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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.103点
最終レビュー日 2019年10月23日
667 558 14 2,134
レビュー 店舗 スキ いいね

「タンメン (ニンニクなし) ¥790+ 味玉 ¥120」@タンメン ニュータマヤの写真平日 晴天 11:30 先客5名 後客4名

〝第38回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を開催する事を宣言する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去36戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」「◯心厨房」「家系総本山 吉村家」「自家製麺 くろ松」「麺処 いち林」「miso style となみ」「AFURI 恵比寿」「拉麺 時代遅れ」「あってりめんこうじ」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は37戦16勝11敗9分8KO勝ち1KO負け1没収試合と、スパコンのオススメに対しては勝利が先行している状況だ。

今回の名古屋遠征は自身のライフワークとしている〝ラ道〟〝サ道〟〝キャ道〟の全てを網羅する壮大なプランである。すでに初日には〝キャ道〟を満喫すると、名古屋の名物サウナをハシゴして今朝を迎えた。

ゆっくりと朝風呂を浴びてから11時前にチェックアウトすると、サウナのある繁華街の栄から市営基幹バスで最寄りの清水口バス停に着いた。そこからは大通り沿いを歩いて進み、遠くからでも見える「麺」とだけ書かれた突出看板が見えてきた。店先には並びが見えたので慌てて駆け寄ってみると、食後のタバコを吸っていた客で行列ではなかった。ガラスの扉越しに店内を見ると空席が多くあったので、慌てる事なく外観を眺めてから券売機の前へと進んだ。

正面の大看板には、白地に赤文字で屋号が書かれた強烈で大胆なインパクトがある。さらには「野菜摂取」と書かれた看板もあったりと、ユニークな出迎えをしてくれる。すでに店先には炒め野菜の甘い匂いが漂っており、食欲を刺激してくる。店外に設置されている券売機なので、店内からの視線を気にする事なく、じっくりと品定めができる。豊富なラインナップの中には野蛮そうなメニューもあるが、左上部を飾っている味玉入りの表題発券して扉を開けた。

店内に入ると大きな調理場を取り囲む、ヘキサゴンを割ったようなカウンターが印象的だ。テーブル席はないが二人体制で回すには、かなり広いカウンターの客席となっている。中待ちイスも置かれた、余白スペースも広い贅沢な店内の造りだ。カウンターに座り食券を手渡す際にカスタマイズを問われたので「ニンニクなし」だけ告げて、その他は普通でお願いした。

厨房内に目をやるとツーオペでも豊富なメニューに対応できるよう、計算されたレイアウトとなっている。麺上げや中華鍋を使ったスープ張りを担当するスタッフと、麻婆や唐揚げなどのトッピングを調理するスタッフが向き合うように設計された独特の厨房設備の配置を眺めているだけでもワクワクしてくる。店先にまで漏れてきていた炒め野菜の匂いが、より一層強く感じるようになってきた。高温に熱された中華鍋からの煙に包まれながら待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿はメラミン製の受け皿に乗せられた雷紋柄切立丼の中で、私のミスチョイスのせいで王道の〝タンメン〟とは違う景色になってしまった。それは味玉を追加してしまったのが原因で、いくら好物とはいえ、無闇やたらに追加すれば良いものではないと実感した。やはり数あるラーメンには、それぞれに見合った器や具材があるのだと再確認してレンゲを手にした。

まずは枯色のスープをひとくち。無料サービスの野菜増しにしなかったので、具材の余白に液面が見えている。そんなスープにレンゲを押し込んで見ると、黒いレンゲの中には対照的な乳白色のスープが注がれてきた。その様子は大量のラードを伴って、ゆったりながらも熱々の湯気を立ち昇らせている。かなりの高温スープをヤケドに注意しながらレンゲを唇に押し当てた。すると予想以上の熱さがレンゲを介して伝わってきたかと思うと、すぐに口の中に油膜が張り巡らされた。そこには炒めた野菜の甘みが移ったラードが、さらに甘みを増して感じられる。その甘みに隠れた非天然由来の旨味成分も感じられ、ひとくち目でスープ単体で味わう事を諦めた。ベースには四つ足系のコラーゲンを多く含んだスープがあるだけに、旨味の底上げが残念に思いながらレンゲを箸に持ち替えた。

麺には中細ちぢれ麺が採用されていて、12センチ程と短めに切り出しされている。持ち上げた箸先には黄色みと透明感を併せ持った麺肌が特徴的で、指先には加水率の高さが伝わってくる。そんな麺を一気にすすり上げると短めの持ち味を活かして、ひとすすりで大量の麺が飛び込んできた。滑らかな麺肌の上にラード油が潤滑油となって、すすり心地の良さをアピールしてくる。スープとの絡みも良いので野菜から溶け出した甘みが、すすり込む度に寄り添ってくる。口の中を跳ね回るような硬めに茹でられた麺を噛みつぶすと、密度の濃いグルテンが奥歯を押し返すような弾力がある。その跳ね返しに逆らうようにして麺を噛み切ると、そこからは小麦の甘みが、にじみ出てくるようで野菜の甘みとの共演となった。この麺ディションならば後半までダレそうにないので、野菜たちと合わせて楽しむ事にした。

具材の炒め野菜には、キャベツとモヤシを中心に、豚こま切れやニラとキクラゲが入っている。中でも強い拘りを感じたのがモヤシで、大抵ならばキロ単位の業務用を使うのが普通だが、空気に触れて劣化する事を避けて小袋入りのモヤシを使われていた。よってモヤシを中心とした炒め野菜の歯応えは抜群で食感は素晴らしいのだが、過剰な旨味が具材たちを汚染しているような気がした。

追加した味玉は、半熟の黄身が流れ出すくらいの下茹で加減でスープを汚してしまった。今まで味わった事のない酸味の効いた味付けで腐敗臭すら感じた。漬けダレに、お酢でも使っているのではないかと思ってしまう程だった。最終的には複雑な旨味に負けてレンゲを置いてしまった。

今回の採点は 60点台になってしまったので、スパコンとの対戦は私の判定勝ちとなった。これで通算対戦成績は38戦17勝11敗9分8KO勝ち1KO負け1没収試合となり、私の勝ち数が大きくリードしている。

過去の中京エリアのオススメ店は淡麗系が多く、スパコンのオススメ店への信頼性が高かっただけに今回のガッツリ系は残念な一杯となってしまった。

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「醤油ラーメン ¥750+全部のせ ¥250」@麺屋 如水 本店の写真日曜日 雨天 12:15 外待ち21名 中待ち30名 後客多数

