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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.119点
最終レビュー日 2019年10月18日
662 553 14 2,119
レビュー 店舗 スキ いいね

「白豚骨ラーメン (ベーシック豚骨) ¥750+味玉 ¥100」@豚骨ラーメン 色彩の写真平日 曇天 13:30 先客9名 後客1名

〝ニューオープン パトロール〟

本日の連食先に見つけておいたのが秋葉原に程近い末広町に、先日オープンして二日目のこちらなのだ。前食の渋谷から銀座線で20分程で乗り込んできたのだが、あまりの移動時間の少なさから連食できる余裕もなきので久しぶりのアキバ観光を楽しんでから向かう事にした。

時代の移り変わりの激しい東京の中でも目まぐるしく変化し続けている秋葉原なのだが、半年も来てないと街の変貌ぶりに驚かされてしまう。ひと昔前には宿泊施設など数えるほどしか無かったのに、外国人観光客をターゲットにした簡易ホテルなどが裏通りにまで乱立している。街中に外国語表記が増え続けて、今では日本語を探す方が難しく思ってしまうほどだ。そんな変わりゆく秋葉原を二時間ほど散策していると、随分と消化も進んで胃袋に空きスペースが出来たので新店への初訪問を目指してみた。

最寄駅は末広町となっているが、所在地は秋葉原と言っても良いくらいの目抜き通り沿いにあった。以前はサラリーマンの味方の蕎麦チェーン店があった場所に、突如としてド派手な店構えのラーメン店がお目見えした。屋号とリンクするカラフルな外観が目を惹く造りとなっていて、店頭のサンプルショーケースからも外国人観光客向けのインバウンド需要を狙った意図が汲み取れる造作となっている。

ガラス越しに見える店内は、ほぼ満席のようなので入口付近で呼び込みをしていたスタッフさんに中の様子を見てもらうと幸運にも空席が一つだけあったので並びなく入店となった。店内には券売機は設置されておらず POSシステムが採用されていた。しっかりと作り込まれた卓上メニューにも英語と中国語表記もされてあり、好条件な立地も含めて大手資本の後ろ盾を感じてしまう。来店前から不得手な豚骨系とは承知していたの卓上メニューの中から迷う事なく、基本と思われるお題と味玉追加をホールスタッフさんに告げてからカウンター越しに店内を物色してみる。

いかにも外国人観光客を意識した試みが随所に見られる。それは和紙をイメージさせる内装やスタッフの制服にも和柄の作務衣が採用されている点で、調理場内の什器などにも花柄の器も使われていてナントカ映えも良さそうである。ネオモダンな和風の店内を本日は四人体制で回している。調理場二名とホール二名に配置されているが、店長らしき男性が調理の全行程を担っている。まだオープン二日目なのでオペレーションも定まってない状況で、満席となった人数分のオーダーをこなすのは困難なようで POSシステムの伝票が長い帯となって繋がっている。替え玉1玉が無料なのでマー油を中華鍋であおっている最中にも替え玉の追加注文が飛び交って対応に追われている。もちろん無料なので追加伝票はなく注文した卓番が分からずに出来上がった替え玉が右往左往していた。そんなオペレーション不足に店長さんの焦りもピークに達して、イライラする様子が他のスタッフだけでなく客席にも伝わってくる。私以外のほとんどが外国人客だったのでその緊張感は伝わってないだろうが、日本人の私にはBGMのない無音の店内と重なって只ならぬ緊迫感が押し寄せていた。

そんな息苦しい店内ではあったが不思議な要素も感じていた。それは店内の空気のキレイさで独特の豚骨臭が一切しない事だ。いくら新店舗で換気能力が高いと言っても豚骨スープを炊いていれば否応なしに付きまとってくるはずの匂いがしないのには、驚くと同時にスープは別場所で仕込まれているのだと直感した。確信は持てないが工場を有する母体があるのだろう。しかし目の前のラーメンが美味ければ大手も個人店も関係ないので、心を無にして待っていると着席して15分で我が杯が到着した。

その姿は黒塗り盆の上に置かれた切立丼の中で、黒釉薬の器とスープの白がコントラストを生んで器選びのセンスの良さを感じられる。盛り付けのスピードの早さが麺にも影響しやすい豚骨ラーメンなので急がれたと思われる盛り付けには、やはり丁寧さは感じずに口縁にはみ出したキクラゲなどからも盛り付けの美しさは感じられなかった。しかしその急いだ盛り付けがラーメンの出来を左右するのも理解できるので、見た目の美しさは考慮せずにレンゲを手にした。

まずは乳白色のスープをひとくち。厚みのある陶器製のレンゲは重みがあり、液面に置いただけでも自然と沈んでいく程にスープの濃度は軽やかだった。表層には油膜も張っているので乳化加減も控えめに思われ、苦手なトンコツ感は少なく感じられた。レンゲに溜まったスープを口元に近づけてみるが、トンコツ特有の匂いが寄り添ってこないのも幸いして臆する事なく口に含んでみた。するとトンコツ由来の旨みもあるがサッパリとしていて、表層に浮かんだ香味油からかもしれないが鶏由来のコクも強く感じた。それはスープの分類を〝豚骨〟にしても良いものなのか悩んでしまうくらいに鮮明だった。周囲では赤や緑や黒いスープを楽しんでいるが、ベーシックな白に合わせてあるカエシには砂糖の甘味を強めに感じる仕上がりとなっている。全体的に甘みを中心とした動物系スープは臭みを感じさせず、トンコツマニアよりも外国人観光客を含めた万人向けと想像した。

