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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.429点
最終レビュー日 2019年7月18日
567 459 14 1,849
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「会津山塩物語 (味玉付き) ¥900」@麺処若武者 ASAKUSA 〜FUKUSHIMA NOODLE STYLE〜の写真平日 晴天 10:45 待ちなし 後待ちなし 後客なし

〝ニューオープン パトロール〟

上野を起点とした二日間を股にかけた壮大な新店めぐりの計画だったが、初日から見事に頓挫してしまった。

昨日から上野駅前に宿をかまえて浅草での一食目を済ませて草加にまで出向いたのだが、まさかの設備工事による臨時休業に見舞われてしまったのだった。そこで本日も草加への再チャレンジしようかとも考えたが、臨時休業の店内では床をはつる様な大掛かりな工事だったので連日の休業があるかも知れず断念せざるを得なくなった。そこで本日は連泊した上野から違うルートの新店めぐりを計画し直したのだ。

昨夜も大人しく上野のネオン街には足を向けずに、老いが進んでいる身体をサウナで整えた。この上野駅前のサウナの特徴は高温サウナと低温水風呂の落差だけではなく、併設された外風呂に置かれたリクライニングチェアに横たわり自然の風で外気浴ができる事である。また夏場のサウナには欠かせない〝冷シャンプー〟と〝冷ボディシャンプー〟も用意されている点もありがたいアメニティのひとつだ。それだけでなく最大限の利点は、毎回チェックアウトの際にもらえるドリンク一杯無料券を使って楽しむ食事処で呑む冷えた生ビールである。昨夜も無料ビールを含めて中ジョッキで5杯ばかり喉を潤すと、時計の日付が変わるのを待たずにベッドに入った。

今朝もサウナとビールで心身ともに整った抜群の体調で目が覚めると10時のチェックアウトよりも少し早めに、本日は路線バスを利用して上野駅前から都バス 上46系統 南千住駅東口行きにて向かう事にした。乗車時間わずか10分程で最寄りの浅草六区バス停に着くと、すぐ目の前に目的の店を見つけた。ちなみに隣は一万円札で汗を拭うお笑い芸人さんの経営するもんじゃ焼き屋なので立地としては申し分ない場所だ。チェックアウトして15分で現着できた移動時間の短さは、前泊しなければあり得ない時短なので前乗りした恩恵を十分に感じた。

定刻50分も前の現着になったので、まだ並びもなく時間もあったので向かいのROXでコーヒーを飲みながら新店の予習を兼ねてRDBを開いてみる。お店情報によると福島二本松の人気店が埼玉川口にて関東進出を果たして一年余りで東京浅草に移転して来たという、何ともややこしくも目まぐるしい経緯をたどっての花のお江戸初出店となるようだ。当日はグランドオープンして四日目ではあるがレビュー数はうなぎのぼりに増えているので、場所柄の利便性と話題性が見事に一致したようだ。そんな話題店に大きな期待を寄せて再び店へと向かってみた。

定刻15分前に戻ってきたが行列はなく先頭にて待機開始となった。店頭にはすでに開店祝いの花はなく通常営業の雰囲気だ。観光地の浅草なので外国人観光客にも分かりやすいように写真付きのメニューがあるのは、系列店を含めて初訪問の私には非常にありがたい。豊富なメニューの字面だけでは分かりずらかったので、ようやくメニュー名と商品が一致して本日のお題を待ち時間に決められた。

定刻の10分前になっても並びは一向に増えないが、店内からスタッフさんが電子タバコをふかしに出て来たので開店準備は万端なのを確信しながら待っていると、定刻になっても店先の様子は変わらないままだ。仕込み中の看板のままなので何かのトラブルかと心配になっていると、3分過ぎて真白い暖簾が掛けられると無事にオープンとなった。

二段式のスライド扉を開けて店内に入ると、入口左手の券売機から決めておいたイチオシであろう塩系の味玉入りを発券してカウンターに腰を下ろした。「お好きな席にどうぞ」という事だったので中央に陣取り食券を手渡すと店内を物色し始める。客席はカウンターだけの造りとなっていて、木目の天板と墨色のタイルが貼られたカウンターがシックな印象を与えてくれる。落ち着いた雰囲気に見える店内だが、背後の壁には地元ふくしまの特産品をアピールするポスターや旧店舗から受け継がれたサイン色紙と並んで新店舗でのサインも一緒に飾られている。そんな落ち着きと賑やかさの両面がある店内を、本日は二人体制で回している。お揃いのユニホームには〝唯一無二の味 極みの一杯〟と刻まれているので、オリジナリティあふれるラーメンとの出会いを期待して待っていると着席して4分で我が杯が到着した。

その姿はプラスチック製の朱赤色の受け皿に乗せられた白磁の切立丼で現れた。切立丼の口縁には古染雲と雷紋が描かれておりシンプルな丼か懐かしさを感じさせる。そんな昔ながらの器の中には、それに見合った清々しいラーメンの景色が収まっている。初対麺なのに昔から知っていたような素朴な表情が、気持ちを自然と落ち着かせてくれてレンゲを手に取った。

まずは女郎花色のスープをひとくち。微かな陰りを持つ独特の透明感を放つスープの液面には、香味油の粒子は全く見られずに豚背脂の脂片がわずかに浮かんでいる。見るからに山あいの清流のようなスープにレンゲを沈めてみると、粘度をみじんも感じさせない軽やかな抵抗がレンゲから伝わってくる。レンゲに注がれたスープにも油膜は見られず香りもほとんど感じない。香りからは味の想像ができないままに口に含んでみると、まさに淡麗とはこの事と言わんばかりの穏やかな味わいだ。ウンチクにもあるように地鶏ベースに貝出汁を合わせて、会津特産の山塩で味を整えたスープである。やはり第一印象で幅を利かせているのは会津地鶏主体の動物系清湯の旨みだと分かるが、六種類もの貝を使った出汁感をそれほど感じられないのが正直な印象だった。貝出汁特有のコハク酸の鮮明に舌に残るような旨みを感じないのは、もしかしたらフレッシュな貝から取った出汁ではなくて干し貝柱のような乾物から取られた貝出汁なのかもしれないと思った。それならばインパクトは少ないにしろ、落ち着いた深みのある貝出汁に仕上がっていても不思議ではないと思った。そんな優しい鶏と貝のWスープに輪郭を与える塩ダレには、岩塩や海塩ではなく山塩をあわすことで唯一無二の個性を発揮させている。舌先や喉に対する刺激が少ないのが山塩の大きな特徴なのだろうか、スープ全体的に角がなく非常にまろやかな印象でスタートを切った。幸先の良いはじまりを迎えたと思ったが、このスープの穏やかさも長くは続かなかった。

調理場内に積まれた麺箱には都内ではあまり見かけない製麺所の名前が入っているが地元福島の製麺所なのだろうか。定かではないが同じ麺箱を中目黒の「中華そば むら田」でも見た記憶がある。本日も段ボールにて配送された麺を木製の麺箱に移し替える作業も見られたので直送麺で間違いはなさそうだ。そんな福島を感じられる麺を箸で持ち上げてみると、茹でる直前にまな板の上で手揉みを施されていたので麺のちぢれた形状は複雑に変化している。どれ一本として同じ姿をしていない中太平打ち麺は、スープの透明感にも負けない澄んだ麺肌が光り輝いている。箸先からは加水率の高さを感じる重みがある。さらには加水率の高さを示していたのは80秒という茹で時間で、中太平打ち麺としてはかなり短いのは高加水麺ゆえの早茹でと思われる。そんな麺を一気にすすり上げるが、スープの濃度が低いので飛び散りなど気にせずにすする事が出来るので非常に心地よい。ランダムに波打った麺肌が唇を無造作にくすぐりながら飛び込んでくると麺肌には溶け出したグルテンの柔らかさもあるが、芯にはしっかりとコシを残してあり食べ応えも強く楽しめる。また塩気の少ないスープの中で麺の小麦の香りが存分に発揮されている。自家製麺ではなくても十分に個性的な良麺を採用されている。

具材のチャーシューは豚バラ煮豚が三枚入っている。赤身がしっかりした部位が本日は切り当てられたのが赤身好きの私には幸いだった。最初の一枚はそのまま頬張ってみたが、脂身の甘みを引き出して柔らかく仕上げてあるが過剰にとろけるのではなく歯応えも残してある。味付けもちゃんと乗っているので噛んでいても獣臭さは出てこずに食べ進められる。二枚目は薬味のネギを巻き込む事でネギチャーシューとして楽しんだ。最後は麺を巻いて食べたが、どんな具材や麺でも巻きやすい厚みや形状がチャーシューの活躍の場を広げていた。

追加した味玉は賛否があるとは思うが、塩スープの中で味わえる醤油感のある漬けダレがうれしい味玉だった。塩ダレではこの黄身の熟成感は生まれないだろうと思うような、濃厚でネットリとした舌触りが味覚に変化を付けてくれた。欲を言えば、せめて提供温度が常温ならばゲル化した黄身の旨みがより感じられた気がして残念だった。

太メンマはもはや定番のどこでも味わえる既製品のような安定感のある味付けだったので、もう少し手仕事感のある自家製メンマを望んでしまった。

薬味は青ネギの小口切りだが、先程のチャーシューと共演で十分に存在感をアピールしてくれたので感謝すべき脇役だった。

中盤からと言わず、序盤早々に不自然な旨味を強く感じてしまっていたのだ。穏やかな塩気の陰に隠れた強い旨味は、塩分以上に喉の渇きを誘発してきたので麺と具材は食べられたがスープは飲めずにレンゲを置いた。

これほど第一印象と最後のイメージが違うラーメンは珍しく思うが、不要な旨味を足さなくても十分に味わい深いと思えるスープだけに残念に思える一杯でした。

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「塩らーめん ¥680+煮玉子 ¥100」@塩らーめん 千茶屋の写真平日 曇天 10:35 待ちなし 後待ち2名 後客6名