今回の名古屋遠征では〝ラ活〟よりも〝サ活〟を優先して名古屋駅に降り立っていた。今回は〝キャ活〟も程々にしようと、昨日までは思っていたが、久しぶりの名古屋嬢との再会に我を忘れてしまった。

昨晩は恒例となっている寿司同伴を終わらせて、名古屋嬢のヘアメイクの時間を利用して一人で名古屋の街をふらついてみた。行きつけが出来たおかげで、ここ最近は夜のネオン街をウロウロする事もなくなったので新鮮な感じがした。

程々のつもりが深夜2時過ぎのお開きとなってしまい、再びサウナに戻り夜を明かした。翌朝は随分と酒の残った身体を朝サウナで目を覚ませ、気持ちを〝キャ活〟から〝ラ活〟へと切り替える。サウナのある今池交差点からはバスに乗り込んで、最寄りの東区役所バス停で下車した。そこからは大きな建立寺を迂回するように6分ほど歩くと、山口町交差点から見てもすぐに分かる大行列を見つけた。ちょうど雨が落ち始めたタイミングとなったが、隣接するビルのシャッター前の軒下に逃れた最後尾に付けた。

チラリと見えた店内にも外待ち以上の大行列があり、名古屋の人気店の行列の長さを実感する。以前の「紫陽花」の時も思ったが、名古屋の若者は雨の中でも並ぶ忍耐力が素晴らしい。雨足が強なってきても離脱する者なく順調に列が進んでいくと、外待ち30分で中待ちに昇格となった。すだれと白提灯が掛けられた入口を入ると、店内には待機用の椅子が壁沿いに並べられている。かなり膨大な収容能力誇り、同じ椅子に3分も座っている暇がないくらいに回転は良さそうだ。その間に手渡されたメニューの中から本日のお題を品定めするが、店内の壁に貼られたメニュー同様に多すぎるラインナップに戸惑ってしまう。またもや持論の〝メニューが豊富な店の基本のラーメンは味が不安定になりがち〟が頭を過ぎる。そんな中で筆頭を飾っているのは塩系だったが、マイスタンダードを押し貫いて醤油系のハイエンドモデルを注文した。

着々と進んでいく並びの中で、店内観察を始めてみる。ゆったりとしたL字カウンターの中には客席相応の広い調理場が設けてあり、各自がそれぞれの持ち場を守るシステムとなっている。本日は白と黒のキャップ姿の五人体制で回しているが、動きに全くの無駄がない、見惚れてしまうような連携プレーに初訪問でも安心感が生まれる。しかも接客にも、そつがなく目配りや気配り全てができている。そんな〝親切〟〝丁寧〟〝安心〟と引っ越し屋みたいなフレーズが、しっくりする店内の雰囲気となっている。

若者中心の客層ではあるが時折り私クラスの中年層も見られ、随分と高齢の年配者も楽しんでいる様子があった。そんな老若男女の地元客に愛される店内で待っていると中待ちの20分を合わせてトータル50分待ちでカウンターへの案内があった。グラスではなく蕎麦猪口のお冷で口を潤していると、着席して2分もせずに我が杯が到着した。客の流れを予測しての調理工程ならではの、スピード感あふれる提供だった。

その姿は受け皿に乗せられた白磁の多用丼の中で、大地に溶け込むようなシンプルな色調を見せている。それはまるで、砂漠迷彩仕様のザクII を思わせる茶褐色のコンビネーションだ。砂漠の中で息を潜め、身を隠すような目立たぬ容姿だ。一切の派手さのない穏やかな見た目からは、食べずとも自然の旨みが詰まっていそうに感じる。お店情報には〝無化調〟となっているが、それが嘘ではない事を確信してレンゲを手にした。

まずは灰茶色のスープをひとくち。表層には非常に細やかな粒子の香味油が浮かんでおり、繊細そうにスープの液面を覆っている。乳化タイプとは言わないまでも、微かな濁りの中に旨みも含んでいそうなスープにレンゲを射し込んでみる。その指先には高濃度ではないが、確かな粘着性がレンゲを介して伝わってきた。見た目以上の動物性コラーゲンを予想して口に含んでみると、それとは異なる感覚が先陣を切ってきた。それは予想外に魚介出汁の風味だった。半濁した見た目や粘性の高さから、動物系出汁が主体と思われたが違っていた。もちろん鶏ガラや豚ゲンコツのような旨みが土台にはあるが、それを凌ぐ魚介の旨みが押し寄せてきた。しかしその魚介出汁が、煮干しなのか鰹節か昆布なのかが判別できないくらいにバランスがとれている。言われてみれば全ての旨みを感じるが、何一つとして際立った主張をしてこないのだ。完璧な設計図を再現されたWスープに合わせるカエシは強気ではあるが、スープのバランスを壊す事なく輪郭を与えている。見事な計算で仕組まれたスープの味わいに、ひとくち目から惹かれてしまった。この時点でスープを飲み干せる事を確信して麺に移行した。

本日の麺上げ担当は小柄な女性が担当されていたが、魂の込もった麺上げ作業には目を奪われてしまった。この店の回転率の良さも、麺上げ技術の高さがあってこその早さであると納得した。多様なメニュー構成にも対応しながらも、ワンロット2杯にこだわった調理には圧倒的なスピード能力がある。左利きで麺上げされている動きが、星飛雄馬の大リーグボールの投球フォームと重なってしまう。そんな圧巻の力強いフォームから繰り出される、連続投球で生み出された麺に期待を大にして食べてみる。

麺上げまでジャスト40秒の早茹でタイプの麺を持ち上げてみると、26センチ程に切り出しされたストレート細麺が現れた。箸先からは細身ながらも強靭なハリが伝わってきて、滑らかそうな麺肌と相反する組み合わせを見せる。〝強さ〟と〝艶やかさ〟を併せ持った麺を一気にすすり上げると、想像を超えた力強さで滑り込んできた。細麺とは思えないような密集したグルテンを感じ、弾力のある歯応えで噛み切るとモッチリと奥歯を押し返してくる。その抵抗力の強さがコシとなって食べ応えの良さを表現している、往年の関脇 寺尾関を彷彿とさせる麺だ。

具材のチャーシューには豚バラの煮豚型が、薄切りながらも4枚入りと全部のせならではのボリュームだ。その枚数の多さを利用して麺を巻いて食べても良し、勿論そのまま食べても持ち味を発揮するチャーシューだ。今回は脂身の少ない赤身中心の部位だったのが、私には幸いだった事もあるが素晴らしい仕上がりだった。