続いて麺上げまで50秒ほどの麺を持ち上げてみると、極端な細さではない中細ストレート麺が現れた。〝豚骨ラーメン=低加水細麺〟を覆すような柔らかさが箸先から伝わってくる。見た目にも切刃の角を見せない丸い形状が予想を裏切ると、麺の重みからも低加水とは思えない手応えがある。この時は今回のロット分の茹で時間を間違えただけかとも思ったが、後のロットでも同じ茹で時間だったので基本の麺ディションで間違いないだろう。たしかに豚骨ラーメン店によくある〝カタメン〟や〝バリカタ〟などの説明書きがなかったので、王道の豚骨ラーメンとは別物のジャンルなのだろう。これが新世界への扉だと思いながら麺を一気にすすり上げると、やはり口当たりに鋭さは全くなく優しく滑りながら唇を通過して入ってきた。もちろん粉っぽさもなく、逆にグルテンの反発力をも感じさせてくれる麺だった。噛めば適度な弾力はあるが、小麦の香りや甘みはスープに負けて消されているようだ。あまり出会った事のないスープと麺の組み合わせに少し戸惑いはあったが食べ進める事は出来た。

具材はキレイに成形された豚バラ煮豚の巻き型が盛り付けてあり、見た目の美しさは表現していた。調理場内ではガスバーナーで炙る作業も見られたが、白豚骨に関しては炙られてないチャーシューが使われていた。スープによって香ばしさを加えるなどの差別化を図っているのだろうか。味付け自体は個性を抑えた平均的なチャーシューだが、目立ち過ぎずクセもない脇役的な存在となっていた。

キクラゲは細切りタイプが添えてあり、細身ながらも確かな食感がアクセントとなっていた。乾燥キクラゲに味の違いを見出せないので大きな特徴はないが、麺の歯応えの弱さをサポートしてくれて存在感はあった。

それに引き換え追加までした味玉は、薄っすらと白身に浸けダレの色素が移ってはいるが味の浸透は為されておらず私にとっては残念な味玉だった。唯一黄身に浸み込んでいたのは煮切り不足の料理酒の香りで、醤油感のない味付けはアルコール臭ばかりが際立ってしまっていた。

薬味の青ネギは粗めに刻まれているが切り口には潤いもあり、切り立てとはいかないまでも香りも感じられた。豚骨ラーメンの中では彩り要員とばかり思っていた青ネギだったが、香りとしてのアクセントとなっていたのはスープが穏やかだったせいもあるのだろうか。

中盤からは豚骨とは別ジャンルのラーメンを食べている感覚の方が大きくなってきたが、豚骨ラーメンが不慣れな私にも違和感ばかりが募ってきた一杯でした。

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「味玉ラーメン ¥730」@博多一双 博多駅東本店の写真日曜日 曇天 20:00 先待ち8名 後待ち6名

〝諸国麺遊記 九州編〟

いよいよ九州制覇のために、ご当地ラーメンという枠を越えて全国区になった博多ラーメンを地元で味わおうと博多に乗り込んできた。

前食の大分駅では運良く30分程度の待ち合わせで 17:44発 ソニック50号 博多行きに乗車できた。しかも一度乗ってみたかった青いソニック号だったので、九州鉄道ラーメン旅(いつのまにか鉄道旅も加わっている)の最後を飾るのに相応しい列車にテンションが上がった。座席も2列+1列のゆとりある配置で、黒本革張りのシートにミッキーマウスのようなヘッドレストが愛くるしいデザインだ。しかも電動リクライニングと至れり尽くせりの豪華仕様で、再びテンションが急上昇。車窓の風景も先程までの雨も上がり、夕暮れの中を二時間ほど走ると最終目的地の博多駅に20時前に着いた。

車内で予約した中洲のホテルに向かう前に、まずは博多駅近くのこちらを目指す事にした。博多駅の筑紫口を出ると歩いて10分もしないうちに一枚板の立派な看板が見えてきた。日曜日の20時にもかかわらず店先には行列が出来ているのは、さすがはラーメン王国福岡で第1位に輝く人気店である。最後尾に並ぶとスタッフさんに食券を先に購入をするように促されたので、店内右手の券売機にて基本らしいラーメンの味玉入りを発券した。再び並びへと戻るとガラス張りの店内の様子を見ながらの待機となった。

オペレーションが早いのかタイミングが良かったのか7分ほどで店内へと案内されると、L字カウンターの角席に座り店内を物色する。本日の客層は福岡でライブがあったのだろうか、セカオワTシャツを着ているカップルが4組もいる。残りの客もカップルが多く、寂しいひとり客は私だけだった。以前にも増して外国人観光客が増えた博多だが、こちらの店にも多くの外国人が訪れている。調理場内に目を向けると九州のラーメン店でよく見かけたスープ炊きの三連釜がこちらでも活躍している。強火でフル稼働の三連釜からは、他県で嗅いだ事のない強烈な豚骨スープの匂いを放っている。正直言って食べる前から胸やけしそうなほどの苦手な臭気だった。そんな店内を本日は六人体制で回しているので活気には満ちあふれている。

これぞ本場の博多ラーメンなのだと気持ちを切り替えて待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。その姿は博多ならではの〝博多織〟の柄模様をあしらった黒の切立丼の中で、かつて見た事のない猛々しい表情を見せつけている。そのコワモテに負けないように強い気待ちでレンゲを持った。

