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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.119点
最終レビュー日 2019年10月18日
662 553 14 2,119
レビュー 店舗 スキ いいね

「並ラーメン ¥750+あじたま ¥120」@ザ・ラーメン 柏西口店の写真平日 晴天 12:45 先客3名 後客1名

〝ニューオープン 探検記〟

本日も駒込のサウナ上がりに見つけた新店めぐりを決めた。

テレビドラマの影響で上野のサウナがマナー知らずの若者に侵略されてしまっているので、安らぎを求めて昨晩は駒込のサウナにやって来た。駅改札から近くカプセルホテルもある便利なサウナだが、流行りに乗った若僧たちに汚されてない地元客に愛されているサウナだ。そんな楽園を、よそ者である私も最近は良く利用させてもらっている。あくまでも大人しくサウナを含めた大浴場で肉体をととのえ、お決まりの食事処の冷えたジョッキの生ビールで精神もととのえるだけなのだ。これを言うと、まるでア◯中患者みたいで申し訳ない。

こちらの施設は地下水を地中深くから汲み上げているので、水には強いこだわりを持っている。全ての基本である水が美味いとなれば料理の味にも違いが出てくるのは当然で、それは朝定食の味噌汁を飲めば明らかな違いが分かる美味さだ。今朝も、ゆっくりと朝風呂と朝食を楽しんでから正午のチェックアウトまで新店情報を漁ってみた。すると千葉県柏市で産声を上げたコチラを見つけ、さらに詳しくお店情報を見てみる。今月初旬にオープンしたばかりで、本日で開店四日目のようだ。※ レビューを挙げるのを忘れていたのでタイムラグがあります

そこで正午過ぎにホテルを出発すると山手線にて日暮里まで行き、常磐線に乗り換えると最寄りの柏駅まで40分ほどで着いた。南口を出て〝あさひふれあい通り〟とある商店街を歩いて行くと3分で、開店祝いの花と同時に「こってり」と書かれた看板の文字が目に入った。店頭には新装開店を知らせる赤い幟旗が置かれ、道行く人にオープンをアピールしている。お昼すぎの来店となったが行列もなく店内には空席が見えたので、白い暖簾をくぐって店内に入った。

入口右手に設置された券売機から筆頭を飾っている表題に「あじたま」と平仮名で書かれたボタンを押した。空調の効いてない暑苦しい店内のL字カウンターに腰を下ろし、店内を見渡してみる。

古材や漆喰壁風の内装の店内を、本日は二人体制で回している。新しい板張りのカウンターなどは新店らしさを感じるが、調理場内の厨房機器や備品には相当な年季が入って見える。店内のBGMには店主さんのスマホが使われているので、時々ラインの着信音も聴こえてくる。お冷を汲み忘れたので客席奥のウォーターサーパーで。水を入れて席に戻ってくるタイミングで我が杯が到着した。着席して5分もかからなかっただろう。

その姿は青磁の高台丼の中で、先ほど見た表看板の「こってり」を具現化したような脂ぎった表情で威嚇してくる。器の口縁に飛散した背脂が、その事実の全てをアピールしているようだ。漢らしいと言えばそうかもしれないが、斬罪とも思える盛り付けに美意識高い系おじさんのテンションは下がる。そんな気分を、ぶちアゲる為に別皿で供された味玉を器の中にインサートして記念撮影をしてみたが、黄身が流れ出してしまい、さらにテンションは急降下した。墜ちた気持ちを奮い立たせるように、朱赤色のレンゲを手に取った。

まずは表層を覆った豚背脂をかき分けてスープの色調を確認すると、霞のある丁子茶色スープが現れた。出来るだけ背脂の影響が及んでなさそうな液面に、レンゲを素早く沈めてすくってみる。瞬時に立ち昇った湯気には、かなりの高温を示唆する真っ白な蒸気が目に見える。それは丼に入れたカエシも温めてあるのでスープの温度が下がらないように、熱さを保つ工夫が功を奏している。その湯気の中には、豚背脂特有の甘みを思わす香りも含んでいる。最小限に抑えたつもりでもレンゲの中には厚めの油膜が見え、ある程度の油っぽさを覚悟して口に含んだ。液体の濃度としてはサラリとして高くはないが、動物性コラーゲンの粘着質が唇を通り口中に膜を張った。油脂の甘みに隠れてはいるが、かなりの塩気の強さが舌を襲い味覚の判断が鈍る。店内には「味が濃いと感じたら調整致します」との貼り紙がちゃんとあったが、今回は基本の味を知るために敢えて薄めずに食べ進んだ。

続いて麺上げまでジャスト180秒の麺を引き上げると、黄色みを帯びた中太麺が箸先に重圧をかけてくる。シャープな切刃の角を残した麺肌からも、強靭なグルテンに満ちているのが分かる。食べなくとも加水率の高さを感じる男っぽい麺を一気にすすり上げると、スクエアな口当たりが唇を通過していく。麺肌にハリがあり凹凸が少ないので強気なスープを引き寄せて来ないのが幸いして、麺自体の小麦の香りを楽しめた。噛めばゴワッとした硬さの中にも、モッチリとした歯切れがあり咀嚼に応えてくれる。つまりは力強さの中にも優しさのある、気は優しくて力持ちタイプの〝ドカベン 山田太郎〟のような麺だ。

具材のチャーシューには、豚ロースと豚バラの部位違いの煮豚が盛り付けてある。感心したのは提供直前に電動スライサーで切り立てチャーシューを盛り付けていた点だ。肉汁は抜け気味でパサついた歯触りではあるが、どちらの部位も赤身を中心にしたチャーシューなので食べ応えはある。もう少し肉汁の旨みを内に秘めた仕上がりならば、スープに負けずに存在感があったと思う。

追加した味玉は白身の上辺だけが色の付いた残念な仕上がり具合で、染みているのは色だけの半熟たまご。漬けダレの浸透は皆無なので、好みの熟成感も全くない。さらには味玉の冷たすぎる温度が、先ほどカエシを温めていた一仕事の意味を台無しにしているようだ。

具材としても彩り要員の役割も兼ねているワカメは戻しワカメなので食感も乏しく、ワカメ自身が塩気をもっているのでスープと重なると手に負えない。薬味の白ネギは強気なスープの中でも、自然な香りと辛味で抵抗してくれた。

中盤からも麺はコシの強さを残し続けてダレる事なく食べ進められたが、スープとワカメは残してしまい箸とレンゲを置いた。獣臭さのない豚骨醤油系スープだったので、カエシの調整をしてもらえば良かったのだろう。今回は初訪問だったので敢えてチャレンジしたが、次回の訪問があればカスタマイズして自分好みの味にしてみたいと思った一杯でした。

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「豚骨醤油ラーメン ¥820+味玉子 ¥100」@ラーメン猪太の写真平日 曇天 13:20 先客9名 後客1名

〝ニューオープン 探検記〟

本日の常磐線沿線での連食計画も無事に一食目を食べ終えた。午前中は成田線の布佐駅から我孫子経由で柏まで戻ってくると、連食のハーフタイムを取るために駅前の足ツボマッサージで疲れを癒した。するとマッサージ師さんに「暴飲暴食には注意してください」と意味ありげな忠告を受け、疲れを癒すどころか気持ちが滅入ってしまった。しかし〝暴飲暴食暴性〟とは言われなかったので良しと受け止め気を取り直して本日の二食目へと向かう事にした。

ラグビーW杯のオーストラリア代表 オールブラックスのキャンプに湧く柏駅東口から10分ほど歩くと、こちらの紺色の看板が見えてきた。店先には大きな藍染の日除け暖簾が掛けられてあり、全体的に茄子紺で統一された外観となっている。昼のピークタイムを過ぎていたので行列はなく、ガラス越しに店内の空席を確認してから扉を開けた。

店内に入ると入口右手のSHIBAURA製の券売機から本日のお題を品定めするが、多ジャンルなラインナップの中からセオリーに則って左端最上段のボタンと味玉を追加発券した。券売機の横にはラーメン一杯につきライス二杯無料サービスの保温ジャーが置かれてあったが、ラーメンだけに集中する為に遠慮してカウンターに腰を下ろした。

カウンター越しに広めの店内を物色すると、他のラーメン店の厨房設備とは異なる点が随所に見られた。その一番の違いはビビンバコンロを設置されている点で、ガス台の上には複数の土鍋が熱せられている。そのため店主さんは両手にミトンを着用しているので、手先だけを見ればパン屋さんのようでもある。客席は逆L字カウンターとテーブル席も設けられてある店内を本日は三人体制で回している。

三人の持ち場の仕事を淡々とこなす様子を見ている時に、疑問に思う光景を見てしまった。それは後客の中年男性が入口の扉を間違えて反対側を開けてしまい、店内に置かれた傘立てにぶつかってしまったのだ。それに気づいた店主さんは心配するでもなく、笑いながら他のスタッフに目で合図を送っている始末だ。調理中なので客のところに駆け寄るわけにはいかないとしても、入口を間違えた客を笑う事はないのではなかろうか。その光景を見た時に、店側の客に対する思いが伝わってきた。しかし接客面は評価の対象にしない方針なので、店内のテレビに映る夏の高校球児たちの真っ直ぐなプレーに心を置き換えて冷静を取り戻そうとした。ここは甲子園と違ってエアコンの効いている室内でスープ炊きの豚骨臭に包まれながら待っていると、着席して8分で我が杯が到着した。

その姿は先程まで熱々に焼かれていた萬古焼の黒鍋に白い蓋というインパクトのある独自のスタイルで現れ、すかさず店主さんが鍋蓋を取ってくれると土鍋からは真っ白で熱い湯気が立ち昇ってきた。その瞬間に店内にたちこめた豚骨の匂いよりも何倍も濃縮されたスープの匂いが嗅覚だけでなく、顔面全体を襲ってきた。この時ばかりは室内のエアコンも効かないくらいの熱気を感じながら、鍋焼きラーメンならではの景色を眺めながらレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。厨房内では大型の寸胴鍋で豚骨やゲンコツを潰しながらスープが炊かれていて、いかにも濃厚そうに思えるスープだ。土鍋の中では煮えたぎるように泡立っている液面にレンゲを沈めると、思ったほどの粘着質を感じずにスープが注がれてきた。苦手な超濃厚スープではない事に安堵しながらスープを口に含んでみると、味覚よりもスープの熱さがダイレクトに伝わってきた。その熱さが落ち着くと最初に現れたのは醤油ダレの塩気の強さで、高温の中でも感じる味の濃さには一口目だけで放棄したくなるような塩っぱさだった。豚由来のコラーゲンたっぷりなスープ自体には豚骨特有のクセが残っているので、私にとっては塩気と臭みのダブルパンチの苦手な印象ばかりが際立ってしまった。この時点でスープは諦めてレンゲを箸に持ち替えた。