煮たまごは全てのバランスがとれた逸品だった。卵本来の持つ白身の旨みを残しながら、浸透圧による適度な熟成の黄身の旨み。それでいて過度な醤油感を思わせない漬けダレの塩梅など過ぎる事なく足りなくもない、地味ではあるが計算されたバランスを保っている。

細メンマも歯応えを残した下処理が活かされた薄味仕立てで、過度なアピールをせずに食感のアクセントを与えてくれる。

薬味のネギや青みなどは一切添えられておらず余計な香りを加えないで、出汁本来の味わいを楽しめるようにしてある。

それは器選びにも感じられ、唇に当たる口縁の部分が大きい多用丼を使われている。その極端に厚手な器の口当たりが、スープを舌全体だけでなく口の中の隅々にまで行き渡らせる。よって舌先だけでなく鼻腔を含めた口内の全センサーで味わえるように考えられている。これは茶道にも共通する点で、抹茶や煎茶の味わいが茶碗によって全く違ってくるのと同じだ。

初見で感じたように躊躇する事なく完飲するほど出汁感を味わえたスープには文句なしだったが、細麺だけに急激に麺の食感が薄れていった点が残念に思いながら箸とレンゲを置いた。

また今回も名古屋麺のポテンシャルの高さを思い知りながら店を後にしたが、さらに強さを増した雨の中でも行列は止むことなく続いていた。再びバス停へと戻り〝ラ活動〟から〝サ活動〟へと気持ちを切り替えて栄の名物サウナへと向かった一杯でした。

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「煮干しらーめん ¥880」@煮干鰮らーめん 圓 名古屋大須店の写真日曜日 晴天 14:05 外待ち5名 中待ち2名 後待ち3名

台風一過を都内のサウナで迎えた午前中、最近もっぱら力が入ってきた〝サ活動〟のために、サウナの脱衣所のテレビのニュースに見入る。山手線と東海道新幹線の運行状況を確認してから、憧れのサウナがある名古屋へと出発した。

道中の新幹線の車内でライフワークでもある〝ラ活動〟も並行して行おうとRDBを開いてみる。名古屋市総合ランキングの第1位には、いつのまにか煮干し系の人気店が君臨していた。苦手なセメント系のそちらを除けば、上位陣は制覇していると思った中に第4位のコチラを見つけた。同じ煮干し系の店だが、八王子にある本店の淡麗煮干には良いイメージしかなく今回の名古屋遠征での一食目に決めたのだ。

名古屋駅からはバスルートを検索しておいたがバス停が見つけられずタクシーで店を目指した。若者で賑わう繁華街の交差点で降ろされると、ナビを片手に大通り沿いを歩いて進んだ。すると大型立体駐車場の入口に、青い看板の下に並ぶ行列を見つけると最後尾に付けて待機を開始する。

その間に店頭のメニュー写真の中から、本日のお題を決めておく。私の前列は駐車場に併設されたゲームセンター帰りの若者三人組だったが、話しているゲームの内容を聞いても、ちんぷんかんで全く意味が理解できなかった。ゲームウォッチの「ファイア」や「ボール」で育った世代のオジサンには分からなくても仕方ないはずだ。そんな時代の流れを感じて、店先まで漏れてくる煮干しの香りに包まれていると、10分程で中待ちに昇格した。

白い暖簾をくぐって店内に入ると、入口正面に設置された券売機から目星を付けておいた最上段にある表題を発券して中待ちイスに座った。すると客の回転が良いのか、すぐにカウンターへと案内されて再昇格となった。

L字カウンターに腰を下ろして店内を見渡すと、白木を基調とした清潔感のある店内を本日は二人体制で回している。着席すると女性スタッフさんがお冷を持ってきてくださり、喉を潤しながら厨房内を眺めてみる。基本的な厨房設備の中で、特にピカピカに磨き上げられているのが電動スライサーだ。盛り付け直前の切り立てではないが、少量の切り置きだけに見られる。麺を茹でながら、具材を準備してスープを器に張る。この安定したルーティンなので、ロットによる仕上がりムラなどは心配なさそうで安心だ。そんな調理工程を見ていると着席して4分で我が杯が到着した。

その姿は三色が鮮やかな雷紋柄のクラシカルな切立丼の中で、今の世が令和だという事を忘れさせてくれるような景色を見せている。一切の流行とは無縁の具材たちが、バランスの良い配置で整列している。その清らかな表情には、食べずとも王道を感じさせる安定感がある。そんな派手さのない姿に最大限に期待を高めてレンゲを手にした。

まずは照度の高い黄橡色のスープをひとくち。表層には粒子のない油膜が張り巡らされていて、初見ではスープの熱を感じられない。そんな液面にレンゲを沈めてみたが、一切の湯気が上がってこないので不思議に思いながらレンゲを介してスープを口に含んでみた。陰りと透明感を併せ持ったスープは、ぬるくはないが熱くもない。スープというよりは香味油が、ぬるく感じさせるのかも知れない。スープは常に大型寸胴鍋で、営業中も焚き続けている調理法なので冷めているとは思えない。その上しっかりと専用の湯煎鍋で盛り付け前に器を温めていたが、その効果は半減してしまっていた。個人的にはスープもサウナも熱めの方が好みなので、ファーストアタックとしては物足りなさを感じた。そのため味覚は反応しやすくなっていて、苦味の少ない軽やかな煮干しの旨みが主体となっている。しかしカエシの塩分が高めなのも舌は感じとってしまった。

丁寧に整えられた麺線を崩すのが、もったいないような美しい麺線に箸を入れる。麺上げまで105秒の中細ストレート麺がスムーズに引き上げられた。その箸先には卵を使って打たれた自家製麺が、黄金色に輝いて見える。麺肌のフスマの粒が全粒粉配合を思わせ、36センチほどに切り出しされた長さも特徴的である。そんな麺を一気にすすり上げると、切刃のエッジが鋭い口当たりを生んでハードに滑り込んでくる。スープの温度よりも熱く感じる麺からは、強いハリが唇を通じて伝わりシャープで力強い印象を残す。スマートさと、男らしさの両面を持つ麺は好印象だ。長さのある麺なので、すすり込む回数が必然と増える食べ方となる。その度にスープの香りが伴ってくるので、煮干しの香りに後押しされて食べ進められる。麺を噛めば細身ながらも奥歯を押し返すようなモッチリとした歯応えがあり、食べ応えも十分にある。咀嚼した後には内麦ならではの香りと甘みがスープの塩気を和らげてくれ、箸を持つ手が止まる事はない。