まずはスープをひとくち。液面の水泡がまるでカプチーノのように泡立ったスープにレンゲを射し込んでみると、手応えとしては清らかにも思えた。店内に満ちた匂いに少し慣れてきたので、スープを口に含んでみると、豚骨スープとしてのパワフルさではなく違う意味での強烈なインパクトを感じた。それはアンモニア臭で、その臭みは明らかにスープの油脂が生み出した酸化臭だった。この酸化臭も豚骨スープの苦手な要因の一つなのだが、関東の豚骨ラーメンでは感じる事が少ない。今回の九州遠征の中でもこれほどの酸化臭には出会わなかったので、これが本場の博多ラーメンの醍醐味なのか博多ニューウェーブの洗礼なのかは分からない。周囲では皆さん満足そうに食べていたので私だけが苦手な個性なのだろうが、スープは飽きらめて麺へと気持ちを切り替えた。

麺は博多ラーメンらしいストレート細麺で、好みの硬さを「普通」でお願いしたので麺上げまでは30秒程度。持ち上げた箸先にはカプチーノ状のスープの泡が麺肌を覆い隠している。出来るだけ苦手なスープを揺り落として麺をすすり上げると、私にとっては更なる悲劇が待ち構えていた。それは麺をすすった吸気に含まれるカンスイ臭で、豚骨ラーメンの細麺では大方全ての麺に感じる匂いだ。このカンスイ臭は先ほどの大分でも強く感じたが、スープのアンモニア臭と麺からのカンスイ由来のアンモニア臭のダブルパンチには取りつく島もないラーメンに出会ってしまった気がした。吸気に含まれるカンスイ臭を抑えるために麺をすすらずに口に運ぶと、苦手な匂いはしなくなったが麺自体に強い塩気を感じる。最初はスープの塩分とばかり思っていたが、噛めば噛むほどに塩気が増してくる。もはやスープも麺もお手上げ状態となってしまった。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型で柔らか仕上げ。皮下の脂身の甘みを引き出した控えめの味付けが、強いスープの中で対照的な個性を発揮している。ラーメンの中でチャーシューに味覚も心も癒されたのは初めての経験かもしれない。

唯一追加した味玉はスープに押されて分からなかったのかもしれないが、単なる半熟ゆでたまことしか思えなかった。表題にも味玉と銘打ってあるし、トッピングメニューにも半熟味玉子となっているので〝味付け玉子〟とばかり思ってしまった。〝味玉〟に定義はないのだろうが、せめて〝ゆでたまご〟とは区別してもらいたいと思った。

細切りキクラゲは麺の塩気を抑えてくれる緩和剤となってくれた。誰が最初にラーメンの中に入れたのかは知らないが、彩りや食感のアクセントをつける具材には感謝しかない。

薬味の青ネギからは手切り感や手仕事感は全く伝わってこない。今回の九州遠征で度々感じたのは、刻み青ネギは店で仕込むものではなく業者が納品してくれるものなのだろう。考えてみれば自家製麺はあるにしても、自家製で豚をさばいて豚骨や豚ガラにしている店はないと思うので薬味もそれと同じ感覚で業者任せにしているのだろう。

また海苔も器の色との相性は良かったが、如何せんスープの個性が強いので香りを感じる事は出来なかった。

序盤から苦戦したスープには全く手を付けられず、麺も半分以上も残してしまった。もともと得意ではないジャンルのラーメンなので私だけの見解ではあるが、博多ラーメンへの苦手意識が大きくなってしまった。

提供後2分ほどで店を後にしたが、後列は続いていたので人気の高さは間違いない。私には残念なラーメンだったが気持ちを切り替えて、夜の中洲のネオン街に繰り出すためにホテルにチェックインした。シャワーで今日一日の汗を流しながら願ったことは博多のラーメンとの相性は悪かったが、博多の女の子とは気が合って欲しいと切に思った一杯でした。

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「ラーメン(中) ¥500」@のり一ラーメンの写真土曜日 晴天 23:00 先客21名 後客10名以上

〝諸国麺遊記 九州編〟

今回も無計画なままに九州遠征を進めてきたが、熊本での前食を終えた後にバスの待ち合わせなどで一時間以上かかって熊本駅まで戻ってきた。現時刻は19時を過ぎており今夜の宿を熊本で探すか、一足伸ばして隣県まで移動するかで迷っていた。

そんな中で見上げた九州新幹線の発車掲示板に鹿児島行きが3分後にあるがチケットを買っている時間がなく諦めようとした時に構内アナウンスで、停電の影響で到着が22分遅れている事を知った。ならば熊本の夜のネオン街を諦めて鹿児島の夜を楽しむ事に気持ちが揺れた。窓口に行くと空席も多くあるようなので、先程の久留米〜熊本間を19分しか楽しめなかったグリーン車を満喫し直そうと乗車券を購入した。

新幹線の遅れのおかげで無事に鹿児島へと向かう事は出来たが、こんなの宿を確保できておらず気持ちが焦りはじめた。熊本19:12発 さくら号 鹿児島行きに22分遅れで乗車すると、すぐさまホテルをネット検索する。過去の平日の鹿児島訪問では出張客だけではなく、地元の鹿児島の人までがホテルをとって飲み明かすという鹿児島県民ならではの酒文化に見舞われてホテルが一室もないという経験をした事があるのだ。本日もその事が頭をよぎったが、逆に土曜日だった事が良かったのかホテルは選び放題で空室が多くあった。そこで今夜は鹿児島最大の夜の繁華街である天文館に宿をとって、ひとまずは寝床は確保できた。

その後は新幹線も順調に進み50分ほどで鹿児島中央駅に着いた。とりあえずは歩いてホテルへと向かいチェックインを済ませると、一日の朝をシャワーで流してひと段落した。ソファに腰を下ろして鹿児島ローカルのテレビを見ているうちに、地方タレントさんの鹿児島なまりが耳に心地よく移動時間の疲れもあったのか、いつのまにか眠ってしまっていた。