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟番外編 拡大版

ちょっとした高崎遠征のつもりだったが、気が付けば群馬滞在もすでに四日目を迎えている。

前食は群馬に来たならぜひ行ってみたいと思っていた朝ラーの人気店で、やや出遅れはしたが満足の一杯をいただいて伊勢崎を後にした。コミュニティバスの一日乗車券のおかげで新伊勢崎駅までは無料で30分程で戻って来られた。


そこで次なる目的地に決めたのがコチラで、高崎から伊勢崎を経由して太田まで足を伸ばそうとRDBのお店情報と移動ルートを調べてみた。運良く本日も営業日のようで、電車とバスを乗り継げば1時間もかからずにたどり着けそうだ。空模様が怪しくなってきた中で、徒歩移動が少なくて済む事も歩兵民にはありがたく初訪問へを目指した。

東武伊勢崎線に揺られて25分程で太田駅に着くと、そこららは運良く運行本数の少ないシティライナーおおた 市内循環バスに間に合い15分で最寄りの太田記念病院南バス停に着いた。そこは大きな総合病院のそばだけあって、処方箋薬局の密集地帯となっている。こんな薬局天国を見た事がないくらいの多さに驚いた。

そんな中に大きな駐車場に囲まれたコチラの看板を見つけると、定刻の25分前で先頭をキープした。店頭に置かれたイームズのエッフェルベースチェアに腰を下ろして待機をはじめる。定刻の5分前になると後列が増え始めたが、外待ち3名だけで1分前に早開けオープンを迎えた。

店内に入ると右手の券売機から品定めをするが、豊富なメニューに戸惑いそうにならながらも屋号にも掲げられ券売機のヘッドライナーを飾っている塩系に煮玉子を追加発券してカウンターに座った。カウンターから見渡す店内はテーブル席もありカウンターも多く設けてあるが、ご夫妻と思われるお二人で切り盛りするには広すぎるとも思ってしまう。しかし二人の見事な連携で調理は淀みなく進んでいる。ふと調理場の奥を見るとブルーシートで覆われた製麺機があるが、品川麺機のマイティ50だろうか。やはりこちらも自家製麺なのだろうか、どこにも謳われてはないが群馬の自家製麺率の高さを実感する。

開店待ちこそ少なかったがオープンすると同時に来客が続くが、ワンロット1杯か2杯までの少ロットで着実に注文をこなしていく店主さんの手さばきに見とれていると着席して3分の早さで我が杯が到着した。その姿は同じ白磁の受け皿に乗せられた反高台丼の中で、息を飲むような美しい景色を見せてくれる。それは黄金卿のような輝きを映し出し、まぶしいばかりに光を放っている。そんな景色に気が付けばレンゲを手にしていた。

まずは薄香色のスープをひとくち。液面にレンゲを落とし込まなくても立ち昇っているのは鶏ガラ由来の香りで、クセとまでは言わないまでも独特の個性を感じる香りである。中型の寸胴鍋の中ではスープが炊かれ続けていて、スープ用の濾し器が常に寸胴鍋の中に入れている。その濾し器で不純物がスープに入らないように工夫された独特の炊き方が印象に残る。丁寧に灰汁を取りながら炊かれているスープにレンゲを沈めると、見た目同様に粘度を全く感じない清湯スープが注がれた。そのレンゲを口元に近づけるごとに鶏出汁の個性をより強く感じてくる。本当にクセの一歩手前なので臭みではないが、かなり鶏を強く感じさせる仕上がりと思える。常にスープは火にかけられているので、午前中と午後のスープには若干の違いもあるのではないだろうか。そうなると現時点でのスープはあっさりタイプで、時間が経つにつれて濃いスープへと変化するように思われる。私にとっては、これ以上に鶏感が強くなると臭みに変わってしまうかもしれないので早い時間帯で良かったと思った。そんな鶏出汁に合わせる塩ダレは、白醤油も含まれているような熟成した深い旨みをもたらしている。強い出汁に負けないようにハッキリと輪郭を与えているが、決して塩っぱいような事はなく見事な塩梅を付けている。

続いて自家製麺かは定かではないが澄み切ったスープの中から麺を引き上げてみると、シャープな切刃のエッジが残ったストレート細麺が現れた。麺上げまでジャスト60秒の茹で時間だが、ご主人はタイマーのスタートボタンは押すけれどストップボタンは奥様が押していた。それはストップボタンを押す間のタイムロスをなくして、麺の茹で時間を正確に守っているという事なのだろう。そんな緻密な工程から生み出された麺を一気にすすり込んでみると、細麺ならではの鋭い口当たりで飛び込んでくる。固すぎない程度にハリを残した茹で加減がキレを与えると、口の中では程良いコシも感じられる。シルクタッチな歯触りかと思ったが、しっかりと奥歯の咀嚼に呼応した歯応えも与えてくれる良麺だ。さらには喉越しも滑らかなので、口元から喉の奥まで心地よく食べ進められた。結果としてオリジナリティのある麺質だったので自家製麺であると信じたい。

具材のチャーシューはラーメン店では使われている事が珍しいと思われる豚ロース肉が使われていた。いわゆる、とんかつ屋のロースカツに使われる部位である。また大判のまま仕込まれていて、脂身の部分も厚めに残してある。トンカツ屋でもそうだが豚肉の質が悪いと、脂身がしつこかったり臭みがあったりするので自信がないとこの切り方は出来ないと思った。実際に食べてみても赤身の旨みは勿論だが、脂身の甘みが抜群に引き出されていて豚肉本来の質の良さと調理の技術の高さが表れている。また厚切りとは言えないが、かなり厚みを持たせてスライスされているので食べ応えも十分にある。

追加した煮玉子は塩系のスープに合わせた仕込みなのかもしれないが、私にとっては寂しさが残る具材だった。それは煮玉子と呼ばれてはいるが、塩味の効いたゆでたまごだった。あえて醤油感を出さないように仕込まれているのだろうが、浸透圧によってゲル化した黄身の熟成感が好きな私には物足りなく思えた。しかし周囲の客のほとんどが煮玉子トッピングをされていたので人気商品なのだろう。

そんな極めて薄味の煮玉子に対してメンマは醤油で味付けされた極太タイプを使われていたが、最近よく口にする機会の多い安定感のある味付けと食感からは業務用無添加メンマではないかと思ってしまうくらいに良くあるタイプだった。

薬味は二種類のネギが切り方も変えて添えてあったが、青ネギの小口切りは切り口が乾いており切り置きしてからの時間経過と保存状態の悪さを感じる。パサついた切り口からは舌触りの悪さが出てしまい、香り自体もほとんど出ていなかった。一方の白ネギは大きめの角切りでスープに浮かんでいたが、白ネギ本来の甘みを味わうには火の通りが弱く辛さが目立っていた。しかし生ならではのシャキッとした食感は良いアクセントとなっていた。

気が付けばスープ以外は完食していたほどに順調に食べ進められたが、周囲の客人が食べていた限定メニューや担々麺の方が美味そうに見えてしまったのも本音だ。次回は煮玉子なしで限定メニューに挑戦するために、太田に前泊して再チャレンジを果たそうと誓った。その際は絶対に夜のネオン街での太田ナイトを楽しもうと心に刻んだ一杯でした。

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「塩そば 肉1枚 味玉 ¥870」@麺処 風人の写真平日 晴天 13:20 先客2名 後客なし

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟

午前中の高崎めぐりの番外編として急遽訪れた渋川市の超人気店での一食目を終えて、先ほど下車した最寄りのバス停までは戻ってきた。すると奇跡的にも、一時間に一本しか走っていないバスが三分後に到着予定と幸運に恵まれた。

運良く間に合った帰りのバスの車内で、今回予定が伸びた高崎めぐりのラストラーメンを見つける為にRDBを開いてみた。前回の初高崎で印象に残っている「中華蕎麦 あお木」への再訪を考えたが今夜は都内で会食の予定があり、どうしても14:01発の新幹線に乗らなければならず駅から離れた同店への再訪は諦めざるを得なかった。

そんな中で見つけたが高崎駅の隣り駅の高崎問屋町駅近くにあるコチラだった。お店情報によると昼の部のみの営業とハードルは高いが本日は営業日という事と、帰りの新幹線にも何とか間に合いそうなので高崎めぐりラストラーメンとしての初訪問を決めた。

そのままバスで高崎駅まで戻りJR上越線に乗り換えると、わずか3分で高崎問屋町駅に着いた。そこからは貝沢口を出て、うら寂しい感じのする通りを進んで行くとスチール製のオブジェのような看板が目に飛び込んできた。時間帯なのか場所柄なのか分からないが、人通りの少ない駅前と同様に店の周りにも人がいない。

店内に入ると先客もわずかだったので券売機にて本日の品定めをする。ボタンが多すぎて一瞬分かりづらそうなボタン設定と思ったが実は簡単で、自分が食べたい肉(チャーシュー)の枚数と味玉の有無とスープを合わせれば自然と押すボタンが決まってくるシステムだ。そこでマイスタンダードの醤油系の表題を発券してカウンターに腰を下ろした。

カウンター越しに店内を見渡すと様々な景色が広がっている。最初に目に入ったのはラーメン店では初めてお目にかかるキッズスペースで、カウンターの背後に設けてあるが利用頻度は少なそうだ。その奥には製麺室も見られ、室内には大和製作所の高級製麺機〝リッチメン〟が鎮座している。そんな店内を本日は三人体制でまわしている。調理場内に目をやるとスタッフさんたちが、昼ピーク過ぎのアイドルタイムを利用して仕込みの最中のようだ。女性スタッフは仕込みを終えた細メンマを丁寧に並びや向きを揃える作業をしていて、盛り付けた時の美しさのために一手間をかけていた。また若い男性スタッフは粉末カンスイを液体に溶く作業を、キッチンスケールを使ってグラム単位で軽量しながら仕込んでいる。液体が黄色く染まっていたのでクチナシ色素も配合されているようだ。あまり見かけることのない仕込みの裏側の細かさに、これから出会うラーメンに期待しながら待っていると着席して3分ほどで我が杯が到着した。

