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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.120点
最終レビュー日 2019年10月16日
660 551 14 2,106
レビュー 店舗 スキ いいね

「吟撰 中華そば ¥900」@あってりめんこうじ 安中原市店の写真日曜日 晴天 11:05 先待ち1名 後待ち16名

〝第37回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を昨日に引き続きて、連続開催する運びとなった。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去36戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」「◯心厨房」「家系総本山 吉村家」「自家製麺 くろ松」「麺処 いち林」「miso style となみ」「AFURI 恵比寿」「拉麺 時代遅れ」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は36戦16勝10敗9分8KO勝ち1KO負け1没収試合と、スパコンのオススメに対しては勝利が先行している状況だ。

今回の連日開催にあたり、昨晩は高崎駅直結の大浴場付きホテルに宿をとっての初対決となった。新店めぐりを終えた吹上駅から、高崎線に乗ってやって来た。ホテルにチェックインを済ませると、すぐに大浴場へと向かった。日頃の利用しているサウナに比べると規模こそ小さいが無礼者の若者たちに侵されてないのが良い。

この温泉施設は宿泊客以外も解放されているのだろうか、地元っぽい年配層の入浴客も見られる。そんな穏やかな空気の中で、ゆったりと過ごすと駅前の居酒屋で喉を潤しに向かった。ほろ酔い気分になったところで〝キャ道〟に磨きをかける為に、駅から離れた商店街にある馴染みのキャ◯クラに向かおうと思ったが、いつも指名している女の子が休みだった。こう見えても夜のネオン街では〝一店一婦制〟をモットーとしているので、今回は新たな店を探す事にした。すると奇しくも滞在しているのホテルの目の前の飲食ビルに、ガー◯ズバーのキャッチのお兄さんが立っていた。料金体制を確認して5階のバーへと向かい、最初に着いてくれた女の子から女子目線のラーメン情報を聞き出した。愛想も愛嬌も良く、ラーメン好きとの事で意気投合したのでステイをお願いした。指名料を払ったのだが、どうやら人気嬢のようで、その後は違う女の子がヘルプで着くという〝指名あるある〟で時間が過ぎていった。入れ替わり立ち替わりの女の子たちに名前を聞かれる事すら疲れてしまい、3セットの終わりを待たずに店を後にした。お会計の時だけは指名した女の子が戻ってくる、これまた〝あるある〟を経験した。

やりきれない気持ちのままベッドに入ったが、翌朝には全てを忘れて爽快に目覚めた。いよいよスパコンとの対決のために試合会場へと出発した。今回の会場までは信越本線横川行きで 磯部駅までの道のりだが、途中の安中駅前で見た壮大な景色が対戦前のテンションを高めてくれた。そこには山の斜面を利用した〝段々畑〟ならぬ〝段々工場〟が異様なオーラを発している。あまりに圧巻の景色には息を呑んでしまうくらいの大迫力で、初めて見る工場に中年男子でも驚きを隠せなかった。そんな力強い景色に後押しされるように磯部駅に着いた。

改札を出ると磯部温泉の古い看板が歓迎してくれ、温泉旅館の送迎バスが待っていたりと観光地ムードが漂っている。そこからはバスで向かうのだが帰りのバスが少ない事を調べておいたので一応、駅前のタクシー会社の電話番号を控えておいた。予定通りに安中榛名駅行きのバスに乗り込んで店を目指したのだが、この磯部温泉が温泉マーク発祥の地だとは知らなかったので一つ勉強になった。10分も走ると最寄りの原市小前バス停に着き、バスを降りると目の前に黄色い看板の店があった。定刻の30分近く前の現着だったが、すでに並びがあり二番手にて外待ちベンチで待機する。

目の前が原市小学校で、お笑いコンビの〝ハライチ〟が通っていた学校なのかと思い、すぐに調べてみたが違っていた。そんな事を調べているうちにも続々と車が駐車場に入ってきて、開店前には長蛇の列となっていた。若者からお年寄りまでの幅広い客層に愛されているようだ。

定刻になると生成り色の暖簾が掛けられてオープンとなった。券売機はなく、ほぼ日替わりに近いメニュー構成なのは予習しておいたので、黒板に書かれた表題をデポジット方式で注文した。実は以前にもスパコンとの対決のためにコチラを候補にしていたのだが、当日のメニューが不得手な濃厚系だったので先送りにした経緯があるのだ。しかし今回のメニューは〝吟撰 中華そば〟と濃厚とは無縁と思われるタイトルが付けてあるので初対決を望んだのだ。

カウンター越しに店内を物色するとテーブル席もあるが、現時点ではカウンター6席だけが稼働している。天板が大理石風のカウンターには、滑り止めのマットが固定されている。数々のスープを生み出す調理場にしてはコンパクトにまとまっており、特殊な機材もない基本的な厨房設備となっている。そんな店内を本日は若い男性が、お二人で回している。そんな安定感のある落ち着いたオペレーションを眺めていると、ワンロット2杯の一巡目で我が杯が到着した。

その姿は年季の入った受け皿に乗った双喜に雷紋柄の切立丼の中で、過去と現在が融合したような景色を見せている。実に潔い表情を見ているだけで、旨みの本質が何なのかを考えさせられるようだ。その何かを確かめるべく、気持ちの赴くままにレンゲを手にした。

まずは透明感のある煉瓦色のスープをひとくち。表層には煮干し由来の水泡が無数に浮かんでおり、厚手の油膜も張り巡らされている。一見するとオイリーにも映る液面にレンゲを落としてみると、先陣を切ってくるのは魚介出汁の香りだ。特に煮干しが特攻隊長となって、鼻先から鼻腔にかけてアプローチしてくる。スープが注がれたレンゲには何かの粒子と油分が多く見られ、ザラつきや油っぽさを思わせる。口当たりと舌触りの悪さを覚悟して口に含んでみると、思いのほか油分がサラリとしている。舌触りには若干のザラつきが残るが、大量に節粉を投入したような舌触りではないので許容範囲内だ。香りは主に魚介出汁が担っているが、旨みの根底には豚ガラ由来の清湯スープが土台を築いている。昔ながらの中華そばの組み合わせたが、不自然な旨味成分に頼っていない。そこには旨みの本質が自然の方程式で成り立っていて、イノシン酸とグルタミン酸の掛け合わせの妙技を味わえる。そんな絶妙なバランスで組み立てられた出汁に合わせるカエシも、キリッと醤油が立っているがスープに輪郭を付けるだけに徹している。ハッキリとした味わいながらも過剰なアピールをしてこないスープの魅力に引き込まれた。

麺上げまでジャスト75秒の麺をスープから引き上げてみると、光り輝く中細ストレート麺が現れた。黄色みを帯びた麺肌には、キッチリと切刃の跡が残り精悍な印象を与える。器の形状が小さくスープの保有量が少ないので、器の中で癒着している麺が見られる。軽く解ける程度の癒着ではあるが、時間経過と共にグルテンが溶け出すと厄介な事になりそうだ。そうなる前に全ての麺をスープの中で泳がせて、回避してから一気にすすり上げた。すでに溶け出したグルテンが麺肌に粘着質を感じさせ、粘り気のある口当たりで入ってきた。切り出しが 26センチと長めなので、ひと息ですすり込むのは難しく何度かに分けて口の中に収める食べ方になる。どちらかと言えば滑らかさよりも、モッチリとした食感に受け取った。噛めば適度な反発力が歯切れの良さを感じさせ、飲み込む時に小麦の香りを残して胃袋に落ちていく。提供時点が私にとってはベスト麺ディションに思われたので、大方の麺を食べ進める作戦に出た。8割以上の麺を良い状態のうちに食べてから、各具材陣を楽しむ事にした。

具材のチャーシューには、部位と調理法の違う二枚が盛り付けてある。麺を食べ急いでいるうちにスープで加熱されて変色してしまったのではなく、盛り付け時から茹で麺機の湯気で温め直されている細かな仕事ぶりからの変色だ。豚肩ロースの低温調理は肉厚にカットされて表面こそ火が通っているが、噛み切った断面は適度なレア感のロゼ色を発色していた。一方の豚バラは煮豚で仕込まれていたが、脂身よりも赤身の歯応えが強く、柔らかすぎない肉々しさが味わえた。

メンマには細いタイプを採用されていて、滑らかな歯応えが持ち味となっている。しかし噛みしめる程に唐辛子の辛味が強く滲み出してきて、穏やかだった口の中を一変させる。

十字8切の海苔は見た目の黒々しさからも良質の海苔を目利きされているのが分かり、実際の印象も磯の香りが豊富で適度な口溶けの良さが素晴らしい。スープの魚介の香りと重なる事で、より海産物の風味が増してくる。

終盤に麺に戻ったが、心配された麺の軟化が進んでいて食べ応えの良さは薄れていたので早食いして正解だった。最後にスープを飲み干す段階で、メンマの辛味が舌を刺激するので穏やかな幕切れとはならなかった。多少悔いは残ったが、スパコンがオススメしてくれた事をありがたく思った。

結果的に 80点台は確実だったので、今回のスパコン対決は私の敗北となってしまった。これで通算対戦成績は37戦16勝11敗9分8KO勝ち1KO負け1没収試合となり、勝敗の差が少なくなってきた。

ここ最近は北関東勢のオススメ店に負ける事が多いのは、それだけレベルが高いという証なのだろう。今回は二日連続で対戦したので、次にスパコンがオススメしてくる店が楽しみになってきた。その店が、つけ麺専門店でない事だけを願いながら帰りのバス停へと向かう一杯となりました。

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「オープン限定ラーメン (正油) ¥500」@上州麵処 石川商店の写真平日 曇天 10:40待ちなし 後待ち7名 後客6名

〝ニューオープン 探検記〟

RDBの新店情報の中に気になる店を見つけた。そこには前回の群馬遠征で印象の良かった〝上州〟という言葉を冠に掲げた新店があった。私の中では高崎を中心とした上州エリアはラーメンに関しては〝神域〟であり、何かと理由をつけては訪れたい地域なのだ。そんな場所での新店情報なので、居ても立っても居られずに初訪問を決めた。

そこで昨晩も北関東遠征のアジトである上野駅前のサウナに宿を予約して臨戦態勢をとり、いつものように心身ともに〝ととのう〟と翌朝も快調に目覚めた。食事処での焼魚の朝定食には心を奪われるが、これから出会うラーメンの為に我慢をして身支度を急いだ。

