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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.119点
最終レビュー日 2019年10月18日
662 553 14 2,119
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「タンメン (ニンニクなし) ¥790+ 味玉 ¥120」@タンメン ニュータマヤの写真平日 晴天 11:30 先客5名 後客4名

〝第38回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を開催する事を宣言する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去36戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」「◯心厨房」「家系総本山 吉村家」「自家製麺 くろ松」「麺処 いち林」「miso style となみ」「AFURI 恵比寿」「拉麺 時代遅れ」「あってりめんこうじ」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は37戦16勝11敗9分8KO勝ち1KO負け1没収試合と、スパコンのオススメに対しては勝利が先行している状況だ。

今回の名古屋遠征は自身のライフワークとしている〝ラ道〟〝サ道〟〝キャ道〟の全てを網羅する壮大なプランである。すでに初日には〝キャ道〟を満喫すると、名古屋の名物サウナをハシゴして今朝を迎えた。

ゆっくりと朝風呂を浴びてから11時前にチェックアウトすると、サウナのある繁華街の栄から市営基幹バスで最寄りの清水口バス停に着いた。そこからは大通り沿いを歩いて進み、遠くからでも見える「麺」とだけ書かれた突出看板が見えてきた。店先には並びが見えたので慌てて駆け寄ってみると、食後のタバコを吸っていた客で行列ではなかった。ガラスの扉越しに店内を見ると空席が多くあったので、慌てる事なく外観を眺めてから券売機の前へと進んだ。

正面の大看板には、白地に赤文字で屋号が書かれた強烈で大胆なインパクトがある。さらには「野菜摂取」と書かれた看板もあったりと、ユニークな出迎えをしてくれる。すでに店先には炒め野菜の甘い匂いが漂っており、食欲を刺激してくる。店外に設置されている券売機なので、店内からの視線を気にする事なく、じっくりと品定めができる。豊富なラインナップの中には野蛮そうなメニューもあるが、左上部を飾っている味玉入りの表題発券して扉を開けた。

店内に入ると大きな調理場を取り囲む、ヘキサゴンを割ったようなカウンターが印象的だ。テーブル席はないが二人体制で回すには、かなり広いカウンターの客席となっている。中待ちイスも置かれた、余白スペースも広い贅沢な店内の造りだ。カウンターに座り食券を手渡す際にカスタマイズを問われたので「ニンニクなし」だけ告げて、その他は普通でお願いした。

厨房内に目をやるとツーオペでも豊富なメニューに対応できるよう、計算されたレイアウトとなっている。麺上げや中華鍋を使ったスープ張りを担当するスタッフと、麻婆や唐揚げなどのトッピングを調理するスタッフが向き合うように設計された独特の厨房設備の配置を眺めているだけでもワクワクしてくる。店先にまで漏れてきていた炒め野菜の匂いが、より一層強く感じるようになってきた。高温に熱された中華鍋からの煙に包まれながら待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿はメラミン製の受け皿に乗せられた雷紋柄切立丼の中で、私のミスチョイスのせいで王道の〝タンメン〟とは違う景色になってしまった。それは味玉を追加してしまったのが原因で、いくら好物とはいえ、無闇やたらに追加すれば良いものではないと実感した。やはり数あるラーメンには、それぞれに見合った器や具材があるのだと再確認してレンゲを手にした。

まずは枯色のスープをひとくち。無料サービスの野菜増しにしなかったので、具材の余白に液面が見えている。そんなスープにレンゲを押し込んで見ると、黒いレンゲの中には対照的な乳白色のスープが注がれてきた。その様子は大量のラードを伴って、ゆったりながらも熱々の湯気を立ち昇らせている。かなりの高温スープをヤケドに注意しながらレンゲを唇に押し当てた。すると予想以上の熱さがレンゲを介して伝わってきたかと思うと、すぐに口の中に油膜が張り巡らされた。そこには炒めた野菜の甘みが移ったラードが、さらに甘みを増して感じられる。その甘みに隠れた非天然由来の旨味成分も感じられ、ひとくち目でスープ単体で味わう事を諦めた。ベースには四つ足系のコラーゲンを多く含んだスープがあるだけに、旨味の底上げが残念に思いながらレンゲを箸に持ち替えた。

麺には中細ちぢれ麺が採用されていて、12センチ程と短めに切り出しされている。持ち上げた箸先には黄色みと透明感を併せ持った麺肌が特徴的で、指先には加水率の高さが伝わってくる。そんな麺を一気にすすり上げると短めの持ち味を活かして、ひとすすりで大量の麺が飛び込んできた。滑らかな麺肌の上にラード油が潤滑油となって、すすり心地の良さをアピールしてくる。スープとの絡みも良いので野菜から溶け出した甘みが、すすり込む度に寄り添ってくる。口の中を跳ね回るような硬めに茹でられた麺を噛みつぶすと、密度の濃いグルテンが奥歯を押し返すような弾力がある。その跳ね返しに逆らうようにして麺を噛み切ると、そこからは小麦の甘みが、にじみ出てくるようで野菜の甘みとの共演となった。この麺ディションならば後半までダレそうにないので、野菜たちと合わせて楽しむ事にした。

具材の炒め野菜には、キャベツとモヤシを中心に、豚こま切れやニラとキクラゲが入っている。中でも強い拘りを感じたのがモヤシで、大抵ならばキロ単位の業務用を使うのが普通だが、空気に触れて劣化する事を避けて小袋入りのモヤシを使われていた。よってモヤシを中心とした炒め野菜の歯応えは抜群で食感は素晴らしいのだが、過剰な旨味が具材たちを汚染しているような気がした。

追加した味玉は、半熟の黄身が流れ出すくらいの下茹で加減でスープを汚してしまった。今まで味わった事のない酸味の効いた味付けで腐敗臭すら感じた。漬けダレに、お酢でも使っているのではないかと思ってしまう程だった。最終的には複雑な旨味に負けてレンゲを置いてしまった。

今回の採点は 60点台になってしまったので、スパコンとの対戦は私の判定勝ちとなった。これで通算対戦成績は38戦17勝11敗9分8KO勝ち1KO負け1没収試合となり、私の勝ち数が大きくリードしている。

過去の中京エリアのオススメ店は淡麗系が多く、スパコンのオススメ店への信頼性が高かっただけに今回のガッツリ系は残念な一杯となってしまった。

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「地魚塩らぁめん ¥680」@江ノ島らぁ麺 片瀬商店の写真日曜日 晴天 14:00 店内満席 外待ち1名 後客4名

〝ニューオープン 探検記〟

居ても立っても居られないとは、まさにこの事である。先程も神奈川 江ノ島にオープンした同新店に、遅ればせながら初訪問を果たしてきたとこなのだが、2時間もしないうちに店の前に戻って来てしまった。

さっきは大満足で店を出たあと、今夜の楽しみにしていた平塚のサウナへと向かう前に江ノ島散策を楽しんでいた。日曜日の中年おじさん一人には、とても似つかわしくないオシャレなカフェに飛び込んでコーヒーを飲んでいた。江ノ島から平塚までの移動手段などを調べながら、通りを歩く人や街並みを眺めていると、どうしても先程のラーメンが忘れられずに浮かんでくる。そう思うと不思議と前食から2時間も経っていないのに、老いたはずの胃袋が鳴るくらいに腹が減ってきた。ならば店に戻って食べれば良いのではないかと、単純明快な答えを出した。

こちらが通し営業との情報は先ほどリサーチしておいたので、午後2時を迎えようとしていたが慌てる事なく店に引き返した。さっきも通った道を進み店先に着くと、店頭に飾られた一枚板の看板が魚の形に見えてきた。もはや鮮魚中毒にでも冒されてしまったのだろうかと、昨日までの鮮魚系への苦手意識は消えて無くなっていた。昼時のピークは過ぎていたが、まだ店内は満席で外待ち二番手としてイスに座って待機する。

今回の客層は5歳の男の子を連れた家族づれがカウンターに座っており、取り分けのラーメンを美味しそうに食べている。小さな子供が席を一つ使う事にも嫌な顔ひとつ見せず、ゆっくりと食事が出来る環境を店側が作っている。この事が地元の家族客にも愛される理由のようで、前食時に感じたアットホームな雰囲気は見せかけではなく本物だった。決して誰も急かす事なく子供たちが食べ終えるのを待ってから私の順番となり、恥ずかしながら本日2度目の入店となった。

店内に入ると常に来客が続いている上に、印象の薄い私の再訪には、お二人とも気付いてないようで助かった。今回は窓側のカウンターに案内されたので、先程とは違う店内風景が楽しめた。白木調のカウンターの高台には様々な器が置かれてある中に、大相撲の優勝力士が祝い酒を飲む大きな盃のような器も用意されている。つけ麺用の器だと思われるが不思議な事に前回も今回も、つけ麺を食べている客が一人もいないので正確な情報ではない。そんな器をはじめ、店の至る所に遊び心があふれているのも特徴的だ。カウンター上の壁には魚の骨の絵が描かれてあったり、卓上メニューや店内ポップにも愛くるしい書体が使われてあったりする。さらには鮮魚をイメージさせるように、昔ながらの寿司屋で使われている魚字の湯呑み茶碗を箸立てとして代用している。まだまだ二度の来店では、全てのオモシロ要素を発見しきれないくらいに潜んでいそうだ。

そんな事を考えている間に、あらかじめ決めておいた前食の醤油系とは違う、塩系を追加なしでシンプルに口頭注文を済ませた。一心不乱にラーメン作りに集中している店主さんの背中に大きな信頼を感じながら待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は本日二度目の登場となる個性的な切立丼の中で、相変わらずの素朴な景色を見せている。追加トッピングをしてないせいもあるが、派手さや飾り気のない表情が落ち着きを与えてくれる。シンプルではあるが決して貧相なのではなく、あくまで少数精鋭といった感じの具材陣を盛り付けてある。いずれは再訪するだろうと思ってはいたが、こんなにも早く再会できた喜びを、抑えきれずにレンゲを手にしていた。