具材のチャーシューは、トンカツに用いられる豚ロースで仕込まれてあった。下味に使われた日本酒の香りが残るくらいの薄味仕立てで、良質の豚肉本来の味わいを楽しむタイプだ。ややパサつき感のある赤身の舌触りの悪さを、脂身の食感がサポートしていた。

太メンマも発酵食品特有の香りを残した薄味で仕込まれていたが、部分によっては繊維が口に残ってしまった。硬めに仕上げてあるのは食感のアクセントとなって良いが、噛み切れない不快さは残念だった。

基本でも半個入りの味玉は、見た目のインパクトからも一朝一夕では為し得ない熟成度合を見せつける。浸透のグラデーションを見せない均一化された色合いながらも、漬けダレの塩気は淡く白身本来の旨みも残してある。浸透圧によって余分な水分が抜けてゲル状になった黄身の旨みは、即席では生まれない深い味わいだった。

薬味の白ネギの小口切りは盛り付けの少なさから寂しさはあるが、香りや舌触りの良さは一級品である。

序盤に感じたスープのぬるさが常に気になってしまうが、冷蔵庫から出したばかりの具材の冷たさが一因と思われた。衛生上の観点からは最善策とは思われるが、温めて直す一仕事があればスープの熱を奪う事もなかったのではと勝手な事を望んでしまった。

食べ終えて店を後にすると久しぶりに会う名古屋嬢との同伴前に、念願の〝名古屋蒸し〟で身を清めにサウナへと向かった一杯でした。

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「鶏そば ¥680+煮玉子 ¥100」@らぁ麺 飛鶏の写真日曜日 晴天 11:00 先待ち18名 後待ち20名以上

※ 最近、頻繁に名古屋に通っているのは決して名古屋嬢にハマっているのではない事を前置きしておきたい。

〝第28回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟をようやく開催する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく、自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去27戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は27戦12勝7敗7分7KO 1没収試合と現在は私の勝ちが少しリードしている。

前回の名古屋決戦を終えてスパコンのオススメ店の中から地方店が消えたかと思ったら、またすぐに愛知県のラーメン店が挙がってきたのだ。考えてみれば愛知県に通っているのだからオススメされるのも当然の事ではある。そんな簡単なことに気が付いたが、スパコンに売られたケンカは買うしかないと一路、名古屋へと向かう。

早朝8時前には自宅を出て、東横線とJR 横浜線を乗り継いで新横浜駅に着いた。新横浜 8:39発 のぞみ 209号 新大阪行きにて、午前10時前には名古屋駅に着いた。ここからは11時半開店前の現着を目指して地下鉄などを駆使して向かうのだが、かなり困難な道のりだった。まずは桜通線で久屋大通駅へ向かい、名城線に乗り換えると平安通駅へ。さらには1時間に4本しかない上飯田線に乗り継いで味鋺(あじま)駅まで、わずか乗車時間20分足らずの間に4路線3回も乗り換えを強いられたのだ。それでも最寄駅からは10分以上も歩いて行かなければならず、名古屋の皆さんでもアクセスの困難な立地に思えた。

駅から河川工事の進む橋を渡ると春日井市に入った。そこからは真っ直ぐに伸びた道を歩いて行くとコンビニの先に、只ならぬ人だかりが見えた。開店30分前では遅かったようで、すでに大行列が出来ていた。店前の駐車場は満車なので歩いて来た客は私くらいに思える。最後尾に並んで周囲の名古屋弁を聞きながら定刻をひらすら待つとする。

初夏の日差しを遮るものが何もない、駐車場のブロック塀に沿って待っていると定刻通りにオープンとなった。一巡目の選ばれし11名の精鋭たちが店内に吸い込まれて行ってから、15分すると一番手の先客が食事を終えて出てきた。そこからは流れるように列が進んでいくと、開店してから30分で入店となった。

店内に入ると券売機でお目当てのお題と煮玉子を発券して、ひとまずは5席の中待ちイスにて待機する。席は空いているのでバッシング待ちのようだが、対面式カウンターだけではない広い客席を二人体制で回すのはかなりの重労働に見える。少しの片付けの遅れなど気にならないくらいに必死で作業されているお二人の姿を見ていると、食券が回収されて5分ほどで席へと案内された。

元々はテーブル席があったであろう場所には、対人式の向かい合わせのカウンターが新設されていた。壁が高く設けられているので目の前の客が気になる事はなく、落ち着いてラーメンに集中できる環境だ。客席のレイアウトを変更したので以前よりも、客席がひと席多くなり11席となっていた。またランチタイムの小ライス無料サービスも昨年10月より廃止されて、その他にも変更項目がいくつかあるのでご注意を。

本日は若いカップルが多くラーメンデートを楽しんでいる中、おじさんの一人客が着席してから8分ほどで我が杯が到着した。その姿は白磁のオリジナル屋号入り高台丼の中で、見事なオレンジのグラデーションを見せている。見ただけで美味さが伝わってくるような全体の色合いと具材配置の美しさには息を呑むほどだ。この高まる期待が実感に変わるまでに時間は必要なかった。

まずは蜜柑色のスープをひとくち。まばらな粒子の鶏油が液面を覆った部分にレンゲを射し込んでみると、得も言われぬ美味そうな香りが立ち昇って来た。それは鶏出汁の香りではあるが、明らかに他とは違う別格の清らかさを持っている。それが何かは分からないままにスープを口に含んでみると、味覚を通じて脳に衝撃が走った。昨今流行りの鶏スープではあるが、地鶏特有のクセや野暮ったさを全て排除した純粋無垢な鶏出汁に驚いてしまった。多めに見える鶏油もサッパリとして、ほのかなコクを加えている程度の裏方に徹している。カエシの醤油ダレも非常に控えてありながらも輪郭をボヤけさせないように主張はしている。そして何よりも他と違うのは香りに気品があることだ。その理由はウンチクにも書かれてあるように「鶏節」を使用しているからだろう。丸鶏や鶏ガラばかりだと獣臭さが出てしまうのは当然で、その臭みを消すために香味野菜などが必要となってくる。なので鶏出汁には臭み消しの生姜やニンニクの香味が付きものになりがちたが、鶏節で出汁を引く事で独特の臭みや酸味を軽減している。また出汁の旨みや香りの強さからは、薄削りではなく鶏節の厚削りを大量に使われていると推測する。それによって生まれたスープは、まさに極上の仕上がりとなっている。