無かん水自家製麺と謳ってあるので実際にはラーメンとカテゴリーからは外れる麺を持ち上げてみると、箸先には色白美人の中細ストレート麺が現れた。美白な麺肌には切刃のエッジがくっきりと残り、長めの形状が特徴的に見える。調理場内に設置された製麺機と茹で麺機の距離が異常に近いので、茹で湯の蒸気が麺の湿度に影響しないのか心配に思いながら麺を口に運んでみる。スープの熱さや麺の長さから一気にすすり上げる事を躊躇していまうので、ゆっくりと口の中へと送り込んだ。するとラーメンでは感じた事のない滑らかな口当たりが唇を通過して、口の中を優雅に舞いながら収まってくる。中華麺では珍しく、布海苔を練りこんであるとウンチクにあるので布海苔効果による独特の口当たりなのだろう。それは新潟の〝へぎそば〟の舌触りに類似するような、オリジナリティあふれる自家製麺には思える。しかし土鍋の加熱効果や、かん水を含まない麺は常に状態が変化し続けているので予断を許さない状況だ。初動でも麺肌には小麦グルテンの粘着質が浮かんできており今後の麺ディションの劣化が心配になってきて食べ急ぎたいものの凄まじいスープの熱さゆえにそれすらも、ままならず麺の状態は変わり続けていく。

具材のチャーシューは豚肩ロースの煮豚型が盛り付けてあるが、やや脂身の多い部位が切り分けられた。と言う事はスジが多くある部分なのでチャーシューの切断面が平面ではなく、筋に引っ張られて波を打っているように見える。見るからに硬そうには見えるが、赤身を好む趣向なのでありがたく思いながら頬張ってみた。豚肩ロースならではの肉々しい歯応えが力強く、赤身の持ち味を十分に感じられる。味付けもスープのようにカエシの塩分が利いてないので豚肉本来の旨みを味わえ、強気なスープの中でも素材の良さを楽しめるチャーシューだ。今の流行りのレアチャーシューにはない、噛みしめるたびに旨みの湧いてくる逸品だと思った。

肉の具材として豚挽肉のそぼろも入っていたが、とにかく味が濃すぎるので更に塩気が強くなってしまった。このミンチならばライスとの相性は抜群のはずで、客人の誰しもが無料ライスを片手にラーメンを食べているのが納得できた。全てがライスありきの味の濃さならば仕方ないが、ライスを必要としない私には手に負えない程の凄まじい塩気にやられた。

追加した味玉だが、店内にメニュー写真がないので基本でも味玉半個が入っていると知らずに追加トッピングしてしまった。結果として一個半も盛り付けてあるという、わんぱくな表情となってしまった。もし店側にゲストファーストの思いがあれば何らかのアナウンスがあって然りだと思うが、どうやら売上至上主義のようで「最初から味玉半個が入ってます」のような案内もなく当たり前のように提供された。しかしながら大好物の味玉なので美味ければ問題ないと食べてみたのだが、残念ながら味玉と呼ぶには程遠い色付きゆで卵だった。さすがに土鍋の中で熱せられているので提供温度の温かさは申し分ないが、そのせいで黄身は硬くなってしまっていた。そんな卵を一個半は食べられずに初めて味玉を残してしまった。

メンマも下処理の段階で戻しすぎたのか煮込み過ぎたのか分からないが、食感のなさと味気のなさで存在感を全くアピール出来ていない。

ウンチクにはコチラのラーメンの真髄でもある、季節によって変わる鮮度にこだわった地元産の野菜類が使われていると書いてあった。その柏産の野菜には本日は小松菜と空芯菜が用いられていたが、小松菜の苦味と食感は強気なスープの中で自然な味わいを与えてくれた。一方の空芯菜は鮮度以前の問題で、噛んだ途端に空芯菜ならではの茎の中から不快な水分があふれてきた。それは茹で麺機の中の茹で湯のような不純物を含んだ水分で、噛むたびに不味い味が口の中に広がった。野菜を茹でるのに茹で麺機を利用するのはいいが、空芯菜には向いていないと思った。

序盤から色んな要素に苦しめられながら食べ進めようと努力したが、八割近くを残してレンゲと箸を置いて席を立った。

偏食傾向の私には弱点ばかりを責められたようなラーメンだったが、周囲を見ると満足そうに楽しんでいる様子も見られた。すでに新天地でも愛されているのが伝わってきながら店を出ると、外の空気が美味しかったのが印象に残った。その空気が一番のご馳走と思えるくらいに店内が臭かったのだろうかと思ってしまった一杯でした。

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「塩ラーメン ¥700+味玉 ¥100」@らーめん元気の写真平日 曇天 11:20 待ちなし 後客1名

〝ニューオープン 探検記〟

またもや連食向きな新店情報が挙がってきた。その二店舗はどちらも千葉県が所在地ではあるが、先週に行った旭市のように遠くはないエリアだったので即決で新店めぐりの作戦を立てた。作戦と言うほど大げさではないが自宅からでは少し距離があるので、ひとまずは上野駅前のサウナを拠点として計画を練った。

この日の午後は今まで全く関心ののなかったアイドルグループ、ももいろクローバーZの明治座公演のお誘いを受けて舞台を観てきた。ももクロ一座の脇を固めるのは懐かしの〝トミーとマツ〟こと国広富之さんと松崎しげるさんで、モノノフでない私にも楽しめるお芝居だった。しかも1階2列目 (実際には1列目は使われていないので最前列) というファンにとっては神席からエセノフの分際で舞台を観られた事は本当に有り難かったのだが、休憩を挟んだ二幕目はライブ構成となっていたので初心者には荷が重かった。耳覚えのある曲も少ないのに応援用のライトまで待たされて、見よう見まねでライトを振る自分に不思議な高揚感がありテンションが上がってしまった。この歳になって人生初のサイリウムを振り回すとは思っていなかっただけに、世の中なにが起こるか分からない事を実感した。この後はどうしても出席しなければならない会食があったので、最後まではライブを楽しめなかった事が残念に思うほどに楽しんだ。

ももクロに心を奪われてしまい会食中も上の空でやり過ごすと、自宅で着替えを済ませてアジトである上野のサウナに向かった。天候が悪いせいか、ここ最近では随分と空いている大浴場とサウナでしっかりと「ととのう」事が出来た。その後はルーティンである食事処で生ビールを楽しんでからベッドに入ると、朝までぐっすりと眠りに就いた。

今朝もすこぶる快調に起床すると朝風呂を浴びて出発の準備を整えると、目の前の上野駅に向かった。上野駅まで徒歩2分を知ってしまうと、自宅からのスタートが億劫になってしまった。上野駅からは 10:04発の常磐線 我孫子行きに乗車すると35分程で我孫子駅に着くと、少し遅延している成田線に乗り換えた。滅多に乗る事のない成田線にて15分ほど揺られると、最寄りの布佐駅にやって来た。もちろん人生初の駅を降りて住宅街を歩いて抜けると、10分くらいでカラフルなスーパーの大きな看板が目に入ってきた。その派手な看板の色使いを見た時に、昨日のももクロカラーを思い出してしまった。

そんな大型スーパーの駐車場を抜けると道路を挟んだ向かい側に、ブルーとイエローの手書き風の味のある看板が見えてきた。そのカラーリングが隣接する福祉施設の看板と色使いが被っていて、奇妙な偶然が笑いを誘った。定刻より10分早く現着となったので並びもなく、先頭にて待機を始める。

ガラス張りの外観だが中華麺の色を思わせる薄黄色のロールスクリーンで目隠しされているので店内の様子は分からないが、明かりと人の気配は感じるので臨休ではなさそうだ。店先に積まれた浅草の人気製麺所の麺箱の横に立って待っていると、定刻より2分遅れてオープンとなった。

店内に入ると入口右手に設置されたエルコム製の券売機から本日のお題を品定めするが、店側のオススメと思われる左部最上段には塩系が設定されていた。マイスタンダードの醤油系を探してみるもボタンがないのでセオリーに則って、筆頭を飾っている塩系のボタンを押さざるを得なかった。味玉だけは譲れずに目を凝らしてボタンを見つけて追加発券すると、気持ちを落ち着かせるようにセルフで水を入れてカウンターに腰を下ろした。

カウンター越しに店内を物色するとL型カウンターだけの客席と中待ちイスも置かれた広めの店内を若い店主さんが、おひとりで切り盛りしている。ホールの床には白と黒の市松模様のタイルが敷き詰められ、赤と黒のスツールを交互に置かれた派手めな内装が個性的に映る。そんなビビットな店内に反して店主さんは実直そうで黙々と調理を進めているが、店名の「元気」とは結びつかないようにも思えた。元気は無いがラーメンに集中している姿には信頼感があり、出てくるラーメンに期待をしながら調理を見守っていると着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の鳴門丼の中で不思議な要素が見られはするが、あくまでも素朴な表情で出迎えてくれた。ラーメンの中では見た事のない具材が個性をアピールしているようだが、保守派の私にも受け入れられる具材なのか確かめる楽しみも湧いてきた。この器の中の全てのモノに店主さんの魂が宿っていて欲しいと願いながら朱赤色のレンゲを手にした。

まずは練色のスープをひとくち。バラエティに富んだ具材陣で埋め尽くされた液面上から具材の覆ってないスープが見られる場所にレンゲを沈めると、粘着性の少ない軽やかな手応えと共に魚介の香りが湯気に混じって立ち昇ってきた。表層の油膜も薄っすらとしか見られないのでサッパリとした印象を受けながらレンゲを介してスープを口に含んでみると、魚介の香りとは異なる動物系のコクのある旨みが先陣を切ってくる。スープからは旨みの他にも独特の舌触りを感じるので、節粉を加えて魚介の旨みを重ねてあるのだろうかと思った。見た目は塩清湯だが、口当たりとしては若干のザラつきを感じてしまう苦手な要素が顔を出した。動物系出汁の主軸となっているのは鶏ガラと思われるが、初動では甘みの強いスープに感じるのは塩ダレに含まれる味醂由来のものだろうか。その甘みに隠れて気付きづらいが塩気も高めの設定となっており、不思議な事にスープには貝由来のようなコハク酸の濁りも薄っすらと見られる。最初に感じたスープのザラつきは節粉ではなく、干し貝柱の粉末によるものだろうか。それならば旨みの濃さと塩気の強さとザラつきの全てに合点がいくが、真相は定かではない。