気が付けば二時間近くウトウトしていて23時になろうとしていた。慌てて夜のネオン街に繰り出そうと思ったが、小腹が空いてきたので予定していなかった本日の四食目を探すためにRDBを開いてみた。となれば地方巡業恒例の総合ランキング鹿児島第1位を調べてみると、偶然にも天文館にあると知り急遽の初訪問を決定した。

早々に身支度をして店へと向かうとホテルを出て3分もせず店先が見えてきた。繁華街のど真ん中に大きな赤のれんが掛けられた人気店ならでは風格を感じながら暖簾をくぐった。店内に入るとギラギラと欲望の渦巻くネオン街の雰囲気とは別世界の、ゆるやかな空気が流れている。それは大女将と地元のベテラン客が生み出している自然体な雰囲気から感じられるのだろう。繁盛店にもかかわらず、芋焼酎のお湯割りや瓶ビールを飲みながらゆっくりと〆のラーメンを楽しんでいる客にも、嫌な顔を見せずに見守っている大女将の人柄もあるのだと思う。本日の客層は土曜日なのにネクタイ姿の中年サラリーマンも多く、50代ではまだまだ若輩者に思えてしまう年配層だ。そんな呑み帰りのおじさんであふれる店内を本日は六人体制で回している。券売機で発券した基本のラーメンをサービスのたくわんを見ながら待っていると、着席して10分で我が杯が到着した。

その姿は双喜に龍が描かれた年季ものの切立丼の中で、思いもしてなかった景色にかなり驚いた。先程の熊本でのラーメンの表情とは全く違った透明感に目を疑った。九州全般が白濁した豚骨スープとばかり思っていたので意表を突かれたが、新ジャンルへの挑戦に心を躍らせながらレンゲを手に取った。

まずはスープをひとくち。清湯と言ってしまうには薄濁りのある半濁スープにレンゲを射し込んでみると、九州での四食目にして初めて感じるサラリとした淡麗さがレンゲを介して伝わってきた。その瞬間に立ち昇った鶏主体のスープの香りも初めてである。本日は豚骨ベースばかりだったので懐かしくもある鶏出汁を口に含んでみると、見た目と同じくサッパリとした味わいが広がった。その中には鶏ガラだけではない動物系のコクも感じたので、スープの濁りからも想像される豚骨か豚ガラ由来の旨みも合わせてあるのだろうか。同じ九州でも全くタイプの違うスープが新鮮に思えたが、それはなぜか東南アジアの麺類を思わせる南国らしい味わいにも思えた。その東南アジアっぽさの中には不自然な旨味成分が潜んでいるのは明らかだったが「旅の恥はかき捨て」ならぬ「旅の化調もかき捨て」と思い先へと進む事にした。

麺はスープの中での見た目にも、ふくよかで透明感のある中太麺を採用されている。ロットや順番によってバラつきがあるが、麺上げまでは180秒ほどで仕上げられていた。そんな麺を持ち上げた箸先からは加水率の高そうな重みが一本一本から伝わってくる。この麺にも切刃のエッジが見られないほどに膨らんだ丸みのある麺肌が、長崎 熊本との共通点とも思える。そんな優しそうな中太麺を口に運ぶと、適度に溶け出したグルテンの粘りと丸みを帯びた麺の形状が織りなす口当たりは、滑らかな啜り心地となって個性をアピールする。またサッパリとしたスープの中でも強すぎない小麦の香りとの相性も良い。その分、旨みや甘みには欠ける麺だが、デフォルトのスープにも強く使われているコショウの刺激が呑んだ後でも物足りなく思わせない風味が〆にも適した組み合わせに思えた。

具材のチャーシューは豚バラ肉が煮豚型で、豚バラの中でも赤身と脂身のメリハリがハッキリした部分が入っていた。これには赤身の噛み応えの強さと脂身の甘みのバランスが良い部分が切り与えられてラッキーだった。

茹でモヤシは茎の細長いタイプを使われていて、旨みや甘みには乏しかったが食感だけは軽やかで麺との共演では歯触りでアクセントを付けてくれた。スープは全く違えど佐賀 熊本と同様に思ったのはモヤシの量の多さで、麺の量とも変わらない位に大量に使われている事には驚いた。

薬味の青ネギの小口切りの存在感は今ひとつだったが、揚げネギの仕事ぶりには感心してしまった。穏やかなスープの中に浮かんでいるだけでは過剰に香りを発するでもなく隠れているが、麺やスープに紛れて口に入って噛んだ時の揚げネギの香ばしい甘みは持ち味をきちんと発揮していた。それはプリンのカラメルのように苦味と甘味を加えて、有ると無しでは大違いな薬味となっていた。そんな薬味が控えめに添えてあるのも更に良い。

最後まで不要な旨味が気になりながらも麺は完食できた。スープは残してしまったが、液面に浮かんだ揚げネギだけは一つも残さず拾い上げて箸とレンゲを置いた。

禁断の夜ラーへの罪悪感は否めないが、このラーメンの話題が今夜のネタになるならばと自分に言い聞かせて夜の天文館に身を隠す事になった一杯でした。

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「とんこつ あっさり(赤) ¥650」@火の国 文龍 総本店の写真土曜日 晴天 17:45 先客20名 後客15名

〝諸国麺遊記 九州編〟

ノープランの思いつきラーメン旅も、現時点では難なく長崎と佐賀を攻略できた。滞在時間は両県ともに二時間程度の弾丸ツアーとなっているが、好きな乗り物に揺られながら次に出会うラーメンを考える楽しみは至福の時間である。