驚きと興奮のままに麺を持ち上げてみる。透明感のあるスープの中でも麺の形状がハッキリと見えていたが、自家製麺ならではのオリジナリティあふれる切刃のエッジが見てとれる中細ストレート麺。平打ち麺と言っても良いほどのロングパスタのタッリオリーニに似た形状だ。そんな個性的な麺を思いのままに啜り上げると、切刃の断面によるエッジが鋭い口当たりを生んで口の中へと滑り込んでくる。唇では男性的なシャープな印象だが、舌の上では女性的な滑らかさをアピールする麺質だ。それでいて歯応えは強く歯切れの良さもある。歯茎を押し返しながら噛み切った瞬間にあふれる小麦の香りは内麦ならではの新鮮な風味だ。喉越し良く胃袋へと落ちていった後も小麦の甘みだけは余韻として残っている。こんな素晴らしい麺を食べてしまっては、持論の〝餅は餅屋、麺は麺屋〟を撤回しなければならないような自家製麺だった。

具材のチャーシューは部位違いの低温調理のものが二種類。先に淡白そうな鶏ムネ肉の方から食べてみると、下味のソミュール液は薄味だが燻煙をくぐらせる事で穏やかな薫香を付けてある。その香りがアクセントにはなっているが、肉厚が薄めにスライスされているのでレアチャーシューの持ち味のしっとり感には欠けているかと。また豚モモ肉の方もサッパリとしたマリネ液で漬け込んであるので味わいに深みが少ない。こちらも薄切りスライスなので食べ応えとしても寂しい。チャーシューには肉を噛んでいる感覚を求めてしまう本性が出てしまった。

追加した味玉は穏やかそうな色付きで、見た目にもラーメンに寄り添っている。白身が非常に柔らかく唇が当たっただけでも割れそうなほどだ。味付けも優しく好みの熟成感はないが、優秀な味玉だと思う。ただ残念だったのは提供温度の冷たさである。せめて常温以上ならば黄身の甘をより楽しめたはずだ。

メンマにも丁寧な下処理が見られ手仕事感にあふれている。程よい硬さを残した食感の後には、繊維質がほどけていくような舌触りが続く。また発酵臭を適度に残してあり完全乾燥メンマの良さを味わえる。そこに味付けの出汁が旨みが加わる事で無敵の無敵のメンマとなっている。

薬味は潔く三つ葉の葉先のみ。長めの茎の部分が噛めば香りとなってアクセントになっている。やはり細かく刻んだ三つ葉よりも、必要なときにだけ香りを発する長めの方がスープの邪魔をしなくて良い。

具材の一部に好みと違うものがあったが、スパコン対決史上最高得点を付けざるを得ない素晴らしいラーメンに出会った。これで通算対戦成績は28戦12勝8敗7分7KO 1没収試合と現在は私の勝ちが少しリードしているが、予断を許さない状況になってきた。この結果を経て次にオススメに挙がってくる店が中部地方でない事を祈りながら席を立った一杯でした。

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「特製醤油らぁ麺 ¥980」@らぁ麺 紫陽花の写真日曜日 晴天 10:00 先待ち2名 後待ち40名以上

思い返すとちょうど一年前にレビューをはじめて目標としていた500レビューには届かなかったが、新規の365店舗めぐりは何とか果たす事ができた。それも全てはRDBの情報があったからこそ成し得た事なので感謝したいと思う。二年目の目標は全国制覇を目指そうと心に決めた。それと言うのも名古屋で出会ったラーメンの美味しさに心を打たれ、日本中のラーメンを食べてみたいと思うキッカケになったのだ。

そこで本日は三つの目的のために名古屋へ行こうと決めた。その内の一つがコチラへの再訪である。

前回の初訪問では小雨の降る中での二時間越えの待ち時間を耐えて食べたラーメンの衝撃的な美味さが忘れられず、絶対にもう一度食べたいと望んでいたのだ。そこで本日はかなり早い開店前の現着で、わずか四席の外待ちイスをゲットしようと思い午前7時には家を出た。

東海道新幹線 7:37 品川発 のぞみ11号に乗り込んで名古屋駅を目指した。早朝からの缶ビールを楽しむと富士山を眺めないうちに眠りに落ちていた。次に目が覚めた時は名古屋到着を知らせる車内アナウンスだった。予定通りに名古屋駅に着くと、前回と同じバスルート 市営バス 名駅19系統に乗り込んで店を目指す。

バスの道中で見かけたバス停の地名「五女子」を見た時に平成の「ももクロ」ではなく、昭和の「プリプリ」が浮かんでしまった。もはや「ももクロ」は「四女子」なのも忘れていた。そんな老いを痛感しながらバスに揺られること乗車時間30分ほどで最寄りの外新町四丁目バス停に着いた。そこからは歩いてすぐなのだが、開店90分も前なのに、すでに遠くからでも店先の人影が見える。慌てて小走りで駆け寄ると二名の並びが発生していた。

しかし外待ちイスは出ておらず、立ち待ちにて三番手をキープした。5分ほどするとスタッフさんが四つの丸椅子を並べてくれて、待望で憧れの外待ちイスをゲットした。すると間髪入れずに三人のグループ客が後列に続いたので、タッチの差でプレミアムシートを手に入れた事はラッキーだった。

開店60分前になると向かいの駐車場の行列も20名近くになり、30分前には30名以上にも行列は膨れ上がっていた。都内でも開店前にこれだけの並びがある所は数えるほどではないだろうか。周囲の名古屋弁の「だもんで」が耳に残って仕方ない中、待っていると定刻になり入店となった。

一人づつ店内に入り扉を閉めて券売機で食券を購入するシステムなので先走ってはいけない。順番通りに慌てずに、前回に感動したお題と同じボタンを押してカウンターに座る。前回は茹で麺機の横の席だったが、今回はスープ炊きのガス台の目の前だ。温度計で温度管理された大型の寸胴鍋の中では大量の丸鶏や煮干しでスープが炊かれている。静けさの中でもコトコトと液面を揺らす絶妙の火加減で炊かれている。前回は端席だったので見えなかったが、製麺室やスチコンも完備された充実の厨房設備だ。そんな店内を本日は四人体制で回している。そんな中でも茹で麺機と盛付け場の一角は店主さんの聖域のようで、誰も踏み入れる事のできない場所に見えた。そんなサンクチュアリを目を凝らして見ていると、着席して6分の第1ロットにて我が杯が到着した。

その姿は約一ヶ月半ぶりとなる受け皿の上の鳴門丼の中で変わらない景色を見せてくれる。実に丁寧な盛り付けから生まれた安定感のあるレイアウトの具材たちを覆った、黄金色の鶏油が店内のライトを乱反射して輝く姿を見ただけで、早起きして並んだ甲斐があったと思える美しさだ。