続いて麺を箸でもちあげると、色白美肌の中細ストレート麺が現れた。タイマーは80秒で鳴り始めたが、そこからベストのタイミングを見極めながら115秒で麺上げされていた。タイマーから35秒のタイムラグに何かしらの意味があるのだろうがタイマーの設定が不可解にも思え、実際の麺ディションが少し心配になってきた。これ以上のタイムロスで麺の劣化を進めてはいけないと思い、慌てるように一気にすすり上げた。すると柔らかすぎるといった感じではないが、どことなく頼りない口当たりで麺が滑り込んできた。一口目をすすり終えた瞬間に感じたのは懸念された麺の劣化ではなかったが、必要以上に溶けてしまったグルテンの粘りだった。麺が癒着する寸前で踏みとどまってたが、すすり心地の点では自身の好みとは随分と違っていた。しかし溶け出したグルテンの粘着質が拾い上げてくるスープの香りと麺の持つ小麦の香りの一体感は、計算された組み合わせのようにも思えた。

具材のチャーシューは豚バラの巻き型で仕込まれていて柔らか仕立てながらも、かなりの肉厚なので食べ応えも維持している。盛り付け直前にオーブンで焼いている点にも丁寧な仕事ぶりが表れている。味わいとしては煮汁の味が強めたが塩系スープの中で感じる醤油感は新鮮で、このラーメンには相性の良いチャーシューと思えた。

追加した味玉は下茹での半熟加減や熟成度合も程よくバランスがとれ味付けも適度で良かったが、提供温度の冷たさばかりは残念だった。一番客ゆえに常温に戻す時間がなかったのだろうが、せっかくの適熟した黄身の甘みが半減以下になってしまっていた。この時期なので調理台に放置されて汗をかいたような味玉よりは助かるが、せめて湯煎で温め直す一手間があれば味玉のポテンシャルを引き出せたのではないだろうか。

わずかに添えられた板メンマは自己主張をしてこないタイプの添え物として脇役に徹していて、食感も柔らか仕立てなので存在感としては乏しかった。

ラーメンの中では非常に珍しい揚げ茄子がオリジナリティをアピールしている。具材に関しても形式を重んじてしまいがちな私も茄子は大好物なので興味があり口に運んでみると、出汁に漬け込んだ〝揚げびたし〟ではなく茄子本来の味を楽しめるように〝素揚げ〟で添えられていた。となると一番気になるのは揚げ油の質と鮮度なのだが、油の吸収率の高い茄子の旨みを活かす揚げ油を使用されていた。これは一番客の特権だったかもしれないが、使い始めたばかりの油の鮮度が良く酸化や劣化を全く思わせない油の鮮度の良さが際立っていた。よって茄子の持つ甘みと塩スープの塩気が相まって、追加トッピングを望んでしまいそうな具材となっていた。ただ一つ難を言えば、この時期の露地栽培の茄子は皮が硬いので皮目に隠し包丁が入っていれば歯切れの悪さを感じずに済んだと思った。

海苔は残念ながら海苔専門店から仕入れた物ではなく、いわゆる業務用ラーメン海苔と呼ばれるタイプで黒の色素が薄く緑色にすら見える。口にしても香りがなく、質の高さは感じない安価な海苔を使われている。

薬味の白ネギは適度な香りと辛味を加えてくれて、歯触りの点でも良きアクセントとなってくれた。塩系によく見られる豆苗や糸唐辛子もビジュアル先行のように思え個人的には不要なのだが、あまりにも分量が少なく添えてあっただけなので幸いにも存在感がなくて助かった。

幸先よくスタートを切ったと思われたが、中盤からは麺の状態が激変してきた。早食いの性分なので時間は経っていないが、麺肌にはグルテンの粘りが出てきてしまい器の中で〝ダマ〟になり始めていた。慌てて食べ進んだがハリやコシを失った麺には魅力を感じられず、喜びや楽しみもないままに食べ終えていた。こうなってくると最初の麺上げタイマーの誤差が気になりながら箸とレンゲを置いた。

麺の茹で時間は製麺所や客が決めるものではないので、そこに店のセンスが大いに発揮される点だと思われる。今回の麺は私にとっては、足の早さが心残りとなってしまいながら店を後にした。店の外に出ると雨が降り始めてきたので足早に連食先へと向かう事にした一杯でした。

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「浦安ラーメン ¥1150」@浦安 幸来の写真日曜日 晴天 11:30 先客3名 後客1名

〝ニューオープン 探検記〟

実は先月からオープンの情報は知っていたのだが七月中を長期にわたりオープン価格にて営業されていたので、贔屓目になってはいけないと思い通常営業開始を待っていた新店なのだ。そこで今週は新店めぐりを楽しんでいる最中なのだが、本日は東京メトロ東西線沿線に相次いでいる新店ラッシュに目をつけて連食計画を立てたのだ。

自宅からではアクセスの悪い浦安なので、昨晩から船橋駅前のサウナに前乗りしていたのだ。こちらは千葉遠征の拠点として大活躍してくれている宿泊施設なのだが、明るく広々としたサウナと水風呂が気持ち良いのがお気に入りの理由だ。露天風呂がないので外気浴ができないのが残念だが、サウナ後の食事処での生ビールの味は格別だ。つまみは定番の牛ハラミの鉄板焼きで始まり、健康の事を少しばかり考慮して冷奴と納豆で〆る。もちろんラーメンもあるのだが、自身の貫く〝ラ道〟と〝サ道〟を混同してはならないと自分を戒める。しかし生ビールだけは戒められずに、片手では足りないくらいに呑んだくれてしまった。しかし、この食事処のおかげで怖いイメージの船橋のネオン街に出向かずに済んでいるので助かっているのも事実だ。

そんなこんなで〝キャ道〟を避けられたので今朝も快調に目覚め、朝サウナで〝ととのう〟と計画通りに新店めぐりへと出発した。船橋駅から西船橋で東西線に乗り換えるのだが、思えば目的地よりも遠い場所に前泊していたようだ。東西線で都内に戻るようにして最寄りの浦安駅に着いた。そこからは東口を出て歩いて5分ほどで、大通り沿いにあるコチラの洒落た外観が見えてきた。

11時前に店頭に着くと11時開店と思っていたのだが30分遅い開店時間に変更となっていた。店先には直射日光を遮るものが何もなく40分も並んで待ってはいられずに一度は店先を離れ、通りの反対側にあるコンビニで水分補給をしながら待っていた。定刻の5分前に店先には戻ると三人の並びが出来ていて、それに続いて待っていると少しだけ早くオープンとなった。店頭には新メニュー「かけそば 800円」の立て看板が出ていたが、低価格帯のメニューも登場したようだ。

真っ白な暖簾をくぐり店内に入ると券売機は設置されていないので、好きなカウンターに座り卓上メニューから本日のお題を品定めする。オープン記念では600円で提供されていたイチオシの「浦安ラーメン」だったが、本日は通常料金に戻っている。かなり高額メニューとなっているが価格設定やコスパは採点には含まない方針なので純粋にラーメンに向き合おうと決めて、ホールスタッフさんに注文を告げた。

RDBのお店情報や店頭のメニュー写真を見る限りでは、高額にも引けを取らない立派な装いに見えたので期待をふくらましながら店内を見渡してみる。白木風のカウンターとテーブル席が多くある広い店内が視覚を圧倒し、店内に漂っている出汁の香りが嗅覚を刺激する。そんな良い香りを放っている調理場も広めにレイアウトされているが、店主さんが一人で調理を担うには導線が大変そうである。本日は〝浦安魂〟とバックプリントされた揃いのユニフォーム姿の三人体制で回していて、それぞれが持ち場の仕事を全うしている。そんな三人の連携を眺めていると、着席して6分ほどで我が杯が黒塗り盆に乗せられて到着した。

その姿を見た瞬間に、高まっていた期待が音を立てて崩れていった。それは白磁の切立丼の中で、職人魂を感じられない粗雑な盛り付け姿を見せていた。写真を見ると食べかけと思われるかもしれないが、これが提供直後の姿なのだから驚いた。具材の中心とも言えるハマグリは液面下に沈んでしまい存在が見えず、店の〝ウリ〟とも言えるハマグリの扱い方に第一印象が悪くなってしまった。しかし見た目も評価の対象外としているので、気持ちを仕切り直してレンゲを手にした。

まずは路考茶色のスープをひとくち。ほとんど油を使わない日本料理のように極力油分を抑えたスープと思われる液面には、非常に薄い油膜が張っているだけだ。これを見ただけでもスープと言うよりは和出汁に近い印象を受けるが、和出汁と言っても澄みきった鰹の一番出汁と明らかに違うのはハマグリ由来の濁りがスープの中に見られる点だ。その濁りこそがコハク酸の旨みの結晶と思われ、レンゲを口元に近づけてみた。次第に香りも寄ってくるが、主体となっているのは馴染みのある鰹節の心地良い香りだった。香りだけで安心感が湧いてきて脳波が落ち着いたところでスープを口に含んでみると、思わぬ熱さに驚いた。日本料理店でハマグリのお吸い物を飲むと必ず低めの温度で仕立ててあるが、こちらはラーメンのスープだけに熱々に仕上げてある。丁寧に丼を専用の湯煎器で温めてあるのもあって、かなりの高温が唇に伝わってきた。それでもしっかりとハマグリの旨みを感じるのは、かなりのエキスが含まれているからだろう。土台には鰹節などの旨みも感じるが、初動では余計に感じてしまう香りがあった。それは薬味の三つ葉の香りで葉先だけでなく茎の部分も大量に刻まれて添えてあるので、スープに香りが溶け込んでしまっていた。それが少しの香りならば清涼感のアクセントになるが、こうも大量だと主役が何か分からなくなってしまう。慌てて半分以上の三つ葉をレンゲに避けたが、時すでに遅しでスープに移った香りは元には戻らなかった。きっと基本のスープは魚介の香りに満ちた素晴らしい味わいなのだろうなと、過剰な薬味の存在を恨みながらレンゲを箸に持ち替えた。

ラーメン店には珍しい箸袋に収められた割り箸で自家製麺を持ち上げてみると、麺上げまで80秒程の自家製中細ストレート麺が現れた。店内の奥にはガラス張りの製麺室が設けてあり、室内には豊製作所の製麺機 せと号が設置されている。毎日その製麺機で打たれたと思われる自家製麺は箸先からも感じるハリの強さがあり、いかにも食べ応えのありそうな麺質に見える。たまらず一気にすすり上げると切刃のエッジが鮮明に残る茹で加減なので、唇にシャープな印象を残して滑り込んでくる。細身ながらもコシもあり、噛めば奥歯を押し返すような弾力も持ち合わせている。そこに歯切れの良さが加わると咀嚼の楽しみが止まらない良麺だ。スープの塩気も手伝って、小麦の甘みがより引き立ってくる。麺類も女性と同じで細身ながらもメリハリのあるタイプが好きなので、この麺を食べただけでも前泊した甲斐があると心から思えた。