上野 9:10発 北陸新幹線あさま605号 長野行きにて、ひとまずは高崎駅へと向かった。そこからはグンマーめぐりでは再三お世話になっている両毛線に乗り継ぐと、15分ほどで前橋駅までやって来た。北口の広々としたバスロータリーで初めて乗車する永井バス 北53系統 荻窪公園行きを待っていると、前橋駅と中央前橋駅を結ぶシャトルバスが停車していた。木造風のレトロな外観がユニークな車両だったので是非にも乗ってみたかったのだが、残念なことにGoogleマップのルート検索に引っかからないのだ。見知らぬ土地なので冒険を避けて安全策をとってナビ通りのバスを待ったが、あとで調べるとそのシャトルバスの方が先着できたようだ。冒険しておけば良かったと反省しながらバスに揺られると、たった3分で最寄りの中央前橋駅バス停に着いた。

駅前の飲食ビルには子供の教育によろしくなさそうな飲み屋の看板が大きく出ており、夜のネオン街を思い起こさせる。そこからは大通りを一本入ると、これまた味わいのある飲み屋横丁が現れる。派手なキャバクラやガールズバーはないが、昔からの小料理屋さんやスナックが点在している夜にお邪魔してみたい通りである。そんな懐かしさの残る街並みを駅前から3分も歩くと、両サイドにムラサキ色の建物が見えてきた。あまりの突然の派手な雰囲気に気を取られていると、その先に目的のコチラがあった。

店頭には多くの開店祝いの花が置かれていて。入口の両脇には白い提灯が飾られている。定刻の20分前の現着となったので並びもなく、一番手にて外待ち用のイスに腰掛けて待機を始める。店先のメニューや貼り紙を見ていると、 9月4日までオープン記念の500円セールとなっていて知らなかった情報に戸惑ってしまった。オープニングの戦略としてワンコインセールは珍しくないが、メニューが限定されたり追加トッピングが出来なかったりするので今までは避けてきたのだ。何より多売によって店の本来のポテンシャルが発揮されていなそうなのが、オープン記念セールを避けてきた本当の理由でもある。しかし前橋まで来てしまっては仕方なく、気持ちを切り替えて店頭の写真メニューから本日のお題に当たりを付けておく。

一番のオススメと思われるのは味噌ラーメンのようだが、ワンコインセールの本日も正油や塩もあるようだ。〝醤油〟ではなく〝正油〟となっているあたりが味わい深い。そんな三種類のスープの中からオススメのセオリーを無視してマイスタンダードの正油にしようと決めて待っていると、次々に地元客が自転車に乗ってやって来た。皆さんオープン記念セールを知っての来店のようで、後客のオバ様たちは今日で三日連続らしい。すでに味噌と正油は食べたらしく今日は塩を食べに来たと息巻いていたので、ワンコインセールの効果はかなりのようだ。それを証拠に、定刻には外待ちイスに収まりきらない並びとなっていた。そんな地元の期待を感じながら待っていると定刻より少し遅れてオープンとなった。

真っ白な暖簾をくぐり店内に入ると、入口左手に設置された券売機から先ほど決めておいたボタンを押すが食券が出てこない。何度も正油ラーメンと書かれたボタンを押しても反応しないので困っていると、後ろのオバ様が〝限定メニュー〟と書かれた共通のボタンがある事を教えてくれた。それを発券してスープの味は口頭で伝えるらしく、さすがは三日連続の常連オバ様だと感心した。

そんなオバ様方に感謝しながらカウンターに座り店内を物色すると、変則的なカウンターとテーブル席が多く設けられた店内の壁には歌川広重の東海道五十三次の浮世絵が飾られていた。この絵を見ると中年世代なら誰しもが、永谷園のお茶漬けの素を思い出すだろう。あのカードを集めていた訳ではないが、大人になってから復刻のニュースを聞いた時は不思議とうれしかったものだ。タオル生地のおしぼりと薄い麦茶のサービスがありがたい、そんな店内を本日は三人体制で回している。厨房内からは中華鍋とお玉と五徳がぶつかり合う金属音が轟いてくるので、さすがは味噌ラーメン推しの店だけに店内に響く音にもそれらしさがある。リズム良く進んでいく調理工程を眺めていると、着席して8分の 1st ロットで我が杯が到着した。

その姿は屋号入りの高台丼の中で懇切丁寧な盛り付けには見えないが、とても素朴な表情で出迎えてくれた。いわゆる流行りの要素が一切ない王道スタイルの具材たちが並ぶ景色には自然と安心感が湧いてきて、非常に落ち着いた気持ちでレンゲを手にした。

まずは弁柄色のスープをひとくち。表層には非常に粒子が細やかで白みを帯びた香味油が薄っすらと膜を張り、その下にあるスープの透明感を遮っているように見える。逆を言えば、醤油色素の強いスープに香味油のオブラートが覆い隠しているとも言える。そんな見ただけでは正体の分からないスープにレンゲを沈めてみると、醤油ダレのキレのある香りが熱々の湯気に伴って鼻先をくすぐった。魚介よりも動物系清湯の趣の強い香りも上がってくるので、ビジュアン同様のオーソドックスな印象を受けながらスープを口に含んでみた。ファーストアタックは香味油の丸い甘みとカエシの塩気が同時に攻めてくる感じで、スープだけを飲むにはかなり濃い目の塩分設計となっている。そこに豚背脂からの甘みと非天然由来の旨味成分の甘みが加わる事で、口の中はパニック状態に陥ってしまう。早々にスープを諦めてレンゲを箸に持ち替えた。

麺上げまで180秒と長めに茹でられた中太麺を箸で持ち上げてみると、黄色みを帯びた平打ち麺が箸先にずっしりとした重みを伝えている。その重さの割には強情そうな質感がなく、柔らかな手応えすら感じられる。店内に積まれた麺箱を見ると北海道の製麺所から取り寄せているようで、味噌ラーメンへの強い思いがうかがい知れる。それを思うと麺が少しちぢれているような気がして、札幌ライクな麺にも見えてくるから不思議なものだ。いろんな想像を弾ませながら麺を一気にすすり上げると、何ともすすり心地の良い口当たりで滑り込んできた。それはスープを吸って溶け始めたグルテンのぬめりと緩やかなウェーブの麺の形状が織りなす技で、ソフトな口当たりながらも印象に残るオリジナリティあふれる麺だと思った。心地よい口当たりの後は、奥歯を押し返すような歯応えがあれば良かったと思ってしまうような柔らか仕上げだったのが残念だった。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が盛り付けてあるが、赤身中心の部位だったので脂っぽさを感じさせない点が良かった。しかし赤身が多いと必然的にパサつきがちになるのだが、それを思わせない仕上がりとなっていた。ただ味付けは濃い目なでスープには負けていないが、味の濃さに私の舌が負けてしまった。

ワンコインセール中でも味玉が半個入りなの非常にありがたい。半カットされて盛り付けられた味玉の見た目は、黄身の中心から白身の果てへと続く宇宙絵図を思わせるグラデーションを見せている。そんな色彩の美しさに反して、味付けは普通の半熟ゆで卵だったは残念で仕方なかった。しかしキャンペーン中に初期値で入っている味玉なので、仕込みも追いつかず味が浸透していないのは仕方ないとも思った。

これに対して業務用品をそのまま使っている青み役のほうれん草や食感担当の味付けメンマには違う意味で安定感があったが、そこには手仕事感や店の個性を感じる事はなかった。

薬味の白ネギの小口切りや白ゴマも味噌ラーメン用に準備された薬味に思え、屋号に掲げた〝上州〟の意味を考えてしまった。

中盤からは味噌ラーメンがイチオシなのにセオリーを無視して醤油を選択した事を悔やんだ通りに、周囲の方は味噌ラーメンを美味しそうに食べていた。

今回のミスチョイスを反省しながら席を立つ時に、三日連続で来店している先ほどのオバ様方が塩ラーメンを食べながら「味噌ラーメンが一番美味しいわね」と言っていたのが真実の全てだと確信しながら店を後にした一杯でした。

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「煮玉子中華そば ¥760」@上州地鶏ラーメン 翔鶴の写真日曜日 晴天 19:30 店内満席 先待ち4名 後待ち2名

今回は高崎で産声を上げた三つの新店を訪ねる為にやって来たのだが、自身の明日の予定や店の定休日などを考えると新店めぐりの最中にどうしても行っておきたいラーメン店があるのだ。

それは前回の群馬遠征の副作用として、突如としてRDBのスパコンのオススメ店にグンマー勢が割拠して押し寄せてきたのだ。その内の一軒がコチラで、お店情報で営業時間などを確認して初対決を決めたのだ。

そこで、いきなりではあるが〝第35回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を開催する事にした。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去34戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」「◯心厨房」「家系総本山 吉村家」「自家製麺 くろ松」「麺処 いち林」「miso style となみ」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は34戦15勝10敗8分8KO勝ち1KO負け1没収試合と、スパコンのオススメに対しては勝利が先行している状況だ。

ここ最近では「自家製麺 くろ松」「麺処 いち林」と群馬の強豪を相手に完敗を喫しているのが現況なのだが、その敗北をうれしく思っている心境でもあるのだ。ようやくスパコンが私の趣向を理解し始めてくれたと思っていたら、前回は苦手なガッツリ系をオススメしてきたのだ。そんな中でのグンマー勢の出現を喜びながら決戦の準備をする事にした。

昼過ぎに本日の二食目を食べ終えると、ネット予約しておいた高崎駅直結の大浴場完備のホテルにチェックインを済ませた。さっそく午後3時から大浴場に向かいサウナにて消化と代謝を十分に促して、お昼寝タイムで初対決への体調を整えた。2時間ほど眠りに就くと窓の外は夕日も落ち始めていて、胃袋の方もすっかり落ち着いてきた。