その姿は白磁の鳴門丼の中で実に美しい表情を浮かべている。シンプルではあるが作り手の思いが詰まっていると感じる景色だ。店内の製麺機や細やかな仕込みを見ているだけに、逸る気持ちを抑えられずにレンゲを手にした。

まずは萱草色のスープをひとくち。細やかな粒子の鶏油がエルドラドのように光り輝いているスープにレンゲを落とし込むと、ほとんどレンゲに係る抵抗を感じずにレンゲにスープがすくわれてきた。たったレンゲの中だけの少ないスープからも鶏出汁特有の香りが立ち昇ってくる。レンゲが口元に近づくごとにスープの香りも強くなり、口に含んだ瞬間に旨みが口に広がった。鶏ガラと野菜の旨みと塩ダレの白醤油のキレが相まって、清らかながらも味わい深いスープを作り上げている。そんなせっかくの土台があるのに大量の底上げ要員が加担しているのが非常に残念に思い、スープを惜しみながら麺へと移行する。

その分も期待を上乗せして麺を持ち上げてみると、麺上げまで25秒ほどと短い茹で時間のストレート細麺は自家製麺ならではの個性的な麺肌が見られる。全粒粉配合のフスマが麺肌に浮かび上がり、細麺ながらも切刃のエッジを残した鋭い麺質を感じる。箸先からは加水率の低さを思わせない重みも伝わってくるので、食べ応えが楽しみになってきた。多くの想像をかき立ててくれる麺を一気にすすってみると、凛としたハリのある口当たりが唇を通過すると連動して小麦の香りも引き連れてくる。そんな勢いよく滑り込んできた麺を噛んでみると、東京以西の中でも特に神奈川県の淡麗系に合わせた自家製麺のようなシルクタッチの食感ではない事が幸いした。あの奥歯の咀嚼から逃げようとする歯切れの悪さが苦手なので、この麺のようなダイレクトに咀嚼に応えてくれる麺質が好みなのだ。口当たりから歯応えも喉越しにも優れた自家製麺はとても好印象だった。

具材のチャーシューは豚モモ肉のロースト型でしっかりとした赤身が特徴的だが、随分と肉汁が抜け出してパサついた食感となっていた。切り置きならば仕方ないが切り立てチャーシューを味わってみたいと思ってしまった。

また追加した味玉も浸けダレの味乗りが悪く、ゆでたまごと変わりない仕上がりが好みと違っていた。たまたまの巡り合わせかもしれないが、追加しなくても良かったと思ってしまうような味玉で残念だった。

そんな具材の中でも大活躍を見せてくれたのはメンマだった。丁寧な仕込みを見たからではなく盛り付けにも気を使われている細メンマからは店の皆さんの〝メンマ愛〟があふれ出ていた。見た目も味付けも食感のどれを取っても文句なしの素晴らしいメンマだった。そんなメンマなのに薬味の三つ葉と白ネギの下に隠れてアピールしてこない所も心憎い。

そんなメンマを覆っていた薬味の白ネギも丁寧に水にさらしてあり不必要な辛味を抜いてあった。そんな小さな薬味に対するこだわりにも感心した。彩り役の三つ葉も適度な香りだけを演出すると脇役として全うしていた。

自家製麺の自然なおいしさとスープの不自然な旨味とのアンバランスに戸惑いながらも、麺だけは完食したがスープは飲まずにレンゲを置いた。これにて今回の高崎遠征も終わりを迎えるかと思いきや、今夜の会食がキャンセルとの連絡が来た。これは更に群馬を楽しむチャンスとなったので、知人から怪しすぎると耳にしていた伊勢崎の夜のネオン街を知るために人生初の伊勢崎駅への思いがふくらむ一杯となりました。

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「特製塩そば ¥1100」@おとなの塩sobaの写真平日 曇天 11:45 先客2名 後客3名

〝ニューオープン パトロール〟

本日は一週間ぶりに自宅のベッドで目覚めた。関東近郊の新店めぐりに勤しんでいた為に家に帰っても着替えるだけと、自宅を更衣室のような扱いにしてしまっていたのだ。

久しぶりの家でのコーヒーを楽しみながらRDBの新店情報を閲覧していると新宿でのオープン情報が挙がっていたが、本日はワンコインサービス期間中のようなので混雑が予想されるのと評価に公正さを欠いてはいけないと思い先送りにした。次に候補に挙がってきたのが西川口のこちらで、お店情報によれば屋号も変えての移転リニューアルのようで再出発への意気込みを感じられる。少ない情報量の中に見つけた〝無化調〟の文字にIT系おじさんの血が騒ぎ初訪問を決定した。

11時半開店の現着を目指して10時半には自宅を出た。埼京線で赤羽まで向かい京浜東北線に乗り換えれば自宅から40分ほどで西川口駅に着いたが、そこからは歩くと20分近くあるようなのでバスを利用することにした。どうやら人生で初めて降り立った西川口駅の東口を出るとバス停が二ヶ所あるのだが、目的地へ向かう4番乗り場が見つけられずに予定の発車時刻を過ぎてしまい仕方なくバスを諦めて歩いて向かう事になった。駅前の立ち飲み屋では昼前なのに生ビールを片手に盛り上がっている客であふれかえっているが、そんなうらやましい姿に背を向けてトボトボと歩き始めた。

生ビールではなくナビを片手に持って青木町公園方面へと進むと20分ほどで目的地周辺までは辿り着けたが、飲食店らしき建物のない住宅地に戸惑っていると少し先に白い提灯のようなものが見えたので近づいてみた。すると大きな暖簾が掛かった店だったが、通りの先からでは道路に平行になった看板や暖簾しかなく、縦に飛び出した看板が設けてないので遠くからでは分かりづらい外観となっていた。

そんな店先には有志から贈られた白提灯が掛けられており仲間たちからのリスタートへの後押しが心強く表れている。店頭の暖簾には〝自家製麺〟〝無化調〟と大きく書かれてあり店の持ち味を思い切りアピールしている。そんな主張にハードルを上げないように心を落ち着かせて暖簾をくぐった。

店内に入るとオープン直後なので券売機の案内係のスタッフも配置されていて、案内に従って入口右手の小型券売機にて品定めをする。マイスタンダードの醤油系もあったが、やはり今回は屋号にも掲げられた塩系を選び開店祝いの意味も込めて特製ボタンを押した。順番通りにおしぼりと箸がセットされたカウンターの奥から詰めて座り、そこから店内観察をはじめる。

新店だけに真新しい店内の装いではあるが、移転前に贈られたサイン色紙なども飾られてあり歴史を感じる部分もある。カウンターよりもテーブル席が多く設けられた店内を本日は開店特需を予想してか万全の四人体制で回している。客席と厨房が独立したレイアウトなので調理工程を眺められないのが残念な上に、カウンターに対面して洗い場のシンクが設置されているので目の前には常に洗い物をするスタッフがいるのが気になってしまう。人の気配を感じないように卓上のウンチクを拝読しながら待っていると、着席して10分はどの時間をかけて我が杯が到着した。

その姿は小ぶりな白磁の鳴門丼の中で、特製ならではの豪華絢爛を詰め込んだ景色を見せている。しかしこの〝特製〟にした事が、本日最大の失敗だった事にはまだ気が付かずにレンゲを手にした。

まずはスープの色調が見られないほどに多くの具材が盛られた液面にレンゲを押し込んでみると、透明度の高い薄香色のスープがレンゲに注がれた。具材たちの派手な景色に対してスープからは気高い品のある、おしとやかな表情に見えた。そんな美しいスープを口に含むと、香味油の力を借りて鶏由来の動物系スープが筆頭に現れた。清らかな見た目に反して強い旨みが土台を支えていて、追随してくる魚介の香味が奥深さを与えている。その魚介系の旨みが複雑で数種類の節や煮干しが加わっていると思われるが、特に際立ったところを感じさせないバランス重視の配合に思えた。またカエシの塩ダレにはウンチクによると貝類や甲殻類も使われているようだが、コハク酸やアリシンをほとんど感じない。言い換えれば過度な貝類や甲殻類からの塩気も感じないという事で、独特な個性を主張するためではなく旨みを重ねる一員として参加しているように思える。たったひとくちで口の中に自然な旨みが張り巡らされたような感覚は塩系スープではあまりなく新鮮に感じた。

新たなスープとの出会いに喜んでいる口内に期待の自家製麺を送り込むために、箸で麺を持ち上げようとすると最初の悲劇が待ち構えていたのだ。それは高級割り箸の竹箸を採用されているのだが、箸先が丸く削られているので麺が滑って捉える事が難しく持ち上げられない。さらには小ぶりな器のせいでスープの量が少なく(具材が多過ぎるのもある)麺がスープの中で絡まってしまい拾い上げられるのを拒んでいる。それだけでなく表層を覆い隠す特製の具材たちが麺の行く手を遮り邪魔をしてくる。麺を持ち上げるだけでも手こずってしまい、麺をすすり込む楽しみは半減してしまった。もうひとまわりだけ大きな器ならば特製にしても結果が違っていたのではないだろうか。それでもしスープの必要量が増えたとして価格が100円上がったとしても、そちらの方が随分と良かった気がする。何とか苦戦しながら拾い上げた自家製麺は、店内の製麺室に設置された大和製作所の高級製麺機〝リッチメン〟から生み出された中細ストレート麺で麺上げまではジャスト40秒。とてもハリのある麺質が箸先から伝わってくる自家製麺をすすり上げると、整ってない絡まった麺線が口当たりの良さを消してしまっている。麺肌自体は滑らかに仕上がっているのに、滑りの悪さばかりが印象に残り大変もったいなく感じてしまった。すすり心地は悪いが内麦ならではの風味は噛んだ瞬間にあふれ出す素晴らしい麺だけに、店側の器選びと私の特製を選んだミスが重なって残念ながら本来の麺の力を感じる事が出来ずに残念だ。