続いて具材を楽しんでみると、房総産の海の幸や山の幸を使われてあると書き記されているように盛りだくさんの具材が入っている。初見の盛り付けの寂しさのあったハマグリは本物の地ハマを使われていて、最近よくあるホンビノス貝をハマグリと名乗っている店とは大違いだ。この地ハマを使えば価格が上がって当然の食材である。そのハマグリの火入れ加減もエキスは十分に引き出しながらも、貝の身としての食感を残した絶妙のバランスだと思う。よりハマグリの身をレアに仕上げるとエキスが抽出されずに残ってしまうので、出汁としても具材としても最適なハマグリが素晴らしかった。

魚介の具材のもう一つには焼き鯛を使われているようなのだが今回私が食べたのは、とても鯛とは思えない具材だった。厨房内に置かれたラーメン店には珍しいサラマンダーで焼き上げられたと思われる魚の切り身は、身質や香りからしても鯛ではなく銀ダラの漬け焼きのようだった。本音を言えば銀ダラでもなく、代用品として用いられる外国遠洋産のメルローやシルバーとしか思えなかった。しかし浦安を含む房総産にこだわっているので、房州沖の天然真鯛なのだと信じたい。

海の幸としてもワカメも磯らしさをアピールしているが、塩蔵ワカメでは歯応えがなく残念だった。来春の生ワカメのシーズンが来た時には、価格が上がったとしても旬の生ワカメの入ったラーメンを食べてみたいものだ。

ワカメは残念だったが大判で添えてある海苔の品質には驚いた。もちろん地場産の三番瀬海苔だと思うが見た目も黒々として磯の香りも口溶けも良い海苔は、かなりの高級海苔と思えた。

初期値で半個入りの味玉は軽やかな熟成ながらも旨みを含んでおり、卵本来の質も良いが調理技術の高さで引き出された旨みに感じた。

十字の四つ切りで添えられたシイタケも自然な旨みに富んでおり、噛めば滋味にあふれる味わいを放っていた。

薬味は白ネギと三つ葉と山椒の木の芽が和テイストをアピールするが、やはり三つ葉が大量過ぎたので白ネギや木の芽の香りは鳴りを潜めてしまっていた。

序盤から高めの塩分に苦戦しながらも自家製麺の素晴らしさに引っ張られて、麺と具材は完食したがスープを飲み干すことは出来なかった。

思い返すと店先の立て看板にあった新メニューとして登場していた「かけそば 800円」の三つ葉抜きだったとしたら、採点も10点以上は軽く違っていたとメニューチョイスを悔やんだ。和風出汁と自家製麺の組み合わせが老いた胃袋にも受け入れやすく、毎日でも食べられるのではと感じた一杯でした。

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「味玉醤油ラーメン ¥870」@麺屋 Kの写真平日 曇天 11:25 先客なし 後客2名

〝ニューオープン 探検記〟

地方巡業を終えて久しぶり都内に戻って来たかと思っていたら、RDBの新店情報には神奈川県や千葉県でのオープンの知らせが相次いでいた。昨日は小田原の新店で素晴らしいラーメンに出会えたので、今回は千葉県で産声を上げたコチラの新店を訪ねてみようと、お店情報を見てみた。

所在地は千葉県旭市となっているが、恥ずかしながら一度も目にした事のない地名だった。そこでマップで確認してみたのだが、あまりの遠さに心が折れてしまった。もうそこは人生でも一度しか訪れた事のない銚子の手前だったのだ。

公共交通機関では何時間かかるか未知の場所なので諦めようと思ったがダメ元で自宅からのルート検索をしてみると、なんと乗り換え一回だけの移動手段が見つかったのだ。まさかと思いながらも詳細を見ると、浜松町からのハイウェイバスが運行しているようだ。しかも最終的に目的地へは徒歩圏内と嘘のような移動ルートが浮かび上がってきた。これを知っては高まったテンションが治らず、浜松町界隈で前泊してから向かう作戦を立てた。

そこで昨日は久しぶりに新橋駅SL広場近くのサウナで心身ともに整えようと思い、夕方にはチェックインを済ませた。このサウナはカプセルホテルがない雑魚寝スタイルの施設なのだが、追加料金を払えばデラックスシートと呼ばれる豪華リクライニングチェアーにて眠る事が出来るのだ。フロントで見取り図から静かで快適そうな席を選び、アイマスクと耳栓を受け取って館内着に着替える。ここは館内着が、浴衣タイプかTシャツタイプから選べる点も親切でありがたい。お腹が冷えないようにTシャツタイプを選んで、天国への階段とも言うべき螺旋階段を上がって上のフロアの大浴場に向かった。

まずは身体を清める為に全身を洗うのだが、サウナで最近は夏の定番となった〝冷シャンプー〟と〝冷ボディシャンプー〟が置いてあるのもうれしい。昨日テレビで山形県民は〝冷やしラーメン〟のように何でも冷たくすると言う話をしていたが、この〝冷シャンプー〟も山形県が発祥らしい。※ たまにはラーメンの話も入れておかないとサウナレビューと勘違いされてはいけないと思ったので冷やしラーメンの話を入れてみた。

ここのサウナは、ひな壇が二段しかないのだが広めの浴室内が気持ち良い。そして最大の特徴は15分ごとに自動で行われる「日本初のウォーターセレモニー」だ。簡単に言えば自動的に焼けたサウナストーンに水がかけられる自動ロウリュの事だが、その瞬間を楽しみにしているファンも多いのではないだろうか。

時間になると浴室内のライトが消えて真っ暗になり、アダムスキー型UFOのようなライトが点灯し始めて滝のように水が落ちてくるのだ。その絶妙なライティングはOPパブのハッスルタイムか、地方のPサロの照明を思わせるナイスな演出だ。実際には体感温度は少しも変わらないのでロウリュの効果としては疑問があるが、気持ちの面では熱が上がった。

そんな興奮を鎮める為にも水風呂に入ったが、ブルーのライトを水風呂に当てて冷たさを表現しているのだが、水温自体が 20℃と冷たくないのが残念だ。久しぶりに来てみたが他にもテルマベッドやミルキー風呂などアイデアを盛り込んでいるのだが、全てにおいて惜しいのが足が向かなくなった理由と分かった。

しかしこんな時にでも絶対に裏切らないのが、サウナあがりに呑むレストランでの生ビールだ。このサウナの雰囲気からも〝食事処〟ではなく〝レストラン〟の呼び名の方がしっくりくる店内で〝メガジョッキ〟なる最大級の生ビールを注文したが、いつからこんなネーミングになったのだろうか。少し前までは〝大ジョッキ〟と呼んでいたと思うが、私が生ビールを飲み始めた頃は〝中ジョッキ〟がこのサイズで昔の〝大ジョッキ〟は片手で持つには重たすぎて手が疲れるくらいに大きかったものだ。もう国内であの大ジョッキで呑める屋上ビアガーデンは無くなってしまったのだろうか。そんな事を懐かしく思いながら4杯程やっつけるとレストランのメニューにあるラーメンには目もくれず、デラックスシートに身を沈めた。

しかし夜中の1時に喉の渇きで目が覚めてしまったが、こんな時でも営業しているレストランは使い勝手が良くて助かる。夕食を抜いたせいで腹も空いていたので、冷奴と納豆のヘルシーコンビと再びメガジョッキで小腹を満たして寝床に戻った。

翌朝は予定通りに午前8時に起床して朝風呂を浴びてから身支度を整えるとチェックアウトで会計を済ませて、バスターミナルのある浜松町の貿易センタービルに向かった。グーグルマップの指示通りに、千葉交通ハイウェイバス 浜松町バスターミナル 9:20発 旭ルート銚子犬吠埼行きに乗り込んだ。わずか乗客三人だけを乗せて発車したバスは、東京駅八重洲口で新たな乗客を五人追加して宝町インターから首都高に入った。

京葉道路を抜けて東関東自動車道へと入り大栄インターを降りるて一般道を進むと、浜松町を出発して2時間弱で最寄りの旭ニュータウンバス停に着いた。目の前には海宝寺という大きな寺があり、海は見えないが潮の香りが強い風に乗って漂ってくる。そこからはナビ通りに歩くと5分で本当にラーメン屋らしき建物が見えてきた。

鮮やかな青い壁が目を惹く平屋の建物には五軒の飲食店が並んでいて、その中の右から二軒目に白い暖簾が強風に揺れているのが遠くからでも見えた。ここまで来て臨時休業だと昨夜からの行動そのものが無意味になってしまうので、暖簾を見た時は正直うれしかった。急いで駆け寄り店内に入ると、入口左手に設置された芝浦自販機製の券売機の中から本日のお題を決める。かなり大型でボタン数の多い券売機だが、設定されているメニューは現時点では少なく悩む事もなかった。筆頭には塩系が掲げてあるが、二段目に位置するマイスタンダードの醤油系の味玉入りを発券してカウンターに腰を下ろした。

オープンして30分ほど経っていたが先客はなく私がファーストゲストのようで、店主さんに食券を手渡すと紙おしぼりを用意してくれた。気の利いた心づかいをありがたく思い、手を拭きながら店内を見渡してみる。白壁に味わいのある古い床板を敷き詰めた洒落た店内だが、店主さんお一人で切り盛りするには広すぎると思ったのが最初の印象だ。中待ちイスを置くスペースも十分に確保してあるが、テーブル席も置けそうなくらい広々としている。客席のカウンターが広いのはありがたいが、厨房内が広すぎるのは随分と大変そうに見えた。私の見た数少ない厨房の中では、茹で麺機と調理台との距離は確実に一番遠い店である。何かの理由があっての厨房機器のレイアウトだとは思うが、ラーメン一杯を作るのに何歩移動するのか知りたくなる程だ。都心のラーメン屋さんが見たら、うらやましがりそうな贅沢な店内で待っていると着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の鋭角な切立丼の中で、見た目では〝またおま系〟かと思ってしまうような鶏を前面に押し出した景色を見せている。決して丁寧な盛り付けとは思えないが、悪意のない仕事ぶりが初見で伝わってきたのは味玉の盛り付け方だった。普通ならば色ムラのできた部分は見えないように盛り付けるのがズル賢い人間のやり方だと思うが、店主さんは色ムラ部分を隠さずに盛り付けられていたのだ。そんな飾らない姿に店主さんの実直な仕事ぶりを感じたが大切なのは気持ちではなくラーメンの味なので、心をリセットしてレンゲを手にした。