すぐに支度をして、決戦の地 前橋を目指す為に両毛線に乗り込むと15分ほどで前橋駅に着いた。北口から関越バス 渋10系統 渋川駅行きにて揺られる事 20分で最寄りの前橋自動車教習所前までやって来た。そこからは大きなラーメン店が並んでいる大通りの交差点を、ゴルフ練習場のナイター照明が明るい方へと歩いて向かう。右側には営業時間を終えた住宅展示場が立ち並んでいるが、人の気配がないので異様な無機質に見える。こんな場所にラーメン店があるのかと心配になっていると、店頭を見つけるよりも先に美味そうなスープの香りが漂ってきた。その良い匂いに引きつけられるように進んで行くと〝上州地鶏ラーメン〟と書かれた大きな看板が目に入ってきた。そこでようやく店の存在を確認すると、年季の入った破れかけの白のれんをくぐって店の中に入った。

遅い時間帯にもかかわらず外待ちこそないが店内は満席だったので、ガラス張りの二重扉の中に置かれたウェイティングシートに名前と人数を記入してから中待ちベンチにて待機となった。どうやら券売機はないようなので待ち席前に設置されたマンガ用本棚に貼られたメニューの中から、今夜の対戦内容を決めておく。やはりここはマイスタンダードの味玉付き醤油系で勝負を挑もうと思い、心の中で初対決のお題は決まった。

よほど回転率が早いのか来店のタイミングが良かったのかは不明だが、中待ち待機5分ほどでカウンターに昇格となった。あいにく一番奥のカウンター席に案内されたので、オープンキッチンなのだが目の前の壁が邪魔をして調理風景が見えないのを悔しく思いながら卓上メニューで再確認して決めておいたお題をホールスタッフさんに告げた。

そこから店内観察をはじめると、多くのテーブル席を設けた広々としたレイアウトの客席となっている。本日の客層は思いのほか若い方が多く見られ、先程の大通りにあった大手ラーメン店よりも個人店のコチラを選ばれている理由が何なのかが気になった。見えづらいが厨房内に目をやると、しっかりと神棚が祀られているあたりも好印象だ。そんな厳かながらも活気に満ちた店内を、本日は四人体制で回している。後会計なので食い逃げ未遂を犯さないように千円札を準備して待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は大唐草の八角丼の中で、想像していた景色とは全く別世界の美しき光景を見せてくれる。屋号に掲げられた上州地鶏を謳っているだけに、流行りの〝鶏と水〟とばかり思っていた自分の考えが浅はかだった。目の前の飾り気のない素朴な顔立ちを見てるだけでも、ここまで足を運んだ甲斐があったと思わせてくれる麺顔だ。予想外の展開に今回はスパコンのオススメ店に対して、最初から負けを覚悟しながらレンゲを手にとった。

まずは浅緋色のスープをひとくち。表層にはランダムなドットの香味油が油膜を張っているが、下層のスープの澄み切った清らかさの邪魔をせずに透明感を拡張させて輝いている。見た目には醤油の色素を強く感じさせない穏やかなスープにレンゲを沈めてみると、かなり地味ではあるが食欲を刺激する嗅ぎ覚えのある香りが立ち昇ってきた。その瞬間だけでは知っていると感じたその香りが何かは分からなかったが、スープをひとくち飲むとそれが何かを認識できた。レンゲに注がれた美しいスープを口に含むと、鶏主体のスープとばかり思い込んでいた脳に衝撃が走った。そこには動物系よりも予想外に魚介系の風味の方が強く感じられ、嗅ぎ覚えあると思った理由は〝おでん出汁〟を思わせる香味を含んでいたからである。鰹節や昆布を基本とした関西風のおでん出汁のような上品な旨みと、鶏出汁特有のクセを削ぎ落とした旨みだけが見事に調和した驚くべきスープに出会ってしまった。またしても群馬の出汁文化のレベルの高さを思い知ったスープだ。ある種のトランス状態にハマってしまいながらレンゲを箸に持ち替えた。

麺上げまで60秒程と思われる自家製中細ストレート麺を持ち上げてみると、ウンチクでは玉子麺となっているが黄色い着色を見せない美白麺が現れた。すでに箸先にはハリの強さが感じられ、色白ながら芯の強さを感じさせる好みのタイプの麺であると確信した。そんな一目惚れした麺を一気にすすり上げると、抜群のすすり心地で口の中に滑り込んできた。平打ちではないが切刃のエッジが鋭く残るので、口当たりがシャープに感じられる。それでも麺肌に程よく溶け出したグルテンが滑りを加速させ、他では感じられない独特の口当たりを生んでいる。そんな勢いのある麺を噛みつぶすと、もっちりとした弾力がありコシの強さが歯茎を経由して伝わってくる。さらには喉越しの良さも兼ね備えているので、唇から胃袋までを魅了する私にとっては完成度の高い自家製麺に出会えた。

具材のチャーシューは豚肩ロースの煮豚型で食感の異なる二枚が入っていたが、やや脂身が多い部位が切り当てられていた。よってスジが多く歯切れの悪さを生んでいたが、赤身本来の持つ旨みや肉質は十分に味わえた。

追加した味玉は見た目のアンバーブラウンから想像した深い熟成度には乏しいが、素材の味を上手く引き出している。黄身の持つ甘みを感じながらスープのサポートを得て、味わいが頂点に達する味玉である。この瞬間が最も〝おでん〟を感じられ、少し崩れた玉子とスープの組み合わせは見事だった。

メンマは中太タイプで仕込まれていて適度な発酵臭を残してあり、香りと食感の両面で名脇役を演じている。味付け自体は抑えてあるのでスープの中でもバランスよくサポート役に徹している。

海苔も十字6切の大きめのサイズで添えてあり、質の高さを感じられる。磯の香りもあり、口溶けの良さも持ち合わせている。一般に出回っている業務用ラーメン海苔とは、見た目の黒々しさだけでも違いが分かる。

薬味の白ネギは来訪時間が遅かったせいで切り口の乾いた残念な薬味だったが、舌触りの悪さを除けば野性味のあるアクセントにはなっていた。

中盤以降も麺のすすり心地は変わる事なく、箸のスピードは増すばかりで完食していた。スープにも過度な旨味や塩気を感じる事なく飲み干したがメニューのトップを飾っているのが塩系だったので、食べ終えて直ぐに次回の構想を練ってしまうようなラーメンだった。

今回のスパコンとほオススメ対決は、私の負けとなってしまった。これで通算対戦成績は35戦15勝11敗8分8KO勝ち1KO負け1没収試合となったが、負け数が勝ち数に追いついてきている。すなわちそれだけ好みのラーメンに出会えているという訳で、実は喜ばしい事なのだ。スパコンがオススメに挙げてくれなければ、もしかしたら出会う事の無かったラーメンだったかもしれないと思うと感慨深い。

敗戦は悔しくも清々しい気持ちで席を立ったが、メニューの中には一日三食限定のラーメンもラインナップされていた。私もいつかは食べてみたいと思いながら店を後にして、帰りのバス停へと向かった。前橋駅行きの最終バスの一本前に間に合うと、前橋経由で高崎のホテルに戻った。

当初の計画では翌日に高崎の新店を初訪問してから帰京する予定だったが、久しぶりの高崎ナイトにハマってしまい安酒を飲みすぎたせいで翌朝は何年かぶりの二日酔いに襲われてしまった。その日はラーメンどころかコーヒーすらも喉を通らない具合の悪さで、当日の新店めぐりを断念せざるを得なくなった一杯でした。

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「中華そば ¥680+味玉 ¥100」@らーめん つけ麺 けのひの写真日曜日 晴天 13:50 先客なし 後客なし

〝ニューオープン 探検記〟

午前中に同市内で一食目を終わらせてから、乗り慣れてきた群馬バスを利用して小鳥住宅前から再び高崎駅まで戻ってきた。次なる連食先となるコチラの下調べと、胃袋の容量の回復を待つ為に駅近くのカフェにて二時間近くを費やした。コーヒーを三杯も飲んでしまったので回復が遅れてしまった。

お店情報では同県内の藤岡市からの移転オープンとの事たが、移転前には屋号にあった〝親子丼〟の文字が消えていた。となればラーメン一本に狙いを定めての心機一転らしく、気合の入り方も違うのではないかと期待が膨らむ。店名の「けのひ」という言葉も、実は私も非常に愛着のある言葉なのだ。例えば日本酒にしても特別な日を意味する〝はれのひ〟のような大吟醸酒よりも、普段の日常を意味する〝けのひ〟のような純米酒の方が味わいも好きで身体にも合っているのだ。そんな〝けのひ〟のような毎日でも食べられるラーメンを想像しながら過ごしているうちに、消化も促されて胃袋も落ち着いてきた。

そこで今度も群馬バスを利用してイオンモール高崎行きにて10分ほどで最寄りの本町三丁目バス停に着いた。するとすぐ先には三色の幟旗が揺れるラーメン屋らしき建物が見えたが、暖簾を受ける木製の暖簾掛けは設置されているのに暖簾自体が出ていない。店先には立て看板は出ていたが、まさかの昼の部早じまいかと思ってしまった。恐る恐る玄関前まで行ってみると、営業中の札が出ているのを見て安堵した。昼の部の遅い時間帯ながらも、無事に初訪問を果たせた事を喜びながら扉を開けた。

店内に入ると入口右手の券売機にて本日のお題を品定めするが、左上端がマイスタンダードの醤油系のボタンとなっていたので迷う事なく発券した。バラエティに富んだメニューボタンの中から必須の味玉を見つけ出してトッピングも忘れずに発券すると、配席の案内もなかったので好きなカウンター席に腰を下ろした。時間帯のせいか先客はおらず、のんびりと店内を見渡してみる。

テーブル席も多くある店内だが、ご主人お一人で切り盛りされているようだ。バッシングの手間を省くために、ひさラーメン店では珍しい返却口が設けてあるのが特徴的だ。厨房と客席が壁で仕切られているので、ワンオペならばやむを得ないシステムと思われる。かなりベテラン職人の雰囲気のある店主さんなのだが本日のBGMはフジファブリックが流れており、感覚やセンスの若さを感じられる。厨房を仕切る壁には大きな窓口があるので調理工程を眺めながら待っていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は黒塗り盆の上に置かれた口縁の広がった切立丼の中で、いかにも優しそうな表情を見せている。見た目としても色調としても、派手な部分の一切ない穏やかそうな景色には心が洗われるようだ。ご主人のお人柄とラーメンの表情を見ただけで、口にせずとも味わいが思い浮かんできそうに思いながら黒いレンゲを手にした。