まずは陰りのある伽羅色のスープをひとくち。レンゲを沈めるまでは清湯スープに乳化した油膜が張っているのか、スープ自体が乳化しているのか判断しづらい初見には謎が多かった。先程の醤油系も半濁こそしていたが、それほどの乳化を感じなかったので見た目の印象が随分と違っていた。その真相を確かめるべく、スープに音を立てぬようにレンゲを忍ばせた。すると濃度の高さを知らしめるように、まったりとしながらレンゲの中に注がれてきた。その瞬間に思い出がフィードバックするように鮮魚由来の香りが漂ってきた。その香りは乾物系魚介には表現できない艶かしさを持っており、それでいて生臭さを感じさせない特殊な仕上がりを見せる。かつて嫌いだった鮮魚系のイメージを払拭してくれたのは、この生臭さがない事が大きく関係していると思った。すでに嫌いではなく好きなジャンルになっているスープを口に含むと、醤油系では感じなかった新たな香味が少し遅れて口の中に広がった。それはイナダ主体と思った出汁の中に、ハモ特有の香りが速攻で押し寄せてくるといった、バレーボールならば時間差 Aクイックのようだ。今回も熱々のスープなのは変わりなく、味覚が機能しづらいはずなのだが、それを超えた旨みの強さが攻め上がってくる。それには数年前に韓国のキョンドで食べた、ハモしゃぶのスープの旨みを思い出した。塩ダレにした事で、より鮮魚系の風味が濃く感じられるのかもしれないが、また違ったスープの味わいを楽しめた。醤油系を食べた時は薄味の〝ブリの煮付け〟を思い出したが、塩系の今回は濃厚な〝アラ汁〟を思い起こした。それはフュメドポワソンを濃縮させて濁らせたような強い旨みで、カエシが違うと味わいが明確かつ鮮烈に変わるものかと驚いた。さらに驚いたのは先ほど醤油系のレビューを書き終えたばかりなのに、塩系でも書きたい事が止まらない事だ。それくらいに簡単には表現しきれないような、とてつもない奥深さを持ったスープなのだ。

まるで初対面のように新たなスープの驚きに魅了されながら麺を引き上げてみると、今回もジャスト130秒で麺上げされた中細ストレート麺は、醤油系と同じ地元の外注麺を使用されている。固茹でとは違うが、強めに歯応えを残してある絶妙な茹で加減に、箸のスピードは衰えを知らない。今回も食べ応えのある麺質の中に感じられたのは、嚙みつぶした時に浮き出てくる小麦の甘さの違いだった。今回の塩系の方がカエシに熟成感がない分、塩気をダイレクトに感じるせいで麺の甘みが際立っていた。またスープの濃度が鶏白湯のような粘性を持っているので、麺との絡みが良く、スープの塩気と麺の甘さのコントラストが、すする思いを加速させる。もはや、歯止めが効かなくなってしまった食べ心地の良さの虜になっていた。

具材のチャーシューは豚ロースの低温調理で同じだが、かなり前回よりも厚手にカットされていた。スープが高温なので今回は初めからチャーシューを非難させておいたので加熱されずに、しっとりとした舌触りを楽しめた。やはり早めに食べて正解だったと思えるような、半ナマとは違うレアチャーシューの持ち味を引き出されていた。

メンマは醤油系の時と写真を見比べても分かるが、極太ではなく中太タイプが添えてあった。単なる偶然なので味わい自体には差がなく、今回も手仕事感のする甘みを利かせたメンマの味と食感を満喫できた。

薬味のネギに今回は、店主さんのラーメンに対する思いを感じられたような気がした。それはあくまで薬味は脇役として存在してしているだけで、派手な主張やアピールをせずにいる。その事が、ラーメンとはスープと麺を楽しむ事が大切で、薬味は出過ぎる事なくサポート役に徹していると思った。これは他の具材たちにも言える事で、あくまで主役はスープと麺と思わせる控え目のポジションをとっている。

今回も熱々のスープを最後の一滴まで飲み干す頃には、調理場内の熱気と闘う店主さんに負けないくらいに汗だくになっていた。私と同年代くらいの中年男性客がスタッフさん方に「本当に美味しかった、この辺りの飲食店は夜は早く閉める店が多いから助かるよ、また来るね」と言って出ていったが、確かに通し営業での22時半までは大変だろう。そんな 地元の声援を受けて、これからもお身体には気を付けながら地元客に愛され続けて欲しいと願う。

後会計を忘れずに済ませて店を後にしたが、これまた遠い場所に名店ができてしまったものだ。今までは限定メニューを避けて安定を求めてきたのだが、こちらは豊富な海の幸を有する相模湾で獲れた魚の種類で、その日のスープが変わるらしい。季節によって獲れる魚が違うばかりでなく、個体の大きさや脂のノリによって日々違ったスープになるはずだ。これは〝味ブレ〟ではなく〝味攻め〟と表現した方が正しいだろう。ラーメンに安定感を求める私も、こんな楽しみのある変化ならば大歓迎だ。

これからの季節は伊勢海老やノドグロなどの高級食材も水揚げされるが、本日も使われていたイナダも成長してブリとなって脂が増してくる。そんな中でも楽しみなのは、春先のわずかな時期にだけ獲れる佐島産の天然の生わかめだ。もしこの生わかめを店主さんがラーメンに活かすとしたらと想像しただけで喉が鳴った。そう思うと、江ノ島に住んでる方がうらやましすぎる。

もともと本物の魚の旨みを知っている方しか住んでいないと思われる場所で、正々堂々と魚介出汁で勝負されて、すでに人気となっているのが素晴らしい。前回の醤油系の方が個人的には好みだったので今回の採点は少し低めだが、苦手だった鮮魚系では異例の高スコアとなった。

これからようやく平塚の名物サウナに向かう事にしたが、久しぶりに誰かを誘って訪れたいと思える一杯でした。

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「柚子塩らーめん  (真空手揉麺) 淡麗 ¥1080」@AFURI 恵比寿の写真平日 曇天 13:45 先客12名 後客4名

〝第35回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を開催する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去34戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」「◯心厨房」「家系総本山 吉村家」「自家製麺 くろ松」「麺処 いち林」「miso style となみ」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は34戦15勝10敗8分8KO勝ち1KO負け1没収試合と、スパコンのオススメに対しては勝利が先行している状況だ。

度重なる地方巡業の影響でスパコンのオススメが広範囲に広がってしまい収拾がつかない状況下に、突如として都内の中でも近隣にあるコチラが挙がってきたのだ。系列店の六本木店にはレビュー済みなので、ある程度の結果は予測できるが新たな出会いがあるかもしれないと初対戦を決めた。

昼ピークを避けて午後1時過ぎに自宅を出ると、湿度の高い天候の中を歩いて向かった。交通量の多い明治通りを避けて裏通りを20分ほど進むと渋谷橋交差点へと出てきた。そこからは喧騒を離れた渋谷川沿いに佇むオシャレな外観の店先に辿り着いた。混み合いそうな時間帯を外して来たつもりが、入口付近には食券を購入する人で並びが出来ている。しかし店内には空席が見えるので先客の食券購入を待って店内へと入った。

入口左手にはTERAOKA製タッチパネル式券売機を導入されていて、初心者には戸惑いと緊張感が襲ってくる。ICカード対応の最先端の券売機を前にして本日のお題を品定めをするが、本来ならばマイスタンダードの醤油系で勝負を挑むはずなのだが今回は違うメニューを選んでしまった。というのも通常のボタン式の券売機と違って必然的に店側のオススメするメニューに導かれてしまい、一番大きな画面の標題を発券してしまったのだ。せめてもの抵抗に麺だけには変化を持たせて真空手揉麺を選択してみた。

スタッフさんの誘導で長いカウンターの奥の方へと案内され、川沿いの窓ガラスの前の席に腰を下ろした。そこからの店内風景は見晴らしが良すぎて、見たくないものまで見てしまった。ちょうど昼のピークが過ぎて厨房内のゴミ袋の交換のタイミングだったのだと思うのだが、私の席の横から川沿いのテラスにゴミ袋が運ばれたのだ。建物の構造上の理由で仕方ないのは当然分かるのだが、そのゴミ袋を運んだスタッフさんがホールに戻ると手も洗わずに配膳を行なっていたのだ。それが私のラーメンではなかったにしろ、見ていて気持ちの良いものではなかった。しかしそのスタッフさん一人のためだけに、これから出てくるラーメンの評価を下げるつもりはないので気持ちを落ち着かせるためにお冷を飲んで店内を見渡してみた。

外観同様にオシャレなコンクリートの打ちっ放しの店内を、本日は六人体制で回している。昼時のピークを過ぎたといっても若いサラリーマンの男子や、恵比須女子でまだまだ賑わいを見せている。そんな中でも手の空いたスタッフさんは掃除に余念がないので厨房内はピカピカで清潔感はあるが、掃除をしている手のままで配膳しているのが気になってしまう。これだけマニュアル化されている店なので、手洗いは慣行となっていると思っていたらそうではないようだ。そんな残念な思いで待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿はオリジナルの阿夫利山が描かれた白磁切立丼の中でも、やはりマニュアルだけでは徹底しきれないと思える景色を見せている。良く言えば人の手の匂いのする盛り付けとも思えるが、悪く言えば定義を守るだけに則った感情の込もってない仕事ぶりにも感じてしまう。そんな丁寧さや繊細さを感じない表情を眺めがら、複雑な思いでレンゲを手にした。

まずは花葉色のスープをひとくち。かなり低めの温度設定のスープに感じるのは〝柚子塩〟と謳っているだけに柑橘系の香りと酸味が先行してくるが、フレッシュ感の無さは柚子果汁を使用しているからだろうか。初期値で入ってある味玉の上には黄柚子の皮も添えてあったが、スープに溶け出すような盛り付けではないので柚子果汁によると思われる。それはベースのスープにある動物系の旨みの判別がつかないような柑橘の強さなので、自分の選択した〝柚子塩〟を悔やみながらスープを諦めてレンゲを箸に持ち替えた。

