のガラス棚があるので小料理屋のような雰囲気もある。そんな店内を本日は二人体制で回しているが、厨房内に二人が入るとかなり狭く感じられる。しかしトラブルの最中に本日は営業してくれた事に感謝しながら待っていると、着席して6分の 1st ロットにて我が杯が到着した。

その姿は白磁の小さな切立丼の中で移転前とは少し異なる景色を見せている。奇しくも移転前の最期のレビューが私だったようで写真を見比べてみたが、やはりいくつか変更された点が見受けられた。そこには新たな進化があるはずと期待を込めてレンゲを手にした。

まずは紅檜皮色のスープをひとくち。店内のライティングのせいもあるかもしれないが、以前よりも醤油の色素が強く出ている感じのする液面にレンゲを沈めてみた。レンゲのくぼみに注がれるスープに粘度はなくサラリとしている。煮干しが主体ではあるが必要以上の苦味やエグ味などを全く感じさせず、親しみやすい香りだけが立ち昇ってきた。ニボ耐性が弱い私でも安心して口に運べるスープだと確信して口に含むと、香り同様に煮干しの個性を押し付けてこない旨みを中心とした煮干しが主張している。その裏側には鰹節と思われるキレのある酸味が存在しているのとカエシの醤油ダレの酸味が相まって、旨みは濃いがさっばりとした印象も受ける。私の感覚だけかもしれないがスープの複雑みが薄くなった分、ダイレクトに魚介乾物の旨みを感じられるような気がした。

続いて麺を持ち上げてみると麺肌には溶け出したグルテンが半透明になっており、麺の中心部には密度の濃い色合いを残した二層構造になって見える。そこには切刃の角がハッキリと残った中細ストレート麺で、見るからにハリとツヤを感じられる麺質だ。持ち上げた箸先には適度な重みが伝わってくるので、加水率もそれほど低くはなさそうだ。すでに麺肌にはスープの醤油色素を吸い始めて色合いが変化している麺を一気にすすり込んでみると、切刃のエッジが唇にシャープな印象を残しながら口の中に滑り込んできた。軽やかでキレのある口当たりかと思えば舌の上では滑らかさも表現しているが、歯応えの面では少し力強さが失われたようにも感じた。柔らかな歯切れの中には奥歯を押し返すような弾力がないので、麺の仕様をいくらか変えられたのだろうか。麺上げまでもジャスト90秒と、茹で時間も以前よりも長くなっているように思ったが気のせいだろうか。提供時がこの麺ディションのピークに思えたので、麺がダレるのを嫌って先に食べ進める事にした。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が盛り付けられたいたが、こちらにも仕様の変更が見られた。移転前は豚バラの角ブロックで仕込まれて薄めに数枚カットされていたが、今回はミートネットで巻いて煮込まれた豚バラが厚みを持たせた大判のまま盛り付けてあった。味付けに大きな差はなかったが特筆すべきはチャーシューのジューシーさの違いである。本日分は赤身中心の豚バラが切り分けられていたが、大きなかたまり肉のまま煮込んであるので肉汁が抜け出す事なくしっかりと残っていた。それなので脂身が少ない部位にもかかわらず、しっとりと柔らかく仕上がっていた。そこに厚切りの食べ応えが加わり、バージョンアップしたチャーシューとなっていた。

また具材の一員としてタケノコの水煮の細切りが追加変更されていたが、細メンマならば良かったと勝手な好みを思ってしまった。それでもタケノコ特有の軽やかな食感は健在で、柔らかく感じた麺をサポートしてくれたのは間違いない。

薬味の白ネギは葉先の青い部分も刻まれているので、強い香りと粗々しい歯触りを残している。繊細な清湯スープには必要ない刺激かもだが、このスープにはこれくらいのワイルドなネギの方がしっかりしていると思えた。なので量の少なさが物足りなさを生んでしまっていたのが本音でもある。

序盤で一気に麺を平らげたがコシの強さを欠いていると感じながらの完食となり、味玉などの仕込み不足も重なって少しばかりモヤモヤの残る結果となってしまった。トラブル直後の来店となったようでイレギュラーが重なってしまったのかもしれないが、目の前のラーメンだけの採点としては少し低めになってしまった。

移転前よりもアクセスが大変になったが、設備やオペレーションが落ち着いた頃を見計らって再訪してみたいと思った。券売機の習慣に慣れてしまっているので、忘れぬように後会計を済ませて店を後にした。

計画している連食予定の為に急いで渋川駅まで戻ったが、タッチの差で高崎行きの電車が出てしまった後だった。次の電車までは何と一時間以上もあるので仕方なく駅の構内のベンチに座り時間を待つ事になった一杯でした。

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このレビューは移転前のものです。

「味玉らぁめん (醤油) ¥880」@らぁめん家 有坂の写真平日 晴天 13:25 先客1名 後客なし

〝上州高崎 一泊二日ラーメンめぐり〟

午前中に高崎遠征での四食目を終えると、もはや乗りなれた感のある群馬バスにて高崎駅まで戻ってきた。それは本日の連食先に選んでおいたコチラへと向かう為のワンクッションを置こうと思い、駅ビルのカフェにて時間を過ごした。