まずは木蘭色のスープをひとくち。表層部には少しばかりの煮干し由来の水泡が浮かんでおり、透明感といった点では霞みがかったスープにレンゲを沈めてみた。すると熱々の湯気に連れられて先陣を切ってきたのは魚介系の香りで、予想した煮干しよりも鰹節のシャープなキレのある香気だった。そんな品の良い香りに包まれながらレンゲに注がれたスープを口に含んでみると、野菜の甘みと思われる優しい旨みが魚介出汁に重なってくる。少しばかりの動物系のコクも感じるが、それが何由来か判断するには至らなかった。そんな穏やかなスープに合わせるカエシの塩分も、薄味志向の私でも安心して飲める塩加減にアジャストされていて驚いた。まさにこれぞ「ケの日」を具現化したスープに喜びと感動が湧いてきた。

この勢いのままに麺に取り掛かってみるが二種類の麺から好みの麺を選べるシステムとなっていて、卓上に置かれた麺の説明書きを読みながらチョイスを悩んだ。 それによると、どちらの麺も関東では珍しい札幌の老舗製麺所から送られてくる麺を使用されている。説明書きには私の選んだ中華そばには玉子ちぢれ麺がオススメとなっていたが「玉子ちぢれ麺=冒険」「ストレート麺=納得」のフレーズが気にかかり、ラーメンに関しては極端に保守派な私は〝冒険〟を避けて、本来は煮干し系にオススメとなっている〝納得〟のストレート麺を選んだ。そんな悩んだ結果チョイスしたストレート麺を持ち上げてみると、箸先には見るからに切刃のエッジを残す麺肌がキレの良さをアピールしている。麺上げまで80秒と思われるストレート麺を一気にすすり上げると、少し短めに切り揃えられた麺のすすり心地がとても良い。ひとすすりで滑らかに飛び込んできた麺を噛みつぶすと、もちもちとしたグルテンの弾力感もたまらない。噛んだ麺からは内麦ならではの繊細な香りと甘みがにじみ出て、優しいスープの塩気と相まってお互いを高め合って共存している。オススメの玉子ちぢれ麺との比較は出来ないが、私にとっては麺の選択は間違えてなかったと思える良麺だった。

具材の主役には二種類のチャーシューが盛り付けてあり、仕事量の多さを物語っている。先に淡白そうな鶏ムネ肉の方から口にしてみると、しっとりとした舌触りが口の中を魅了する。小ぶりながら二枚もあるので食べ応えも十分で、鶏ムネ肉の低温調理タイプには珍しく鶏皮の残してある。その鶏皮の食感が悪くならないように皮目を炙っている点にも仕事ぶりが表れている。一方の豚肩ロースの低温調理は、器に収まらない程の大判で迫力を見せつける。美しいロゼ色からは、レアチャーシューと半ナマチャーシューは別物であると言わんばかりの仕上がりを見せている。しっかりと調理温度と加熱時間を管理された、食品衛生上も安心できるチャーシューとなっている。どちらのチャーシューも安心感があり薄味仕立てとなっているので身体には優しいが、スープ自体が非常に穏やかなので繊細すぎる味付けにも思えた。そこは肉本来の質の良さと鮮度の良さでカバーしているが、少し物足りなさを感じたのも本音だ。

追加した味玉にも品質の高い卵が使用されていて、飾りすぎない黄身の色の美しさが印象的だ。しっかりと出汁を利かせた漬けダレの浸透が均一しており、グラデーションのない黄身の適熟が生まれている。提供温度にも気を配られていて常温よりも温め直されている一手間も素晴らしい。

最初は個性を押し殺したようなメンマに思えたが、派手さのない硬めの食感の後には煮干しのような風味がメンマからあふれてくる丁寧に仕込まれたメンマだと分かってくる。目立たぬように脇役に徹していながらも、十分に個性を持ったメンマだった。

さらに肉の具材として珍しく鶏そぼろが入っている。鶏団子を使う店は少なくはないが、鶏そぼろが味噌系や坦々麺ではなく醤油系に入っているのが店主さんのこだわりなのだろうか。若干の違和感を持ちながら食べてみると、鶏そぼろなのにジューシーな口当たりに驚いた。これならば茹で置きした鶏団子のパサつきよりも食感が良く、具材として十分に役割を果たしている。

薬味の白ネギだけは余りの少なさに、薬味としての存在感を確認できずで残念に思ってしまった。穏やかなスープに敢えて香りを付けない為に白ネギが少ないのであれば納得出来なくもないが、それならば青み役の三つ葉の葉先からの香りも不要なのではと思ってしまった。

そんな些細な事が気になるくらいに、スープと麺の清廉潔白な組み合わせに感動しながら完食完飲していた。最後のスープ一滴まで過剰な旨味や塩気を感じる事なく清々しい気持ちで箸とレンゲを置いたが、塩気が強めの傾向の若者たちに受け入れられるのだろうかと心配になってしまった。それを証明するかのように卓上に置かれた醤油タレが、どれも随分と減っているのが見えた。やはり薄味に物足りなさを感じて味を足す客も多くいるのだろう。しかしこの低めギリギリに設定されたラーメンの方が、薄味志向の私には大変ありがたく思いながら返却口に食べ終えた器を持っていった。

ご主人さんの心のこもった「ありがとうございます」を聞きながら店を後にすると、今夜の宿を決めながら帰りのバスにて高崎駅まで戻る事にした一杯でした。

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「醤油ラーメン (並) ¥700+味玉 ¥100」@麺や まる喜の写真日曜日 晴天 10:55 待ちなし 後客7名

〝ニューオープン 探検記〟

今回の新店めぐりも都内だけにとどまらず、神奈川県や千葉県内での新店情報を入手すると足しげく初訪問を果たしてきた。そんな折に私の中でラーメンの聖地として崇める一つである群馬県高崎市内での新店情報を見つけてしまった。しかも三店舗も立て続けに挙がってきては、冒険心に火がついてしまい直ぐに連食計画を立てたのだ。

昨夜は群馬遠征お決まりコースの上野駅前のサウナに宿をとった。こちらは都内でも有数の人気サウナなのだが、最近の深夜ドラマの影響で若者客が多く押し寄せている。サウナ需要が高まるのは良い事だが、マナーの悪い若者が多すぎるのが悲しい現状なのだ。ずぶ濡れのままでサウナに入って来たかと思うと友人同士で大きな声で喋り、朝も流さずに水風呂に飛び込む。「ととのう」ためにサウナに来ている者にしたら非常に迷惑極まりない状況だ。私にとっては〝サ道〟=〝蒸し道〟なので蒸し道精神に欠ける若者には喝を入れたいところだが、全裸で叱るのも恥ずかしく思い堪えているのだ。

しかしテレビドラマの影響も悪いことばかりではなく、前回は喜ばしい事もあったのだ。それはテレビドラマ放送を記念して普段は男性専用のサウナ施設を一日限定で女性にも解放したのだ。勿論その時間帯は男子禁制だが、ちょうど女子会が終わり入れ替えのタイミングで訪れた私は、いつもは見る事のない女性がフロアにいる景色を眺められたのだ。女性陣の器量の良し悪しは別として普段と違った匂いを楽しめたのだ。こんな変態目線ばかりが良かっただけでなく施設側も女性が来店するとなると念入りに清掃をしたようで、館内が見違えるほどキレイになっていたのだ。前回の東京五輪でサウナが日本に知られるようになってから55年を迎え、次の東京五輪に向けて新たなサウナブームが密かに起こっている事だけは心よりうれしく思う。

今朝も早朝から朝サウナてリフレッシュすると、新店めぐり連食大作戦を実行する為に上野を出発した。9:10発 北陸新幹線はくたか605号 金沢行きに乗り込むと、50分足らずで高崎駅だ。そこからは高崎遠征では何度もお世話になっている関越バスに乗り換えると、25分で最寄りの大八木バス停に着いた。バスを降りると前橋駅で分岐した上越新幹線と北陸新幹線の両高架下を二路線続けてくぐり抜けるといった珍しい体験をしながら10分も歩くと、大きな交差点のそばにある駐車場の看板が目に飛び込んできた。しかし駐車場付近には店らしい建物が見当たらず少しばかり周辺を歩いていると、駐車場の向かい側に飲食店が立ち並ぶ建物を見つけた。その中の一軒にコチラの看板を確認すると、定刻の5分前の現着でも一番手をキープして待機となった。

新店と言ってもオープンから三週間も経っているので店頭には開店祝いの花などは置かれておらず、店頭メニューもないので退屈しのぎに隣の中津からあげ専門店のメニュー写真を見ながら待っていると定刻通りに目隠しのロールスクリーンが上げられて開店となった。白い暖簾をくぐり店内に入ると入口右手の券売機の中から、じっくりと品定めをする。セオリーの左上部とマイスタンダードの醤油系が見事に一致したため悩む事なくボタンを押して、追加の味玉の食券も忘れぬように発券した。特に案内もないので好きな席に座り、店内観察を始める。

カウンターだけの店内を本日は二人体制で回しているが、調理の全ては若い店主さんが担っていらっしゃる。客席の割に広い店内だが業務用空調ではなく一般家庭用のエアコンが設置されているので、冷房の効きを補う為にYAMAZEN社製の排熱ダクト付きスポットエアコンが設置されている。他にも大型扇風機なども置かれて客席の暑さ対策にも気を使われていて、ゲストファーストの思いが溢れている。おかげで冷房の効いた快適なカウンターなのだが、椅子が高すぎてカウンターとのバランスが悪く座り心地はかなり悪い。カウンターや椅子の高さというのは食べ心地に直結する部分なので、一度見直させた方が良いのではと余計なお世話をやいてしまった。

都内のラーメン店では見かけない紙おしぼりも用意されていて非常にありがたい。これは店への不満ではないが包装されたビニール袋ではなく、紙おしぼり本体を上手に広げられないのは私だけだろうか。少しだけずらして折りたたんでくれたなら継ぎ目も探しやすいのに、ピッタリと折り重ねられては開け口が見つけられないのだ。そんな些細な事にイライラしながら待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の高台丼の中で堂々たる表情で待ち構えている。流行りの要素のない落ち着いた景色には、自然と食べ手の気持ちも安らいでくる。味玉を追加しても 800円でこのボリュームなら地元の方も大歓迎なのではないだろうか。しかしコスパや価格設定は評価に考慮しないので、気持ちも新たに切り替える。レンゲを手にする前に、器に覆いかぶさっている大判の海苔を口縁によけて記念撮影をした。