全粒粉真空手揉み麺という大げさにも思える麺に変更したのだが、真空ミキサーを早くから導入された製麺所の麺だけに大きな期待をしながら麺を持ち上げてみる。そこには麺上げまでジャスト120秒の平打ちぢれ麺が現れて、かなりのハリの強さが箸先から伝わってくる。真空麺ならではと思われる透明感のある麺肌も見られ、さすがは都内屈指の製麺所の麺と思わせる仕上がりと思える。そんな黄色みを帯びながらもグルテンの熟成度を思わせる麺を一気にすすり上げると、硬いとも思われる口当たりが唇を刺激する。鋭いイントロダクションで登場した中太麺を噛みつぶしてみると、タフな歯応えを残す食感が個性的ではある。しかし食感としてはゴワつきにも思えるので、淡麗柑橘系スープとの相性としては疑問が残ったので私のミスチョイスを反省した。

冒頭で感じたマニュアルでは補えきれないと思った点の一つが具材のチャーシューだった。各店舗で盛り付け直前に豚バラの煮豚チャーシューを専用の焼き台で炙っているのだが、それを調理する人の具材愛で仕上がりに大きな違いが生まれると感じた。今回のチャーシューは写真からも分かるように、片面を炙りすぎてチャーシューが反り返っていたのだ。それによって焦げてしまったチャーシューからは苦味ばかりが主張してしまい巻き型煮豚の持ち味のない、肉汁を残していないパサついた歯応えの残念な仕上がりとなっている。

基本で入っている味玉なので期待はしてなかったが半カットの味玉はセントラルキッチンで調理されて運ばれてきた具材なのだろうか、安定した仕上がりで黄身にまで浸透した出汁感が良かった。

食感を加える為にメンマではなくタケノコの細切りが添えてあったが、塩系スープとの相性はメンマよりも良いと思えた。狙い通りに軽やかながらも歯応えのアクセントを与えてくれた。

海苔も回転率が良いので鮮度も良く香り口溶けともに良好で、質の高い海苔を採用されていると感じた。

薬味には彩り要員の水菜が添えてあるが切ってからの時間超過を示す切り口や、雑な盛り付け方からは作り手の思いが伝わってこない。

中盤以降は柚子果汁の風味にも慣れてきたがスープを飲み干すには至らず、麺だけは平らげて箸を置いた。

今回の採点は60点となったのでスパコンとの対決は私の判定勝ちとなり、これで通算対戦成績は35戦16勝10敗8分8KO勝ち1KO負け1没収試合となった。

今回の対戦によって都内でのオススメ店は、つけ麺専門店を残すだけになってしまった。その他の五店舗は遠征が必要なエリアばかりとなってしまったので、またラーメン旅の計画を立てなければならない一杯となった。

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「塩ラーメン ¥700+味玉 ¥100」@らーめん元気の写真平日 曇天 11:20 待ちなし 後客1名

〝ニューオープン 探検記〟

またもや連食向きな新店情報が挙がってきた。その二店舗はどちらも千葉県が所在地ではあるが、先週に行った旭市のように遠くはないエリアだったので即決で新店めぐりの作戦を立てた。作戦と言うほど大げさではないが自宅からでは少し距離があるので、ひとまずは上野駅前のサウナを拠点として計画を練った。

この日の午後は今まで全く関心ののなかったアイドルグループ、ももいろクローバーZの明治座公演のお誘いを受けて舞台を観てきた。ももクロ一座の脇を固めるのは懐かしの〝トミーとマツ〟こと国広富之さんと松崎しげるさんで、モノノフでない私にも楽しめるお芝居だった。しかも1階2列目 (実際には1列目は使われていないので最前列) というファンにとっては神席からエセノフの分際で舞台を観られた事は本当に有り難かったのだが、休憩を挟んだ二幕目はライブ構成となっていたので初心者には荷が重かった。耳覚えのある曲も少ないのに応援用のライトまで待たされて、見よう見まねでライトを振る自分に不思議な高揚感がありテンションが上がってしまった。この歳になって人生初のサイリウムを振り回すとは思っていなかっただけに、世の中なにが起こるか分からない事を実感した。この後はどうしても出席しなければならない会食があったので、最後まではライブを楽しめなかった事が残念に思うほどに楽しんだ。

ももクロに心を奪われてしまい会食中も上の空でやり過ごすと、自宅で着替えを済ませてアジトである上野のサウナに向かった。天候が悪いせいか、ここ最近では随分と空いている大浴場とサウナでしっかりと「ととのう」事が出来た。その後はルーティンである食事処で生ビールを楽しんでからベッドに入ると、朝までぐっすりと眠りに就いた。

今朝もすこぶる快調に起床すると朝風呂を浴びて出発の準備を整えると、目の前の上野駅に向かった。上野駅まで徒歩2分を知ってしまうと、自宅からのスタートが億劫になってしまった。上野駅からは 10:04発の常磐線 我孫子行きに乗車すると35分程で我孫子駅に着くと、少し遅延している成田線に乗り換えた。滅多に乗る事のない成田線にて15分ほど揺られると、最寄りの布佐駅にやって来た。もちろん人生初の駅を降りて住宅街を歩いて抜けると、10分くらいでカラフルなスーパーの大きな看板が目に入ってきた。その派手な看板の色使いを見た時に、昨日のももクロカラーを思い出してしまった。

そんな大型スーパーの駐車場を抜けると道路を挟んだ向かい側に、ブルーとイエローの手書き風の味のある看板が見えてきた。そのカラーリングが隣接する福祉施設の看板と色使いが被っていて、奇妙な偶然が笑いを誘った。定刻より10分早く現着となったので並びもなく、先頭にて待機を始める。

ガラス張りの外観だが中華麺の色を思わせる薄黄色のロールスクリーンで目隠しされているので店内の様子は分からないが、明かりと人の気配は感じるので臨休ではなさそうだ。店先に積まれた浅草の人気製麺所の麺箱の横に立って待っていると、定刻より2分遅れてオープンとなった。

店内に入ると入口右手に設置されたエルコム製の券売機から本日のお題を品定めするが、店側のオススメと思われる左部最上段には塩系が設定されていた。マイスタンダードの醤油系を探してみるもボタンがないのでセオリーに則って、筆頭を飾っている塩系のボタンを押さざるを得なかった。味玉だけは譲れずに目を凝らしてボタンを見つけて追加発券すると、気持ちを落ち着かせるようにセルフで水を入れてカウンターに腰を下ろした。

カウンター越しに店内を物色するとL型カウンターだけの客席と中待ちイスも置かれた広めの店内を若い店主さんが、おひとりで切り盛りしている。ホールの床には白と黒の市松模様のタイルが敷き詰められ、赤と黒のスツールを交互に置かれた派手めな内装が個性的に映る。そんなビビットな店内に反して店主さんは実直そうで黙々と調理を進めているが、店名の「元気」とは結びつかないようにも思えた。元気は無いがラーメンに集中している姿には信頼感があり、出てくるラーメンに期待をしながら調理を見守っていると着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の鳴門丼の中で不思議な要素が見られはするが、あくまでも素朴な表情で出迎えてくれた。ラーメンの中では見た事のない具材が個性をアピールしているようだが、保守派の私にも受け入れられる具材なのか確かめる楽しみも湧いてきた。この器の中の全てのモノに店主さんの魂が宿っていて欲しいと願いながら朱赤色のレンゲを手にした。

まずは練色のスープをひとくち。バラエティに富んだ具材陣で埋め尽くされた液面上から具材の覆ってないスープが見られる場所にレンゲを沈めると、粘着性の少ない軽やかな手応えと共に魚介の香りが湯気に混じって立ち昇ってきた。表層の油膜も薄っすらとしか見られないのでサッパリとした印象を受けながらレンゲを介してスープを口に含んでみると、魚介の香りとは異なる動物系のコクのある旨みが先陣を切ってくる。スープからは旨みの他にも独特の舌触りを感じるので、節粉を加えて魚介の旨みを重ねてあるのだろうかと思った。見た目は塩清湯だが、口当たりとしては若干のザラつきを感じてしまう苦手な要素が顔を出した。動物系出汁の主軸となっているのは鶏ガラと思われるが、初動では甘みの強いスープに感じるのは塩ダレに含まれる味醂由来のものだろうか。その甘みに隠れて気付きづらいが塩気も高めの設定となっており、不思議な事にスープには貝由来のようなコハク酸の濁りも薄っすらと見られる。最初に感じたスープのザラつきは節粉ではなく、干し貝柱の粉末によるものだろうか。それならば旨みの濃さと塩気の強さとザラつきの全てに合点がいくが、真相は定かではない。

続いて麺を箸でもちあげると、色白美肌の中細ストレート麺が現れた。タイマーは80秒で鳴り始めたが、そこからベストのタイミングを見極めながら115秒で麺上げされていた。タイマーから35秒のタイムラグに何かしらの意味があるのだろうがタイマーの設定が不可解にも思え、実際の麺ディションが少し心配になってきた。これ以上のタイムロスで麺の劣化を進めてはいけないと思い、慌てるように一気にすすり上げた。すると柔らかすぎるといった感じではないが、どことなく頼りない口当たりで麺が滑り込んできた。一口目をすすり終えた瞬間に感じたのは懸念された麺の劣化ではなかったが、必要以上に溶けてしまったグルテンの粘りだった。麺が癒着する寸前で踏みとどまってたが、すすり心地の点では自身の好みとは随分と違っていた。しかし溶け出したグルテンの粘着質が拾い上げてくるスープの香りと麺の持つ小麦の香りの一体感は、計算された組み合わせのようにも思えた。

具材のチャーシューは豚バラの巻き型で仕込まれていて柔らか仕立てながらも、かなりの肉厚なので食べ応えも維持している。盛り付け直前にオーブンで焼いている点にも丁寧な仕事ぶりが表れている。味わいとしては煮汁の味が強めたが塩系スープの中で感じる醤油感は新鮮で、このラーメンには相性の良いチャーシューと思えた。

追加した味玉は下茹での半熟加減や熟成度合も程よくバランスがとれ味付けも適度で良かったが、提供温度の冷たさばかりは残念だった。一番客ゆえに常温に戻す時間がなかったのだろうが、せっかくの適熟した黄身の甘みが半減以下になってしまっていた。この時期なので調理台に放置されて汗をかいたような味玉よりは助かるが、せめて湯煎で温め直す一手間があれば味玉のポテンシャルを引き出せたのではないだろうか。