前食から二時間も経過すると、少し胃袋に余裕が出来たのを確認すると高崎駅からも歩いて行けるコチラを目指した。駅から5分も歩けば目的の店があるはずなのだが、一向に見つけられず迷ってしまった。それもそのはず、外観からはラーメン屋とは全く見えない店構えなのだ。怪しげな黒い外壁に暖簾や提灯などは勿論なく、何屋かすらも分からなかった。実際に二度も前を通り過ぎたのに気が付かなかったほどだ。

ようやく小さな看板を見つけ恐る恐る店内へと入ってみると、外観がラーメン屋と思えない理由がようやく理解できた。薄暗い店内はBARそのものでウイスキーなどのボトルが並んでいて営業時間が深夜までと遅いのも納得できた。券売機は設置されてないので卓上メニューから品定めをするが、迷わずに済むシンプルな構成だったのでマイスタンダードの醤油に味玉入りをお願いして店内を物色する。

黒とシルバーを基調とした店内にはBARらしくない要素がいくつもあった。それは店内に高く積まれた煮干しの箱と、チラッと見える製麺機である。その山積みにされた煮干しの箱だが、産地別で言うと千葉 長崎 八戸 島根 広島 熊本 香川などの同県内産を含めると総勢11種類の煮干し箱が積まれている。前調べ段階で煮干し系なのは承知していたが、かなりの煮干しへのこだわりを感じた。さらには全貌は明らかに見えないが品川麺機のマイティ50らしき製麺機も店の奥には鎮座しているので、自家製麺を期待しながら待っていると着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の切立丼の中でシンプルでシャープな景色を見せている。店内の煮干し箱とは合致する表情だが、BARのような内装とのギャップに驚く。最近では私も少しはニボ耐性がついてきたのか、味の想像が出来るようになってきた事に驚きながらレンゲを手にした。

まずは煎茶色のスープをひとくち。煮干し系としては濃度を強く感じさせない液面にレンゲを落としてみると、レンゲを持つ指先に係る抵抗の低さが苦手意識を和らげてくれる。レンゲに湛えたスープからも過剰な煮干しのクセを感じずに口に運ぶことが出来た。スープを口に含んでみると先陣を切ってくるのは煮干し主体の魚介系の香味ではあるが、明らかな鰹節由来のキレのある旨みと香味も帯同してくる。勝手に単一系の煮干しスープだと思っていたので、いい意味で裏切られた事をありがたく思った。そんな淡麗とも思える煮干しスープはカエシの塩気も抑えてあり、出汁を味わえるように作られていると感じる。そんな穏やかながらも旨みが活きたスープに合わせた麺を楽しんでみる。

調理場が全く見えないので定かではないが、麺上げまで45秒と思われる中細ストレート麺が液面から浮かび上がっている。店内に設置された製麺機や日清製粉の〝麺遊記〟の粉袋からも自家製麺で間違いないと思われるが、麺遊記の小麦粉で打たれた麺ならばタンパク質の多さを想像しながら箸で持ち上げてみる。箸先には鋭利な切刃のエッジが見られる中細ストレート麺の軽やかでシャープな麺肌が現れた。他に類を見ないタイプの半透明な麺肌からはオリジナリティを感じずにはいられず、麺を一気にすすってみる。するとBGMのない無音の静寂した店内に、ズズッというすする音だけが鳴り響いた。見た目そのままに切刃の角が鋭く唇を通り過ぎると、低加水ならではの粘りの少ない口当たりで飛び込んできた。しかし麺肌に浮かんだ透明感のあるグルテンが口当たりをサポートしてくれ、煮干し系では類を見ない滑らかさも同時に感じた。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が薄くスライれて四枚盛り付けてある。電動スライサーで切られたのかと思うほどに厚みが均一な四枚なので、贅沢を言うならば薄切りではなく厚切りの一枚で食べてみたいと思うほどに味付けが良かった。

追加した味玉の熟成具合は限りなく好みに近かったのだが提供温度の冷たさが、せっかくの濃度の高い黄身の旨みを失わせているように思えて残念だった。

薬味の白ネギの小口切りも葉先の部分が多く占めているので強い香りを放っているが、スープの中でも個性を発揮していた。ただ切り口が乾いてしまって舌触りの悪さも目立っていた。

中盤からは煮干しの香味に脳が慣れてきたのかイメージが随分と薄れてきた。それに反して強く感じてきたのが鰹節の香りと旨みで、煮干しよりもキレのある味わいが飽きさせる事なく箸の動きを進めてくれた。気が付けば麺と具材は完食していが、スープ単体で飲むには全ての要素が強すぎたのでレンゲを置いた。

新たな煮干し系ラーメンとの出会いを楽しんだ後に、高崎めぐりの最終日のラストラーメンを探そうと思っていたところに、まさかのサプライズが起きたのだ。それは昨夜の飲み屋で知り合って連絡先を交換した女の子からの今夜の同伴出勤の誘いだったのだ。

もちろん間髪入れずに承諾の旨を返答し、今後のすべての予定を急遽変更せざるを得ない一杯となりました。

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