まずは黒鳶色のスープをひとくち。かなり醤油色素の強いスープの上には粒子の大きな香味油が浮かんでいるので、ダークに見えるがキラキラと輝いている。そんな液面の油膜を破るようにレンゲを沈めると、かなり強めの香りが鼻腔を襲ってきた。それは見た目の醤油香の強さというよりはスパイス的な刺激のある香りで、例えるならばコショウのようなフレーバーだ。下調べでは長岡生姜ラーメンと知ってはいたが、意外な刺激臭に少し戸惑いながらスープを口に含んでみた。熱々のスープの中で最初に感じたのは味の強さで、それが生姜によるものなのかは初見では判断できなかったのが本音だ。たしかに刺激的なファーストアタックではあるが、それが醤油の塩気なのか、生姜の辛味なのか、それとも別のスパイスによるものかは謎だった。そんな中でも明らかに分かるのは四つ足の動物系出汁の自然な旨みだけでなく、非天然由来の旨味成分の底上げが強く効いている事だ。ひとくち目で唾液の量に変化があり、かなりの量を含んでいると思われるのでスープは断念して麺に取り掛かってみる。

専用の保冷庫で温度管理された外注麺は、麺上げまで300秒もかかる長い茹で時間の麺だった。持ち上げた箸先には、さほど太くは見えない中太麺が黄色みを帯びた麺肌を輝かせて現れた。しかし麺の形状と茹で時間の長さが頭の中で一致せず、なぜか違和感ばかりが先行してきた。箸を持つ指先にはずっしりとした重みが感じられ、加水率の高さを思わせる。そんな予想ができない中太麺を一気にすすり込むと、図太いながらも滑らかに口の中に飛び込んできた。それは悪く言えば弱々しい口当たりで、一切のハリやコシを感じさせない。噛んでも歯応えの無さが寂しく思え、物足りなさすら感じてしまった。この食感が店主さんの目指すとこなのだろうが、あまりの力のなさに茹で時間の長さを疑ってしまった。

具材のチャーシューは豚肩ロースの煮豚型で、第一印象で感じたように大判の厚切りで堂々と具材のセンターに盛り付けてある。しっかりと表面をガスバーナーで炙って香ばしさを加えてあるので、提供温度の温かさも申し分ない。やや味付けが薄めなので物足りなくも感じるが、豚肉本来の旨みとスープの香味が補ってくれていた。しかし赤身中心の部位だけに肉質の食べ応えは、たっぷりと味わう事ができるチャーシューだ。

追加した味玉も薄味なのが気になったが、強気なスープと食べ合わせる事を計算されての優しい味付けなのだろうか。ほんのりと薄化粧をしただけの普通のゆで卵にしか思えず、期待した熟成タイプの味玉ではなく残念だった。だだ一つ盛り付け直前に温め直させていた仕事ぶりには印象が良かった。

不揃いな形状のメンマからは不思議な酸味が噛むたびに湧いてくるのが苦手だったが、滑りのある独特の食感は歯応えのない麺のサポート役になってくれた。

十字6切の大判な海苔は、しっかりとした歯触りの強さが持ち味のようで香りもあり良質な海苔と思える。

薬味の白ネギの小口切りはスープに負けないように粗めの切り口が野性味を表現し、辛味を持ってスープに対して抵抗してくる。やはり生姜とネギの相性の良さがあり、強気な者どうしながらもお互いの存在感を引き立て合っている。それに反して青み役のカイワレの繊細な辛味ではスープの中で負けてしまい必要性を感じられなかった。

序盤からスープの刺激と麺の弱々しさに苦戦しながらも、何とか八割ほどは食べて箸とレンゲを置いた。最後まで明確な生姜の風味は感じられなかったが、食べ終えても口の中を支配している刺激がそうなのだろうか。

不思議な違和感を残したまま店を後にして、次なる連食先を目指すために高崎駅まで戻って仕切り直しをする事にした一杯でした。

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「煮干しそば ¥780 +味玉 ランチ無料サービス」@らーめんキッチン かえでの写真平日 曇天 12:55 先客4名 後客1名

〝ニューオープン パトロール〟

本日は新店めぐりの連食計画のために群馬まで足を伸ばしてみた。今回の二店舗とも新店と言っても、どちらも前回の高崎めぐりで出会ったラーメン店と関係のある店ばかりなのだ。

午前中の一食目に訪れたのは高崎から渋川に移転されたばかりの店で、連食先のコチラは高崎市内の人気店の2号店となっていてオープンして二週間ほどのようだ。前回の高崎行脚は本店を皮切りにスタートしたのだが、その際に店内には2号店のオープンの告知がしてあったので存在自体は知ってはいたのだ。そこで本日は渋川での前食を終えると直ぐに渋川駅に戻ったのだが、次発の電車までは一時間以上もあったので別ルートを調べてみるとバスでの移動ルートが浮かんできた。

そのバスの時刻までも30分程あったのだが、長いバスの乗車時間を含めても高崎駅への到着がたった10分ではあるが早く着くようなのでバスルートを選択して連食先のコチラへと向かう事にした。11:57発までの30分を冷房の効いた駅構内のベンチに座って待っていた時に、執拗に流れる唄が耳に残ってしまった。それは「 ♪ ハラ出せヨイヨイ、ヘソ出せヨイヨイ」と繰り返される謎の唄なのだが、渋川市民の皆さんにはおなじみのフレーズなのかもしれないが妙に耳から離れずに東京に戻ってからも口ずさんでしまっている。そんな魔性のメロディを聴きながら待っているとバスの発車時刻が近づき、目の前のバス停に向かった。

定刻通りに高崎行きの関越バスに乗車すると、ほんのわずかな乗客だけを乗せて走り出した。途中のバス停からも乗ってくる人は少なく、終始バスの車内は運転手さんも含めて多くても三人といった感じで進んで行く。そんな穏やかなローカルバスで55分ほど揺られると、最寄りの連雀町バス停に着いた。途中のバス停が40ヶ所を超える数はあったと思うが、停車したのは時間合わせを含めても5ヶ所も無かった気がするくらいに平日の昼間は利用客の少ないバスだった。

バス停を降りて目の前の大きな連雀町交差点を左に曲がると、何故か見慣れた風景が飛び込んできたのだ。まさかの目指していた「らーめんキッチン いいづか」の2号店は、先ほど前食を食べた「らぁめん家 有坂」の跡地だったのだ。

移転前の「らぁめん家 有坂」訪問時には、あまりの隠れ家的な外観に前を素通りしてしまったのだ。しかし今回は店先には大きな日除け暖簾が飾られ店名も大きく書かれていたので、見過ごす事もなく直ぐにコチラが店だと分かった。その日除け暖簾の奥には以前と同じくガラス張りの調理場が見えて女性スタッフさんが麺上げされているのが見えたので、営業中だと確認して店内に入った。

入店して最初に驚いたのが店内の明るさだった。何も比較する事はないのだが、以前はロックテイストな男気あふれる雰囲気だったと記憶している。しかし今回は店内のレイアウトは変わってないと思うがライティングの照度をかなり上げている為、メタリックなカウンターの天板もシックな装いからポップな印象へと変わっている。インテリアのところどころに赤の差し色を使うなど、女性だけの二人体制で営まれている雰囲気に出来るだけ近づけた内装となっている。

券売機は設置されてないので空いていたカウンターに座り、卓上メニューから本日のお題を品定めする。数種類あるラインナップの中、変化球的なメニューも多いが初訪問なので直球の煮干しそばと味玉をオーダーして店内をさらに見てみる。

本店で見かけた女性スタッフさんが指揮をとっていて調理場のスペースは本店と比べると随分と手狭に感じると思われるが、そんな悪条件を全く感じさせず丁寧な調理工程と明るい接客で新規客の心をわしづかみにしているようだ。新店ながらも手馴れたオペレーションを眺めていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は胴が朱赤で口縁には雷紋柄のクラシカルな切立丼の中で、具材などの内容には変更はなさそうだがレイアウトを変えて盛り付けてある。昔ながらの器の中で整然と配置された美しさには女性らしさが感じられる。本店でも思ったのだが、この丁寧で美しい盛り付けが不得意ジャンルの煮干し系への警戒心を和らげてくれる。そんな初訪問での煮干し系への緊張感も薄れて、落ち着きを取り戻した所で赤いレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。液面の淵にはグループ店の代名詞とも言える魚粉が浮かんでいるのが見られ、煮干し系の一番の苦手要素のザラつきへの不安が再燃してきた。表層には一面に具材が盛り付けてあるのでチャーシューを押し込むようにレンゲを沈めてみると、思いのほか軽やかにスープがレンゲに注がれてきた。そんなレンゲを口元に近づけてみると、過度な煮干しを主張せずに美味しそうな香りが鼻先をくすぐった。見た目と香りでイメージが出来上がった所で、いざスープを口に含んでみる。先陣を切ってくるのは煮干しの旨みである事は間違いないが、必要以上の苦味などは排除されてインパクトよりも味わいに重きが置かれているようだ。スープが唇に触れた時に軽やかな粘りを感じたのが鶏由来のコラーゲンだと思う。旨みを支えているのが煮干しだけではなく鶏出汁も加わる事で、スープが単調にならずに深みと広がりを与えている。心配された魚粉のザラつきが全く無い訳ではないが、舌の上に残らないのが自家製魚粉ならではの特徴だろうか。相当メッシュの細やかな魚粉を仕込まれているのだと感じた。カエシも魚粉に含まれる塩分を計算されて低めの設定となっているため、トータルでジャストの塩梅となっていた。

続いて、こちらもグループ店の真骨頂でもある自家製麺は中細タイプの麺を本店から届けてもらっているようだ。麺上げまで70秒の自家製麺を持ち上げてみると、真っ直ぐとは言いづらい程度に緩やかにウェーブがかかっている。切刃の角も程よく残っているが、ふっくらとしたハリも見せる麺肌がいかにも美味そうである。たまらずに一気にすすり込んでみると、口当たりの時点でもっちり感が唇に伝わってきた。グルテンを豊富に蓄えた麺質ならではの噛み応えが、食欲を更に増加させるようなオリジナリティあふれる仕上がりは自家製麺ならではの食感だ。この奥歯を押し返すような食感がパスタに用いられるセモリナ粉を配合している理由なのかと思った。持論の〝餅は餅屋、麺は麺屋〟を否定してくれるような自家製麺に今回は出会ってしまった。

