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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.449点
最終レビュー日 2019年7月23日
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レビュー 店舗 スキ いいね

「味玉中華そば(並) ¥880」@麺や 新倉の写真土曜日 晴天 18:10 先客4名 後客4名

令和改元記念 特別企画

〝諸国麺遊記 中四国編〟

最初からノープランで進めてきた今回のラーメン旅だったが、無事に中国地方を制覇できた。

先ほど中国遠征の五県目最後となった山口県を攻略し、最寄りの下松駅で帰りの列車を待っている30分程の間に良からぬ事を思い付いてしまった。それは駅の待合室にある山陽本線の路線図を何気なく見ていてひらめいたのだ。

現在地の下松駅から東に少し行ったところに柳井港という駅名を見つけた。文字通りだとすれば、もちろん港駅のはずで漁港でなければ船便が渡航しているだろうと思った。もしそうならば昨日、東京から〝飛行機〟で島根県に着陸して〝山陰本線〟で鳥取県に下車し〝伯備線〟で岡山駅に降りて、通称〝岡電〟と呼ばれる路面電車に乗り〝山陽新幹線〟で広島入りすると市内では〝広電バス〟を利用し、再び〝山陽新幹線〟と〝山陽本線〟を乗り継いで現在は山口県下松駅にいるところだ。ここまで飛行機と在来線や新幹線、路面電車と路線バスと様々な交通手段を利用してきたが、船にはまだ乗っていないのだ。それならば是非に船旅も満喫してみたいと思い柳井港について調べてるみた。

すると思いもよらなかったルートがある事を知った。それは瀬戸内海を渡り四国は愛媛県に行くフェリーが就航していたのだ。それを知ると、おじさんの冒険心に火がついてしまい柳井港行きの切符を買ってしまった。その待ち時間を利用して最短ルートを検索してみたが、次発のフェリーは 14:45発だった。しかし下松駅からの列車は 14:12発までなく、それでは出航の3分前にしか柳井港へは着けない。もちろん急な思い付きなのでフェリーのチケットも持っておらず乗船手続きをする時間はないだろう。なので、もう一便後の 16:10発になる事を覚悟して柳井港へと向かった。

再び山陽本線で30分ほど揺られると柳井港に着いた。海沿いの小さな駅の改札を出ようとした時に大声で案内している駅員さんのような格好をした人がいた。それは私が間に合わないと思っていた一便前のフェリーの出航を遅らせているという内容だった。私が柳井港まで来た上り列車の反対の下り列車の到着を待っているらしい。そのおかげで私も乗船券を購入する事ができ、運良く予定より早いフェリーに乗船できたのだ。

ここで運を使い果たしてしまった事は数時間後に判明するが、それは後ほど。

あまり大きな船ではないが、フェリーだけあってまずまず立派な船だ。瀬戸内をイメージしたオレンジラインという航路名も愛らしい。船内はシート席や雑魚寝できる広間があり、観光客や家族連れで賑わっている。私は一人の船旅を楽しむために、天気も良かったのでデッキ席にて潮風を浴びながら瀬戸内海クルーズを楽しんだ。飲酒運転や転落事故防止の為かアルコール類を販売してなかったのが残念ではあったが、まるでエーゲ海のような風景を満喫しながら二時間ほどの航海で対岸の愛媛県 三津浜港に上陸した。この時点で午後5時を少し過ぎていた。

移動中の船内で調べておいた総合ランキング愛媛県第1位を目指すために、伊予鉄 高浜線にて松山市駅に向かった。しかし三津浜港から最寄りの駅まで1キロもの距離があるのには驚いた。松山市の中心部にある松山市駅まで20分ほどで着くと、坊っちゃん列車と呼ばれる路面電車に乗り換えたのだが、夏目漱石の小説「坊ちゃん」に出てくる〝マッチ箱のような汽車だ〟というフレーズとは随分と違った近代的な電車だったが、城下町 松山の景色を楽しまながら最寄りの大街道駅に着いた。

そこからお目当ての店は歩いても数分だったが、まさかの「本日貸切営業」だった。やはりフェリーで全ての運を使っていたようだ。旅の当初は総合ランキング第1位を狙って訪問していたが、すでに他県でも失敗しているので大した拘りもない。2位じゃダメなんですか、と聞き覚えのあるフレーズのように開き直っている。そこで急遽、見つけたのが第2位のコチラだったのだ。偶然にも所在地も路面電車で三駅ほどだったので初訪問を決めた。

大街道駅から10分ほどで店先に着くと営業中の看板を目にして一安心。店内に入り券売機の前で予習なしの段階から品定めをする。シンプルなメニュー構成だが、イチオシはつけ麺のようだ。たしかに先客もつけ麺を食べている。持論ではあるが〝つけ麺推しの店のラーメンに美味しいものは無い〟と決めつけているので不安ではあったがラーメンを選び、味玉入りを発券した。

カウンターに座り店内観察を開始する。黒を基調とした店内にはロックテイストも随所に見られる。客席のスペースも十分に広くテーブル席も設けてあり、都内では考えられないほど贅沢なレイアウトだ。そんな中でも特に目を引くのが客席側に鎮座する超巨大な冷凍ストッカーの存在だ。冷凍鶏ガラの保存用なのか畳二畳くらいはある大きさだ。また店内には最大級の寸胴鍋からスープ炊きの通常サイズのものまで至る所に置かれてある。こんなにも鍋が必要なのだろうかと思ってしまうほどだ。そんな店内をツーオペで切り盛りされている。ご主人は愛想は良くなさそうたが、真剣にラーメン作りに専念されている姿が格好良い。そんな無骨そうなご主人をサポートする女性スタッフの明るさや気づかい、目配りのすべてが素晴らしい。大変気持ちよくラーメンを待つ事が出来てありがたい。