まずは赤みの強い代赭色のスープをひとくち。厚手の鶏油のコクの強さを借りて鶏主体の出汁が先頭を切ってやって来る。しかし今回も地鶏特有の野性味などは削ぎ落とされて、洗練されたスープとなっている。実際には鶏油もサラリとしてスープに潤いを与える程度に収まっている。醤油色を強く感じる見た目だが、強めにあるのは醤油の香りだけで塩気はストライクゾーンのド真ん中を突いている。名古屋=味が濃いというイメージを打ち消すような品のあるスープだ。

次に楽しみにしていた自家製麺を食べてみる。タイマーには頼らずに、ご主人の経験と指先の感覚だけで麺上げされた平打ちに近い中細麺は、見た目の色調や形状からもオリジナリティが溢れている。本日は麺上げまでジャスト50秒だったので、前回よりは少し早上げだ。日々変わる麺ディションの違いを感じて対応されている職人技には感動すら覚える。そんな魂の込もった自家製麺を箸で持ち上げてみると、切り刃のエッジが鮮明に残った麺肌が印象に残る。全粒粉が混じったフスマ色と、加水率の高そうな重みが箸先から伝わってくる。何の躊躇もなく一気にすすり上げるとストレートな麺質が唇を通過すると、滑らかな口当たりが心地良い。決してスープとの絡みが良い麺質ではないが、麺だけの旨みが十分にあるので物足りなさは感じない。むしろスープの塩気よりも香りで引き立つ麺のように思える。麺をすするたびに伴ってくる香りだけで一体感を生んでくれる唯一無二の組み合わせだ。

具材も楽しみのひとつで、鶏ムネ肉と豚肉の部位違いで三種類。もはや鶏ムネ肉の低温調理など当たり前になったチャーシューだが、こちらのは別次元の仕上がりだ。推測では鶏ムネ肉一枚を低温調理するのではなく、大きめにカットした鶏ムネ肉を一枚ずつ真空調理されているように見える。それはチャーシューに切り口が見えない事がそう思わせる。鋭く研がれた刃先のような切り口は、そうでもなければ説明しようのない形状なのだ。もちろん下味のソミュール液の浸み込みもカット後の処置なので均一性は他に類をみない。ふんわりと香る柚子の香りが爽やかな個性を与えてくれる。厚切り仕立てなので食感も良く非の打ち所のない鶏ムネチャーシューだ。

大判な豚ロースと、少し小ぶりな豚肩ロースのレアチャーシューも抜群の出来栄えだ。豚ロースは薄くスライスされる事で赤みの引き締まった肉質を硬く感じさせないように計算されている。ロース特有の脂身の甘さと柔らかさが重なる事で、赤みの旨みも引き立てられている。一方の豚肩ロースの方は厚めに切られているので、肉を喰らう食感を楽しむ事ができる。どちらも低温調理を熟知した仕上がりなので半ナマ感や筋切りの甘さなどは一切ない。本日は全てのチャーシューのクオリティの高さには舌を巻いた。

半カットされた味玉は黄身の中心部まで温め直されている仕事ぶりも素晴らしい。私の中の〝味玉論〟からは少し外れた熟成感だが、たまご本来の持ち味を活かしながら、味玉としての旨みも重ねた優等生的な味玉に思う。

極太メンマも脇役ながら強烈な印象を残す。シャープに切り立ったメンマの角と醤油色素の強さがハードに映るが、いざ口にしてみると噛んだところをキッカケに解けていくような柔らかさが舌を包み込む。また味付けも見た目を裏切るような繊細な醤油感で穏やかだ。これに麻竹の発酵臭がもう少し残っていたなら私にとっては文句なしなのだが、このままでも十分な主役級の極太メンマだ。

薬味はシンプルに三つ葉のみだが、大きな切り方が私好みで良かった。細かすぎる切り方だと常にスープや麺にまとわりつくが、これくらい大胆にカットされていると必要とする時だけ香りを与えてくれるのでナイスアクセントだった。

最初から最後まで箸は一度も止まる事なく無我夢中で平らげていた。前回はまだ肌寒い雨空の下で二時間以上も待った事が調味料となって評価が上がったのかもと思ったが、今回もそれを上回る旨さで違うという事を証明してくれた。二回の来店で約四時間近くも並んだが、後悔するどころかまた来たいと心から思えるラーメンだった。

先ほど行列に並んでいる時に先待ちの二人の会話から、こちらのご主人の修行先が三重県の四日市にある事を盗み聞きした。それが奇しくも今回の東海遠征のもう一つの目的の店と同じだったのだ。そんな事もあるんだなと、不思議な運命を感じながら店を後にして再び名古屋駅に戻る事にした一杯でした。

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「特製醤油らぁ麺 ¥980」@らぁ麺 紫陽花の写真日曜日 晴天 11:00 先待ち48名 後待ち38名以上

先週の〝ラーメン奇行〟で訪れた奈良では、行列で知り合った若者に車で駅まで送ってもらえたおかげで奈良での一泊を免れた。送ってもらった近鉄奈良駅からも、京都行きの特急にギリギリ間に合うという奇跡も起こした。翌日の月曜日には都内で野暮用があり、京都駅から素直に帰京するのがベストではあったが、その前日の和歌山市の夜のネオン街が消化不良だった為に良からぬ虫が騒ぎ出した。

突発的な旅のため、チケットもその場で調達するという無計画ぶりだが、京都駅の新幹線チケット売り場で東京までのチケットではなく、名古屋行きのボタンを押していた。あと一晩だが夜の街を楽しむ事にした。もちろん翌日はラーメンも楽しんで帰京する予定だ。

名古屋駅直結のホテルをとり、栄のネオン街にくり出す。日曜日の夜なので人通りは少ないが、昨晩の和歌山とは比べものにならない賑わいだ。昨晩の分も取り戻すくらいに楽しんで後、惜しまれながらもホテルに戻った。翌朝は少し酒が残っていたが何とか目が覚めた。そこで本来の目的である愛知県年間ランキング第1位のラーメン店に向かおうとしたら、まさかの月曜定休。前日の下調べ不足を露呈して、やむなく東京へと帰った。

それからの東京に戻っての一週間、久しぶりの都内のラーメンを食べ歩いていたが、どうしても名古屋のラーメンの事が気になって仕方ない。そこで本日は居ても立っても居られず、名古屋への再訪を決めた。もちろんコチラへの初訪問の為だけに。