具材のチャーシューは豚バラの巻き式煮豚型の表面にバーナーで炙りを施して香ばしさを加えている。サイズ感も十分で赤身と脂身のバランスが良い部位が切り分けられてあり、煮汁の味付けも薄味ではあるが足りなさは感じさせない。食感も脂身は柔らかくても赤身はしっかりと歯応えも残してあり、派手な印象はないが食べ甲斐のあるチャーシューとなっていた。

追加した味玉は後会計の時に知ったのだが、ランチタイムは無料サービスとなっていたのだ。たしかに周囲の客人はライスや麺大盛りを食べている方が多かったので、それらもランチタイムの無料サービスだったようである。しかし独自の〝味玉論〟を持つ私に、いくらタダとは言えど容赦なく評価したい。などと息巻いていたが、味玉を頬張った途端に目尻は下がり口角は上がってしまうような出来栄えだった。それは漬けダレが見事に黄身まで浸透して完全にゲル化していながらも、卵本来の持つ白身の旨みも残っている。提供温度も温かくはなかったが常温程度までは戻してあったので、旨みを感じやすくなっていた。無料云々は関係なしに追加して良かったと思える味玉だった。

メンマはよく見るタイプの中細メンマが多めに盛り付けてあり、正直言って特筆すべき点が思い浮かばないのが特徴である。スープや麺に個性があるので、このメンマの普通さが食中を和やかなものにしてくれていた。全てが普通では物足りないが今回ばかりは〝普通が一番〟と思えるメンマだった。

薬味は青ねぎと玉ねぎの両者そろい踏みで添えられている。青ねぎの小口切りは見た目にも鮮やかな緑を与えてくれ、スープに清涼感を加えてくれる。玉ねぎアッシェは辛味を抜いてあり、果物のような甘みを発している。それは旬の梨を噛んでいるような、みずみずしい食感と甘さを放っていた。薬味の両者に共通するのは切り口の新鮮さだった。

序盤から濃度の低いスープだと思い食べ進んできたが、すすり上げる麺にはしっかりと魚粉が絡みついてくる。不思議に思っていたら終盤になって理由がようやく謎解けた。上層部こそ濃度の少ないスープだが、下層部の丼底には大量の魚粉が沈殿していたのだ。よって、見た目以上にスープの旨みを持ち上げていたのだった。さすがに丼底の溜まり部分を飲み干す事は出来なかったが、その魚粉の沈殿物だけを麺と絡めたら魚粉好きには堪らない逸品となる事を思い描きながらレンゲを置いた。

私にとっては本店よりもアクセスが良く、バスに乗らなくても来られる利便性は大変ありがたい。ただでさえハイクオリティなラーメン店が名を連ねる高崎に、またひとつ通いたくなるようなラーメン店が誕生してしまった。〝してしまった〟というのも日帰りでの高崎めぐりはもったいなく、次回はホテル代と高崎のネオン街での飲み代が加算される事が不安になってしまう一杯でした。

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「らぁめん 醤油 ¥790」@らぁめん家 有坂の写真平日 曇天 10:58 先待ち1名 後客なし

〝ニューオープン パトロール〟

高崎から渋川へと移転されたコチラへの初訪問を含めた連食計画を果たすために、本当ならば昨晩は前橋に前乗りして人生初の前橋ナイトを楽しむはずだったのだ。しかし都内での夜の会食が長引いてしまい高崎へ向かう最終の新幹線を逃してしまい、仕方なく上野の常宿にて朝を迎えた。

近々の十日間のうち五日はお世話になっている上野のサウナだが、もはや〝家なきオジさん〟のような生活を送っている毎日だ。言いかえれば、それだけ上野界隈や上野以北での新店ラッシュが続いているという事にもなる。今朝も快調に目覚めると朝サウナで身体と精神を整えると身支度をして、午前9時前にチェックアウトした。

少し前にRDBの新店情報の中に見つけたコチラの少ないお店情報によると、11時オープンとなっているので開店前の現着を狙って北陸新幹線に乗り込んだ。上野 9:10発 あさま605号 長野行きにて、一路高崎を目指した。濃紺の全自動リクライニングシートに身を沈めると、たった42分で高崎駅に着いた。高崎駅からは30分以上の乗り継ぎ待ちを経て、上越線 水上行きに乗車すると20分足らずで最寄りの渋川駅に着いた。

ここからは少し距離があるようだが、路線バスがちょうど出発したばかりで次発まで40分以上もあったので歩いて向かう事にした。駅前の黄色い看板のラーメン店には11時前に数名の行列があったので、渋川のラーメン需要の高さが心配になり早足で店を目指した。駅前の大通りを進み小さな川を越えると住宅街の中へとナビが示す通りに進んで行くと、少ないながらも飲食店が集中した場所へと出てきた。すると交差点の角に開店祝いの花が並んだ店先に看板が見え、入口の方へと回り込むと一名の外待ちが出来ていたので二番手をキープした。

まもなく定刻になったが、店先に駐車した軽トラックの横では座卓を修理している大工さんらしき人がいて慌ただしく作業している。店内も準備が整ってないのだろうかオープンにならずに定刻を過ぎた。2分程して中からスタッフさんが営業中の看板を持って出てくると、無事にオープンとなり入店となった。

店内には券売機はないのでカウンターに座り卓上メニューから本日のお題を決めるが、仕込みが間に合わなかったそうで品切れのメニューが多くあった。あとで twitterを確認すると、どうやら前日に配管トラブルで臨時休業されていたようだ。なので仕込みが追いつかずに慌ただしかったのだと知った。そんな前日の影響だと思うが、本日はスープの塩系と味玉が仕込めてないとの説明を受けたのでマイスタンダードの醤油にして、好物の味玉がないので泣く泣くトッピングは無しで口頭注文した。

わずか三席だけのカウンター越しに店内を見渡すと、小上がり席も設けてあるがしっかりと座卓が置かれてあるので修理中の座卓はどこのだろうかと不思議に思った。移転前よりも手狭になった店内には以前は見られた製麺機もなく、10種類以上も山積みにされていた煮干しの箱も半分以下に減っていた。もしかしたら二階などの別場所に製麺室を設けられたのであろうか。移転前の黒を基調としたBARのような内装と違って、客席には朱赤色の壁紙が貼られカウンター内の壁にはボトルキープ用のガラス棚があるので小料理屋のような雰囲気もある。そんな店内を本日は二人体制で回しているが、厨房内に二人が入るとかなり狭く感じられる。しかしトラブルの最中に本日は営業してくれた事に感謝しながら待っていると、着席して6分の 1st ロットにて我が杯が到着した。

その姿は白磁の小さな切立丼の中で移転前とは少し異なる景色を見せている。奇しくも移転前の最期のレビューが私だったようで写真を見比べてみたが、やはりいくつか変更された点が見受けられた。そこには新たな進化があるはずと期待を込めてレンゲを手にした。

まずは紅檜皮色のスープをひとくち。店内のライティングのせいもあるかもしれないが、以前よりも醤油の色素が強く出ている感じのする液面にレンゲを沈めてみた。レンゲのくぼみに注がれるスープに粘度はなくサラリとしている。煮干しが主体ではあるが必要以上の苦味やエグ味などを全く感じさせず、親しみやすい香りだけが立ち昇ってきた。ニボ耐性が弱い私でも安心して口に運べるスープだと確信して口に含むと、香り同様に煮干しの個性を押し付けてこない旨みを中心とした煮干しが主張している。その裏側には鰹節と思われるキレのある酸味が存在しているのとカエシの醤油ダレの酸味が相まって、旨みは濃いがさっばりとした印象も受ける。私の感覚だけかもしれないがスープの複雑みが薄くなった分、ダイレクトに魚介乾物の旨みを感じられるような気がした。

続いて麺を持ち上げてみると麺肌には溶け出したグルテンが半透明になっており、麺の中心部には密度の濃い色合いを残した二層構造になって見える。そこには切刃の角がハッキリと残った中細ストレート麺で、見るからにハリとツヤを感じられる麺質だ。持ち上げた箸先には適度な重みが伝わってくるので、加水率もそれほど低くはなさそうだ。すでに麺肌にはスープの醤油色素を吸い始めて色合いが変化している麺を一気にすすり込んでみると、切刃のエッジが唇にシャープな印象を残しながら口の中に滑り込んできた。軽やかでキレのある口当たりかと思えば舌の上では滑らかさも表現しているが、歯応えの面では少し力強さが失われたようにも感じた。柔らかな歯切れの中には奥歯を押し返すような弾力がないので、麺の仕様をいくらか変えられたのだろうか。麺上げまでもジャスト90秒と、茹で時間も以前よりも長くなっているように思ったが気のせいだろうか。提供時がこの麺ディションのピークに思えたので、麺がダレるのを嫌って先に食べ進める事にした。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が盛り付けられたいたが、こちらにも仕様の変更が見られた。移転前は豚バラの角ブロックで仕込まれて薄めに数枚カットされていたが、今回はミートネットで巻いて煮込まれた豚バラが厚みを持たせた大判のまま盛り付けてあった。味付けに大きな差はなかったが特筆すべきはチャーシューのジューシーさの違いである。本日分は赤身中心の豚バラが切り分けられていたが、大きなかたまり肉のまま煮込んであるので肉汁が抜け出す事なくしっかりと残っていた。それなので脂身が少ない部位にもかかわらず、しっとりと柔らかく仕上がっていた。そこに厚切りの食べ応えが加わり、バージョンアップしたチャーシューとなっていた。

また具材の一員としてタケノコの水煮の細切りが追加変更されていたが、細メンマならば良かったと勝手な好みを思ってしまった。それでもタケノコ特有の軽やかな食感は健在で、柔らかく感じた麺をサポートしてくれたのは間違いない。

薬味の白ネギは葉先の青い部分も刻まれているので、強い香りと粗々しい歯触りを残している。繊細な清湯スープには必要ない刺激かもだが、このスープにはこれくらいのワイルドなネギの方がしっかりしていると思えた。なので量の少なさが物足りなさを生んでしまっていたのが本音でもある。