まずは赤銅色のスープをひとくち。表層には粒子の荒い香味油が浮かんでるスープにレンゲを挿してみると、先陣を切ってきたのはカエシの醤油の香りだった。さすがは銚子に近いだけに地元〝ヤマサ醤油〟を思わせる醤油香を利かせたスープが鼻腔に届いた。ある程度の醤油の強さを警戒しながらレンゲに注がれたスープを口に含んでみると、醤油感は香りだけで塩分としてはかなり抑えてある。香りばかりに気を取られていたが旨みの土台には鶏主体の動物系出汁と共に、鰹節主体の魚介系出汁も感じられる。見た目では流行りの〝鶏と水〟と思っていたが、しっかりと魚介の風味も重なったバランスの良いスープだった。やや鰹の厚削り節の血合い特有の酸味が利いた魚介出汁ではあったが、カエシの醤油の酸味と相まってスッキリとした都内的センスを感じる。地味ではあるが個性を主張しないというオリジナリティを持っている。多く見えた香味油も的確なコクを加えるだけに徹していて、決してクドさや油っぽさを感じさせない。カエシの役目は味付けだけでなく香り付けも担っているいるが、香りほどの塩気はない。私には塩分が程よいので味の濃い生活習慣の若者には物足りないかもしれないが、中年層には丁度良い塩加減だ。

続いて麺を箸で持ち上げてみると店主さんが拘った麺は、わざわざ京都の麺屋から取り寄せている麺だった。麺上げまでジャスト90秒の中細麺は半透明の中に全粒粉のフスマが見られる麺肌で、軽やかに波を打った形状も特徴的だ。箸先の重みからは加水率の高さと熟成感も伝わってきて、指先の感覚だけでも食べ応えの力強さを思わせる。意外なスープと麺の組み合わせに新たな発見への期待をしながら一気にすすり込むと、切刃のエッジが手揉み状に潰れているので歪な口当たりで滑り込んできた。しっかりと麺自体が熟成しているので、小麦のザラつきのない滑らかな舌触りも心地よい。噛めばグルテンの歯茎を押し返すような弾力が歯応えを生んで、それでいて歯切れも良いので食べていて楽しくなる。他の製麺所にはない麺質なので、店主さんが惚れ込んだ理由が分かる気がする。

具材のチャーシューは豚を用いず鶏ムネ肉で仕込まれていた。真空低温調理と思われるが、肉厚を持たせた切り方で食べ応えを出している。しかも三枚も大判で盛り付けてあるのでボリューム的にも十分だ。食感としてはレア感には重きを置かず、しっかりと加熱してあるので衛生面でも安心できる。下味のソミュール液も肉の内側にまでスパイスや塩分が届いているので、淡白になりがちな鶏ムネ肉を味わい深い鶏チャーシューに仕上げてある。

穂先メンマは薄味だが丁寧な下処理のおかげで、メンマ特有の発酵臭と軽やかな食感を残してある。香りと歯応えの両面で良いアクセントとなっていた。

ここまでの具材の良さに対して追加した味玉は、独自の勝手な〝味玉論〟とは違っていて残念だった。初見で白身の色ムラを見た時すでに漬けダレの浸透の弱さを感じていたが、食べてみても全く味が移ってなかった。表面だけは薄っすらと醤油の色素が付いているが、黄身は普通のゆで卵そのものだった。漬け込み不足なのか店主さんの狙いなのかは分からないが、私の中では〝味玉〟ではなく〝色玉〟だった。仕方なくスープと合わせて味付けをしてみたが、それでも熟成感は生まれるはずがなかった。

薬味に関しては全てイチオシと思われる塩系のスープに合わせて仕込まれていると感じる点が多かった。白髪ねぎは細やかな仕事ぶりで添えてあったが、その丁寧さが裏目に出てしまっていた。繊細に刻まれているが故にスープの中で絡み合ってダマになってしまい、舌触りの悪さが目立ってしまった。見た目は美しく塩系には見栄えは良いが、肝心の香りや食感は表現されていない。香り付けの黄柚子の皮も白い薄皮は取り除かれてあったが、香りよりも苦味が強く出ていた。やはり旬を外した食材を使うと思わぬ弊害があるものだ。青み役の水菜にも塩系を意識した薬味に思えた。店主さんのワンオペなので醤油と塩で薬味を変えるのは大変だと思うが、醤油スープの中では存在感を発揮できてない薬味陣だった。

中盤からも麺の食べ応えは勢いを増し快調に食べ進んで完食して周囲を見ると、後客の全員が塩系を食べていた。私もマイスタンダードなどに拘らずに、セオリー通りに店のイチオシを食べておけばと密かに悔やんだ。

少々の後悔をあとに店を出ると、強い海風に乗って養豚場のような臭いがしてきた。帰りのバスまで一時間近くありバス停に戻る途中に大きなコインランドリーがあったのだが、フル稼働で大繁盛となっていた。その理由がこの養豚場の臭いで洗濯物が干せないのだろうと推測しながらバスを待つ事になった一杯でした。

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「ラーメン (豚1枚 200g) ¥770」@麺屋 もりのの写真平日 曇天 10:15 待ちなし 後待ちなし 後客13名

〝ニューオープン パトロール〟

昨晩はRDBの新店情報を元に新たなラーメンとの出会いを求めると、居ても立っても居られずに家を飛び出して船橋駅前の老舗サウナに宿をとった。

こちらのサウナは決しては新しくはないのだが、なんと言っても広々としたサウナ室が魅力なのだ。肝心のサウナ温度や水風呂は完璧とは言わないが、昔ながらの食事処のメニューの充実ぶりは関東屈指だ。そんな食事処でもっぱら最近のお気に入りは「牛ハラミのあぶり焼き」で、固形燃料の鉄板ではあるが自分で焼きながら楽しむスタイルなのだ。値段も手頃で量もツマミにするには丁度良いのだ。このサウナはネット予約すると生ビールを含むドリンク一杯無料券が付いてくるのも大きな魅力だ。無料生ビールを含めて3杯ほど燃料補給をしてから、夜のネオン街へと繰り出した。

本日の予定を頭に入れて2セットだけに控えたのだが、ついてくれる女の子が全員東京生まれの子ではせっかくの船橋ナイトの楽しみが半減してしまった。次回の参考のために千葉のラーメン事情を入手したかったのだが、あえなく失敗に終わった。しかしおかげで飲みすぎる事もなく記憶の定かなうちにベッドに入れた。

翌朝も天気こそは怪しいが体調万全で目が覚めると、閉館間近まで朝風呂を楽しんだ。閉館時間が近づくと清掃のおばさま達が着替えの最中でもお構いなしに入ってくる。どう見ても先輩と思われるおばさま達に全裸を見られた時に、まだ恥ずかしく思う少年心が私の中にある事を知った。

そんなこんなで午前10時にチェックアウトすると、すぐに船橋駅に向かい東武アーバンパークラインにて最寄りの塚田駅を目指した。最近ラーメンのおかげで乗車機会の増えた路線なのだが新型車両ばかりで、ドアの開閉音がやたらとうるさい旧型車両に出会わなくなった。また本日も新型車両で寂しさを感じながら二駅で人生初の塚田駅に着いた。ホテルを出てからたったの15分で到着と船橋に前泊した価値を噛みしめた。

駅の西口へと階段を下りて右を見れば真っ赤な看板があり、駅からも歩いてすぐの利便性の良い立地だ。1分もかからず着いた店先は半シャッター状態なので定休日ではなさそうだ。向かいにあるコンビニで水分補給の水を購入して、店先から少し離れて張り込みを開始する。

駅前と言えど、人通りや交通量も少なく穏やかな時間が流れている。張り込み最中に店主さんが玄関先の掃除に一度出てきたくらいで状況は変わらないままに時間が過ぎていった。定刻5分前になっても並びもなく、それらしき客も見られずに定刻2分前に早開けとなった。

手書き風の赤のれんが掛けられたのを確認してから先頭にて店内に入ったが、入口右手の券売機の前に立った瞬間に思いもよらない展開が待っていた。それはメニューの内容よりも券売機の上に貼られた、俗に言う〝コール〟の説明書きの存在だった。すなわちJ系と言う事なのだ。人生の中で数回は食べた事があるジャンルではあるが、あの中毒性が恐怖となって極力避けてきたタイプなのだ。券売機の前で躊躇していると後続が次々の入店してきたので、慌てて上部左端のボタンを押してしまった。すぐさま店主さんにアリナシを問われ、訳も分からずにフツウと答えた。

RDBには新店ゆえにレビューもなく写真すらも挙がっていなかったが、まさかJ系とは思いもしなかっただけに困惑しながらカウンターに腰を下ろした。ウォーターサーバーのお冷の飲んで冷静になろうと覚悟を決めて店内観察をはじめる。

カウンター四席と三卓のテーブル席の店内をご主人おひとりで切り盛りしている。ワンオペにしては広い客席なので、調理からカスタマイズの応答や配膳までの全てを担うのは大変そうである。狭い調理場に入りきらなかった冷蔵庫や冷凍ストッカーなどの厨房機器は客席の端に設置されている。本日の客層は圧倒的に地元の方が多く会話の内容からは近所にラーメン屋がないようで、こちらのオープンを楽しみにしていたと言う高齢者の方々も見られる。たしかにオープンして5分もしないうちに店内は満席となり、中待ちまでも発生していた。そんな地元の期待を一身に受けて調理に励むご主人の姿を眺めながら待っていると、ワンロット4杯仕上げにて我が杯が到着した。

その姿は真紅の高台丼の中で数回しか見た事のない景色を見せてくれる。実際にも余程の緊張だったのか写真が手ブレしてしまっていた。しかしながら〝フツウ〟が功を奏したのか強烈なインパクトは感じられず、恐怖心も和らいできたところでレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。J系と言えば標高が高いイメージがあったのだが、盛られた野菜も大量ではなくスープの液面も顔を出している。そんな隙間を見つけてレンゲをグッと押し込んでみると、サラリとした非乳化タイプのスープがレンゲの中に流れ込んできた。その印象は味噌ラーメンよりも軽やかに感じ、J系の中でも穏やかなタイプなのだと自分に言い聞かせた。いざスープを口に含むと、口当たりからも濃度の濃さは全く感じられずに清湯スープとも変わらない印象だ。鼻の奥では豚由来の動物系出汁の香りがするが獣臭さはなく清らかにすら思えた。カエシも強いと想像していたが、高めの設定ではあるが喉が灼きつく程ではない。連日のサウナ浴の影響で塩分を欲しているのかもしれないが、許容範囲内の塩気で助かった。しかし一番の心配材料であった旨味の底上げもされていて、自身の脆弱な味覚は支配されてしまった。大した分量ではないと思われる旨味補填なのだが、果たして本当に必要なのだろうかと思える土台の動物系スープがしっかりしているので不思議に思った。〝アブラ〟や〝ニンニク〟が抜けるのであれば〝コナ〟も抜きでお願いできれば、本来のスープの旨みだけでも十分に美味いスープに思えて残念だった。