そうと決まれば日曜日の朝、早めに目覚ましをセットして品川駅に向かう。そして東海道新幹線 8:37発 のぞみ17号 博多行に乗車して一路、名古屋を目指した。早朝にもかかわらず、新横浜駅を通過するまでに缶ビールを二本も呑み干す暴挙も旅ならではの醍醐味だ。10時過ぎには無事に名古屋駅に着いた。

ここからは市バス 名駅19系統 尾頭橋経由 港区役所行きで向かう予定なのだが、誰が設計したのだろうかと思うほど不便な構造のバスターミナルを迂回してバスに乗車した。そこからは15駅30分くらいで、車内の名古屋弁に聞き耳を立てていると最寄りバス停の外新町四丁目に着いた。バス停からは目的地は目の前で開店30分前に現着した。

コンビニの先に見えた店の前には外待ち席に選ばれし三人が座っている。それに続こうと思い近づくと背後に人の気配を鋭く感じた。振り返って見ると、少し離れた駐車場には大行列があふれていた。最後尾は駐車場の一番奥まで伸びてで行列を数えながら奥へと進むと48名もの並びだった。先週の大阪にも引けを取らない大行列だ。折れそうな心を、ここまでの新幹線代と照らし合わせて何とか支える。

並び始めて1時間40分が経過しても前列には、まだ10人ほど並んでいる。すでに品川〜名古屋間の乗車時間を越えた。しかし確実に歩みは進んでいるので、諦めずに待つこと2時間20分で入店の順番がきた。新幹線ならそろそろ大阪に着く頃だ。

店内に入り券売機でお目当てのお題を見つける。本日は連食の予定もないので迷わずに特製のボタンを押した。スープとのバランスを考えて麺量は並盛りにとどめた。バッシング待ちの間、店内の待ち席でワンクッションおいてからカウンターに案内される。店内を見渡すと、への字カウンターと二名がけのテーブル席がゆったりと配置されている。その店内をキビキビと作業する五人体制で回している。カウンターの一番右端の席だったが、茹で麺機の目の前の特別リングサイド席でのご主人の調理に目を凝らす。麺箱から出された生麺の美しさを見ただけで美味い麺だと確信した。

ワンロット二杯の丁寧な仕事ぶりを眺めていると着席して5分もせずに我が杯が到着した。その姿は、絵柄の入った陶器の受け皿に乗った鳴門丼の中で特製ながらも気品に満ちた表情を見せる。過去最長の行列の待ち時間を経て出会っただけに感慨もひとしおだった。

まずは代赭色のスープをひとくち。ランダムな鶏油が表層を覆った油膜を破ると鶏主体のスープの香りが立ち昇ってきた。地鶏の個性を押し出してあるが、クセと言うほどではない。過ぎるでもなく、足りないでもない地鶏の野性味を品良く表現する。多く見えた鶏油もサラリと感じられて、しつこさは皆無。カエシの醤油感も高めの塩分濃度ではあるが許容範囲内。流行りの鶏清湯スープながら、他とは一線を画すクオリティの高さだ。良くあるスープに思わせて、味わった事のない鶏出汁のコクとキレを同居させたスープは、一段上のステージに存在している。

麺は生麺の時から麺肌に全粒粉のフスマが浮かんだ自家製の中細ストレート麺。麺茹で釜に投入されるとタイマーに頼らずに、ご主人の指先の感覚だけで麺上げされるまでは60秒ほどだった。切刃のエッジが強く立った密度の濃そうな麺を一気に啜ってみる。そのエッジが唇に強烈な印象を残しながら飛び込んできた。芯を残した麺質だが、麺肌に適度に溶け出したグルテンと鶏油が潤滑油となって信じられない口当たりの良さを打ち出す。信じられないのは口当たりだけでなく、独特の歯応えにも驚いた。モッチリとは違った歯切れの良さがたまらなく心地よい。噛む楽しさが咀嚼回数を増やすので、必然的に麺からあふれる小麦の香りも強くなる。名古屋は味噌煮込みうどんや、あんかけスパゲッティなどの麺質も特徴的であるがコシの強い麺が好きなのだろうか。こちらの麺はうまさは過去トップ3に入るほどの出来だった。

具材のチャーシューは二種類でどちらもレア仕上げ。今や定番となった鶏ムネ肉の低温調理だが、こちらのそれは一つ上のレベルに達している。通常は鶏ムネ肉を一枚丸ごとソミュール液で下味を付けて真空調理すると思うが、それをスライスして提供するので包丁の切り目には角が立つのが当然である。しかしこの鶏チャーシューにはスライスされた断面に角がなく潰されて尖った形状になっていた。不思議に思ったが先にスライスしてからマリネして真空調理すればこの独特の形になるのでないだろうか。ならばソミュール液の浸透が均一なのも納得がいく。その下味が素晴らしく、仕上げに利かせた柚子胡椒の風味も抜群だ。柔らかすぎない筋繊維を感じる加熱具合も完璧の仕上がりには唸ってしまった。一方の豚肩ロースの低温調理も肉厚なので噛みしめるたびに赤身の旨さが湧いてくる。スジ切りなどの下処理もされているので口に残るような不快な食感は全くない。味付けにもこだわりが見え、ほのかな薫香が口に広がるが大げさではないさり気なさが魅力的だ。

追加の味玉は好みほどの熟成感はなく残念だが、常温以上で提供され卵本来の持ち味を十分に引き出していた。

太メンマは見た目によらぬ柔らか仕上げ。唇でも噛み切れるような食感の中に麻竹の繊維が解ける感覚にはうっとりしてしまった。発酵食品の香りと味付けのバランスも良く手仕事感が伝わってくる。

薬味はシンプルに潔く三つ葉のみ。しかも葉先の部分だけが添えてある。根元の部分を刻んで入れたくなるのが普通だが、そうすると三つ葉の香りが強くなり過ぎるのを避けるために敢えて添えてないのだろう。思惑通りに三つ葉を噛んだ瞬間にだけ野趣が香るがそれ以外はスープや麺の小麦の香りを邪魔しない計算された設計図が読み取れる。

人生最長の2時間20分の行列を制した先にあったのは、こんなにも素晴らしいラーメンだった。あまりの旨さに3分もかからずに完食完飲してしまっていた。味の趣向が濃いと思われる名古屋だけにスープを飲み干した後は少し強めの塩分が残ったが、さすがに無化調なので不快な旨味は感じず久しぶりうまいラーメンに出会えたと思いながら席を立った。新規では今年三杯目の90点の大台越えだった。