わずかに添えられた板メンマは自己主張をしてこないタイプの添え物として脇役に徹していて、食感も柔らか仕立てなので存在感としては乏しかった。

ラーメンの中では非常に珍しい揚げ茄子がオリジナリティをアピールしている。具材に関しても形式を重んじてしまいがちな私も茄子は大好物なので興味があり口に運んでみると、出汁に漬け込んだ〝揚げびたし〟ではなく茄子本来の味を楽しめるように〝素揚げ〟で添えられていた。となると一番気になるのは揚げ油の質と鮮度なのだが、油の吸収率の高い茄子の旨みを活かす揚げ油を使用されていた。これは一番客の特権だったかもしれないが、使い始めたばかりの油の鮮度が良く酸化や劣化を全く思わせない油の鮮度の良さが際立っていた。よって茄子の持つ甘みと塩スープの塩気が相まって、追加トッピングを望んでしまいそうな具材となっていた。ただ一つ難を言えば、この時期の露地栽培の茄子は皮が硬いので皮目に隠し包丁が入っていれば歯切れの悪さを感じずに済んだと思った。

海苔は残念ながら海苔専門店から仕入れた物ではなく、いわゆる業務用ラーメン海苔と呼ばれるタイプで黒の色素が薄く緑色にすら見える。口にしても香りがなく、質の高さは感じない安価な海苔を使われている。

薬味の白ネギは適度な香りと辛味を加えてくれて、歯触りの点でも良きアクセントとなってくれた。塩系によく見られる豆苗や糸唐辛子もビジュアル先行のように思え個人的には不要なのだが、あまりにも分量が少なく添えてあっただけなので幸いにも存在感がなくて助かった。

幸先よくスタートを切ったと思われたが、中盤からは麺の状態が激変してきた。早食いの性分なので時間は経っていないが、麺肌にはグルテンの粘りが出てきてしまい器の中で〝ダマ〟になり始めていた。慌てて食べ進んだがハリやコシを失った麺には魅力を感じられず、喜びや楽しみもないままに食べ終えていた。こうなってくると最初の麺上げタイマーの誤差が気になりながら箸とレンゲを置いた。

麺の茹で時間は製麺所や客が決めるものではないので、そこに店のセンスが大いに発揮される点だと思われる。今回の麺は私にとっては、足の早さが心残りとなってしまいながら店を後にした。店の外に出ると雨が降り始めてきたので足早に連食先へと向かう事にした一杯でした。

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「会津山塩物語 (味玉付き) ¥900」@麺処若武者 ASAKUSA 〜FUKUSHIMA NOODLE STYLE〜の写真平日 晴天 10:45 待ちなし 後待ちなし 後客なし

〝ニューオープン パトロール〟

上野を起点とした二日間を股にかけた壮大な新店めぐりの計画だったが、初日から見事に頓挫してしまった。

昨日から上野駅前に宿をかまえて浅草での一食目を済ませて草加にまで出向いたのだが、まさかの設備工事による臨時休業に見舞われてしまったのだった。そこで本日も草加への再チャレンジしようかとも考えたが、臨時休業の店内では床をはつる様な大掛かりな工事だったので連日の休業があるかも知れず断念せざるを得なくなった。そこで本日は連泊した上野から違うルートの新店めぐりを計画し直したのだ。

昨夜も大人しく上野のネオン街には足を向けずに、老いが進んでいる身体をサウナで整えた。この上野駅前のサウナの特徴は高温サウナと低温水風呂の落差だけではなく、併設された外風呂に置かれたリクライニングチェアに横たわり自然の風で外気浴ができる事である。また夏場のサウナには欠かせない〝冷シャンプー〟と〝冷ボディシャンプー〟も用意されている点もありがたいアメニティのひとつだ。それだけでなく最大限の利点は、毎回チェックアウトの際にもらえるドリンク一杯無料券を使って楽しむ食事処で呑む冷えた生ビールである。昨夜も無料ビールを含めて中ジョッキで5杯ばかり喉を潤すと、時計の日付が変わるのを待たずにベッドに入った。

今朝もサウナとビールで心身ともに整った抜群の体調で目が覚めると10時のチェックアウトよりも少し早めに、本日は路線バスを利用して上野駅前から都バス 上46系統 南千住駅東口行きにて向かう事にした。乗車時間わずか10分程で最寄りの浅草六区バス停に着くと、すぐ目の前に目的の店を見つけた。ちなみに隣は一万円札で汗を拭うお笑い芸人さんの経営するもんじゃ焼き屋なので立地としては申し分ない場所だ。チェックアウトして15分で現着できた移動時間の短さは、前泊しなければあり得ない時短なので前乗りした恩恵を十分に感じた。

定刻50分も前の現着になったので、まだ並びもなく時間もあったので向かいのROXでコーヒーを飲みながら新店の予習を兼ねてRDBを開いてみる。お店情報によると福島二本松の人気店が埼玉川口にて関東進出を果たして一年余りで東京浅草に移転して来たという、何ともややこしくも目まぐるしい経緯をたどっての花のお江戸初出店となるようだ。当日はグランドオープンして四日目ではあるがレビュー数はうなぎのぼりに増えているので、場所柄の利便性と話題性が見事に一致したようだ。そんな話題店に大きな期待を寄せて再び店へと向かってみた。

定刻15分前に戻ってきたが行列はなく先頭にて待機開始となった。店頭にはすでに開店祝いの花はなく通常営業の雰囲気だ。観光地の浅草なので外国人観光客にも分かりやすいように写真付きのメニューがあるのは、系列店を含めて初訪問の私には非常にありがたい。豊富なメニューの字面だけでは分かりずらかったので、ようやくメニュー名と商品が一致して本日のお題を待ち時間に決められた。

定刻の10分前になっても並びは一向に増えないが、店内からスタッフさんが電子タバコをふかしに出て来たので開店準備は万端なのを確信しながら待っていると、定刻になっても店先の様子は変わらないままだ。仕込み中の看板のままなので何かのトラブルかと心配になっていると、3分過ぎて真白い暖簾が掛けられると無事にオープンとなった。

二段式のスライド扉を開けて店内に入ると、入口左手の券売機から決めておいたイチオシであろう塩系の味玉入りを発券してカウンターに腰を下ろした。「お好きな席にどうぞ」という事だったので中央に陣取り食券を手渡すと店内を物色し始める。客席はカウンターだけの造りとなっていて、木目の天板と墨色のタイルが貼られたカウンターがシックな印象を与えてくれる。落ち着いた雰囲気に見える店内だが、背後の壁には地元ふくしまの特産品をアピールするポスターや旧店舗から受け継がれたサイン色紙と並んで新店舗でのサインも一緒に飾られている。そんな落ち着きと賑やかさの両面がある店内を、本日は二人体制で回している。お揃いのユニホームには〝唯一無二の味 極みの一杯〟と刻まれているので、オリジナリティあふれるラーメンとの出会いを期待して待っていると着席して4分で我が杯が到着した。

その姿はプラスチック製の朱赤色の受け皿に乗せられた白磁の切立丼で現れた。切立丼の口縁には古染雲と雷紋が描かれておりシンプルな丼か懐かしさを感じさせる。そんな昔ながらの器の中には、それに見合った清々しいラーメンの景色が収まっている。初対麺なのに昔から知っていたような素朴な表情が、気持ちを自然と落ち着かせてくれてレンゲを手に取った。

まずは女郎花色のスープをひとくち。微かな陰りを持つ独特の透明感を放つスープの液面には、香味油の粒子は全く見られずに豚背脂の脂片がわずかに浮かんでいる。見るからに山あいの清流のようなスープにレンゲを沈めてみると、粘度をみじんも感じさせない軽やかな抵抗がレンゲから伝わってくる。レンゲに注がれたスープにも油膜は見られず香りもほとんど感じない。香りからは味の想像ができないままに口に含んでみると、まさに淡麗とはこの事と言わんばかりの穏やかな味わいだ。ウンチクにもあるように地鶏ベースに貝出汁を合わせて、会津特産の山塩で味を整えたスープである。やはり第一印象で幅を利かせているのは会津地鶏主体の動物系清湯の旨みだと分かるが、六種類もの貝を使った出汁感をそれほど感じられないのが正直な印象だった。貝出汁特有のコハク酸の鮮明に舌に残るような旨みを感じないのは、もしかしたらフレッシュな貝から取った出汁ではなくて干し貝柱のような乾物から取られた貝出汁なのかもしれないと思った。それならばインパクトは少ないにしろ、落ち着いた深みのある貝出汁に仕上がっていても不思議ではないと思った。そんな優しい鶏と貝のWスープに輪郭を与える塩ダレには、岩塩や海塩ではなく山塩をあわすことで唯一無二の個性を発揮させている。舌先や喉に対する刺激が少ないのが山塩の大きな特徴なのだろうか、スープ全体的に角がなく非常にまろやかな印象でスタートを切った。幸先の良いはじまりを迎えたと思ったが、このスープの穏やかさも長くは続かなかった。

調理場内に積まれた麺箱には都内ではあまり見かけない製麺所の名前が入っているが地元福島の製麺所なのだろうか。定かではないが同じ麺箱を中目黒の「中華そば むら田」でも見た記憶がある。本日も段ボールにて配送された麺を木製の麺箱に移し替える作業も見られたので直送麺で間違いはなさそうだ。そんな福島を感じられる麺を箸で持ち上げてみると、茹でる直前にまな板の上で手揉みを施されていたので麺のちぢれた形状は複雑に変化している。どれ一本として同じ姿をしていない中太平打ち麺は、スープの透明感にも負けない澄んだ麺肌が光り輝いている。箸先からは加水率の高さを感じる重みがある。さらには加水率の高さを示していたのは80秒という茹で時間で、中太平打ち麺としてはかなり短いのは高加水麺ゆえの早茹でと思われる。そんな麺を一気にすすり上げるが、スープの濃度が低いので飛び散りなど気にせずにすする事が出来るので非常に心地よい。ランダムに波打った麺肌が唇を無造作にくすぐりながら飛び込んでくると麺肌には溶け出したグルテンの柔らかさもあるが、芯にはしっかりとコシを残してあり食べ応えも強く楽しめる。また塩気の少ないスープの中で麺の小麦の香りが存分に発揮されている。自家製麺ではなくても十分に個性的な良麺を採用されている。