さては佐賀県での九州二食目を終えてJR鹿児島本線 基山駅までは歩いて戻ってきた。そこで目指すは福岡県か熊本県の二択に絞られるのだが、何となく南に行ってみたくなったので熊本行きを決めた。そうなれば恒例のRDB総合ランキング第1位の店を調べてみると、運良く本日も営業日のようで、夜の部は17時半からとなっていた。移動時間や胃袋の状況を考えても3時間後ならば移動も連食も可能そうな時間帯なので初訪問を決めた。

ひとまずは久留米駅から九州新幹線で熊本駅に向かうために、鹿児島本線にて久留米駅を目指した。途中駅の鳥栖駅では、偶然にもサガン鳥栖のホームゲームが開催させるようでユニホーム姿のサポーターたちが車内にも鳥栖駅にもあふれている。鳥栖駅の目の前がホームスタジアムなのを、このラーメン旅のおかげで初めて知った。そんな熱気を感じながら久留米駅に着いたが次発の新幹線も、その次の新幹線にもグリーン車がない車両が続いているので、どうしてもグリーン車に乗りたくて50分後発の新幹線のチケットを購入した。その間は構内の待合室で周囲の久留米弁を聞いていると、早起きの影響と満腹のせいでウトウトしてしまった。念のためにセットしておいたアラームで目が覚めると、缶ビールを買い込んで、九州新幹線 16:02発 さくら 557号 にて熊本を目指した。

わずか19分だけの移動時間で九州新幹線さくら号を楽しむ暇もなく熊本駅に着いた。しかしそこからの移動も大変で、豊肥本線に乗り換えると15分で東海学園前という見知らぬ単線の無人駅に降りた。そこからも苦難の道は続き、乗り換えのバス停まで歩いて10分、さらに九州産交バスで20分で最寄りの小山団地バス停に着いた。そこからも歩いて15分と、車なしではたどり着くまでが一苦労の人気店である。

歩いていても遠くから一目でわかるド派手な看板が見えてきた。ただ店の裏側からのアプローチとなったので営業しているかすら見分けがつかなかったが、近づくにつれて豚骨スープの香りが漂ってきた。これで臨時休業の不安はなくなり店の表側に着くと、駐車場は満車状態で続々と客が店内に流れ込んでいく。その流れに押されるように私も店内に入った。

威勢の良い挨拶で出迎えられると直ぐに右手の券売機で食券の購入をうながされる。予習不足だったがマイスタンダードの醤油系のボタンも隅っこにあったが、せっかくの熊本なので豚骨系は外せないと思った。そんな豚骨系の中に〝あっさり〟の文字を見つけると、こってり推しとは分かっているが老い始めた胃袋を気づかって悩む事なく発券した。

非常に珍しいアイランド型のロの字カウンターに案内させると、そこから店内観察をはじめる。駐車場完備の郊外店ならではのゆったりとしたレイアウトと、ド派手な外観にも負けない赤と黒を基調とた内装が印象的だ。ロの字カウンターの中には大型の冷凍ストッカーが設置されているが、どうやって中の物を取り出すのか不思議に思った。本日の客層は私が最高齢ではないかと思うくらいに若い方が多く、こってりの有名店への不安が増した。店内にはすでにニンニクの匂いが充満しているのは卓上に置かれた謎の味噌のような物体からだろうか。ラーメンを待つ間に食べ放題の紅ショウガや高菜をセットアップするあたりが常連さんらしい姿に見える。そんなベテラン客の多い店内を、本日は六人体制でフル回転している。若いスタッフながらも熟練された麺上げの手さばきを眺めていると、着席して10分で我が杯が到着した。

その姿はシャア専用のような朱赤色のメタル高台丼の中で力強い表情を見せつけてる。それはスープの熱が冷めないように設計された真空二層構造の特殊なラーメン鉢に盛られているが、周囲を見回しても朱赤色の器は私の他には一人だけしかいない。あとの全員は黒い器で提供されているので、あっさりは〝赤〟こってりは〝黒〟という事だろう。となりの若い女の子までも黒のこってりを食べているのを見て、ひ弱な体質の自分を恥ずかしく思いながらレンゲを手にした。

まずは丁子色のスープをひとくちと思って手に取ったレンゲの中には、シャア専用カラーのレンゲと同化して見落としそうな辛味噌がデフォラルトで盛られてあった。辛味には強い方だが、さすがに辛味噌入りのスープを一口目からは危険だと察知して卓上に置かれた別のレンゲに持ち替えた。

あっさりにしたとはいえ、表層には豚背脂の脂片が飛び散ったスープにレンゲを落とし込んでみた。レンゲに係る抵抗は前食の長崎 佐賀を大きく上回る力強い高濃度で、さすがは〝こってり王国〟熊本をレンゲを持つ指先だけで感じさせてくれる。こってり耐性を残念ながら持ち合わせていない中年おじさんには、無謀な挑戦なのを承知で口元に近づけてみる。なぜか換気ダクトから漂っていたような豚骨特有の獣臭さを全く感じず、むしろ美味しそうな香りが近づいてきた。騙されたと思って口に含むと、粉骨されたような舌触りもなく乳化された滑らかな口当たりが口内を満たした。たしかにサッパリしたスープではないが、想像以上にクリーミーで豚骨由来の旨みを蓄えた仕上がりとなっている。この動物性コラーゲンが豚の頭由来のものなのだろうか。あっさりにしたせいか、しつこさやクドさも現れないので不得手な豚骨スープへの印象が少し変わった。カエシの塩分も高めではあるが、スープの甘みがバランスをとってくれている。このスープならば、後から辛味噌や高菜を入れたくなるのも分かる塩気の範囲内だと思った。