次に私の中ではミスチョイスとなった豊富な具材をひとつずつ味わってみる。最初は鶏ムネ肉の低温調理を食べてみると、小ぶりながらも厚みを持たせてカットされているので歯応えもあり、肉質の良さと舌触りの良さも出ている。下味のソミュール液が弱いので薄味ではあるが、薬味の黄柚子の香りが移っていたので味気なさはなく食べられた。次に豚モモ肉のロースト型は赤身本来の食べ応えを楽しむ調理法で低温調理とは違った歯応えを味わえる。また豚バラ肉もローストタイプで片面をバーナーで炙られて香ばしさを付けてあり、バラ肉特有の脂っぽさを軽減してくれる。もっとも大判な豚肩ロースも同じ調理法で仕上げてあり、噛み応えをしっかりと楽しめる。全てのチャーシューに共通するのはスープに寄せた薄味仕立てなのだが、素材の旨みが強いので味がボヤけずに食べ進められる点だ。

肉部門の具材としてはかなり珍しいのが、アスパラの豚バラ巻きが添えてある事だった。特製ならではの配置なのだろうが、巻かれたアスパラには香りも食感も残っていないので冷凍アスパラを疑ってしまった。また味付けに使われている黒コショウが穏やかなスープに流れ出してしまい不必要な個性を与えてしまっていた。

半カット分が添えてある味玉は、S玉で仕込まれているので黄身の中心部までしっかりと浸けダレの浸透と熟成が行き渡っていた。卵本来の旨みもありながら浸けダレの醤油感もある素晴らしい味玉だった。

穂先メンマは見た目の美白から想像した通りの薄味でメンマ特有の発酵臭が香り、茎から穂先への食感のグラデーションが心地良く軽快なアクセントを与えてくれた。

薬味陣も豊富で手の込んだラインナップで、ふんだんに盛り付けてある。一番大量に添えてあるのは白髪ねぎなのだが、非常に細やかで技術力の高い丁寧な仕事ぶりが見てとれる。しかしその細やかな白髪ねぎがスープに拡散してしまうと収拾がつかずにあらゆる場面で口の中に入ってきてしまう。常に麺に寄り添い、スープにも混ざっては入ってくる。それが邪魔に思えてしまったのが本音で、細やかすぎる薬味は場面を選ばないので不要に思ってしまう。白ネギのみじん切りも添えてあったが、そちらにも同じ感想を持った。

青みのカイワレは彩り役が大きな使命なのだろうか、味や食感を発揮するほどは入っていない。いつからか〝塩系=水菜 カイワレ〟のような構図が出来上がってしまっているが、茹で青菜の手間を省く薬味としか思えないのは私だけだろうか。

また香りと彩り役の両方を担っている黄柚子も、苦味のある薄皮を丁寧に取り除かれて刻まれている仕事ぶりは素晴らしい。先程の鶏ムネチャーシューに香りを加えてくれたりと活躍も見せてくれたが、スープを飲み干す際にも伴って入ってくるのは少し迷惑にも感じた。

中盤以降も麺自体の美味さは変わらず食べ進んだが、どうしてもすすり心地の難点が目立ってしまい本来の麺を楽しむ事が出来なかった。もし本日のスープと麺と味玉だけが大きな器に盛り付けてあったならば90点台とも思える出来だっただけに特製にした事を悔やんでしまう。

完食完飲していながらも不満が残る納得のいかない気持ちで席を立った時に、後客が食べていた醤油系の大盛りの器を見ると鳳凰の描かれた大きな高台丼に盛り付けられたいた。この器ならば麺が絡まるような事もなかったのではと、器選びの大切さを思いながら店を出た一杯でした。

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「地鶏 (塩) ¥750」@自家製麺 純の写真平日 曇天 13:40 先客3名 後客1名

〝ニューオープン パトロール〟

前食の東武線の塚田駅から船橋駅まで戻ってくると、本日のメインイベントでもあるコチラでの連食のために駅構内でコーヒーを飲みながら腹が減るのを待った。

本日の連食先に決めていたのがコチラなのだが、実は昨日に初訪問を果たしており二日続けての訪問となるのだ。昨日は具材が私の好みと違っただけで評価が伸びなかったのだが、スープと麺の相性が非常に良かったので近々の再訪を固く望んでいたのだ。そこで本日は再訪ありきで船橋に前泊して、連食計画を立ててまでも食べたいと思えるこちらを目指した。

船橋駅の構内にて前食から二時間も過ぎると胃袋に空きスペースが出来てきたので、京成線を高砂駅で乗り継いで最寄りの京成立石駅へと向かった。あまり乗り慣れない京成線の上に、昨日とは違うルートになるので乗り換えを間違えないように注意しながら20分ほどで二日連続の立石駅に降り立った。ここまでくれば道に迷う事もなく店先に着いた。

昨日の訪問時に「6月中は昼の部のみの60食限定」となっていたので早じまいを心配していたが、昨日と同じ藍色の暖簾が掛かっており一安心して店内に入った。船橋からの移動の最中だけでなく、昨晩から塩ラーメンのデフォルトを食べようと心に決めておいたので迷う事なくボタンを押した。基本設定なのでトッピングが少なく、昨日の減点理由となった味玉は除く事ができた。

時間帯を遅くして訪れたせいか先客は少なく、好きな席へと案内されるとカウンターに腰を下ろして昨日同様に店内を観察する。本日も三人体制で回しているが、アイドルタイムを利用して明日分のスープの仕込みも並行して行われていた。奥のシンクでは冷凍ではない生の胴ガラの下処理の最中で、割り箸の先を使いながら肋骨間の血合いや肺などの灰汁となる不要な汚れを丁寧に取り除き洗い流している。その胴ガラ一羽あたりに3分近くも時間をかけて掃除された鶏ガラを見た時に、昨日のスープが透明感にあふれた美しすぎる姿にも納得ができた。

そんな表には表れない裏方の細やかな仕事ぶりの大切さを思いながら待っていると、着席して12分で我が杯が到着した。今回は先客のロットを待ってからの私だけのロットでの提供となった。混雑時ではなかったのでスープ張りから麺上げと盛り付けまでの全行程をご主人自らが担っていて、さらには配膳までも行られていた。そんな店主渾身のラーメンの姿は、白磁の鳴門丼の中で煌びやかな輝きを見せながら目の前に登場した。前日の醤油系と器こそ同じだが第一印象は大きく異なる景色を見せてくれ、昨日の経験値も先入観も脱ぎ去ってレンゲを手にとれた。

まずは明るい花葉色のスープをひとくち。非常にきめ細やかな粒子の鶏油が浮かんだ液面は、店内やスポットライトを乱反射してキラキラとまぶしく映える。ドットは細かいが、たっぷりと表層を覆った油膜を破るようにレンゲを沈めると更に粒子が分裂した。そんな鶏油も多く含んだスープを口にすると、レンゲの中のスープに対する鶏油のバランスが多すぎて油っぽさを感じてしまった。なので二口目はレンゲに浮かんだ油膜を息で吹き飛ばしてから、無垢の状態のスープを味わってみる。鶏油を除いた丸裸のスープは油膜の黄色みを失うと、本当の透明感だけが残っている。するとそこには純真な鶏出汁の旨みだけが詰め込まれていた。繊細でありながらも深みも兼ね備えたスープは清流と深海を併せ持つ、本来ならば共存するはずのない異世界が同居している。カエシの塩ダレも鶏出汁の旨みを引き立てる程度にアジャストされていて、飲み込んだ後の清涼感が心地良い。

再訪時の楽しみの一つの要素でもあった自家製麺は、本日分に限ってかもしれないが国内産の〝春よ恋〟を使った中細のストレート麺だった。
※ もちろん原材料の小麦粉を判別できる訳もないので券売機に貼られた説明書きで知りました

そんな高級銘柄の小麦粉に左右されないように気を引き締めて麺を持ち上げてみると、昨日よりは透明感の少ない麺肌には全粒粉のフスマが浮かび上がっている。麺上げまでは昨日と同じジャスト60秒で茹でられた麺は、箸先からでも強いハリやコシを感じられる。そんな見た目にも美しく美味そうな麺を一気にすすり込むと、切刃のエッジが鋭いキレのある口当たりを生み出している。ここまでは昨日の麺と大きな差はなかったが、明らかな違いが小麦の香り方から感じられた。本日の麺は非常に香り高くて、すすった瞬間から喉の奥に落ちていくまで気高い小麦の香りが持続していた。しかし奥歯を押し返すような弾力はなく、歯応えは弱くなっていた。店内には日清製粉の「荒武者」「麺無双」「筋斗雲 」などの外国産小麦の粉袋も置かれてあるので、日々違った小麦粉で麺を打っているのだろうか。そう思えば昨日の麺はもっちりとして外麦で打たれたような歯応えにも思える。スープによって麺を使い分けているようには見えなかったので、こちらの自家製麺は日々変化しているのだろう。これは益々再訪の機会が増えてしまいそうだ。いずれは、内麦特有の香りを残しながらも外麦の歯応えも感じられるような小麦粉のブレンド麺も味わえる日がやってきそうだ。

具材のチャーシューは鶏ムネ肉の低温調理が小ぶりながら二枚入っている。それは低温調理が何たるかを熟知した仕上がりとなっていて、レアと半ナマを履き違えた偽物とは大違いのチャーシューだ。塩気を抑えた薄味ながらも下味のソミュール液には清涼感のあるスパイスが利いているので味がボヤけるような事はなく、噛むたびに素材の旨みとマリネ液の味わいを楽しむ事ができた。

もう一つの肉部門の具材として鶏のツミレが醤油系と同じく入っている。今までレビューの中で何度か〝ツクネ〟と〝ツミレ〟の違いを説いてきたが、やはりラーメンの中に入るならば断固として〝ツミレ〟だと私は思う。それはさておき本題のツミレの味の方は、昨日分との比較になってしまうが全く別物と思ってしまうような仕上がりだった。茹でたてではないがツミレの中心部には薄っすらとピンク色で肉汁も残っている。それによって、しっとりとした歯触りと潤いのある食感が心地よい。味付け自体は大葉と薬研軟骨のアクセントは変わらないのだが、食感だけで全く別次元とツミレとなっていた。