具材のチャーシューは豚バラ煮豚が三枚入っている。赤身がしっかりした部位が本日は切り当てられたのが赤身好きの私には幸いだった。最初の一枚はそのまま頬張ってみたが、脂身の甘みを引き出して柔らかく仕上げてあるが過剰にとろけるのではなく歯応えも残してある。味付けもちゃんと乗っているので噛んでいても獣臭さは出てこずに食べ進められる。二枚目は薬味のネギを巻き込む事でネギチャーシューとして楽しんだ。最後は麺を巻いて食べたが、どんな具材や麺でも巻きやすい厚みや形状がチャーシューの活躍の場を広げていた。

追加した味玉は賛否があるとは思うが、塩スープの中で味わえる醤油感のある漬けダレがうれしい味玉だった。塩ダレではこの黄身の熟成感は生まれないだろうと思うような、濃厚でネットリとした舌触りが味覚に変化を付けてくれた。欲を言えば、せめて提供温度が常温ならばゲル化した黄身の旨みがより感じられた気がして残念だった。

太メンマはもはや定番のどこでも味わえる既製品のような安定感のある味付けだったので、もう少し手仕事感のある自家製メンマを望んでしまった。

薬味は青ネギの小口切りだが、先程のチャーシューと共演で十分に存在感をアピールしてくれたので感謝すべき脇役だった。

中盤からと言わず、序盤早々に不自然な旨味を強く感じてしまっていたのだ。穏やかな塩気の陰に隠れた強い旨味は、塩分以上に喉の渇きを誘発してきたので麺と具材は食べられたがスープは飲めずにレンゲを置いた。

これほど第一印象と最後のイメージが違うラーメンは珍しく思うが、不要な旨味を足さなくても十分に味わい深いと思えるスープだけに残念に思える一杯でした。

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「塩らーめん ¥680+煮玉子 ¥100」@塩らーめん 千茶屋の写真平日 曇天 10:35 待ちなし 後待ち2名 後客6名

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟番外編 拡大版

ちょっとした高崎遠征のつもりだったが、気が付けば群馬滞在もすでに四日目を迎えている。

前食は群馬に来たならぜひ行ってみたいと思っていた朝ラーの人気店で、やや出遅れはしたが満足の一杯をいただいて伊勢崎を後にした。コミュニティバスの一日乗車券のおかげで新伊勢崎駅までは無料で30分程で戻って来られた。


そこで次なる目的地に決めたのがコチラで、高崎から伊勢崎を経由して太田まで足を伸ばそうとRDBのお店情報と移動ルートを調べてみた。運良く本日も営業日のようで、電車とバスを乗り継げば1時間もかからずにたどり着けそうだ。空模様が怪しくなってきた中で、徒歩移動が少なくて済む事も歩兵民にはありがたく初訪問へを目指した。

東武伊勢崎線に揺られて25分程で太田駅に着くと、そこららは運良く運行本数の少ないシティライナーおおた 市内循環バスに間に合い15分で最寄りの太田記念病院南バス停に着いた。そこは大きな総合病院のそばだけあって、処方箋薬局の密集地帯となっている。こんな薬局天国を見た事がないくらいの多さに驚いた。

そんな中に大きな駐車場に囲まれたコチラの看板を見つけると、定刻の25分前で先頭をキープした。店頭に置かれたイームズのエッフェルベースチェアに腰を下ろして待機をはじめる。定刻の5分前になると後列が増え始めたが、外待ち3名だけで1分前に早開けオープンを迎えた。

店内に入ると右手の券売機から品定めをするが、豊富なメニューに戸惑いそうにならながらも屋号にも掲げられ券売機のヘッドライナーを飾っている塩系に煮玉子を追加発券してカウンターに座った。カウンターから見渡す店内はテーブル席もありカウンターも多く設けてあるが、ご夫妻と思われるお二人で切り盛りするには広すぎるとも思ってしまう。しかし二人の見事な連携で調理は淀みなく進んでいる。ふと調理場の奥を見るとブルーシートで覆われた製麺機があるが、品川麺機のマイティ50だろうか。やはりこちらも自家製麺なのだろうか、どこにも謳われてはないが群馬の自家製麺率の高さを実感する。

開店待ちこそ少なかったがオープンすると同時に来客が続くが、ワンロット1杯か2杯までの少ロットで着実に注文をこなしていく店主さんの手さばきに見とれていると着席して3分の早さで我が杯が到着した。その姿は同じ白磁の受け皿に乗せられた反高台丼の中で、息を飲むような美しい景色を見せてくれる。それは黄金卿のような輝きを映し出し、まぶしいばかりに光を放っている。そんな景色に気が付けばレンゲを手にしていた。

まずは薄香色のスープをひとくち。液面にレンゲを落とし込まなくても立ち昇っているのは鶏ガラ由来の香りで、クセとまでは言わないまでも独特の個性を感じる香りである。中型の寸胴鍋の中ではスープが炊かれ続けていて、スープ用の濾し器が常に寸胴鍋の中に入れている。その濾し器で不純物がスープに入らないように工夫された独特の炊き方が印象に残る。丁寧に灰汁を取りながら炊かれているスープにレンゲを沈めると、見た目同様に粘度を全く感じない清湯スープが注がれた。そのレンゲを口元に近づけるごとに鶏出汁の個性をより強く感じてくる。本当にクセの一歩手前なので臭みではないが、かなり鶏を強く感じさせる仕上がりと思える。常にスープは火にかけられているので、午前中と午後のスープには若干の違いもあるのではないだろうか。そうなると現時点でのスープはあっさりタイプで、時間が経つにつれて濃いスープへと変化するように思われる。私にとっては、これ以上に鶏感が強くなると臭みに変わってしまうかもしれないので早い時間帯で良かったと思った。そんな鶏出汁に合わせる塩ダレは、白醤油も含まれているような熟成した深い旨みをもたらしている。強い出汁に負けないようにハッキリと輪郭を与えているが、決して塩っぱいような事はなく見事な塩梅を付けている。

続いて自家製麺かは定かではないが澄み切ったスープの中から麺を引き上げてみると、シャープな切刃のエッジが残ったストレート細麺が現れた。麺上げまでジャスト60秒の茹で時間だが、ご主人はタイマーのスタートボタンは押すけれどストップボタンは奥様が押していた。それはストップボタンを押す間のタイムロスをなくして、麺の茹で時間を正確に守っているという事なのだろう。そんな緻密な工程から生み出された麺を一気にすすり込んでみると、細麺ならではの鋭い口当たりで飛び込んでくる。固すぎない程度にハリを残した茹で加減がキレを与えると、口の中では程良いコシも感じられる。シルクタッチな歯触りかと思ったが、しっかりと奥歯の咀嚼に呼応した歯応えも与えてくれる良麺だ。さらには喉越しも滑らかなので、口元から喉の奥まで心地よく食べ進められた。結果としてオリジナリティのある麺質だったので自家製麺であると信じたい。

具材のチャーシューはラーメン店では使われている事が珍しいと思われる豚ロース肉が使われていた。いわゆる、とんかつ屋のロースカツに使われる部位である。また大判のまま仕込まれていて、脂身の部分も厚めに残してある。トンカツ屋でもそうだが豚肉の質が悪いと、脂身がしつこかったり臭みがあったりするので自信がないとこの切り方は出来ないと思った。実際に食べてみても赤身の旨みは勿論だが、脂身の甘みが抜群に引き出されていて豚肉本来の質の良さと調理の技術の高さが表れている。また厚切りとは言えないが、かなり厚みを持たせてスライスされているので食べ応えも十分にある。

追加した煮玉子は塩系のスープに合わせた仕込みなのかもしれないが、私にとっては寂しさが残る具材だった。それは煮玉子と呼ばれてはいるが、塩味の効いたゆでたまごだった。あえて醤油感を出さないように仕込まれているのだろうが、浸透圧によってゲル化した黄身の熟成感が好きな私には物足りなく思えた。しかし周囲の客のほとんどが煮玉子トッピングをされていたので人気商品なのだろう。

そんな極めて薄味の煮玉子に対してメンマは醤油で味付けされた極太タイプを使われていたが、最近よく口にする機会の多い安定感のある味付けと食感からは業務用無添加メンマではないかと思ってしまうくらいに良くあるタイプだった。

薬味は二種類のネギが切り方も変えて添えてあったが、青ネギの小口切りは切り口が乾いており切り置きしてからの時間経過と保存状態の悪さを感じる。パサついた切り口からは舌触りの悪さが出てしまい、香り自体もほとんど出ていなかった。一方の白ネギは大きめの角切りでスープに浮かんでいたが、白ネギ本来の甘みを味わうには火の通りが弱く辛さが目立っていた。しかし生ならではのシャキッとした食感は良いアクセントとなっていた。

気が付けばスープ以外は完食していたほどに順調に食べ進められたが、周囲の客人が食べていた限定メニューや担々麺の方が美味そうに見えてしまったのも本音だ。次回は煮玉子なしで限定メニューに挑戦するために、太田に前泊して再チャレンジを果たそうと誓った。その際は絶対に夜のネオン街での太田ナイトを楽しもうと心に刻んだ一杯でした。

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「塩そば 肉1枚 味玉 ¥870」@麺処 風人の写真平日 晴天 13:20 先客2名 後客なし

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟

午前中の高崎めぐりの番外編として急遽訪れた渋川市の超人気店での一食目を終えて、先ほど下車した最寄りのバス停までは戻ってきた。すると奇跡的にも、一時間に一本しか走っていないバスが三分後に到着予定と幸運に恵まれた。

運良く間に合った帰りのバスの車内で、今回予定が伸びた高崎めぐりのラストラーメンを見つける為にRDBを開いてみた。前回の初高崎で印象に残っている「中華蕎麦 あお木」への再訪を考えたが今夜は都内で会食の予定があり、どうしても14:01発の新幹線に乗らなければならず駅から離れた同店への再訪は諦めざるを得なかった。