続いて麺を箸で持ち上げてみると、勝手にイメージしていた豚骨ラーメンに合わせる麺とは違ったタイプの麺が現れた。それは自家製麺かは定かではないが中細ストレート麺を採用されていて、切刃のエッジが見られないほどに丸みを帯びたポッチャリ麺だ。ちゃんぽん玉にも似た麺肌を眺めながら一気にすすり上げると、噛まずともグルテンの詰まったモッチリ感が唇から伝わってくる。細麺<太麺の好みの傾向がある私にはうれしい誤算にテンションが上がる。噛めば期待通りに強い食べ応えがあり、奥歯にまとわりつくようなグルテンの弾力が咀嚼する楽しみを倍増させてくれる。またオリジナリティのある小麦の風味とスープの組み合わせも素晴らしく、総合ランキング熊本第1位の底力を思い知らされた。

スープと麺のコンビで好調な滑り出しと思われたが、具材に入った途端に急降下し始めた。チャーシューは豚バラの薄切りが数枚入っていたが、味わいはスープに負けてしまっている。また柔らか仕上げとなっているので、食べ応えも乏しく物足りなさが残った。

彩りも兼ねたキクラゲの細切りは味わいよりも食感を重視した具材と思われ、歯応えのある麺の中でもハッキリとした個性を主張していた。むしろ良くある細麺とのコンビよりも相性が良いのではと思ったくらいだ。

そんなキクラゲの挽回を台無しにしてしまっていた具材がモヤシだった。提供温度からは直前に茹でられたモヤシだと思うが、モヤシ本来の品質に疑問が残る。それはヒゲ根部分や新芽の変色や、鮮度の劣化を思わせる独特のアンモニア臭から感じられる。本来ならばシャキッとした歯触りと歯切れの良さを楽しむはずの具材なのに、噛めばあふれる臭みに付きまとわれてしまった。

薬味の葉ネギの小口切りにも鮮度の良さは感じられず、乾いた切り口からは香りもなく舌触りの悪さが目立っていて残念な薬味のだった。

最終的にはモヤシは食べられなかったが、麺は大満足で平らげていた。スープ自体も単体で飲み干すには塩分が高かったので手を付けなかった。

結局は辛味噌や高菜やニンニクのカスタマイズを楽しむ事は出来なかったが、周囲の地元客の食べ終えた丼の中の様子を見て分かった事が一つあった。それは誰一人として同じ色のスープが無かった事で、ある人のスープは紅ショウガ色に染まっていたり、ある人は辛味高菜の唐辛子色であったり、またある人はすりゴマでスープが埋め尽くされていたりと思い思いのカスタマイズを楽しんでいたのが強く印象に残った。

店を出て次の目的地を探すために、困難だった来た道と同じ帰り道を戻ることにした一杯でした。

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「チャーシューメン ¥550+半熟煮たまご ¥120」@丸幸ラーメンセンター 基山店の写真土曜日 晴天 14:20 先客60名以上 後客不明

〝諸国麺遊記 九州編〟

本日は新たに目標に掲げた全国制覇へと近づくために九州遠征へと飛び出している。また今回も帰りのチケットも持たず、今夜の寝床すら決まっていないノープランラーメン旅なのだ。

九州地方の梅雨入り宣言の直後で天候が不安視される中、午前中の長崎は晴天に恵まれて旅気分を味わえる長崎ちゃんぽんにも巡り会えて上々のスタートを切った。その後は次の目的地を探そうと路面電車を使って長崎駅に向かった。

駅構内のカフェでスマホの充電をしながらRDBとグーグルマップを交互に見ていると、総合ランキング佐賀県第1位のこちらが浮上してきた。お店情報によると本日も通し営業のようで問題ないのだが、所在地が佐賀市とかではなく三養基郡となっている。全く土地勘のない場所なので不安しかないがグーグルマップだけを信じて初訪問を決めた。

長崎駅からは 12:20発 特急かもめ20号 博多行きが30分後に発車する予定だ。慌てて乗車券を購入するが、休日にもかかわらず数少ないグリーン車に一席だけ空きがあったので迷わずに購入した。長崎駅は博多方面へ向けての始発駅でもあるので早めに車両に乗車する事ができたので、缶ビールを二本買い込んだが発車までの10分の間に飲み干してしまい鉄道ビールを楽しむ事が出来なかった。

定刻通りに発車すると、乗り換えの鳥栖駅までは1時間半ほどの優雅な鉄道旅となる。通称 白いかもめ号のグリーン車の特徴は 2列+1列に配置された黒革張りのハイバックシートである。東海道新幹線のグリーン車よりもゆったりと感じるシートピッチなので開放感があり、木目を基調とした床やテーブルにも高級感にあふれている。発車までの停車時間は最高にリラックスできる空間なのだが、出発すると様子は一変する。それは車内の揺れの大きさで、メールを打つ手がズレるほどの振動なのだ。地方の特急列車にはよくある事だが、この揺れが心地よいと思えるようになるまでには修行がまだまだ必要であると感じた。

そんな列車で揺られながらも鳥栖駅に着いたが、その乗り換えのタイミングで停車中の〝ゆふいんの森号〟に遭遇できた事でテンションは3割増しになった。そこからは在来線の鹿児島本線に乗り換えると5分ほどで最寄りの基山(きやま)駅に着いた。改札を出るとナビの指示通りに交通量の多い国道沿いを歩いて進んで行く。10分も歩くと黄色い大きな看板が遠くに見えてきたが、よく見るとラーメン店の第2駐車場となっている。近づいて分かったのだが、郊外のパチンコ店内の駐車場のような大きさで驚いた。その向かいにラーメン店を見つけたが、そこの第1駐車場も広いが満車状態となっている。昼ピークはとっくに過ぎた午後2時を回っているにもかかわらずの大盛況ぶりには驚きを越えて妙な高揚感が湧いてきた。