穂先メンマは変わらずの細裂きタイプで、控えめな味付けと誇張しすぎない歯応えが適度にアクセントとなってくれる。

薬味はシンプルな青ネギが笹切りで添えてあり、切り口の潤いからも鮮度の良さが伝わってくる。塩系のスープの中でも香り穏やかに風味と、軽やかなシャキッとした食感を与えてくれる名脇役だ。さらには上質な海苔も塩系スープにも見事に合っていた。

気が付けば、すでに丼の底が見えているくらいに完食完飲していた。スープを飲み干す際に、三つ葉や柚子皮で香りを足したくなるスープなにもかかわらず、敢えて余計な香りに逃げない道を選んだ店主さんのこだわりが心に刺さってスープを飲み干していた。

最終的には昨日の醤油系で評価を下げる要因となった、味玉や豚肩ロースチャーシューを除外したのでマイナス材料は減ったが、個人的な主観だけを言えば醤油系の方が鶏油の脂質を感じずに済んだかとは思ってしまう。

両日の自家製麺に関しては甲乙つけがたい仕上がりで好みが別れるところではあるが、どちらもハイレベルだったことは紛れもない事実だ。

しかしながら食べ終えた後も謎が深まるばかりの新店なので、麺や具材の微調整を確認する再訪のために上野駅前のサウナに泊まる機会が増える事を予感させる一杯でした。

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「濃熟塩らーめん 味玉 ¥890」@○心厨房の写真平日 晴天 13:45 先客3名 後客なし

〝第30回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を開催する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく、自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去29戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は29戦13勝8敗7分7KO 1没収試合と現在は私の勝ちが少しリードしている。

地方遠征のせいでオススメに挙がる店が関東圏よりも地方の店が多くなっている。その地方店との対決を終えると、またすぐに地方店が挙がってくるという悪循環に陥っているのだ。そんな中で唯一の都内の店がコチラなのだ。そこで本日は初対決のために訪問を決めた。

RDBのお店情報で下調べをすると、すでにベテラン店とも言うべき人気店でレビュー数も多い。メニューの多さが保守派の私には不安材料ではあるが、基本の醤油系での対戦を目論みながら家を出た。

対戦相手のベストコンディションを望んで、開店直後と昼ピークは避けようと思い昼過ぎに半蔵門線と東西線を乗り継いで最寄りの木場駅に着いた。そこからは何度か訪れている「麺屋 吉左右」を目標にして歩いて進む。その店先には昼時を過ぎても行列が続いている。しかし本日の目的は近所にあるこちらでの初対決なので、並んだ列を横目に見ながら先を急いだ。

大通り沿いばかりに気を取られていたら、脇道を少し入ったところにラーメンの幟旗を見つけた。信号を渡って店先に着いたが狙い通りに行列もなく、すんなりと入店して券売機の前へと進む。ここで決めておいた醤油系のボタンを探すが見当たらない。探している醤油味は煮干し系か、つけ麺だけのようだ。仕方なく予定をして店のイチオシでもある塩系にて勝負を挑むとしたが、好物の味玉入りだけは欠かさずに発券した。

食券を置いてカウンター越しに店内を物色すると、老舗店の風格すら漂う年季の入った店内をワンオペで切り盛りされている。本日の客層は営業中のサラリーマンの遅めの昼食風景といった感じだ。カウンターの目の前の壁が高くて調理工程は見えないが、機敏で安定感のある動きからは若いながらも熟練の仕事ぶりが想像できる。そんな安心感の中で待っていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は、口縁に波絵模様、見立てには透かし模様のタコ唐草の細工が施された高級感のある反高台丼の中で、想像していた塩ラーメンとは全く違った表情を見せていた。私の中で相対するものと思っていた〝塩〟と〝濃熟〟が初めて現実として一致した。塩系と言えどもかなりパワフルな姿に気持ちだけは負けないようにレンゲを手に取った。

まずは白茶色のスープをひとくち。乳化と言うよりは表層に豚由来の脂片が覆ったスープにレンゲを挿し込むと、中濃程度の抵抗が指先に伝わってきた。レンゲですくったスープを口元に近づけると、煮干し主体の魚介出汁の香りが先行して鼻先をくすぐった。文字通りの豚骨と魚介のWスープを思い描きながら口へ含むと、衝撃的な不快臭に襲われた。それは豚骨でも魚介でもない鶏ガラの獣臭さだった。一瞬、飲んではいけないものを口にしてしまったかと思うような臭みが口の中に広がった。それはカエシが塩ダレという事で、ダイレクトに動物系スープの匂いを感じ取ってしまったのが原因だろう。さらには臭み消しの存在であるはずのニンニクも必要以上に強くスープに臭みをプラスしていた。この個性的なスープが理解できるようになるにはまだまだ修行が足りないと実感した。残念ながらスープを諦めて麺へと進むことにした。

箸で麺を持ち上げてみると、一本あたりの重量がかなりありそうな中太麺を採用されている。麺上げまでも240秒程と思われる麺質は、みっちりとグルテンを内に秘めた張り裂けんばかりの膨らみを見せている。やや透明感のある麺肌には滑り心地の良さそうな薄い粘膜も見られる。そんな中太麺を一気に啜りあげてみると、先ほど感じたスープの獣臭さがパワーを増して伴ってきた。やや縮れのある滑らかな麺の啜り心地は最高なのだが、伴う吸気が残念で仕方ない。それ以降は一切すすり込む事をやめて、ゆっくりと口に運ぶ食べ方に切り替えた。そうする事で幾分は獣臭を抑える事ができ、麺の持ち味を感じられた。奥歯を押し返すような噛み応えからは加水率の高さを想像でき、噛めば溢れる風味からは小麦粉の質の良さを感じられた。

具材のチャーシューは豚肩ロースの低温調理が大判厚切りで一枚入りで、ロゼ発色が美しく食欲を大いにそそる。とは言え、極レアチャーシューのような下品さや、半ナマによる保健衛生的な心配がないのが見て分かる。それは低温ながらも時間をかけなければ成し得ない仕上がりに見える。そんな見た目に全幅の信頼を寄せて食べてみると、しっとりとしてるが〝肉〟を頬張っている野性味も感じられるワイルドな食べ応えが頼もしい。下味の付け方も、出過ぎるでも足りないでもなく好印象な仕上がりだった。

さらには追加した味玉の出来栄えも完璧だった。私の〝味玉論〟の模範とも言うべき熟成感が素晴らしく、噛んだ瞬間の温度の高さも申し分ない。しっかりと温め直された仕事ぶりの上にネットリとした黄身が舌全体を覆うと、そこは楽園とも呼べる恍惚の世界だ。こんな風に大げさに語りたくなるほどの味玉だったと言いたいだけだ。

メンマはサイズの不揃いな板メンマが多く盛られているが、これと言った印象を思い出せないのが特徴だろうか。それほどに裏方に徹しているメンマだったのでマイナス材料は無かったのだろう。

薬味は白ネギが粗く刻まれて添えてあったが、乾いた切り口からは舌触りの悪さばかりが目立ってしまい香りも感じられなかった。たしかに薬味の香りを必要とするタイプのスープではなかったが、もう少し鮮度を大事にしても良いのではないだろうか。

青みの水菜には手抜き薬味としかおもえず、愛着が全くないので今回も必要性を感じない。炒りごまも入っていたが、香ばしさを知ることなく存在が消えていた。海苔も見るからに黒とは違った緑色をしていたので、劣化が気になり口にする事はなかった。

今回の対戦は、味玉の評価が採点を大きく上げたので60点を超えてくれた。もし味玉を追加してなかったら確実に採点は下がっていたはずだ。

これで通算対戦成績は30戦14勝8敗7分7KO 1没収試合となり、スパコンのオススメに再び疑問を抱き始めた。現時点でスパコンがオススメしているのは、つけ麺レビューが一件もない私に対して、つけ麺専門店が四店舗も挙がっている。さらにはラーメンを扱う店となると都内には一つもない状況となっている。こんな試練の中でもRDBのオススメを信じたいと願っている自分がいる事を知った一杯でした。

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「ぜんやラーメン ¥750」@ぜんやの写真日曜日 晴天 13:40 先待ち4名 後待ち5名

〝温故知新ラーメンめぐり〟

故き麺を温ねて新しき麺を知る

本日は10数年前のラーメン本に触発されて、現在でもファンに愛され続けている名店めぐりをしている最中だ。自宅を出発する時から狙いを定めていた二軒目がコチラなのだ。

午前中の一食目に選んだのが埼玉 志木駅にある「麺家 うえだ」だったので、そこからの移動も簡単で10分ほどで最寄りの新座駅に着いた。そこで駅前散策をしながら胃袋の空きスペースができるのを2時間ほど待とうと思ったが、新座駅前こそ賑わいがあるが少し離れると車しか走っていないような通りで散歩気分は湧いてこなので再び駅前に戻りコーヒーを飲みながら時間をつぶす事にした。

RDBのお店情報によるとオープンして15年以上も人気店であり続ける埼玉県屈指の有名店だ。私の持っている昔のラーメン本にも度々登場するので、行かなくても名前だけはもちろん知っていた。そんな人気店に初訪問するキッカケになったラーメン本に感謝したい。

そんな事を考えていたら程よく時間も経過し連食スペースも空いてきたので、意気揚々と店を目指した。駅前からは横断歩道の極端に少ない川越街道を渡り5分ほど歩くと、満車の駐車場に隠れた暖簾を見つけた。日曜日なので昼ピークは関係なく満席で外待ちベンチには行列もできている。しかしこの行列が有名人気店の証のようでうれしくもある。最後尾に続いて席が空くのを待っていると流れが良かったのか、わずか5分ほどで入店の案内があった。店に足を踏み入れた瞬間に美味そうな香りが鼻をくすぐった。