そんな中で見つけたが高崎駅の隣り駅の高崎問屋町駅近くにあるコチラだった。お店情報によると昼の部のみの営業とハードルは高いが本日は営業日という事と、帰りの新幹線にも何とか間に合いそうなので高崎めぐりラストラーメンとしての初訪問を決めた。

そのままバスで高崎駅まで戻りJR上越線に乗り換えると、わずか3分で高崎問屋町駅に着いた。そこからは貝沢口を出て、うら寂しい感じのする通りを進んで行くとスチール製のオブジェのような看板が目に飛び込んできた。時間帯なのか場所柄なのか分からないが、人通りの少ない駅前と同様に店の周りにも人がいない。

店内に入ると先客もわずかだったので券売機にて本日の品定めをする。ボタンが多すぎて一瞬分かりづらそうなボタン設定と思ったが実は簡単で、自分が食べたい肉(チャーシュー)の枚数と味玉の有無とスープを合わせれば自然と押すボタンが決まってくるシステムだ。そこでマイスタンダードの醤油系の表題を発券してカウンターに腰を下ろした。

カウンター越しに店内を見渡すと様々な景色が広がっている。最初に目に入ったのはラーメン店では初めてお目にかかるキッズスペースで、カウンターの背後に設けてあるが利用頻度は少なそうだ。その奥には製麺室も見られ、室内には大和製作所の高級製麺機〝リッチメン〟が鎮座している。そんな店内を本日は三人体制でまわしている。調理場内に目をやるとスタッフさんたちが、昼ピーク過ぎのアイドルタイムを利用して仕込みの最中のようだ。女性スタッフは仕込みを終えた細メンマを丁寧に並びや向きを揃える作業をしていて、盛り付けた時の美しさのために一手間をかけていた。また若い男性スタッフは粉末カンスイを液体に溶く作業を、キッチンスケールを使ってグラム単位で軽量しながら仕込んでいる。液体が黄色く染まっていたのでクチナシ色素も配合されているようだ。あまり見かけることのない仕込みの裏側の細かさに、これから出会うラーメンに期待しながら待っていると着席して3分ほどで我が杯が到着した。

その姿は白磁の鳴門丼の中で実に美しい表情を浮かべている。シンプルではあるが作り手の思いが詰まっていると感じる景色だ。店内の製麺機や細やかな仕込みを見ているだけに、逸る気持ちを抑えられずにレンゲを手にした。

まずは萱草色のスープをひとくち。細やかな粒子の鶏油がエルドラドのように光り輝いているスープにレンゲを落とし込むと、ほとんどレンゲに係る抵抗を感じずにレンゲにスープがすくわれてきた。たったレンゲの中だけの少ないスープからも鶏出汁特有の香りが立ち昇ってくる。レンゲが口元に近づくごとにスープの香りも強くなり、口に含んだ瞬間に旨みが口に広がった。鶏ガラと野菜の旨みと塩ダレの白醤油のキレが相まって、清らかながらも味わい深いスープを作り上げている。そんなせっかくの土台があるのに大量の底上げ要員が加担しているのが非常に残念に思い、スープを惜しみながら麺へと移行する。

その分も期待を上乗せして麺を持ち上げてみると、麺上げまで25秒ほどと短い茹で時間のストレート細麺は自家製麺ならではの個性的な麺肌が見られる。全粒粉配合のフスマが麺肌に浮かび上がり、細麺ながらも切刃のエッジを残した鋭い麺質を感じる。箸先からは加水率の低さを思わせない重みも伝わってくるので、食べ応えが楽しみになってきた。多くの想像をかき立ててくれる麺を一気にすすってみると、凛としたハリのある口当たりが唇を通過すると連動して小麦の香りも引き連れてくる。そんな勢いよく滑り込んできた麺を噛んでみると、東京以西の中でも特に神奈川県の淡麗系に合わせた自家製麺のようなシルクタッチの食感ではない事が幸いした。あの奥歯の咀嚼から逃げようとする歯切れの悪さが苦手なので、この麺のようなダイレクトに咀嚼に応えてくれる麺質が好みなのだ。口当たりから歯応えも喉越しにも優れた自家製麺はとても好印象だった。

具材のチャーシューは豚モモ肉のロースト型でしっかりとした赤身が特徴的だが、随分と肉汁が抜け出してパサついた食感となっていた。切り置きならば仕方ないが切り立てチャーシューを味わってみたいと思ってしまった。

また追加した味玉も浸けダレの味乗りが悪く、ゆでたまごと変わりない仕上がりが好みと違っていた。たまたまの巡り合わせかもしれないが、追加しなくても良かったと思ってしまうような味玉で残念だった。

そんな具材の中でも大活躍を見せてくれたのはメンマだった。丁寧な仕込みを見たからではなく盛り付けにも気を使われている細メンマからは店の皆さんの〝メンマ愛〟があふれ出ていた。見た目も味付けも食感のどれを取っても文句なしの素晴らしいメンマだった。そんなメンマなのに薬味の三つ葉と白ネギの下に隠れてアピールしてこない所も心憎い。

そんなメンマを覆っていた薬味の白ネギも丁寧に水にさらしてあり不必要な辛味を抜いてあった。そんな小さな薬味に対するこだわりにも感心した。彩り役の三つ葉も適度な香りだけを演出すると脇役として全うしていた。

自家製麺の自然なおいしさとスープの不自然な旨味とのアンバランスに戸惑いながらも、麺だけは完食したがスープは飲まずにレンゲを置いた。これにて今回の高崎遠征も終わりを迎えるかと思いきや、今夜の会食がキャンセルとの連絡が来た。これは更に群馬を楽しむチャンスとなったので、知人から怪しすぎると耳にしていた伊勢崎の夜のネオン街を知るために人生初の伊勢崎駅への思いがふくらむ一杯となりました。

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「特製塩そば ¥1100」@おとなの塩sobaの写真平日 曇天 11:45 先客2名 後客3名

〝ニューオープン パトロール〟

本日は一週間ぶりに自宅のベッドで目覚めた。関東近郊の新店めぐりに勤しんでいた為に家に帰っても着替えるだけと、自宅を更衣室のような扱いにしてしまっていたのだ。

久しぶりの家でのコーヒーを楽しみながらRDBの新店情報を閲覧していると新宿でのオープン情報が挙がっていたが、本日はワンコインサービス期間中のようなので混雑が予想されるのと評価に公正さを欠いてはいけないと思い先送りにした。次に候補に挙がってきたのが西川口のこちらで、お店情報によれば屋号も変えての移転リニューアルのようで再出発への意気込みを感じられる。少ない情報量の中に見つけた〝無化調〟の文字にIT系おじさんの血が騒ぎ初訪問を決定した。

11時半開店の現着を目指して10時半には自宅を出た。埼京線で赤羽まで向かい京浜東北線に乗り換えれば自宅から40分ほどで西川口駅に着いたが、そこからは歩くと20分近くあるようなのでバスを利用することにした。どうやら人生で初めて降り立った西川口駅の東口を出るとバス停が二ヶ所あるのだが、目的地へ向かう4番乗り場が見つけられずに予定の発車時刻を過ぎてしまい仕方なくバスを諦めて歩いて向かう事になった。駅前の立ち飲み屋では昼前なのに生ビールを片手に盛り上がっている客であふれかえっているが、そんなうらやましい姿に背を向けてトボトボと歩き始めた。

生ビールではなくナビを片手に持って青木町公園方面へと進むと20分ほどで目的地周辺までは辿り着けたが、飲食店らしき建物のない住宅地に戸惑っていると少し先に白い提灯のようなものが見えたので近づいてみた。すると大きな暖簾が掛かった店だったが、通りの先からでは道路に平行になった看板や暖簾しかなく、縦に飛び出した看板が設けてないので遠くからでは分かりづらい外観となっていた。

そんな店先には有志から贈られた白提灯が掛けられており仲間たちからのリスタートへの後押しが心強く表れている。店頭の暖簾には〝自家製麺〟〝無化調〟と大きく書かれてあり店の持ち味を思い切りアピールしている。そんな主張にハードルを上げないように心を落ち着かせて暖簾をくぐった。

店内に入るとオープン直後なので券売機の案内係のスタッフも配置されていて、案内に従って入口右手の小型券売機にて品定めをする。マイスタンダードの醤油系もあったが、やはり今回は屋号にも掲げられた塩系を選び開店祝いの意味も込めて特製ボタンを押した。順番通りにおしぼりと箸がセットされたカウンターの奥から詰めて座り、そこから店内観察をはじめる。

新店だけに真新しい店内の装いではあるが、移転前に贈られたサイン色紙なども飾られてあり歴史を感じる部分もある。カウンターよりもテーブル席が多く設けられた店内を本日は開店特需を予想してか万全の四人体制で回している。客席と厨房が独立したレイアウトなので調理工程を眺められないのが残念な上に、カウンターに対面して洗い場のシンクが設置されているので目の前には常に洗い物をするスタッフがいるのが気になってしまう。人の気配を感じないように卓上のウンチクを拝読しながら待っていると、着席して10分はどの時間をかけて我が杯が到着した。

その姿は小ぶりな白磁の鳴門丼の中で、特製ならではの豪華絢爛を詰め込んだ景色を見せている。しかしこの〝特製〟にした事が、本日最大の失敗だった事にはまだ気が付かずにレンゲを手にした。

まずはスープの色調が見られないほどに多くの具材が盛られた液面にレンゲを押し込んでみると、透明度の高い薄香色のスープがレンゲに注がれた。具材たちの派手な景色に対してスープからは気高い品のある、おしとやかな表情に見えた。そんな美しいスープを口に含むと、香味油の力を借りて鶏由来の動物系スープが筆頭に現れた。清らかな見た目に反して強い旨みが土台を支えていて、追随してくる魚介の香味が奥深さを与えている。その魚介系の旨みが複雑で数種類の節や煮干しが加わっていると思われるが、特に際立ったところを感じさせないバランス重視の配合に思えた。またカエシの塩ダレにはウンチクによると貝類や甲殻類も使われているようだが、コハク酸やアリシンをほとんど感じない。言い換えれば過度な貝類や甲殻類からの塩気も感じないという事で、独特な個性を主張するためではなく旨みを重ねる一員として参加しているように思える。たったひとくちで口の中に自然な旨みが張り巡らされたような感覚は塩系スープではあまりなく新鮮に感じた。