そんな店先には長い外待ちベンチも用意されているが、さすがに行列はなく安心した。入口のドアを開けると先客が券売機で食券を購入していたので、真似るように先に食券を買った。メニューのボタンを見ると三十年前の昭和時代のような価格設定にも驚いた。ラーメン一杯420円とは東京では考えられない値段なので、チャーシューと煮たまごを追加してみても670円にしかならなかった。

無事に食券を購入したが、まだ店内な入るには扉が一枚残っている。その中には風呂場の番台のように目を凝らしている女将さんのような門番が待っている。その人の合図を待ってからでないと入店してはいけないようなので、恐る恐るガラス越しに見ていると予想外の優しい笑顔で迎え入れてくれた。そこで「ひとり客」を告げると、そこでいいかな?と入口そばの大きなテーブル席を指差して案内された。

そのテーブル席は一人客用と思われ私以外も皆さん一人で来ている。座席にはK9とナンバリングされているが、Kはカウンターの略のKではないかと疑ってしまった。そんな味わい深い店内を見渡してみようと首を回してみたが、全景を把握できるような広さではない。一体何席あるのだろうと後で調べてみると150席となっている。もはや大型ドライブインのようなラーメン店であるが、歩いてウォークインしたのは私だけではないだろうか。圧巻の店内を本日は推定10人くらいの従業員が働いているが定かではない。休日なので客層もバラエティに富んでいて部活帰りの高校生の集団や、孫を連れた三世代家族などと老若男女問わず地元の方に愛されている事がすぐに分かった。そんな地元感にこっそりと浸っていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は胴が朱赤の切立丼の中で、自分が九州にいる事を実感させてくれるような景色を見せてくれる。都内の豚骨ラーメン店では感じられないパワーとオーラがあふれ出している。そんな姿にある程度のワイルドさを覚悟しながらレンゲを手に取った。

まずはスープをひとくち。見事なまでの乳化を想像していたが、液面には細やかな油分の粒子や水泡が見られる。強火で長時間かけて炊き上げたスープとばかり思っていたら、そうでもなさそうで見た目の濃度は低そうだ。予想に反したスープにレンゲを射し込んで見ると、レンゲを持つ指先にかかる対抗が少なくサラリとして感じた。そう言えば店内にも豚骨スープ特有の匂いがしてない事にようやく気が付いた。スープをすくったレンゲを口元に近づけても獣臭は全くせず、全てのイメージが良い意味で崩れていった。そんなスープを口に含むと、適度に乳化した動物性ゼラチン質の口当たりを感じる。しかし唇が貼りつくような粘着質はなく、サラリとした中に良質のコラーゲンを感じるスープだ。飲み込んだ後の香りのキックもなく、想像以上の爽やかな豚骨スープになっている。若干のスープの甘みと塩分のバランスも素晴らしい。このスープならばお年寄りが食べているのにも納得できた。また若者たちは卓上のコショウでパンチを利かせるカスタマイズしていたのもうなずける。

麺は茹で加減を「普通」と告げたのだが、それでも麺上げまでは30秒弱と早茹でのストレート細麺だ。持ち上げた箸先からは適正な茹で加減だと分かるような、しな垂れるでもゴワつくでもない麺ディションが好印象である。見た目には良麺に見られる麺を一気に啜り上げてみると、豚骨ラーメンの細麺にありがちな粉っぽさや苦手なカンスイ臭がしない事にも驚いた。あの麺の感じが当たり前と思っていただけに、うれしい誤算が飛び込んできた。普段はした事はないが、この麺ならば硬めにしても大丈夫なのではないかと思えるくらいにグルテンがしっかりと詰まっていた。

チャーシューメンにしただけにスープを覆い隠すほどの大容量で入っているチャーシューは、豚バラの巻き煮豚型で仕込まれている。手切りでないと思われる程に薄くスライスされているので、一枚あたりの食べ応えとしては寂しく感じる。その分、麺やメンマとの共演回数が増えるので、様々な食べ合わせを楽しむ事が出来た。味付けも穏やかなので大きな主張をする事はない、どちらかと言えば脇役的な存在感だった。

追加した味玉には正直言って期待はしていなかったのだが、失礼ながら都会的なセンスを感じる仕上がりだった。それは大切な下茹での半熟加減に表れていて、これ以上でもこれ以下でもないピンポイントの半熟加減。そんな半熟卵の良さを活かすような優しい味付けながらも熟成感は表現している味玉には恐れ入った。

メンマに関しては味付けどうこうの問題ではなく、何よりも手仕事感がある事が素晴らしい。しっかりと乾燥メンマを戻して仕込む手間を惜しまない辺りにも敬意を表したい。都会の人気店のように業務用の味付けメンマが地方に侵攻してこない事を祈るばかりだ。

薬味の青ネギは、白濁したスープに良く映える彩りでも貢献している。味としては大きな存在感はないが、時々スープや麺に寄り添ってくる食感と爽やかな香りはアクセントになっていた。

中盤からもスープに過剰な塩気や、麺がダレるような事なく完食できた。もともと豚骨系も得意ではなかったのだが、一切の臭みを感じる事なく食べ終えていた。スープと少しだが最後に飲む事も出来たのは、私にすれば格段の進歩であった。

九州遠征二食目もノープランながらも無事に終える事ができた。次の目的地を探すために、ひとまずは先ほどの最寄り駅まで歩いて戻る事にした一杯でした。

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「濃厚ラーメン ¥780+味玉 ¥100」@ラーメンかなやの写真平日 晴天 21:30 先客4名 後客2名