序盤で一気に麺を平らげたがコシの強さを欠いていると感じながらの完食となり、味玉などの仕込み不足も重なって少しばかりモヤモヤの残る結果となってしまった。トラブル直後の来店となったようでイレギュラーが重なってしまったのかもしれないが、目の前のラーメンだけの採点としては少し低めになってしまった。

移転前よりもアクセスが大変になったが、設備やオペレーションが落ち着いた頃を見計らって再訪してみたいと思った。券売機の習慣に慣れてしまっているので、忘れぬように後会計を済ませて店を後にした。

計画している連食予定の為に急いで渋川駅まで戻ったが、タッチの差で高崎行きの電車が出てしまった後だった。次の電車までは何と一時間以上もあるので仕方なく駅の構内のベンチに座り時間を待つ事になった一杯でした。

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「醤油らーめん ¥770+味玉 ¥110」@らーめんDINING れんげの写真平日 曇天 12:40 先客6名 後客なし

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟番外編 拡大版

トータル三泊四日となった群馬遠征も、いよいよ最後のラーメンとなる時間帯が迫ってきた。それは昨晩キャンセルとなった都内での会食が今晩にスライドされて、急遽ラーメン旅を終えなければならなくなってしまったのだ。何よりも残念なのは本来ならば太田で延泊をして、人生初の太田ナイトを楽しもうと目論んでいたのが実行できずに終わってしまう事だ。後ろ髪を引かれる思いで太田駅近くでラストラーメンの候補店を調べてみる。

伊勢崎で朝ラーを食べて、午前中には二杯目を太田の人気店でいただいた。そこからとりあえずバスで太田駅まで戻ってきて美術館に併設されたカフェで満腹の胃袋の調子を整える事にした。帰りの電車の時間を14:32発の東武線りょうもう26号に乗車しなければ都内での予定に間に合わないので、前食から1時間しか経っていないが作戦を強行しなければならなかった。

そこで駅前北口から再びシティライナーおおた 市内循環バスにて15分ほど揺られて、最寄りの浜町三区バス停に着いた。最寄りと言ってもそこから少し歩かなくてはならないが、大手そばチェーン店や中華料理店を含めると麺料理を扱う店が非常に多い麺ストリートである事に驚いた。そんな大通り沿いを歩いて向かうと、真っ赤な看板が目に入った。

店先には坦々麺の幟旗が置かれているが、先程の店もそうだったが太田では坦々麺が人気なのだろうかと思った。玄関にはえんじ色の半のれんと同色の日除けのれんが掛けられてあり、数台の駐車場も完備されている。看板には「洋食屋さんの本格らーめん」と書かれてあり、お店情報からも知っての通り洋食出身のシェフが手がけるラーメンのようだ。昼どきのピークタイムの訪問となったが、店頭に行列がなかったので幸いにもすんなりと入店できた。

しかし店内に入ると目の前のテーブル席には食べ終えた器が置いてあり、バッシング待ちのようなので入口左手に設置された券売機にて食券を購入してから様子を伺う。すると運良くカウンターには片付けが終わった空席があり、すぐに着席となった。購入したマイスタンダードの醤油系に味玉を追加した食券を女性のホールスタッフさんに手渡してから店内観察をはじめる。

テーブル席とカウンターだけの店内かと思ったが、後ろを振り返ると小上がり席も多く設けてあった。イメージしていた洋風とは違った印象の店内で、夜の部は宴会にも対応できそうな客席の造りである。そんな広めの店内を、ご夫婦らしきお二人で切り盛りされている。ご主人の趣味なのだろうかバイクに関するグッズや写真などが飾られている。カウンターの棚上に置かれた観葉植物の隙間から調理工程を覗き見しながら待っていると、着席して4分で我が杯が到着した。

その姿はメラミンの受け皿に置かれた白磁の高台丼の中で、穏やかに見えるが不思議な要素も見受けられる興味深い表情で登場した。さすがは洋食出身シェフならではの盛り付けのレイアウトの美しさや、ひと味違った薬味の使い方が特徴的だ。そんな得体は知れないが不思議と異質に思えない姿に引き込まれるようにレンゲを手にしていた。

まずは黄朽葉色のスープをひとくち。液面には大理石のようなマーブル模様の香味油が浮遊するスープにレンゲを落とすと、必然なのか不思議なのか分からないが〝和〟でも〝中〟でもない〝洋〟の香りが押し寄せてきた。それは明らかにスパイシーな香りで、初動としてはかなり刺激的な風味が伝わってきた。レンゲの中に注がれたスープを口に含むと昆布が主体のような前置きのあるスープだが、実際には鶏主体の旨みが先導するスープに感じた。その旨みの他には、見た目こそ香辛料の粒は見えないが胡椒系由来の香りが大きく幅を利かせている。それはスープを炊く段階でミル挽きされたペッパーでなくホールペッパーが使われていると思われる。そんな個性的な鶏昆布出汁に合わせるカエシも、キリッと輪郭のハッキリした醤油ダレを加えているので全体的にパンチのあるスープ構成となっている。

そんな独特なスープに合わせる麺は中細ストレートの外注麺を採用されていて、麺上げまではジャスト120秒と中細麺としては長めに茹でられていた。それだけに見た目は非常に穏やかで、切刃の後も丸みを帯びて見える。スープの中で丁寧に折りたたまれた麺を箸で持ち上げてみると、黄色い色素の強い麺があらわれた。箸先の重みからは多くも低くもない加水の程度が伝わってきて、香味油をまとった麺肌がキラキラと輝いている。ストレートの形状からもスープの飛散を気にする事なく一気にすすり込むと、スープに感じたスパイス香がより強くなって感じられた。しかし間髪入れずに麺の甘い香りも追いかけてくる。適度に溶け出した麺肌のグルテンが口当たりを良くしているが、提供時がベストと思われる麺の茹で加減だ。120秒の茹で時間にもダレる事なく、しっかりとした舌触りを保っていた。噛めば更に麺の甘みが引き出されて、スープから感じるスパイスの刺激を麺の甘みが和らげてくれる。もしかしたらスープのスパイスが利いているからこそ感じられる麺の甘みとも思えてきた。そんなお互いを引き立てる組み合わせの妙に食べ飽きる事なく箸は動き続けた。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が大判の厚切りで入っている。箸が触れただけでも柔らかさが伝わってくる程に、じっくりと仕上げられているのが分かるチャーシューを頬張ってみる。脂身は勿論のこと赤身の繊維質までも解けていくような食感が素晴らしいが、柔らかすぎる訳ではなく歯応えもしっかりと味わえる。また盛り付け直前に炙りの工程を挟んでいて、香ばしさを加えると言うよりは、脂身の融点まで温度を引き上げる作業に思えた。その結果として脂身は口溶けよく、赤身は食べ応えよく仕上がっていた。味付けは強くはないが豚肉本来の品質が良いと思われ、臭みなどの不快な要素が一切なく豚肉の旨みだけが詰まっている。

中太タイプのメンマには非常に甘い味付けが施されている。スパイシーなスープに合わせてなのだろうか、果実を思わせるような胡麻油の甘みがメンマの芯部にまで浸み込んでいる。かなりの柔らか仕立てなので噛む必要がないくらいの食感だが、メンマがほどけた瞬間に胡麻油の甘い香りが舌の上で花開く。先程の麺と同じくスープとの振り幅の大きさが独創的でクセになる人も多いのかもしれないが、初めて食べる私はギャップの大きさに戸惑ってしまったのが本音だ。

追加した味玉は程よく味も乗っていて好みの熟成度合いも出ていたが、提供温度の冷たさばかりは気になってしまった。冷蔵庫から取り出してすぐに盛り付けるのではなく、せめて常温にまで戻してあればゲル化した黄身の甘みや漬けダレの旨みも感じやすくなるように思えて残念だった。

薬味の白ネギは丁寧に水にさらされていたので、余計な辛味や苦味を与えてこずに軽やかな舌触りと香りをアクセントに加えていた。青みの小松菜は茎の部分だけを集めて添えてあり軽い苦味とシャキッとした食感を与えているが、どこにも使われていない葉先の行方が気になってしまった。

またラーメンに関して保守派な私にとっては挑戦状ともとれる青みが、見た目にも個性を発揮しながらセンターに添えてあった。その青みとはイタリアンパセリの事で、同じセリ科の三つ葉ではなく洋食材を使われていた。ラーメンの中に洋風のテイストを必要としない私だったが、このイタパセを口にしてみて思いが少し変わった。一般的なパセリよりも香りが穏やかなので大きく個性を主張する訳ではなく、逆に口の中をサッパリさせてくれる役目を果たしてくれた。考えてみれば日本料理の中でも秋田名物 きりたんぽの具材にはセリが欠かせないように、鶏と昆布主体のスープにセリ科のイタパセが合わないわけがないのだ。それを思った時には見た目のインパクトだけを狙った薬味ではない事を初めて理解できた。

中盤からもスパイシーなスープが醸し出す不思議な感覚に慣れないままに食べ進んできたが、結果としては完食完飲していた。食べ終えたあとも何とも言えない違和感を残しながら席を立ったが、これが洋食シェフの作り出すラーメンの狙いなのだろうと考え直した。ならば次回は洋食シェフによる担々麺にも挑戦してみたいと、新たな好奇心が湧いてきた。

これにて高崎から始まった群馬の一部だけめぐりのラーメン旅も終わりを迎えた。しかしどうしても心残りなのは高崎ナイト 伊勢崎ナイトに続いての、太田ナイトを満喫する事なく太田を後にしなければならない事だ。三泊四日くらいではまだまだ出会っていないラーメンも多くあるので、次回は必ずや太田の夜のネオン街に戻ってくる事を前提に計画を立てると心に深く刻んだ一杯でした。

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「塩らーめん ¥680+煮玉子 ¥100」@塩らーめん 千茶屋の写真平日 曇天 10:35 待ちなし 後待ち2名 後客6名

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟番外編 拡大版

ちょっとした高崎遠征のつもりだったが、気が付けば群馬滞在もすでに四日目を迎えている。

前食は群馬に来たならぜひ行ってみたいと思っていた朝ラーの人気店で、やや出遅れはしたが満足の一杯をいただいて伊勢崎を後にした。コミュニティバスの一日乗車券のおかげで新伊勢崎駅までは無料で30分程で戻って来られた。