調理工程の中で生麺の状態を目の前で見たが、打ち粉にまみれた極太麺を茹で釜に投入すると麺上げまで300秒を数える長い茹で時間だった。そんな麺を箸で持ち上げるが、モヤシが邪魔をするので必然的に〝天地返し〟を行なっていた。丼の中から現れたストレート極太麺は切刃のエッジが生み出す長方形とも見える特殊な形状をしている。麺一本の重みからも加水の高さと豊富なグルテンが伝わってくるパワフルな麺質を想像する。箸先からはハリの強さが鋭く感じられ、麺を掴んでいる感覚ではない違和感もある。ここまでくれば怖いものはなく、一気に数本をすくい上げる。麺のエッジがシャープに唇をえぐって飛び込んできた麺は、300秒の茹で時間でも強いコシを残している。グルテンの弾力性よりもパサつきすら感じるような麺質なので、独特な歯切れを生んでいる。あまり馴れ親しみのないタイプの麺に戸惑いはしたが、嫌いな麺ではなかったのが本音だ。食べ物を食べ物で例えるのはナンセンスだが、酸味の効いたトマトソースをからめて食べても美味いだろうなと考えてしまった。

具材は豚バラの煮豚型が大判の厚切りでセンターを陣取っていた。まず感心したのが、ワンオペなのに盛り付け直前に切り分けていた点だ。手間を考えれば切り置きすれば負担も減るだろうが、切り立てにこだわるご主人の思いが伝わってきた。そんな思いを胸に思い切り頬張ってみると、強めの味付けだが脂身の甘みと相まって新たな旨みを生み出している。あまり得意ではない豚バラの脂身だが、今回は赤身の占める範囲が多い部位が当たったので幸運にも脂っぽさを感じずに食べられた。

モヤシも直前に茹でられていたのと、鮮度の良いモヤシを使われていたので不快なアンモニア臭もなく軽めの茹で加減がシャキシャキとした食感のアクセントを与えてくれた。

薬味の白ネギは小口切りよりも細かく刻まれていたが全体の中では目立つ存在ではなく、あくまでも脇役となってサポートしていた。麺を食べていると、たまにシャキッとした軽い食感と辛味のある刺激を与えてくれた。

今回は下調べ不足で私の好みとは違ったタイプのラーメンに出会ってしまったが、頭でっかちになっていたJ系への苦手意識を少し減らしてくれたような気もする。周囲の客人の満足そうな笑顔を見れば、すでに地元に愛される要素を持った店だと察しがつく。採点は厳しくなっているが、あくまでも好みの問題だけで評価した一杯でした。

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「ラーメン 小 (麺1玉) ¥700+煮玉子 ¥100」@煮干しだし醤油ラーメン 桂の写真平日 曇天 13:30 中待ち2名 外待ち8名 後客8名

〝ニューオープン パトロール〟

本日は新店めぐりの連食のために北関東まで足を伸ばした。情報量の乏しかった茨城県土浦での一食目を無事に終えると、次なる目的地のコチラへの移動を開始した。

一軒目の店まで向かった路線と同じバスに乗車して、先ほど降りたつくば駅とは反対方向の土浦駅へと向かった。バスで15分も走ると土浦駅にたどり着き、そこからは常磐線の各停にて我孫子駅を目指した。さらに人生初の坂東バス 8系統上り 東我孫子車庫行きにて5分で最寄りの我孫子高校バス停にようやく着いた。すると目の前にはお祝いの花と行列が並んだこちらの店が見えた。

昼のピークは外して来たつもりが店先には多くの人が並んでおり、最後尾につけて外待ち開始となった。大きな日除けテントの中には以前にあったと思われるヤマザキパンの看板も残っており、下から覗き込むと面白い光景が見られる。外観の雰囲気としては新築ではないがキレイに改装されていて新店舗ならではの清潔感と明るさに満ちている。目の前には高校があるので店内にも行列にも高校生が多く見られる。あとは地元の方たちと思われる高めの年齢層の客が占めている。タイミングが悪かったのか、並びに動きがなくガラス扉越しに見える店内の様子も半数以上が配膳待ちとなっている。最後尾につけてから25分程で中待ちベンチに案内されると、入口右手の券売機にてお題を決める。つけそばもメニューにあるがラーメンのスープは一種類だけで勝負されているので選ぶのは麺の量とトッピングだけとシンプルなラインナップだ。連食でなくとも選んだであろうラーメンの小盛りを選び、追加で〝煮玉〟とだけ書かれたボタンを押した。二枚の食券を手にして中待ちベンチに戻り二次待機となる。

そこからカウンター昇格までの10分間で店内を見渡してみる。白い壁と木目調のカウンターやテーブルが設けられた真新しい店内を本日は店主さんを含めた二人体制で切り盛りしている。店内にトイレが見当たらないので外部に設計されたレイアウトなのだろうか。厨房内に目をやると回転率が良くない理由がひとつ分かった。調理工程の全てを店主さんが担っているのだが、ラーメンだけでも大変なのにチャーハンまでも中華鍋であおっているのだ。とても手際良く出来上がってくるチャーハンも美味そうではあり、食べ盛りの高校生たちの胃袋を満たすには必要だとは思うが大変そうに見えた。それでも笑顔を絶やさず調理と接客もこなす店主さんには敬意を感じながら待っていると、半チャンラーメン的な大盛りを食べ終えて満足そうに退店していった男子高校生たちと入れ替わりにカウンターに昇格となった。

券売機の横のウォーターサーバーでお冷を入れてからカウンターに腰を下ろした。すると直ぐに調理が始まると、着席して4分で我が杯が到着した。その姿はステンレス盆の上に置かれた屋号入りの白磁高台丼の中で、小盛りでも十分なボリュームを見せている。盛り付けのレイアウトやチャーハンとの組み合わせを見て、松戸で行ったラーメン店を思い出した。派手さの一切ない素朴な表情に昔っぽさを感じてしまうが、その懐かしさが裏目にでるのではないかと心配しつつレンゲを手にした。

まずは赤銅色のスープをひとくち。たっぷりとラード油が液面を覆い尽くしたスープにレンゲを落とすと、かなりの熱量を感じる湯気が立ち昇った。その湯気の中にはハッキリとした煮干し香が含まれているのが分かり、焦がし油のような香りも伴っているので煮干し油だろうか。本能的に高温スープだと危険を察知しながら口に含むと、予想以上の熱さが唇を襲った。その後で煮干し由来の軽い苦味と、初期値でも白コショウの刺激が口の中に広がった。ベースには豚骨清湯スープと魚介スープがタッグを組んで清らかな旨みで土台を築き、煮干しラードでコクをプラスしている感じだ。しかし懸念された昔ながらの旨味成分も、白コショウの刺激の影に隠れて潜んでいた。余計な旨味を残念に思いながらスープを諦めた。

続いて麺を持ち上げてみようと箸で迎えに行くと、巧みに平ザルで麺上げされた中細麺がスープの中で〝ダマ〟になって固まっている。麺肌に溶け出したグルテンが麺を癒着させてしまい箸を突き刺せば、ひとかたまりで持ち上げられる程にまとまっていた。盛り付けで麺に高さを出すためのテクニックかとも思えたが、それをスープの中で泳がせてほどく作業をしなければならなかった。程よく麺がほぐれたとこで箸先の麺を見ると、少しだけ波打った形状の透明感がある麺質だ。そんな麺上げまで120秒の麺を一気にすすり込むと、溶け出したグルテンとラードの潤滑油効果で滑らかに高速で滑り込んできた。またも唇には熱さを感じるが、緩やかなウェーブが与えてくれる口当たりが心地よい。高密度に思われる麺を噛んでみると、かなりの柔らかさでハリやコシは弱く好みとは違っていた。周囲には硬めの茹で加減でオーダーしている客もいたので、そちらの方が私にも合っていたのかもしれない。麺の量も1玉から3玉まで設定されていたが、3玉だと食べ切るまでに麺がダレてしまいそうな茹で加減に思えた。

具材のチャーシューは豚肩ロースの煮豚型で仕込まれており、天に盛り付けたスタイルも松戸の老舗ラーメン店を思い起こさせる。今回は豚肩ロースを半分にカットした赤身中心の方が切り与えられていたので、赤身本来の歯応えと旨みを楽しめた。

メンマは不揃いな大きさで〝ぬめり〟のあるタイプの板メンマを採用されていて、その独特な食感が麺に寄り添っている。また大きさや太さの違いがアクセントの変化を生んでくれてもいた。味付けも、このタイプのラーメンにはよくある仕上がりなので修行先から受け継がれたものなのだろう。

追加した味玉は予想に反して素晴らしかった。予想に反してと言うと失礼だが、盛り付けの直前まで冷蔵庫の中で冷やされていたので提供温度の冷たさを予想していたのだ。しかし半カットされた味玉はスープの高熱のおかげで瞬時に温められいて、口に含むと旨みを一番感じやすい温度にまで上がっていた。もちろん漬けダレの味や浸透が良いのが理由ではあるが、その適度な熟成度を感じさせてくれた温度もありがたい。これは追加して良かったと思わせてくれた味玉だった。

薬味は白ネギの小口切りが、まばらにスープに浮かんでいる。高熱スープで加熱されているので香りや食感を楽しむための薬味ではないが、時折アクセントとなって口の中に風味を与えてくれる脇役的な薬味だった。

序盤からの麺の柔らかさが気になり麺がダレる前に平らげたが、やはり私には柔らかすぎて食べ応えが乏しく残念ではあった。スープに潜んだ旨味も過剰なほどではなかったが飲む事は出来ずレンゲを置いた。

偏った趣向の私には合わなかったが、地元に根付く予感しか感じられない雰囲気に満ちていたのが印象的で席を立った。店を出る時に入口の扉の取っ手で指を挟んでしまい痛い思いをしながら帰りのバス停へと向かう一杯となりました。※ 皆さんも扉を閉める際にはお気をつけ下さいませ

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「しょうゆらぁめん ¥750+あじたま ¥100」@らぁめんひろりんの写真平日 晴天 10:50 待ちなし 後客5名

〝ニューオープン狙いうち〟season2

アメリカ トランプ大統領の来日が近づき、警備が強化されている赤坂での会食を終えるとすぐに新橋駅へと向かった。そこからは普段は乗車することのない横須賀線の千葉行きに乗り込むと、満員電車に揺られて船橋駅に着いた。

それも全ては千葉県 佐倉市での新店オープンの情報を得たためだ。逆サイドにある自宅からでは移動時間がかかるので、ひとまずは船橋駅にホテルを予約しワンクッション置いてからの初訪問を決めたのだ。そこで人生初の船橋の夜のネオン街を楽しんでからホテルのベッドに身を沈めた。

翌朝10時前にチェックアウトして、11時開店前の現着を目指してみる。ホテルを出ると〝ギャンブルの街〟ならではの100人を優に超えるパチンコ屋の整理券行列を横目に見ながら京成船橋駅へと向かうと、うすい行きの各停電車に乗って最寄りの志津駅へと進む。