シンプルなメニュー構成の券売機の中から連食なので基本のラーメンを発券した。好物の味玉のボタンを探したが存在しなかったので、カウンターに座り店内を眺める。メニュー構成と同じくシンプルなカウンターだけの店内をご夫妻のお二人で切り盛りしている。接客や洗い物などの片付けを奥様が担当し、ご主人は調理に徹している。そのご主人の白衣に白帽の正装姿が凛々しくラーメンへの期待も高まる。厨房内には麺ゆで機や食洗機などの大きな機材はないが、ステンレス製の両手中華鍋が麺ゆで用に鎮座しているのが目に入った。これもまたシンプルに一種類の麺だけを使用すればこその設備である。そんな中華鍋から麺上げされる巧みな平ザルさばきに見とれていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の反高台丼の中で神々しく輝いている。何の奇もてらわない真っ直ぐに光り輝く景色は黄金卿のようである。そんなエルドラドに心を奪われていると、まぶしいスープからは店内に満ちた良い香りを、より濃縮させた香りが立ち昇ってくる。期待値の限界点を超えたところでレンゲを手にとった。

まずは香味油の細やかな粒子が浮かんだ金朱雀色のスープをひとくち。透明感がありそうで実は曇りガラスのような霞みがかったスープをレンゲですくい上げると、更に香りが強くなった。それはクセを殺した動物系スープの香りだった。その香りと共にスープを口に含むと丸鶏主体のスープではあるが、鶏油の野性味あるコクや香りがほとんどしない。どちらかと言えば動物系スープでも豚由来の風味を強く感じる。スープが少し霞んでいるのは豚ガラも炊かれているのだろうか。香味油も鶏油ではなくサラリとした香り高いラードなのが分かる。その動物系スープの陰に隠れて香味野菜の香りと甘みが存分に感じられるスープだ。更にその後ろには昔ながらの不自然な旨味が潜んでいるのが私には残念ではある。塩ダレも本当に塩を使っているのかと疑いたくなるほどに角がなくまろやかだ。たしかに美味いが危険な中毒性がありそうだ。

麺は平ザルで湯切りされた黄色みのある中太麺で少しちぢれた麺肌が特徴。麺上げまでおよそ100秒だが、全てはご主人の体内時計と指先だけで計られていた。黄金色のスープから持ち上げると「お前も黄金色なんかぁーい」と、ツッコミを入れたくなるほどに美しく輝いている。そんな美麺をすすり上げると、加水率の高そうな腫れ上がった麺肌が口の中で弾け飛ぶ。麺のちぢれが加わる事で更に口内を暴れまわる。見た目は美しいがお転婆な気質を持った麺に、すぐに惹かれてしまった。やはりヤンチャなくらいの食べ応えがある方が噛みつぶす楽しさを生んでくれる。

具材のチャーシューは部位違いで二枚。どちらも小ぶりだが異なる肉質の食感を表現している。どちらもロースト型で、豚モモは脂身のない赤身の肉々しさが特徴。少しパサついた感もあるが味付けの良さでカバーしている。一方の豚バラは適度な脂身が甘さを引き出されてトロトロすぎない仕上がりも良かった。本来は赤身派なのだが今回は豚バラに軍配を上げた。

板メンマも出しゃばらない味付けでコリッとしたアクセントだけを務め上げている。

薬味の白ネギは計算されているのかは分からないが厚めに切られた小口切りの部分と、繊細に切られた部分の両方が添えてあった。粗々しい白ネギからは大胆な食感と強めの香りと辛みが出ていて、細かな白ネギからは軽やかな食感と程よい刺激臭が出ているので、ひとつの薬味なのに複雑な要素を与えてくれていた。

青みのほうれん草も偶然かもしれないが葉先の部分しか入っていなかった。茎の部分が見当たらないのが不思議で隣のラーメンも見たが、やはり葉先部分だけだった。これも狙いだとしたら真意を知りたくなった。

沢山の不思議を感じながらも麺と具材は平らげていた。しかしスープはこちらも飲み干すことはできず残念ながらレンゲを置いた。丼に残ったスープの量を見て、惜しげもなく大量に注がれている事に気が付いた。これを飲み干したら誰しもが満腹になりそうな量なのにも最後ながら驚いた。

今回のラーメンをキッカケに平成最後を機にして老舗めぐりをしようと考えていたが、昔ながらのラーメンには苦手な非天然由来の旨味成分との戦いが付きまとう事になるのを暗示する一杯となりました。

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「味玉鶏清湯らぁめん ¥950」@らぁめん冠尾 恵比寿ガーデンプレイス店の写真平日 晴天 11:15 待ちなし 後客5名

〝ニューオープン狙いうち〟season2


またもや恵比寿の新店情報が舞い込んできた。


新規参入の少ない恵比寿エリアなのだが、今月中旬には西口方面に新店がオープンしたばかりなのに今度は恵比寿ガーデンプレイスでのニューオープン情報だ。普段からよく利用するエリアなのだが、ラーメン店となると良店どころか絶対数が少ない。激戦区のようなライバル店はないが、ラーメンに対する需要も少ないと思われる地域に出店されたコチラの情報をRDBにて調べてみる。

お店情報によると場所はガーデンプレイスでも飲食店エリアのグラススクエア内の地下一階となっている。以前にも施設内唯一だったと思われるラーメン店があった場所のようだ。想像するに高額な賃料だと思われるので資本系なのかと思ったが、店名に見覚えがある事に気がついた。調べてみると恵比寿の西口にある店の二号店らしい。資本系ではないにしろ個人店での初出店には難しい立地なので、二号店ならばと納得ができた。

そこで本日は初訪問を決めると11時半開店前の現着を狙って家を出た。初夏の陽気だが心地よい風が気持ち良いので散歩がてらに歩いて向かう。余裕を持って一時間も前に出発したので散策を楽しみながら30分ほどでガーデンプレイスに着いた。この場所にいつ来ても感じるのは、都心でこれだけの贅沢な土地の使い方をしている場所が他にあるだろうかと思ってしまう事だ。駅から少し離れているとはいえ、公園でもない商業施設なのに目の前に広がる開放感はガーデンプレイスならではの絶景だ。

そんな優雅な空間に吹く五月の風を感じながら地下へと降りていくと、目的地の飲食施設内にオープンしたコチラを見つけた。定刻の15分も前に着いてしまったので行列もできてなかったのは、まだまだ昼時前なので施設内の人通りも少なく穏やかな空気が流れているからだろう。そんな人通りは無いにしてもガラス張りの店先で一人で並んでいるのも恥ずかしいので、周辺の飲食店リサーチを兼ねて周辺を歩いてみる。ビルができた当初は地下一階の全てを飲食が埋め尽くしていたが、現在は半分以上が改装中となっている。たしかにいつ来ても人がごった返している印象がない場所だが、この落ち着いた雰囲気もガーデンプレイスの魅力だと思っている。そんなオフィスビルとも観光地とも位置付けが微妙な土地への初進出には確固たる勝算があっての出店だろう。

そんな余計な事を考えながら定刻に店頭に戻ったが、店先のライトは点いていたが立て看板は背を向けたままで開店していない。ガラス越しの店内ではスタッフが開店準備をしているので、もう少し待つことにした。すると定刻を3分だけ過ぎて扉が開けられてオープンとなった。お店側にしてみれば、たったの3分かもしれないが待ってる側からすれば、どうしてその3分を守られないのか不思議で仕方ない。

客に対する店側の意識を残念に思ってしまったが、ラーメンの評価には含まないと決めているので気持ちを仕切り直して店内に入る。通路に面したフルオープンの店内の左手に置かれた券売機にて予習しておいたイチオシの鶏白湯にしようかと思ったが〝清湯〟の二文字に気持ちが動いてしまい表題のボタンを押した。

ホールスタッフさんがお冷を置かれたカウンターに誘導されると腰を下ろしてから店内を見渡してみる。コの字カウンターとテーブル席もある広めの店内を、本日は盤石の五人体制で回している。スタッフ間の会話からは新人バイトやオーナーのような指導係の方も店に出ている。オシャレな恵比寿にふさわしい内装が目を引くが、漁船などで使われる集魚用の大型舶用電球が中でもインパクトを残す。コの字カウンターの内側が調理スペースとなっていて麺上げ担当と、小鍋でのスープを沸かし直すスタッフで分業制で仕上げられていく。さすがに二号店ともなればスタッフのコンビも見事で無駄がない。そんな新店ながら安定した調理工程を眺めていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は粉引の屋号入りオリジナル鳴門丼の中で清々しい表情を見せている。単調な色彩の中に緑色を効果的に使った景色には清潔感もある。サッパリとしてそうな第一印象のままにレンゲを手にした。

まずは薄香色のスープをひとくち。清湯ではあるが微かな霞んだスープにレンゲを落とし込んでみると、甘みを抱えた鶏出汁の香りがフワッと上がった。レンゲの中ですら透明感は少なく見えるが濃度は淡くサッパリとしていそうだ。そんなスープを口に含むと、鶏白湯にも似た獣臭さの一歩手前の独特の風味が口に広がった。見た目の淡麗さと違って高濃度のコラーゲンが舌を覆い尽くす。それが粘りとなって感じる口当たりには意表を突かれた。鶏由来の動物性コラーゲンと昆布由来のムチン成分の重なりがスープに滑らかさを与えているようだ。券売機に書かれたウンチクにもあったように、濁りの残った毛湯(もうたん)スープの中に鶏ひき肉を加える事でタンパク質の凝固作用を利用して濁りを取り除いた清湯スープ仕立てとなっている。それなのにスープに透明感がないのは野菜のブロード由来のくすみのせいだろうか。スープに感じる甘みも野菜由来だとすればブロード由来だと合点がいく。

麺は何故かタイマーのタイミングと違って実質55秒ほどで麺上げされたストレート細麺。持ち上げた箸先からは加水率の低そうな麺質と、全粒粉を配合されたフスマの粒微かにが見られる。ストレート麺と言っても緩やかな周波で波打った麺の口当たりは、儚くも切ない柔らかさを打ち出している。もしかしたら茹で過ぎとも思える腰砕けのような麺には物足りなさを感じるが、スープとの相性を考慮しての茹で加減だとは思うが好みとからは外れたいた。