新たなスープとの出会いに喜んでいる口内に期待の自家製麺を送り込むために、箸で麺を持ち上げようとすると最初の悲劇が待ち構えていたのだ。それは高級割り箸の竹箸を採用されているのだが、箸先が丸く削られているので麺が滑って捉える事が難しく持ち上げられない。さらには小ぶりな器のせいでスープの量が少なく(具材が多過ぎるのもある)麺がスープの中で絡まってしまい拾い上げられるのを拒んでいる。それだけでなく表層を覆い隠す特製の具材たちが麺の行く手を遮り邪魔をしてくる。麺を持ち上げるだけでも手こずってしまい、麺をすすり込む楽しみは半減してしまった。もうひとまわりだけ大きな器ならば特製にしても結果が違っていたのではないだろうか。それでもしスープの必要量が増えたとして価格が100円上がったとしても、そちらの方が随分と良かった気がする。何とか苦戦しながら拾い上げた自家製麺は、店内の製麺室に設置された大和製作所の高級製麺機〝リッチメン〟から生み出された中細ストレート麺で麺上げまではジャスト40秒。とてもハリのある麺質が箸先から伝わってくる自家製麺をすすり上げると、整ってない絡まった麺線が口当たりの良さを消してしまっている。麺肌自体は滑らかに仕上がっているのに、滑りの悪さばかりが印象に残り大変もったいなく感じてしまった。すすり心地は悪いが内麦ならではの風味は噛んだ瞬間にあふれ出す素晴らしい麺だけに、店側の器選びと私の特製を選んだミスが重なって残念ながら本来の麺の力を感じる事が出来ずに残念だ。

次に私の中ではミスチョイスとなった豊富な具材をひとつずつ味わってみる。最初は鶏ムネ肉の低温調理を食べてみると、小ぶりながらも厚みを持たせてカットされているので歯応えもあり、肉質の良さと舌触りの良さも出ている。下味のソミュール液が弱いので薄味ではあるが、薬味の黄柚子の香りが移っていたので味気なさはなく食べられた。次に豚モモ肉のロースト型は赤身本来の食べ応えを楽しむ調理法で低温調理とは違った歯応えを味わえる。また豚バラ肉もローストタイプで片面をバーナーで炙られて香ばしさを付けてあり、バラ肉特有の脂っぽさを軽減してくれる。もっとも大判な豚肩ロースも同じ調理法で仕上げてあり、噛み応えをしっかりと楽しめる。全てのチャーシューに共通するのはスープに寄せた薄味仕立てなのだが、素材の旨みが強いので味がボヤけずに食べ進められる点だ。

肉部門の具材としてはかなり珍しいのが、アスパラの豚バラ巻きが添えてある事だった。特製ならではの配置なのだろうが、巻かれたアスパラには香りも食感も残っていないので冷凍アスパラを疑ってしまった。また味付けに使われている黒コショウが穏やかなスープに流れ出してしまい不必要な個性を与えてしまっていた。

半カット分が添えてある味玉は、S玉で仕込まれているので黄身の中心部までしっかりと浸けダレの浸透と熟成が行き渡っていた。卵本来の旨みもありながら浸けダレの醤油感もある素晴らしい味玉だった。

穂先メンマは見た目の美白から想像した通りの薄味でメンマ特有の発酵臭が香り、茎から穂先への食感のグラデーションが心地良く軽快なアクセントを与えてくれた。

薬味陣も豊富で手の込んだラインナップで、ふんだんに盛り付けてある。一番大量に添えてあるのは白髪ねぎなのだが、非常に細やかで技術力の高い丁寧な仕事ぶりが見てとれる。しかしその細やかな白髪ねぎがスープに拡散してしまうと収拾がつかずにあらゆる場面で口の中に入ってきてしまう。常に麺に寄り添い、スープにも混ざっては入ってくる。それが邪魔に思えてしまったのが本音で、細やかすぎる薬味は場面を選ばないので不要に思ってしまう。白ネギのみじん切りも添えてあったが、そちらにも同じ感想を持った。

青みのカイワレは彩り役が大きな使命なのだろうか、味や食感を発揮するほどは入っていない。いつからか〝塩系=水菜 カイワレ〟のような構図が出来上がってしまっているが、茹で青菜の手間を省く薬味としか思えないのは私だけだろうか。

また香りと彩り役の両方を担っている黄柚子も、苦味のある薄皮を丁寧に取り除かれて刻まれている仕事ぶりは素晴らしい。先程の鶏ムネチャーシューに香りを加えてくれたりと活躍も見せてくれたが、スープを飲み干す際にも伴って入ってくるのは少し迷惑にも感じた。

中盤以降も麺自体の美味さは変わらず食べ進んだが、どうしてもすすり心地の難点が目立ってしまい本来の麺を楽しむ事が出来なかった。もし本日のスープと麺と味玉だけが大きな器に盛り付けてあったならば90点台とも思える出来だっただけに特製にした事を悔やんでしまう。

完食完飲していながらも不満が残る納得のいかない気持ちで席を立った時に、後客が食べていた醤油系の大盛りの器を見ると鳳凰の描かれた大きな高台丼に盛り付けられたいた。この器ならば麺が絡まるような事もなかったのではと、器選びの大切さを思いながら店を出た一杯でした。

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「地鶏 (塩) ¥750」@自家製麺 純の写真平日 曇天 13:40 先客3名 後客1名

〝ニューオープン パトロール〟

前食の東武線の塚田駅から船橋駅まで戻ってくると、本日のメインイベントでもあるコチラでの連食のために駅構内でコーヒーを飲みながら腹が減るのを待った。

本日の連食先に決めていたのがコチラなのだが、実は昨日に初訪問を果たしており二日続けての訪問となるのだ。昨日は具材が私の好みと違っただけで評価が伸びなかったのだが、スープと麺の相性が非常に良かったので近々の再訪を固く望んでいたのだ。そこで本日は再訪ありきで船橋に前泊して、連食計画を立ててまでも食べたいと思えるこちらを目指した。

船橋駅の構内にて前食から二時間も過ぎると胃袋に空きスペースが出来てきたので、京成線を高砂駅で乗り継いで最寄りの京成立石駅へと向かった。あまり乗り慣れない京成線の上に、昨日とは違うルートになるので乗り換えを間違えないように注意しながら20分ほどで二日連続の立石駅に降り立った。ここまでくれば道に迷う事もなく店先に着いた。

昨日の訪問時に「6月中は昼の部のみの60食限定」となっていたので早じまいを心配していたが、昨日と同じ藍色の暖簾が掛かっており一安心して店内に入った。船橋からの移動の最中だけでなく、昨晩から塩ラーメンのデフォルトを食べようと心に決めておいたので迷う事なくボタンを押した。基本設定なのでトッピングが少なく、昨日の減点理由となった味玉は除く事ができた。

時間帯を遅くして訪れたせいか先客は少なく、好きな席へと案内されるとカウンターに腰を下ろして昨日同様に店内を観察する。本日も三人体制で回しているが、アイドルタイムを利用して明日分のスープの仕込みも並行して行われていた。奥のシンクでは冷凍ではない生の胴ガラの下処理の最中で、割り箸の先を使いながら肋骨間の血合いや肺などの灰汁となる不要な汚れを丁寧に取り除き洗い流している。その胴ガラ一羽あたりに3分近くも時間をかけて掃除された鶏ガラを見た時に、昨日のスープが透明感にあふれた美しすぎる姿にも納得ができた。

そんな表には表れない裏方の細やかな仕事ぶりの大切さを思いながら待っていると、着席して12分で我が杯が到着した。今回は先客のロットを待ってからの私だけのロットでの提供となった。混雑時ではなかったのでスープ張りから麺上げと盛り付けまでの全行程をご主人自らが担っていて、さらには配膳までも行られていた。そんな店主渾身のラーメンの姿は、白磁の鳴門丼の中で煌びやかな輝きを見せながら目の前に登場した。前日の醤油系と器こそ同じだが第一印象は大きく異なる景色を見せてくれ、昨日の経験値も先入観も脱ぎ去ってレンゲを手にとれた。

まずは明るい花葉色のスープをひとくち。非常にきめ細やかな粒子の鶏油が浮かんだ液面は、店内やスポットライトを乱反射してキラキラとまぶしく映える。ドットは細かいが、たっぷりと表層を覆った油膜を破るようにレンゲを沈めると更に粒子が分裂した。そんな鶏油も多く含んだスープを口にすると、レンゲの中のスープに対する鶏油のバランスが多すぎて油っぽさを感じてしまった。なので二口目はレンゲに浮かんだ油膜を息で吹き飛ばしてから、無垢の状態のスープを味わってみる。鶏油を除いた丸裸のスープは油膜の黄色みを失うと、本当の透明感だけが残っている。するとそこには純真な鶏出汁の旨みだけが詰め込まれていた。繊細でありながらも深みも兼ね備えたスープは清流と深海を併せ持つ、本来ならば共存するはずのない異世界が同居している。カエシの塩ダレも鶏出汁の旨みを引き立てる程度にアジャストされていて、飲み込んだ後の清涼感が心地良い。

再訪時の楽しみの一つの要素でもあった自家製麺は、本日分に限ってかもしれないが国内産の〝春よ恋〟を使った中細のストレート麺だった。
※ もちろん原材料の小麦粉を判別できる訳もないので券売機に貼られた説明書きで知りました