道中の車内で予習を兼ねてRDBを開いてみたが、メニューすらも分からずで情報は皆無に等しい。もしこれで苦手なJ系だったら終わりだなと思いながらも、新たなラーメンとの出会いを求める思いが後押ししてくれ志津駅に着いた。船橋駅からは30分もかからなかったので、自宅からよりは1時間近く移動時間を短縮できたので前泊は大正解だった。

こちらも人生初の志津駅の南口ロータリーを右手に進んでコンビニの脇を入ったところに、なんとも風情のある青トタン屋根の店構えが見えた。それはまるで映画のセットのような佇まいで必見の価値がある。味わい深い外観を見た瞬間、絶対にJ系のラーメン店でない事を確信できた。定刻10分前の現着なので並びもなく少し離れた場所で待機する。

店先には開店祝いの花が置かれてあるので華やかな装いだが、通常に戻った哀愁のある外観も見てみたいものだ。そんなことを思っていると定刻になり真っ青な新しい暖簾が掛けられオープンとなった。それを合図に何処からともなく客人が現れて何番手か分からないままに入店した。

店に入ると券売機も卓上メニューすらもないので戸惑っていると、壁に貼られた手書きのメニューの案内があった。基本的にはラーメン、つけ麺、まぜそばの三択のようで、後はトッピングの有無を選ぶだけだ。本日も基本の醤油系でいくと決め、味玉だけは追加しようと口頭でお題を告げた。

高台に置かれたグラスに水を注いでカウンター越しに店内を見回す。店先の雰囲気に負けず劣らず店内にもノスタルジーな空気が流れている。居抜き物件を手直ししたような古めかしさが昭和男の心を落ち着かせてくれる。しかしながら非常に清潔感のある居心地の良い店内だ。店の奥にはお座敷もあるようだが、ラーメン店としてはカウンター席だけに絞って営業している。L時カウンター内の調理場に目をやると、新品のテボやレードルたちが所狭しと並んでいる。古びた店内と真新しい調理道具のコントラストが面白い。本日の客層は開店を祝う知り合いの方が多いようで、調理前には会話も弾んでいた。

私はここに来るまで知らなかったのだが、女性店主さんが切り盛りしている。本日はお手伝いする方がいらっしゃるが、調理工程の全ては女主人が担っている。これから始まる細腕繁盛記を楽しみに待っていると、注文してから10分以上してから第1ロットの調理が始まった。まだまだオペレーションが落ち着いてないので時間がかかるのも仕方なく思い見守る事にした。

先ほどまでは客人と談笑していた店主さんも、調理に入ると真剣な表情に変わった。ひとつひとつの作業を確認するように仕上げられた我が杯が、着席して15分でようやくお目見えした。その姿は白磁の切立丼の中で、いかにも女性店主さんらしい愛くるしい表情を見せてくれた。女性らしいと言えども具材のどれもが、しっかりと作り込まれているように感じながらレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。非常に薄っすらとした鶏油が見える液面にレンゲを落とし込むと、とても穏やかな鶏ガラ由来の香りが立ち昇った。その影に見え隠れする魚介の風味も感じつつスープを口に含んでみると、サッパリとした出汁にカエシの醤油ダレの香味がキリッと映える。決して塩分は強くないがシャープなエッジとフレッシュな酸味が第一印象として真っ先に伝わってきた。それはとても繊細で儚さすら感じてしまう穏やかなスープに思われたのだが、真相は少し違っていたようだ。なぜかと言うと、どうやら女性店主さんが調理手順をひとつ飛ばしてしまっていたみたいなのだ。ワンロット二杯の丁寧な仕事だったが、私と同じ第1ロットで作られた別客のラーメンに入れ忘れた何かを足していたのを見てしまったのだ。その足されていたのは鶏油だったようだが、その時点で私は食べ終わっていたので足されなかったと思われる。しかしこれが功を奏したのか、私にはスープ自体の油分だけでも十分でアッサリしながらも満足できる仕上がりだった。なので本日のスープに関してはイレギュラーの見解となっているので、本来はもう少しオイリー仕立てなのかもしれない。

それに気が付いた時には麺は完食していたのだが改めて解説すると、麺上げまで90秒の中細ストレート麺を採用されている。持ち上げた箸先からは緩やかな波打ちと透明感のある麺肌が特徴的だ。加水率は平均的か少しだけ低めのようだ。私自身の勝手な好みよりは柔らか仕上げの中細麺は、余計な主張をするではなくスープと共存しているようだ。口当たりや歯応えも個性的ではないが物足りなくも感じない。この感想もスープの油量が少ないので今回に限ってのものかもしれないが素晴らしいスープとの相性に思えた。

具材のチャーシューは鶏ムネ肉の低温調理と豚肩ロースの煮豚型が一枚ずつ。今では当たり前に見かける鶏ムネチャーシューだか、皮付きのままで調理されているのは珍しく思った。私は平気なのだが、独特の鶏皮のテクスチャーには賛否が分かれるところだろう。スープに寄り添うように優しい下味なので印象は薄いが、しっとりとした食感は楽しめた。一方の豚肩ロースはハッキリした煮汁の醤油香が利いているので、食べ飽きせずに赤身の旨みを感じられた。

追加した味玉は独自の〝味玉論〟からは遠くかけ離れた薄味玉で残念。白身の表面にこそ漬けダレが浸みてはいるが、黄身は半熟たまごのままで旨みの熟成感はなかった。これもスープや麺とのバランスを考慮しての組み立てなのだろうが、味玉にはネットリとゲル化した黄身を望んでしまう。

穂先メンマも下処理がうまくいかなかったのか、不要な匂いが残っていた。これまた食べ手の勝手な言い分なのだが、乾燥メンマ特有の発酵臭は残して欲しいが必要以上だと不快に感じてしまう。その発酵臭と味付けの香味のバランスがとれた時に、ワンステージ上のメンマへと昇華する。なかなかそんなメンマにお目にかかる事は少ないが、出来ればこのラーメンの中でも出会ってみたいものだ。

薬味の白髪ねぎは切り口にも鮮度があり、香りも辛味も穏やかで全体のバランスを保っていた。彩り要因のひとつである青みのカイワレには必要性を感じなかった。手間はかかるが下茹でされた青菜の役目には敵わないのがカイワレだ。また女性店主さんらしい〝五色あられ〟は彩りとしては重要な役割を果たしていると思うが、香ばしさや食感の印象はほとんど無かった。それに比べて黒々とした海苔からは香り高さと口溶けの良さを十分に感じられた。開店直後で鮮度の良さが際立っていたが、ずっとこの海苔の保存状態をキープして欲しいと思った。

今回はかなりのイレギュラーだと思うが具材の一部以外は満足で完食完飲していた。もし通常通りに鶏油が入っていたなら評価は良くなったのか、悪くなったのかは再訪門の時に明らかになるだろう。

オーブン直後という事でオペレーションも定まっていないようなので、再訪はしばらく時間を置いてからにしようと思う。その時には女性店主さん渾身の完璧な状態のラーメンを食べてみたいと心から望むような期待感あふれる一杯でした。

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「ラーメン ¥790+くん玉 ¥110」@兎に角 松戸店の写真土曜日 12:00 先客18名 後客10名

昨夜は世間の大雪情報に耳も傾けずに新橋駅から常磐線に乗り込んでいた。これらの愚行は全て、初石駅にあるラーメン店に再訪を果たす為だけだ。

目指すは土日に限り早朝9時から営業している珍しい店だが、前回は甘く見くびり9時の開店時の到着では20番手以上も遅れを取ってしまった。結局二時間近くも寒空の下で待つことになった前回の経験を踏まえて、今回は開店の一時間前の現着でウェイティングシートに名前を記入するのを目指すと決めた。

その為には自宅からでは遠いので最寄りの駅に宿を取ろうとホテルを探した。しかし最寄りの初石駅にはホテルがなく、近隣の柏駅で探したが空室が無かったので少し手前の松戸駅に宿をとった。松戸の夜といえば過去には因縁のある街なのだ。今回もネオン街に飲み込まれないように気を付けて夜の街にくりだした。

しかし、またもや松戸の夜には魔物が潜んでいた。ホテルに荷物を置き、ちょっと一杯のつもりで出かけたネオン街にハマってしまい気が付けば朝の5時まで呑んでしまった。ホテルに戻りベッドに入ったが、目が覚めた時にはすでに11時を過ぎていた。当初の計画は藻屑の泡となり、行き先の変更を余儀なくされる。

気分転換のために、ひとっ風呂浴びてRDBで松戸駅周辺の人気店を探すとこちらがヒットした。昼どきを迎えると行列になりそうなので、慌ててチェックアウトして店へと急いだ。西口のホテルから東口へと駅の構内を抜けて少し歩くと大きな看板のこちらが見えてきた。

12時ちょうどのタイミングだったが行列はなく、すんなりと入店。かと思ったが店内の券売機の前には2名が待機していた。しかしカウンターには空席もあるので片付け待ちのようだ。順番に案内が済むとすぐに券売機の前へ。予習なしの突撃訪問だったので品定めに悩んだが、つけ麺や油そばには魅かれないのでラーメンを選び、追加の〝くん玉〟のボタンを押した。すると〝ラ〟と書かれた食券と〝玉〟とだけ書かれた食券が出てきた。その二枚の食券を手に取りカウンターに座り店内を物色する。※あとで復習して分かったのだがRDBのお店情報には〝燻玉ラーメン〟となっていたが実際には券売機にボタンは無かったように思う。

かなり広い店内の奥には製麺室やスープ炊き用のガス台が独立したスペースで設けられているので、資本力の高さを思い知らされる。そんな店内を圧巻の七人体制で回している。そんな店内で最も目を引くのは、麺を茹でる鍋の存在感だった。業務用の麺茹で釜が設置されているのではなく、スープ炊きにも使えそうな大型のガス台の上に大きな麺を茹でる鍋が置かれている。しかも寸胴鍋ではなく、蓋付の両手鍋なのには驚いた。麺を茹でる際にフタをする店を見た事がなかったので大変に興味深い調理場だ。

12時を過ぎて続々と外待ちが増えていく中、着席して10分ほどで我が杯が到着した。洒落た波唐草模様の高台丼の中の姿は〝The 漢〟といった感じで力強さを強調している。女性的な清湯ラーメンが好みの私にとって第一印象は良いとは言えないが、一期一麺の精神で真正面から向き合ってみる。

まずは粒子が見えないほどに分厚い油膜を張った栗皮茶色のスープをひとくち。ファーストアタックは何と言っても節粉の香りとザラついた舌触り。大量の油分にも負けない節粉が口の中を覆い尽くす。その後で豚骨や鶏ガラなどの動物性コラーゲンのコクが重なりを見せる。スープ自体は乳化されていそうだが液面を覆う油分は後付けの香味油なのだろうか。そこだけはエマルジョンを起こしていない。カエシも強めに設定されているが、麺との相性を考えての塩分だろうと言い聞かせて麺へと進む。