具材のチャーシューは鶏出汁を意識した構成となっている。それは鶏ムネ肉と鶏モモ肉の異なる特徴を活かした調理法で仕込まれていて、まさに〝とりざんまい〟とでも言うべき二種類が入っている。鶏ムネ肉は最先端の真空低温調理で仕込まれたレアチャーシューで、ハムのような独特の食感と、スパイスの利いたマリネ液の漬け込みが素晴らしい。味気なくなりがちな鶏ムネ肉を、味わいのあるチャーシューに仕上げてある。一方の鶏モモ肉はタコ糸でしっかりと巻かれて煮込まれたタイプで、提供時には皮目を炙った香ばしを加えてある。その炙りのひと手間が、鶏モモの脂身の旨さを上手に引き出していた。

追加した味玉は、熟玉好きの私には不満要素が多い味玉だった。それは黄身の大きな高品質の卵で仕込まれてはいたが、味玉としては寂しい仕上がりで残念だった。〝ゆでたまご〟としては完璧な旨みを発してはいるが、漬けダレの醤油感などは一切感じられなかった。もちろんこの薄味仕立ての味玉も、スープとのバランスを考えられてだとは思ってが物足りなく感じてしまった。

本来ならば具材としてのオリジナリティを表現するはずの二つの具材が、このラーメン全体を邪魔しているようで必要性を感じられなかった。その一つはマッシュルームにも見える〝ふくろたけ〟と呼ばれる中国原産のキノコ類で、現地加工の水煮を使われている。ここでもスープに比例するように薄味で仕込まれた〝ふくろたけ〟を噛んだ瞬間に、保存を良くする為の〝クエン酸〟の不快臭ばかりが鼻に付く。これならば特異性を出す為だけの具材の必要性を全く感じなかった。

さらに不必要に思えたのが、茹でモヤシの存在だった。決して茹で置きするのではなく麺を茹でるのと同じタイミングでモヤシを茹でられていたのは良かったのだが、モヤシ自体の品質に問題があったようだ。それは食べなくても明らかに見て分かるモヤシの劣化状態で、透明感を欠いたモヤシのヒゲ根は黄色く変色してしまっていた。いわゆる〝アニキ〟と呼ばれる前日の残りのモヤシを使われていたのだ。そんなモヤシからは独特のアンモニア臭が漂い、アクセントとなるとどころか不快感しか与えてこない。言わば朝イチの客だったので〝アニキ〟の洗礼を受けたのだと思うが、本来の香り高きモヤシを食べてみたかったと悔いが残った。

青みを担当するインゲン豆にも具材としての必需性は全く感じられなかった。こちらも盛り付けの直前に茹でられているので鮮度こそは素晴らしいのだが、個性的すぎる食感には共感できなかった。それならば食感だけでなく、香りや旨みとしてもサポートしてくれる薬味を望んでしまった。

薬味は白ネギと青ネギな双方を添えてあり拘りも感じられたが印象には残っていない。

中盤から平均的ではあるが、満足度の低い構成のままに終わりを迎えようとしていた。私よりも後から訪れた客人の全てがイチオシの〝鶏白湯〟をオーダーしているのを見て、今回もメニューのミスチョイスなのかと思ってしまった一杯でした。

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「鯛の塩らーめん ¥600」@堂の浦 駅前店の写真日曜日 晴天 17:30 先待ち2名 後待ち20名以上

令和改元記念 特別企画

〝諸国麺遊記 中四国編〟

何気ない気持ちで訪れた中国地方の島根県から端を発して、気が付けば高知駅前の坂本龍馬像を見上げている。

昨夜の高知宿泊後の朝メシがてらのラーメンを食べ終えると無計画のままに高知駅まで歩いてきた。すでに南国の暑さが押し寄せている駅の構内で次なる目的地を香川県と徳島県の二択には絞っているのだが、交通手段が分からずに迷っていた。

ルート検索で乗り換えなしで行けるのは、地図のイメージの中では隣県である徳島県だと思っていたが、実際には乗り換えが必要らしい。逆に遠いと思っていた香川県には乗り換えなしで行けるようだ。どちらの県に向かうとしても途中までは同じ列車という事だ。それならば楽に行けそうな香川県 高松駅へと向かおうと窓口に行ったら、目の前のポスターに載っている列車の車両のキュートさに心を奪われてしまったのだ。

それが〝アンパンマンサロンカー〟のポスターだったのだ。

駅員さんに詳しく聞いてみると JR 四国内を走るアンパンマンのラッピングカーとは違い、座席のないプレイルームを連結した列車があるという事だった。それを知ると大人ながらもぜひ乗ってみたいと好奇心が芽生えた。すると次発の徳島行きが、途中の乗換え駅の阿波池田からはサロンカーを連結しているというのだ。先ほどまでは高松駅に向かおうと思っていた事など忘れてしまい、徳島行きのチケットを購入した。GW中は入手困難なチケットらしいが、本日は休日ながらグリーン車が空いていた。これにて次の目的地は徳島に決まった。

高知発 12:13 JR 土讃線特急 南風14号岡山行きにて出発となった。まずは乗換え駅まではラッピングもされてない通常よりの車両で山あいの線路を走る。途中の「大歩危 小歩危」の壮大な景色も眼下に眺めながら一時間ほどで阿波池田駅に着いた。すると既に連絡待ちをしている JR 徳島線特急 剣山8号が向かいのホームに停車していた。その車両を一目見ようと乗車客以外も写真撮影をするほどの人気車両のようだ。乗車客である私は大人気なくも子供達に続いて乗り込み、記念撮影をした。本当に子供達にすれば座席に座らなくても良いという自由で夢のような車両だった。私も寝転がってみたかったが、さすがに自粛して指定席に戻った。

しかし戻ったグリーン席も圧巻のロケーションだった。通常は車両すべてがグリーン車たが、この特急 剣山号は自由席車両の前方部分の6席だけをグリーン席としているのだ。シートピッチもわずかに広いかもしれないが、私の予約席が一番前の右側座席だったのだ。当然、運転席は左側にあるのでわたしの目の前には運転席と同じ光景が広がっているのだ。その景色はまるで「電車でGO!!」さながらである。山間部から徐々に平野部へと変わる景色を楽しみながら一時間ほどで終点の徳島駅に着いた。

その車中ではRDB総合ランキング徳島県第1位を調べると予想通りに徳島ラーメンの雄「いのたに」が君臨している。しかし25年ほど前に一度だけ本店を訪れた事があるので今回は僅差の第2位であるコチラを目指す事にした。

お店情報によると営業日ではあるが、昼の部は売り切れ次第終了となっている。徳島駅に着いたのが 14:45となんとも微妙な時間帯だが、望みを込めて駆け足で向かってみる。マップを片手に急いだが、ひとつ手前の商店街のような路地に入ってしまい大きく迂回する事になり大幅なタイムロス。ようやくひとまわりして店先にたどり着いた時には半シャッターで準備中となっていた。

残念ながら昼の部には間に合わなかったが18時からの夜の部に再訪すると決めて、徳島駅周辺を観光する事にした。しかし前食から四時間も経過している上に脳内では連食予定だったので、腹が減って動き回る気力がない。そこで駅ビルの中のコーヒーショップで夜を待つ事にした。しかしこのスタバは国内の主要駅には必ずと言っていいほど併設してある。たしかに便利で何度も恩恵を被っているが、駅の風情としてはどこに行っても似たように見えて味気なさも感じる。スタバはなかったが東北遠征で行った酒田駅や津軽新城駅の方が思い出には残る。

なんとか時間も過ぎると18時の開店前を狙って17時半には店先に戻った。すると半シャッターの店頭に置かれた丸イスには二人が待っていた。それに続いて三番手をキープして外待ちイスに座った。店頭に置かれたメニューから品定めをするが、いずれも鮮魚系のラインナップを見て初めてそうだと知った。都内では鮮魚系のラーメンで嫌な思いをしているので、少し心配になったが基本らしきお題に決めると覚悟した。この後の高松へのルートなどを調べているうちに気が付くと長蛇の列になっていた。定刻の10分前には軽く20名は超えているように見えた。

すると定刻より4分早くオープンとなった。券売機はなく、細長い店内の奥の方へと案内されてカウンターに座り卓上メニューで確認する。やはり鮮魚系しかないので決めておいたお題を告げて店内を見渡す。とにかく細長い店内を本日は五人体制で回している。薄暗い奥にはテーブル席もあるようでグループ客が流れ込んだ。厨房に目をやると男らしいダイナミックな光景が目の前に広がる。それはスープを水色のよくあるポリバケツの中から、お玉で片手鍋に移しているのだ。もちろん専用で清潔だとは分かっていても気になってしまう。しかしそれが鳴門の漁師の荒々しさを表現してるのだと自分に言い聞かせて心を鎮める。本日は麺上げ担当が新人さんだったのか、隣には腕組みをして作業を見つめる先輩の姿があった。

そんな中でも手際よく仕上げていくが、鮮魚系のメニューの種類が多いので素人にはオペレーションの仕組みが全く理解できなかった。それは私を含めた先頭から三人のラーメンが提供されないうちに後客のラーメンが配膳された事だ。ラーメンを見る限りは私と同じラーメンに思えたが何故そうなったのかは定かではない。それを不思議に思って待っていると着席して10分の第2ロットにて我が杯が到着した。

その姿はさすがに鳴門の渦潮をイメージした鳴門丼の中で独特のインパクトを見せつける。それは具材に使われた鯛の皮が、そう思わせるのは一目瞭然だった。シンプルながらも個性的な表情を確認するとレンゲを手にとった。

まずは少し霞みがかった砥粉色のスープをひとくち。都内での前例から恐る恐るレンゲですくったスープの香りを嗅いでみる。すると一瞬フワッと独特の生臭さに近い魚の香りがした。やはりこのタイプのスープはそういうものなのかと思ってしまったが、飲み込んだ後の香りには魚臭さを感じなかった。不思議に思い直ぐに二口目を飲んだが、今度は初動で感じた不快な臭いが全くしなかった。さらに後味は良くなりクセのひとつも感じなかった。このスープにはカエシという概念は無いのかもしれないが、塩気も非常に穏やかで特有の喉を刺すような塩分過多とは無縁の鯛出汁だった。