今夜も引き続き平成最後の歳末総決算として

〝今年の店は今年のうちに〟

と銘打って今年オープンした店限定で未訪問店を年内に力の限り廻ってみる事にした。そこで今夜は新宿での忘年会の後、帰りたがる友人を巻き込み今年の2月10日オープンのこちらへの初訪問を決めた。こちらは夜のみの営業時間で最近は夜ラーを控えている私には縁遠い存在で訪問を諦めていたのだが忘年会を理由にして突き進むとした。

新宿三丁目から丸ノ内線に乗り込み目的地の方南町を目指して師走に浮かれた雰囲気の車内に身を投じた。我々も同じように浮かれているので車内には妙な一体感がある。だが周囲の皆さんと違うのは我々は帰宅するためではなくラーメンの為だけに向かっているという点だ。大した事ないセリフを友人に浴びせる。

無事に中野坂上の乗り換えにも成功するとパラダイスはすぐそこだ。車内でも下調べをする余裕がなく方南町駅に着いた。初めての夜の方南町は方向感覚の全てを失う。終着駅のホームに降りても前後どちらに行けば良いのか分からず地上へ出ても目立つ建物がなく東西南北の判断がつかない。唯一の目印と思っていたファミマを何とか見つけそちら方向へ向かうと薄暗い通りでひときわ輝く看板があり無事にたどり着いたようだ。

下調べをしていなかったので、ひとまず店先に貼られてあるメニューなどで情報を得る。豚骨系だという事は理解していたが台湾まぜそばも推してある。どちらも経験値不足なのだが若干耐性のある豚骨に挑もうとドアを開けた。

店内の券売機のトップを飾る基本のメニューに味玉を追加した。食券を手渡す際に麺の太さを聞かれたが何となくオーソドックスそうな細麺を告げた。麺の硬さなどは初訪問ゆえに普通でお願いし店内を見渡す。広めのL字カウンターに広めの厨房をお一人で切り盛りされている。店内の壁には様々なポップやインフォが貼られているが、それらに目を通す時間もないままに我が杯が到着した。

朱色の胴に見立てには鳳凰と龍に牡丹や雷紋と目出度い柄があしらわれた小ぶりな切立丼の中の姿は男らしく勇ましいが繊細な表情も見せる。ひとつひとつの具材がバランス良く丁寧に盛り付けられているからだろうか。予想外の美しい姿に息を呑んだ。

まずはスープをひとくち。レンゲを液面に沈めると、その力に引き込まれたスープが液状化現象を起こす。キレイに並べられた具材たちが地盤沈下に巻き込まれる程にマットな質感のスープだ。口先から伝わってくる乳化されたきめ細やかな舌触りは上質なフェザーのようで味覚よりも触覚が優先して伝わってくる。その後で豚骨スープらしい力強さはあるが独特の臭みなどは表に出てこない。代わりに感じるのはカエシの醤油の強さだ。豚骨スープの旨味の影に隠れて悪さをしてくる塩分に思わず尻込みした。

麺との相性を考えての塩分かと思い、一旦気持ちを切り替えて麺をいただく。豚骨ラーメンらしい低加水の極細ストレート麺はスープをすぐに身にまといハリの強さが特徴だ。ここまでは他の豚骨系細麺と変わりないのだが明らかに違ったのは思いっきり啜った時に感じる香りだ。かんすいの炭酸ナトリウム臭を全く感じないのだ。実は豚骨スープが得意でないのでは無く細麺からの不快な臭いが苦手なのだ。しかしこちらの麺にはそれを感じず苦手意識が少し減った。

具材は薄切りだが大判な豚肩ロース焼豚が視覚的な存在感を見せる。ひとくち噛みしめると味覚の上でも圧倒的な存在感を見せつける。レアチャーシューには無いタンパク質が熱変化した旨みはトンテキを頬張っているかのような赤身の旨さだ。下味の良さは言うまでも無いが中々この手の焼豚に出会うことがなく小躍りしたい気分だ。わずか1cm 四方の焼豚を噛んだだけでも肉を喰ってる感覚になれるの滅多にない。

追加した味玉は半熟よりも少し固茹でだが塩分が強気なスープの中で相殺するまではいかないが幾分か中和する役目を果たしてくれた。黄身の甘みを活かした薄めの味付けが功を奏した。

薬味は黒種と思われる九条ねぎで爽やかな香りとシャキッとした食感こそが、これぞ九条ねぎと思わせる。独特な風味の豚骨スープの中でも主張する香りや、粘度の高いスープにも負けない食感こそが九条ねぎの真骨頂だと私は思う。

色みと食感を担当するキクラゲもスープや麺に対しても臆する事なく本領を発揮して薬味としての役目を十二分に果たしてくれて箸の進みを後押ししてくれた。何気なく添えられた海苔も、この強いメンツの中でも我介さず磯の香りを与えてくれた。

終盤になると低加水な細麺はスープの影響を受け塩分過多になり始めていた。そのスピードに負けないように一気に麺を平らげた所で身体が塩分の許容範囲を超えてしまい残念ながらスープを残して箸をおいた。

アルコールを摂取した後だったので身体の塩分リミッターも解除されているかと思い訪問を決意したのが真相だったが、それ以上に難的なスープだった。

「タラレバ」を言ってもいいなら、もし追加であの九条ねぎを注文していたらスープの強さを抑え込めたのではないかと思うと心残りはあるがあとの祭りだ。店内のアナウンスには無かったと思うが、もし味薄めなどの自分勝手なカスタムメイドが許されるなら是非もう一度手合わせをお願いしたいと思う一杯でした。

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