そんな心地よさの中でも待つこと6分で中国 四国地方遠征の6杯目となる我が杯が到着した。その姿は白磁の反高台丼の中で、ここは東京なのかと思ってしまうほどに見慣れたスタイルで光り輝いている。それは流行りのトレンドのど真ん中を再現した、都会的なビジュアルで出迎えてくれた。器の中だけに集中すればフェリーでやって来た事など忘れてしまいそうだった。この時に多くの寸胴鍋の理由が分かった。つけ麺推しの店なのでラーメンも濃厚系かと思っていたが、いい意味で予想を裏切る清湯系だった。つけ麺用なスープを代用したラーメンではなく、一からラーメン用に炊かれたものなので寸胴鍋が多く必要になるのだろう。

そんな驚きの中、まずはスープをひとくち。地鶏由来の鶏油が黄金色に輝く液面にレンゲを押し込むと、フワッとした鶏出汁の香りが立ち昇った。かなり熱々の湯気からは醤油の香味も漂っている。見た目と香りが脳内で一致したところでスープを口に含んでまると、不得手な香りが先行してきた。それはトリュフオイルの香りで、干し椎茸の生産量が国内トップ5に入る愛媛県にまで外国産キノコが進出していた。偏った趣向なのでラーメンにトリュフオイルを必要としない私には残念なファーストアタックだった。その洋風の香りの下には、しっかりと旨みの詰まった鶏出汁が土台となって支えている。カエシの醤油ダレもエッジがなく、どちらかと言えば甘みを感じる。30年近く前に松山を訪れた時に食べた人気老舗店のラーメンの記憶をたどると「瓢太」だったと思うが、地域性なのか甘ったるいスープが特徴で当時は行列してまで食べた思い出がある。そんな甘口ラーメン志向の松山でスッキリとした甘みで勝負されているのは自信の表れだろう。東京スタイルの味付けには驚いたが、地域の独自性を守っていた中国地方と打って変わって面白い。

続いて麺を持ち上げてみると、麺上げまでジャスト100秒の中細ストレート麺の流れも前食までとは明らかに違って見える。それはハリやコシの強さが箸先から伝わってくる点だ。柔らか仕上げの麺ばかりを食べてきたので、この箸先の感覚には歓喜しそうだった。その期待のままに口に運ぶと、久しぶりに麺の切刃の角を感じる口当たりだった。それでいて滑らかさも持ち合わせているので啜り心地としては最高だ。夢中で啜り込むと寄り添ってくるトリュフオイルの香りも次第に薄れていった。素晴らしいのは口当たりだけでなく、歯応えや歯切れも抜群だった。豊富に詰まったグルテンの反発力が噛みごたえを生んで、噛み切るたびに小麦の風味が弾け出す。東京にいると〝またおま系〟かと思ってしまいそうな麺質だが、今回の遠征では画期的にすら思えてしまった。

具材のチャーシューは提供時の細やかな仕事ぶりに驚かされた。それは温め直してある事なのだが、それなら大概の店でやっている事だ。しかしこちらの豚バラ焼豚は温め直し専用の湯煎鍋にザルを置いて蒸気を当てているのである。さらには木製のフタをする事で蒸す効果も生んでいる。それはまるで大分 別府温泉の地獄蒸しのようであった。道後温泉の地 松山で別府温泉を感じるとは予想もしなかった。そんな仕事から生まれた豚バラ焼豚は熱々な上に、ふっくらとして歯ざわりが良い。豚バラ本来の肉質も良いので薄味ながら物足りなさを感じない。

一方の豚肩ロースのレアチャーシューも普段であれば見飽きた姿にすら思ってしまうが、今日ばかりは懐かしさがある。歯応え重視の肉質の引き締まってチャーシューばかりを食べていたので、このロゼ色すら愛おしく見えた。しかもスジ切りの下処理や下味のソミュール液の浸透も良く、熱の入り加減も申し分なかった。

追加した味玉は白身にはカツオだしが浸みているので香りは豊かだ。ただ、黄身の熟成が乏しく好みの味玉とは違っていたのが残念。しかし卵本来の旨みを楽しむタイプの味玉ファンも多い事だろう。

細メンマの食感も出過ぎる事なく軽やかな歯応え。コリっとした歯切れの後は繊維が解けるように消えてなくなる。スープや麺との相性もよく思えた。

薬味も瀬戸内海地方では初となる白ネギの小口切りが添えてあった。青ネギ文化の西日本の中で珍しい白ネギを手入れの行き届いた包丁で繊細に刻まれている。青ネギにはない舌触りと辛味は、ラーメンの薬味としては欠かせない存在だ。青みのカイワレには今回も必要性を感じられなかった。

愛媛県ならではの地方色はなかったが、満足で平らげていた。見た目や味付けに於いても関東スタイルだと思いながら食べていたら、目の前のウンチクには店主さんが東京で修行されていたような記載があった。それを見た時に、なるほどと思ってしまった。

現在時刻は午後6時半と松山の夜のネオン街に身を隠すには少し早すぎる。となれば足を伸ばして隣県へと向かう事を考えルート検索してみる。すると今回の旅ではまだ利用していない交通機関があると知り、慌てて店を後にした一杯でした。

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