そんな高級銘柄の小麦粉に左右されないように気を引き締めて麺を持ち上げてみると、昨日よりは透明感の少ない麺肌には全粒粉のフスマが浮かび上がっている。麺上げまでは昨日と同じジャスト60秒で茹でられた麺は、箸先からでも強いハリやコシを感じられる。そんな見た目にも美しく美味そうな麺を一気にすすり込むと、切刃のエッジが鋭いキレのある口当たりを生み出している。ここまでは昨日の麺と大きな差はなかったが、明らかな違いが小麦の香り方から感じられた。本日の麺は非常に香り高くて、すすった瞬間から喉の奥に落ちていくまで気高い小麦の香りが持続していた。しかし奥歯を押し返すような弾力はなく、歯応えは弱くなっていた。店内には日清製粉の「荒武者」「麺無双」「筋斗雲 」などの外国産小麦の粉袋も置かれてあるので、日々違った小麦粉で麺を打っているのだろうか。そう思えば昨日の麺はもっちりとして外麦で打たれたような歯応えにも思える。スープによって麺を使い分けているようには見えなかったので、こちらの自家製麺は日々変化しているのだろう。これは益々再訪の機会が増えてしまいそうだ。いずれは、内麦特有の香りを残しながらも外麦の歯応えも感じられるような小麦粉のブレンド麺も味わえる日がやってきそうだ。

具材のチャーシューは鶏ムネ肉の低温調理が小ぶりながら二枚入っている。それは低温調理が何たるかを熟知した仕上がりとなっていて、レアと半ナマを履き違えた偽物とは大違いのチャーシューだ。塩気を抑えた薄味ながらも下味のソミュール液には清涼感のあるスパイスが利いているので味がボヤけるような事はなく、噛むたびに素材の旨みとマリネ液の味わいを楽しむ事ができた。

もう一つの肉部門の具材として鶏のツミレが醤油系と同じく入っている。今までレビューの中で何度か〝ツクネ〟と〝ツミレ〟の違いを説いてきたが、やはりラーメンの中に入るならば断固として〝ツミレ〟だと私は思う。それはさておき本題のツミレの味の方は、昨日分との比較になってしまうが全く別物と思ってしまうような仕上がりだった。茹でたてではないがツミレの中心部には薄っすらとピンク色で肉汁も残っている。それによって、しっとりとした歯触りと潤いのある食感が心地よい。味付け自体は大葉と薬研軟骨のアクセントは変わらないのだが、食感だけで全く別次元とツミレとなっていた。

穂先メンマは変わらずの細裂きタイプで、控えめな味付けと誇張しすぎない歯応えが適度にアクセントとなってくれる。

薬味はシンプルな青ネギが笹切りで添えてあり、切り口の潤いからも鮮度の良さが伝わってくる。塩系のスープの中でも香り穏やかに風味と、軽やかなシャキッとした食感を与えてくれる名脇役だ。さらには上質な海苔も塩系スープにも見事に合っていた。

気が付けば、すでに丼の底が見えているくらいに完食完飲していた。スープを飲み干す際に、三つ葉や柚子皮で香りを足したくなるスープなにもかかわらず、敢えて余計な香りに逃げない道を選んだ店主さんのこだわりが心に刺さってスープを飲み干していた。

最終的には昨日の醤油系で評価を下げる要因となった、味玉や豚肩ロースチャーシューを除外したのでマイナス材料は減ったが、個人的な主観だけを言えば醤油系の方が鶏油の脂質を感じずに済んだかとは思ってしまう。

両日の自家製麺に関しては甲乙つけがたい仕上がりで好みが別れるところではあるが、どちらもハイレベルだったことは紛れもない事実だ。

しかしながら食べ終えた後も謎が深まるばかりの新店なので、麺や具材の微調整を確認する再訪のために上野駅前のサウナに泊まる機会が増える事を予感させる一杯でした。

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「濃熟塩らーめん 味玉 ¥890」@○心厨房の写真平日 晴天 13:45 先客3名 後客なし

〝第30回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を開催する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく、自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去29戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は29戦13勝8敗7分7KO 1没収試合と現在は私の勝ちが少しリードしている。

地方遠征のせいでオススメに挙がる店が関東圏よりも地方の店が多くなっている。その地方店との対決を終えると、またすぐに地方店が挙がってくるという悪循環に陥っているのだ。そんな中で唯一の都内の店がコチラなのだ。そこで本日は初対決のために訪問を決めた。

RDBのお店情報で下調べをすると、すでにベテラン店とも言うべき人気店でレビュー数も多い。メニューの多さが保守派の私には不安材料ではあるが、基本の醤油系での対戦を目論みながら家を出た。

対戦相手のベストコンディションを望んで、開店直後と昼ピークは避けようと思い昼過ぎに半蔵門線と東西線を乗り継いで最寄りの木場駅に着いた。そこからは何度か訪れている「麺屋 吉左右」を目標にして歩いて進む。その店先には昼時を過ぎても行列が続いている。しかし本日の目的は近所にあるこちらでの初対決なので、並んだ列を横目に見ながら先を急いだ。

大通り沿いばかりに気を取られていたら、脇道を少し入ったところにラーメンの幟旗を見つけた。信号を渡って店先に着いたが狙い通りに行列もなく、すんなりと入店して券売機の前へと進む。ここで決めておいた醤油系のボタンを探すが見当たらない。探している醤油味は煮干し系か、つけ麺だけのようだ。仕方なく予定をして店のイチオシでもある塩系にて勝負を挑むとしたが、好物の味玉入りだけは欠かさずに発券した。

食券を置いてカウンター越しに店内を物色すると、老舗店の風格すら漂う年季の入った店内をワンオペで切り盛りされている。本日の客層は営業中のサラリーマンの遅めの昼食風景といった感じだ。カウンターの目の前の壁が高くて調理工程は見えないが、機敏で安定感のある動きからは若いながらも熟練の仕事ぶりが想像できる。そんな安心感の中で待っていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は、口縁に波絵模様、見立てには透かし模様のタコ唐草の細工が施された高級感のある反高台丼の中で、想像していた塩ラーメンとは全く違った表情を見せていた。私の中で相対するものと思っていた〝塩〟と〝濃熟〟が初めて現実として一致した。塩系と言えどもかなりパワフルな姿に気持ちだけは負けないようにレンゲを手に取った。

まずは白茶色のスープをひとくち。乳化と言うよりは表層に豚由来の脂片が覆ったスープにレンゲを挿し込むと、中濃程度の抵抗が指先に伝わってきた。レンゲですくったスープを口元に近づけると、煮干し主体の魚介出汁の香りが先行して鼻先をくすぐった。文字通りの豚骨と魚介のWスープを思い描きながら口へ含むと、衝撃的な不快臭に襲われた。それは豚骨でも魚介でもない鶏ガラの獣臭さだった。一瞬、飲んではいけないものを口にしてしまったかと思うような臭みが口の中に広がった。それはカエシが塩ダレという事で、ダイレクトに動物系スープの匂いを感じ取ってしまったのが原因だろう。さらには臭み消しの存在であるはずのニンニクも必要以上に強くスープに臭みをプラスしていた。この個性的なスープが理解できるようになるにはまだまだ修行が足りないと実感した。残念ながらスープを諦めて麺へと進むことにした。

箸で麺を持ち上げてみると、一本あたりの重量がかなりありそうな中太麺を採用されている。麺上げまでも240秒程と思われる麺質は、みっちりとグルテンを内に秘めた張り裂けんばかりの膨らみを見せている。やや透明感のある麺肌には滑り心地の良さそうな薄い粘膜も見られる。そんな中太麺を一気に啜りあげてみると、先ほど感じたスープの獣臭さがパワーを増して伴ってきた。やや縮れのある滑らかな麺の啜り心地は最高なのだが、伴う吸気が残念で仕方ない。それ以降は一切すすり込む事をやめて、ゆっくりと口に運ぶ食べ方に切り替えた。そうする事で幾分は獣臭を抑える事ができ、麺の持ち味を感じられた。奥歯を押し返すような噛み応えからは加水率の高さを想像でき、噛めば溢れる風味からは小麦粉の質の良さを感じられた。

具材のチャーシューは豚肩ロースの低温調理が大判厚切りで一枚入りで、ロゼ発色が美しく食欲を大いにそそる。とは言え、極レアチャーシューのような下品さや、半ナマによる保健衛生的な心配がないのが見て分かる。それは低温ながらも時間をかけなければ成し得ない仕上がりに見える。そんな見た目に全幅の信頼を寄せて食べてみると、しっとりとしてるが〝肉〟を頬張っている野性味も感じられるワイルドな食べ応えが頼もしい。下味の付け方も、出過ぎるでも足りないでもなく好印象な仕上がりだった。

さらには追加した味玉の出来栄えも完璧だった。私の〝味玉論〟の模範とも言うべき熟成感が素晴らしく、噛んだ瞬間の温度の高さも申し分ない。しっかりと温め直された仕事ぶりの上にネットリとした黄身が舌全体を覆うと、そこは楽園とも呼べる恍惚の世界だ。こんな風に大げさに語りたくなるほどの味玉だったと言いたいだけだ。

メンマはサイズの不揃いな板メンマが多く盛られているが、これと言った印象を思い出せないのが特徴だろうか。それほどに裏方に徹しているメンマだったのでマイナス材料は無かったのだろう。

薬味は白ネギが粗く刻まれて添えてあったが、乾いた切り口からは舌触りの悪さばかりが目立ってしまい香りも感じられなかった。たしかに薬味の香りを必要とするタイプのスープではなかったが、もう少し鮮度を大事にしても良いのではないだろうか。

青みの水菜には手抜き薬味としかおもえず、愛着が全くないので今回も必要性を感じない。炒りごまも入っていたが、香ばしさを知ることなく存在が消えていた。海苔も見るからに黒とは違った緑色をしていたので、劣化が気になり口にする事はなかった。

今回の対戦は、味玉の評価が採点を大きく上げたので60点を超えてくれた。もし味玉を追加してなかったら確実に採点は下がっていたはずだ。

これで通算対戦成績は30戦14勝8敗7分7KO 1没収試合となり、スパコンのオススメに再び疑問を抱き始めた。現時点でスパコンがオススメしているのは、つけ麺レビューが一件もない私に対して、つけ麺専門店が四店舗も挙がっている。さらにはラーメンを扱う店となると都内には一つもない状況となっている。こんな試練の中でもRDBのオススメを信じたいと願っている自分がいる事を知った一杯でした。

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