口の中がシーパラダイスと化したところへ麺を啜り込んでみる。麺上げまで60秒ほどのストレート細麺はスープの中で繊細そうな麺質を見せたいる。箸で持ち上げるとラーメンではないようにしなだれ掛かる。それは鯛の煮麺を思わせる優しげな姿だ。スープが高温で麺の熱変化も早そうなので、急いで麺をたぐってみる。スルスルっと滑り込んできたかと思えば、ほのかな麺の甘みをにじませて喉の奥へと落ちて行く。儚さや物足りなさを感じさせるくらいに控えめな麺質に思える。また塩気の優しいスープとの相性は間違いなく、気が付けばこの組み合わせの虜になっていた。

具材と言っていいのだろうか、鯛の皮を揚げたものが添えてあった。その個性的な具材からは生臭さは全くせず、カリッとした食感が皮せんべいを食べているようでアクセントになっている。またスープに浸された部分は適度に柔らかくなっているので、麺と一緒に楽しむ事ができた。

薬味は白髪ねぎが香りと食感をサポートしており、煎りごまの香りも鯛のアラ出汁との相性は申し分ない。しかし青みのカイワレに対しては大きな印象が残らなかった。

周囲の常連客はほとんどが五穀米のような色付きご飯を追加して、〆は定番の鯛茶漬けとして楽しんでいた。このラーメン一杯で完結するタイプではないようで、満腹感としては物足りなさも正直感じた。

しかし得意ジャンルではないと思われた鮮魚系だったが、最後まで箸のスピードは落ちる事なく完食完飲していた。心配された塩分過多も後味の悪さも無いのには正直驚かされながら席を立った。

店を出て今回の中四国遠征の最後の地である香川県に向かうために、再び徳島駅へと戻ることになる一杯でした。

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「塩ちゃーしゅー麺 ¥1000」@らーめん 鉢ノ葦葉 本店の写真日曜日 晴天 14:10 店内待ち2名 中待ち2名 外待ち1名 後待ち10名

本日の名古屋遠征の三つの目的の二つ目がコチラへの初訪問だ。今年の春先に行った〝ラーメン奇行〟で東海地方を訪れた影響で、RDBのスパコンのオススメ店に急に東海地方のラーメン店が乱立してきた。スパコンに挑戦状を叩きつけられては黙って引き退るわけには行かず、初対決を決めた。前食の名古屋市で食べた「らぁ麺 紫陽花」のご主人の修行先が偶然にも今回の東海遠征の目的の一つとしていたコチラだった事を知り、運命を感じながら「らぁ麺 紫陽花」を出て、バスと近鉄特急を乗り継ぎ1時間と少しで近鉄四日市駅に着いた。まだ胃袋に余裕がないので駅前のカフェで1時間ほど時間をつぶすと、ようやく連食スペースが空いたので歩いて店を目指した。

地元の方がバーベキューを楽しんでいる公園内をショートカットして進んでいくとコンビニのある交差点の先に大きな看板のコチラを見つけた。しかし通り沿いに入口が見つけられず駐車場をぐるりと一周すると、裏手の川沿いにある入口をようやく見つけた。店頭の外待ちイスには私よりも高齢の先輩が一人座っていた。それに続いて待機となった。しかし先には中待ち、店内待ちと二段構えのウェイティングシートが設けてあった。トータル6番手として並びに続いた。

ここで〝第27回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟をようやく開催する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく、自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去26戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は26戦12勝6敗7分7KO 1没収試合と現在は私の勝ちが大きくリードしている。

過去の対戦相手は東京近郊が多く、関東以外での開催は初めてとなる。しかも今回オススメ店に挙がったコチラはIT系(意識高い系)オジサンにはうれしい〝無化調〟を掲げているので個人的には期待度がかなり高い。待ち時間を利用して本日の品定めをすると筆頭メニューには塩ラーメンが挙げられており、皆さんのお薦めも塩系が多いようだ。本来はイチオシが塩系でもマイスタンダードの醤油系を注文する事が多いのだが、今回は郷に入れば郷に従えに則って塩系で勝負を挑もうと決めた。自身の採点方法も加点方式ではなく、減点方式なのでトッピングが増えるほど減点対象も多くなるのでスパコンには不利になるが具材の豊富なチャーシュー麺にしようと決めた。

5分ほどで中待ちに昇格すると券売機で食券を購入し再び待機する。来店時から10分ほどで店内待ちを経てカウンターに昇格した。店内を見渡すとテーブル席の方が多く設けられた広めの店内だ。二名席を相席で使用していないので回転率にムラが出るが一人客にはありがたい心づかいだ。調理場内ではご主人が淡々と調理をこなしている。程よい力の抜け加減が逆に食べ手に安心感を与えてくれる。そんな店内をご主人以外は女性陣の四人体制で回している。本日の客層は地元客が多く、年齢層もバラバラなので老若男女に愛されているのが分かる。

そんな地元感あふれる店内で待つこと3分の早さで我が杯が到着した。その姿は白磁のオリジナル高台丼の中で潔く清らかな表情で迎えてくれた。後ほど書くことになるが、この表情を見た時に午前中に食べた「紫陽花」の修行先である事が食べずとも分かった。

まずは微かに霞みがかった蒸栗色のスープをひとくち。味覚の感度を研ぎ澄ませる為かスープの温度は低めの設定だった。立ち昇る湯気もないのでレンゲでスープをすくって香りを確かめてみると、魚介系の中でも優しく煮干し香がひっそりと香る。さらには鶏由来の動物系出汁もほのかに香る。どちらも香りは穏やかだが、旨みがジワジワと広がってくる印象だ。日本酒ならば純米酒タイプのようで、香りは立てず深い味わいで勝負している。香味油がさりげないコクを与えてスープの潤いを増している。カエシの塩ダレは私には高めギリギリだったが、ダイレクトな塩気の角を感じないので舌に残る刺激はない。シャープと言うよりは豊潤なカエシは白醤油主体だろうか。この後も次から次へと複雑な旨みが湧いてくるので、かなりの手間がかかったスープだと分かる。

麺は自家製の中細ストレート麺で麺揚げまでは75秒くらい。こちらの麺もご主人の指先の感覚だけで茹で時間を測られている。淡々と見えるが実に繊細で的確な作業をこなしている。そんな愛に満ちた麺を持ち上げてみると、エコ箸では捕らえられない程に滑らかな麺肌が箸先から伝わってくる。箸立てには割り箸も用意されているが箸先に角のない箸なので、どちらを選んでも滑りやすさは変わらないだろう。そんな麺質と格闘しながら口に運ぶと、口当たりと舌ざわりの良さが特徴となって現れた。第一印象では苦手なタイプの咀嚼から逃げる麺質かと思ったが、思いのほか弾けるようなグルテンが詰まっていて食べ応えも歯切れも良い。しっかりと咀嚼に応えてくれて、麺を噛みつぶすと小麦の香りと甘みがフワッと香る。この甘みとスープの塩気のバランスが素晴らしいので、おしとやかな麺だが食べ飽きずに箸が進んだ。

具材の鶏ムネチャーシューのフォルムを見て「紫陽花」の店主さんの修行先の一つがコチラだったのを確信した。鶏レアチャーシューは都内でも多く見かけるが、この独自のフォルムのものは見た事がない。大げさに言えばアーモンド型とでも言うべき形状はオリジナルの製法によるものだろう。インパクトのある形を度外視しても優れた点は多くある。肉厚による食感の良さもその一つで、ふっくらとしてシットリとした鶏ムネ肉の持ち味を十二分に引き出している。味付けは少し足りないくらいだったが、スープと食べる事で回避できた。

チャーシュー麺にしか入らない豚ロース焼豚も肉厚さを売りにしている。キレイに発色したレアチャーシューは赤身の質の良さを感じ、味付けの下味もしっかりと浸み込んでいるので味わいが深い。鮮度と調理技術の両面で存在感がある。一方の豚肩ロースも低温調理で供された。こちらも厚切りで赤身を肉質を楽しむタイプに仕上がっているが、筋切りが悪く噛み切れない部分がいつまでも口に残ってしまったのが悔しい。味付けは文句なしだっただけに残念で仕方ない。

チャーシュー麺なのにワンタンが、ひとつ入っているのもうれしい。最初はワンタン麺にしようかと思っていたのだが、このワンタンに惹かれてチャーシュー麺にしたのが本心だ。ワンタン皮のヒダの部分の透明感から食べなくても口当たりの良さは感じられる。肉餡の部分だけを噛んでみると粗ミンチながらもフワッと柔らかな肉餡からは、香味野菜の香りが弾け出した。肉餡のボリュームはあるが肉質の軽やかさと香味野菜の香りがサッパリとした印象を受ける。残ったワンタン皮は瞬時に喉の奥へと消えてなくなる程に滑らかだった。たったひとつでも強い印象を残してくれた。

細メンマは主張しすぎない味付けと程よく硬さを残した下処理が、滑らかな麺の食感をサポートしてアクセントを付けてくれた。本数も多く幾度となく存在をアピールしていた。

薬味は大きく切られた青ネギと三つ葉が添えてある。ともにワイルドな香味を与えてくれる。小口切りのような強い香りの出し方とはひと味違ったアクセントとなっていた。また香ばしさを加える役目の焦がしネギは、軽やかな苦味も揚げネギならではの甘みも感じなかった。このラーメンの中では存在感が一番ない具材だった。

中盤からもスープに不可解な要素は感じる事なく完食完飲していた。やや残念な具材もあったが減点方式を採用しても高評価にせざるを得ない内容だったので、この対戦はオススメしてくれたスパコンの勝利となった。これで通算対戦成績は27戦12勝7敗7分7KO 1没収試合と、まだ勝利数がリードしている。

最近はスパコンのオススメ精度が向上したのか、本日の私の負けを含めて引き分け以上が続いている。この調子で次なる刺客を挙げて欲しいものだ。

この対戦を無事に終えたので、この東海遠征の二つの目的は果たした。あとは本日のメインイベントとでも言うべき、夜のネオン街に繰り出す準備をするために名古屋駅直結のホテルにチェックインして身支度を整えて、小さな荷物と大きな羞恥心を部屋に置いて夜の帳へと消えて行く一杯となりました。

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