外の駐車場には延々と行列が続いているが、その客層は若い方たちが多い。名古屋の年間ランキングのトップに君臨するのが、ガッツリ系やJ系でなくアッサリ清湯系である事が嬉しく思った。天然だし離れで若者の味覚崩壊が心配されるご時世でも、しっかりとした自然の旨みを感じられる若者たちに心からの拍手を送りながら帰京の途に就く一杯でした。

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「味玉中華そば 塩 ¥850」@麺屋 はなび 高畑本店の写真日曜日 晴天 10:20 待ちなし 後待ち10名

本日は〝無鉄砲な弾丸ツアーvol1〟を開催する。関西の人に言わすと「鉄砲ないのに弾出るんかい」とツッコまれそうなタイトルなのだが。それは〝無駄で無謀で無茶〟な三重苦の企画だ。企画内容は昼の部内での連食なのだが、それだけなら過去にも経験がある。しかし今回は未開拓県の二県を股にかけた壮大なアドベンチャーなのだ。さらにはRDBのポイントで各県トップの店限定(但し二郎系とつけ麺専門店は除く)とハードルを上げてみる。そこで今回浮上した案が愛知県と静岡県を股にかけた連食ルートだ。

ここで頼りになるのがRDBのポイント順での検索で、両県のポイント第一位を調べると愛知県はこちらで静岡県は浜松市の人気店である。開店前の名古屋着は可能だが食後の浜松への移動が出来るのかルート検索してみると移動時間としては可能だが名古屋を何時に出発できるかによって可能性は変わってくる。こちらの入店が一巡目ないし二巡目あたりでないと厳しい状況だ。

この企画が無意味になる事も頭をよぎったが無性に意欲が駆り立てられ出発を決意した。山手線で品川に向かい【のぞみ15号 博多行き 】に乗車。新幹線お決まりの出発前に缶ビールをプシュッと開ける。もちろんノンコーンスターチの銘柄だ。

予定通り9時47分に名古屋駅着。ここからは調べておいたJRなのか私鉄なのかも分からないあおなみ線とやらで最寄りの荒子駅へ。そこからは歩いて店を目指す。もうすぐ着くはずだが大行列なら壮大な計画は一貫の終わりだ。恐る恐るパチンコ屋の陰から店先を見ると並びは無く第一関門は突破した。開店40分前の現着だった。

店先は秋ながら強い日差しが照りつけているので向かいのパチンコ屋〝カジノスペース大統領〟の駐車場から動向を見守る。開店30分前に外待ち用の椅子が日陰になったのを見計らって先頭にて待機を開始。

店頭のメニューやウンチクを見ていると目的の中華そばは丸鷄ベースと書かれてあるが店内からは豚骨系の匂いが漏れてくる。この時点で強めなラーメンなのを覚悟した。移動ルートを検索するのに注力し過ぎてメニューの事を調べていなかった無計画性が露呈した。慌てて調べると台湾まぜそばの人気店で汁そばだと塩系で勝負されてるようだ。

開店直前にはに行列も増えたいた。定刻になりオープン。早急に調べたオススメのお題を発券し好物の味玉を追加しカウンターに座る。食券を手渡す際に「先頭でお待ちのお客様は110円分のトッピングをサービスします」と言われたが胃袋の許容範囲を超えそうなので残念ながらお断りした。

水を汲み店内を見渡すと中待ち席も設けられた広い店内を四人体制で回す。年季の入った様子からも王者の風格が漂う。着席後3分ほどで我が杯が到着した。ロゴ入りのオリジナル切立丼の中の姿は白磁の器に同化するような清らかさだ。

まずは蒸栗色のスープをひとくち。味覚より先に脳に伝わったのは昆布だしの優しい香りだ。それに伴い鰹節の薫香も感じる魚介優先の香りだ。口に含むと香りを裏切らず魚介な香味が広がる。口内シーワールドだ。その奥には動物系の出汁が基礎を築いているが、中でも丸鷄由来の出汁が幅を利かせている。店先で感じた豚骨の強さはほとんど感じない。

スープの塩ダレも河口の石のように丸く角ひとつ感じないが、そう思わせる理由はすぐに分かった。スープをひとくち飲んだだけで唾液が止まらなくなったのは非天然のヤツの仕業だ。スープを諦めて麺を楽しむ事にする。

自家製麺は箸で持ち上げるとしな垂れ掛かるような柔らかさの自家製中細ストレート麺だ。内麦の胚乳だけで打たれたような麺は色の白さも特徴的だ。食感の頼りなさはあるが噛めば内麦の良さを大いに発揮する。甘みも香りも良好な自家製麺だ。

具材は王道の豚バラ焼豚が二枚で表面には香ばしさを出す為に炙りが施されている。箸では掴みづらいほどの柔らかさが煮豚型の特徴だ。赤身よりも脂身が多いため肉の旨味を楽しむよりは脂身の甘みを楽しむ焼豚のようだ。苦手な分野の焼豚だが数日間の研究の末に編み出した奥義〝ネギチャーシュー〟にする事によって事なく難を免れた。平たく言えば薬味のネギと一緒に食べるだけの事だが。

追加の味玉は正直いうと残念な出来で普通のゆで卵と変わりない。ただ茹で加減が絶妙なだけに惜しい味付けだった。塩系に合わせた調整かも知れないが好みとは違っていた。

中太メンマは麻竹と言うよりは孟宗竹のような外見で味も発酵臭も控えてある。食感だけをアピールする存在のようだがメンマには発酵臭が欠かせない要素だ。

薬味は白ねぎと青ねぎの小口切りが両方とも添えてあったが先程の焼豚の奥義の時に全てを使い切ってしまった。ナイスアシストに感謝。彩りだけの為に添えられた糸唐辛子は艶やかに振る舞うが逆に虚しく映る。

この時にふと思ったのがデフォで海苔が入ってないなら先頭待ちのサービスでもらえば良かったとケチな事を考えてしまったが時すでに遅しだ。

不自然な旨味過多なスープと格闘しながら麺と具材は完食したがスープはほぼ残してしまった。

県内トップのポイントに納得できる内容ではなかったがイチオシ人気の台湾まぜそばのポイントが高いのだろうと自分に言い聞かせて席を立った。その時に気が付いたのはワンロット1杯のオペレーションで二番手の人までしか配膳されてない驚愕の事実だ。メニューが多岐にわたるのでこのような現象が起こっているのだろうか。もし私の現着が遅れていたら浜松での連食計画は夢と散っていたと考えると胸をなでおろす回転の悪さだった。

ラーメンには不満が残ったが計画上は満点の出来で往路のあおなみ線とは違う地下鉄東山線にて名古屋駅に向かう一杯でした。つづく。

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