奥の製麺室では常に麺が打たれている状況だ。そんな製麺室から生まれる自家製麺は麺上げまで330秒とかなり長めの茹で時間。その麺を箸で持ち上げると、たった一本をつまんだだけでもズシリとした重量感が伝わってくる。箸先から伝わってくるのはそれだけでなく、芯の強さを感じるコシと、麺肌にあふれるクッションのような柔らかさを兼ね備えている点だ。指先に感じた事のない感覚を不思議に思いながら口に運ぶと、それが食感として理解できた。

頑丈そうな麺が唇に触れるとゼラチン質のようなヌメリが麺を覆っている。そのヌメリのチカラを借りて勢いよく滑り込んできたかと思うと、その内側には程よい弾力のグルテンが潜んでいる。モッチリとした食感を歯先が捉えたかと思ったら、そのさらに内側にはアルデンテの芯が残してある。ヌルッと滑り込みモッチリと歯応えを残し、最後にはパツッと心地よく噛み切れる。まるで麺の断面が三層構造のようだ。かつてない食感を生んでいるのは小麦粉の配合や打ち方だけでなく、フタをして茹でることに大きな意味があるのだろう。1秒でも沸点を早める事が麺質に独特の差異を与えているように思える。個性的なのは食感だけではなく、味わいも豊かな風味を楽しめた。噛むたびに甘みが増すバケットのような味わいがいつまでも続く。

具材は豚肩ロースのロースト焼豚。小ぶりだが肉厚の焼豚は肉々しい噛み応えが良く、下味のスパイス使いが個性を表現する。強気なスープに負けないようにしっかりと漬け込まれた味付けが、肉の中心部まで浸みているの。しかし豚肉本来の赤身の旨みも残してあり個性的ではあるが食べ応えがある。

追加した燻製玉子も個性を表現する仕上がり。噛み切った瞬間に燻されたチップの香りと、ゆで卵に潜んでいる硫黄臭のような第一硫化鉄の匂いが交錯して、悪く言えば腐卵臭にも似た不快な匂いが発生している。これは特に一口目に強く感じて徐々には慣れてくるが初動ではかなり驚いた。それを除けば下茹での半熟加減や黄身の熟成感も出ていて良かったが、燻製の個性が私には仇となって感じた。

メンマは長さや太さが不均一なメンマだが、その違いがそれぞれの個性となってアクセントを付ける。味付けは穏やかで全体の中では一歩引いた存在感だ。

薬味は白ねぎがザックリと切られて添えてある。辛味を残した大きめの白ねぎはシャキッとした食感がスープや麺と合わさって薬味としての役割を果たしている。十字6切の海苔は厚手のしっかりとした食感が特徴で、香りや口溶けよりも口の中に残る事で存在をアピールする。デフォで振りかけられた粗挽き黒胡椒は挽きたてでは無いので風味が飛んでいるのかスープの強さに負けてあまり意味を感じなかった。

中盤あたりから不自然なスープの旨味と塩気と油量が重たく感じながらも自家製麺の愉快な食感のおかげで食べ進められたが、並盛りでも多めの麺量に苦戦してしまい完食する事は出来なかった。スープに関してはこの後はひとくちも飲む事はなかった。

非常に楽しい麺ではあったが、最終的には舌が疲れて箸を置いた。このラーメンの中には個性豊かなメンツが揃っていて派手さは十分にあるが一体感としては疑問が残る一杯でした。

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「煮干しソバ ¥750+煮玉子 ¥100」@中華ソバ 篤々 TOKU-TOKUの写真平日 晴天10:45 先待ち2名 後待ち2名

〝ウイークポイント強化ウィーク〟

先週より始めたニボ耐性強化週間も少しずつは手応えを感じてきたが、まだセメントスープに酔いしれるほどの変化は見えてこない。そこで今週も引き続き煮干し系オンリーの生活を送る事を決意した。

そこで本日は昼連食の計画を立てる為に早朝からRDBに向き合う。候補店を探すのに有効な手段は全国ランキングを煮干し系に絞り込んでの検索だが関東近郊のランキング上位店は、それとなく制覇していた。捜索範囲をランキングを100位まで広げると、私の中での知名度は低いが人気店も名を連ねている。

そんな中に興味をそそられるこちらが煮干し部門の第85位にあった。前後の順位には実食してみて好印象の店も多くある。お店情報を見てみると新店舗ではないがレビュー数は少なく再訪率も低そうなのが気になる。しかし写真からは淡麗煮干し系に思われるので初訪問を決意した。

11時の開店前の現着を目指して午前9時半に自宅を出た。銀座線から大手町で東葉高速鉄道直通の東西線に乗り換えれば所要時間1時間半弱で最寄りの東葉勝田台駅に着く予定だ。人身事故の影響で遅れが出ている電車も西船橋駅を過ぎると一気に車窓の景色が、のどかになってきた。遠くまで来ている事を実感していると途中駅の「飯山満」と書いて「はさま」という駅があった。この飯山満の食いしん坊な文字を見ただけで空腹に拍車がかかり腹が鳴った。

予定よりも少し遅れたが人生初の東葉勝田台駅に降り改札を出てマップ片手に店を目指すと、開店前の現着に間に合った。半シャッターの店先には行列もないと思われだが店頭にはウェイティングシートが置かれてあり、すでに一組二名の名前が記されていた。出遅れをとったが三番手にカタカナで苗字を記入して待機する。その間は店頭には居なくても開店時間に戻って来れば良いシステムのようだが、どこにも行くあてのない私は誰もいない店先の寒風吹き荒ぶ中で定刻を待った。

定刻の1分前になると先待ちの客人が戻って来た。すぐ定刻になるとシャッターが上がり無事にオープン。ネッツエスアイ製の券売機でお目当てのお題と味玉を追加発券してカウンターに腰を下ろす。奥様とおぼしき方に食券を手渡して店内を見渡す。外の寒さが嘘のように暖かく、穏やかな煮干し香の漂う店内をご夫婦だろう二人で切り盛りされている。テーブル席も配置された店内は、モダンな外材のカウンターや幾何学模様の和柄のタイル壁にこだわりが溢れている。至るところに置かれた猫グッズに癒されるオシャレながらも落ち着ける空間になっている。調理場に目をやるとスープ炊きの仕込み場は店の奥に独立させていたりと厨房へのこだわりも垣間見れる。

そんな心地よい雰囲気の中で待っているとワンロット三杯での調理が始まった。しっかりと具材を準備して万全の態勢が整ってから麺を茹で釜に投入。順調に作業が進み、着席して12分程で第1ロットにて我が杯が到着した。

紺の陶器の受け皿に乗った白磁の切立丼は器だけを見ると洗練されたシャープな印象を受ける。しかしその中の姿は、人懐っこい表情をしている。流行りの具材を取り入れながらも素朴に映るのは店内の空気がそう思わせるのだろう。

まずは煮干し特有の水泡の浮かんだスープをひとくち。見るからに淡麗に思えるがレンゲがスープに触れた時の抵抗が全くなく粘度の低さが伝わってくる。そのままレンゲでスープをすくい口元へ近づけると少しずつ煮干しの香りが強くなってくる。いざ口に含むと確かに煮干し感はあるが、出しゃばったような強烈な印象は残さずにフワッと香る程度だ。煮干しオイルではなく出汁自体に煮干しの旨みや香りを詰め込んだスープだ。動物系由来のコクはないが魚介系の旨みだけで十分にコクも出ている。カエシも毎朝でも飲めるような控えた塩気が老体には好ましい。

麺は中細ストレート麺で麺上げまで60秒ジャスト。箸で持ち上げて麺肌を見ると切り刃の角がしっかりと残る茹で加減。しかし粉っぽさは全くなく麺肌はしなやかそうだ。その麺を思いきり啜ってみると最初はスープと絡んでない麺は味気なくも感じる。しかしこの薄味が麺の風味を楽しむのにはベストの塩梅。先に麺だけの旨さを楽しむことが出来た。二口目からは徐々にスープを吸って持ち上げてくるのでスープと麺の相性のピークは、もう少し先にありそうだ。

ひとまず麺を置いて具材を楽しむとする。見た目のロゼ色の美しいレアチャーシューは豚肩ロースを使用してあるが、小ぶりに見えるので豚ウデ肉に近い部位だろうか。そのため筋肉をつなぐスジが多く入っているので筋切りの下処理が重要になる。かなりレア感を重視した仕上がりだが、懸念されたスジは残っておらず舌触りも好印象。もちろん味付けも生っぽく感じさせない強めに下味を付けてあるので、厚切りの肉質を噛んでも味気なくならなず、不快な食感も生まれてこない。

追加した味玉はとても柔らかく仕上げたタイプで熟成度は低い。よって白身に歯を立てると中からは黄身が流れ出してしまった。好みの問題だが、もうひと晩だけ漬け込んで黄身がゲル化した味玉を食べてみたくなった。

薬味は玉ねぎアッシェが添えてあるが、適度に辛味を抜いてあり玉ねぎの持つ甘みすら感じる。形状的に麺と一体となる事はないが、スープに与えるアクセントは食感や風味の両方で発揮していた。また細かく刻まれた三つ葉もクセの強い茎の部分は控えて、香りの優しい葉先の部分を多く添えてあったのでスープのイメージを壊さずに爽やかさだけを加えていた。

十字12切の海苔は香りが高いタイプではないが口溶けが非常に良かった。大き過ぎない12切のサイズも食べやすくて良い。彩り担当だと思われた梅麩もスープをしっかりと含み、予想以上の働きをしていた。

中盤から再び麺に戻ると先ほどよりも麺の角が取れて少しぽっちゃりとした麺はスープの塩気と麺の小麦の甘さのバランスが抜群の変化を見せる。今こそが最高のパフォーマンスとばかりに一気に麺を啜り上げる。この食べ応えなら永久的に続けられそうな心地よさだった。このスープにこの麺を合わせたご主人の選麺眼もさる事ながら、絶頂期手前で麺上げしているセンスに唸りながら完食完飲していた。

この時点では、本来の目的だったニボ耐性の強化には決してならないラーメンだった事は棚に上げていた。食べ終えて周囲を見ると、どちらの方も和え玉を追加していた。この麺ならば興味はあるが、スープと馴染んだ麺を食べた後で食べるパツパツの和え玉はどんな感じになるのだろうか。今の満足感の状態で席を立つのが私の中ではベストと判断して店を後にした。

こんなに旨いラーメンなのに立地のせいだろうか後客は少なく直ぐにでも、もう一杯くらいなら食べられそうな一杯でした。

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