そこで次なる目的地に決めたのがコチラで、高崎から伊勢崎を経由して太田まで足を伸ばそうとRDBのお店情報と移動ルートを調べてみた。運良く本日も営業日のようで、電車とバスを乗り継げば1時間もかからずにたどり着けそうだ。空模様が怪しくなってきた中で、徒歩移動が少なくて済む事も歩兵民にはありがたく初訪問へを目指した。

東武伊勢崎線に揺られて25分程で太田駅に着くと、そこららは運良く運行本数の少ないシティライナーおおた 市内循環バスに間に合い15分で最寄りの太田記念病院南バス停に着いた。そこは大きな総合病院のそばだけあって、処方箋薬局の密集地帯となっている。こんな薬局天国を見た事がないくらいの多さに驚いた。

そんな中に大きな駐車場に囲まれたコチラの看板を見つけると、定刻の25分前で先頭をキープした。店頭に置かれたイームズのエッフェルベースチェアに腰を下ろして待機をはじめる。定刻の5分前になると後列が増え始めたが、外待ち3名だけで1分前に早開けオープンを迎えた。

店内に入ると右手の券売機から品定めをするが、豊富なメニューに戸惑いそうにならながらも屋号にも掲げられ券売機のヘッドライナーを飾っている塩系に煮玉子を追加発券してカウンターに座った。カウンターから見渡す店内はテーブル席もありカウンターも多く設けてあるが、ご夫妻と思われるお二人で切り盛りするには広すぎるとも思ってしまう。しかし二人の見事な連携で調理は淀みなく進んでいる。ふと調理場の奥を見るとブルーシートで覆われた製麺機があるが、品川麺機のマイティ50だろうか。やはりこちらも自家製麺なのだろうか、どこにも謳われてはないが群馬の自家製麺率の高さを実感する。

開店待ちこそ少なかったがオープンすると同時に来客が続くが、ワンロット1杯か2杯までの少ロットで着実に注文をこなしていく店主さんの手さばきに見とれていると着席して3分の早さで我が杯が到着した。その姿は同じ白磁の受け皿に乗せられた反高台丼の中で、息を飲むような美しい景色を見せてくれる。それは黄金卿のような輝きを映し出し、まぶしいばかりに光を放っている。そんな景色に気が付けばレンゲを手にしていた。

まずは薄香色のスープをひとくち。液面にレンゲを落とし込まなくても立ち昇っているのは鶏ガラ由来の香りで、クセとまでは言わないまでも独特の個性を感じる香りである。中型の寸胴鍋の中ではスープが炊かれ続けていて、スープ用の濾し器が常に寸胴鍋の中に入れている。その濾し器で不純物がスープに入らないように工夫された独特の炊き方が印象に残る。丁寧に灰汁を取りながら炊かれているスープにレンゲを沈めると、見た目同様に粘度を全く感じない清湯スープが注がれた。そのレンゲを口元に近づけるごとに鶏出汁の個性をより強く感じてくる。本当にクセの一歩手前なので臭みではないが、かなり鶏を強く感じさせる仕上がりと思える。常にスープは火にかけられているので、午前中と午後のスープには若干の違いもあるのではないだろうか。そうなると現時点でのスープはあっさりタイプで、時間が経つにつれて濃いスープへと変化するように思われる。私にとっては、これ以上に鶏感が強くなると臭みに変わってしまうかもしれないので早い時間帯で良かったと思った。そんな鶏出汁に合わせる塩ダレは、白醤油も含まれているような熟成した深い旨みをもたらしている。強い出汁に負けないようにハッキリと輪郭を与えているが、決して塩っぱいような事はなく見事な塩梅を付けている。

続いて自家製麺かは定かではないが澄み切ったスープの中から麺を引き上げてみると、シャープな切刃のエッジが残ったストレート細麺が現れた。麺上げまでジャスト60秒の茹で時間だが、ご主人はタイマーのスタートボタンは押すけれどストップボタンは奥様が押していた。それはストップボタンを押す間のタイムロスをなくして、麺の茹で時間を正確に守っているという事なのだろう。そんな緻密な工程から生み出された麺を一気にすすり込んでみると、細麺ならではの鋭い口当たりで飛び込んでくる。固すぎない程度にハリを残した茹で加減がキレを与えると、口の中では程良いコシも感じられる。シルクタッチな歯触りかと思ったが、しっかりと奥歯の咀嚼に呼応した歯応えも与えてくれる良麺だ。さらには喉越しも滑らかなので、口元から喉の奥まで心地よく食べ進められた。結果としてオリジナリティのある麺質だったので自家製麺であると信じたい。

具材のチャーシューはラーメン店では使われている事が珍しいと思われる豚ロース肉が使われていた。いわゆる、とんかつ屋のロースカツに使われる部位である。また大判のまま仕込まれていて、脂身の部分も厚めに残してある。トンカツ屋でもそうだが豚肉の質が悪いと、脂身がしつこかったり臭みがあったりするので自信がないとこの切り方は出来ないと思った。実際に食べてみても赤身の旨みは勿論だが、脂身の甘みが抜群に引き出されていて豚肉本来の質の良さと調理の技術の高さが表れている。また厚切りとは言えないが、かなり厚みを持たせてスライスされているので食べ応えも十分にある。

追加した煮玉子は塩系のスープに合わせた仕込みなのかもしれないが、私にとっては寂しさが残る具材だった。それは煮玉子と呼ばれてはいるが、塩味の効いたゆでたまごだった。あえて醤油感を出さないように仕込まれているのだろうが、浸透圧によってゲル化した黄身の熟成感が好きな私には物足りなく思えた。しかし周囲の客のほとんどが煮玉子トッピングをされていたので人気商品なのだろう。

そんな極めて薄味の煮玉子に対してメンマは醤油で味付けされた極太タイプを使われていたが、最近よく口にする機会の多い安定感のある味付けと食感からは業務用無添加メンマではないかと思ってしまうくらいに良くあるタイプだった。

薬味は二種類のネギが切り方も変えて添えてあったが、青ネギの小口切りは切り口が乾いており切り置きしてからの時間経過と保存状態の悪さを感じる。パサついた切り口からは舌触りの悪さが出てしまい、香り自体もほとんど出ていなかった。一方の白ネギは大きめの角切りでスープに浮かんでいたが、白ネギ本来の甘みを味わうには火の通りが弱く辛さが目立っていた。しかし生ならではのシャキッとした食感は良いアクセントとなっていた。

気が付けばスープ以外は完食していたほどに順調に食べ進められたが、周囲の客人が食べていた限定メニューや担々麺の方が美味そうに見えてしまったのも本音だ。次回は煮玉子なしで限定メニューに挑戦するために、太田に前泊して再チャレンジを果たそうと誓った。その際は絶対に夜のネオン街での太田ナイトを楽しもうと心に刻んだ一杯でした。

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「チャーシュー麺 ¥700」@麺&cafe Coi.Coi.の写真平日 曇天 8:45 先客なし 後客1名

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟番外編 拡大版

今回の高崎遠征を始めた当初は一泊二日の予定で出発したはずだったが数々のアクシデントとトラブルや思いもよらぬラッキーが重なり、延泊を重ねて気が付けば本日は高崎ではなく伊勢崎のホテルで目が覚めた。つまりは三泊四日の長旅になってしまった。

昨夜は人生初の伊勢崎ナイトを楽しむ為に高崎を離れて乗り込んで来たので、利便性の良い伊勢崎駅周辺ではなく夜のネオン街近くのホテルを予約した。ホテルに着くと連日の高崎ナイトのせいで疲れがたまっていたようで、伊勢崎での夜ラーを断念してチェックインを済ませて一眠りに就いた。

一度も目が覚める事なく三時間ほど眠ると外の景色は夜のネオン街へと表情を変えていて、シャワーを浴びて身支度を整えると人生初の伊勢崎ナイトへと繰り出した。ホテルの目の前からすでに怪しい気配がプンプンと匂ってくる。全くと言っていい程に人通りのない道端には呼び込みのお兄さんが所々で待ち構えている。横を通りかかる度に淫らな世界への誘い文句を投げかけてくる。噂以上の怪しさには腰が引けるほどだったので、まずは腹ごしらえの為にホテルのフロントで聞いておいた居酒屋を目指して一目散に歩いて向かった。

とりあえずは乾いた喉の潤すために、最近は見かけなくなってきた大ジョッキの生ビールを飲み干すと太田の地酒 群馬泉の燗酒とアジのなめろうを追加して下準備を整える。酒もツマミも素晴らしい居酒屋だったが、カウンターでも喫煙できる愛煙家にはうれしくも私には残念な店だったので20分ほどで店を出た。

再びネオン街と言うほどは煌びやかではない通りへと戻ってくるとキャッチのお兄さんに声をかけられた。またもやハードな怪しい店への誘いだったので、軽めのG's BARはないのか聞いてみると案内所を紹介してくれた。案内所では優良そうな店を紹介されてOLスタイルのスーツ姿の女の子たちと日付が変わるまで盛り上がってしまった。

この伊勢崎を訪れた最大の目的は早朝から朝ラーが食べられると聞いていたコチラへの初訪問だったのだがホテルで目が覚めると、開店時間の午前7時現着を狙っていたのだが、とっくに過ぎて8時を回っていた。はしゃぎ過ぎた伊勢崎ナイトを反省しながら着替えを済ませてチェックアウトと共に調べておいたバスルートで店を目指す事にした。ホテルの目の前のバス停からコミュニティバスに乗ると200円で一日乗車券を受け取り5分ほど走ると最寄りの連取本町北バス停に着いた。これで帰りのバス代は要らない事を知り、得をしたと喜びながら店へと歩いて向かった。

3分ほど歩くと複数の飲食店が立ち並ぶ建物の中に白地に屋号の書かれたコチラの看板を見つけて近づいてみたが、暖簾や幟旗もない店先は営業しているのか分からずに不安がよぎる。恐る恐るさらに近寄ると、小さな黒板に営業中と書かれてあるのが読めたので安心して店頭まで歩み寄った。ラーメン屋らしからぬ外観ではあるが、カーテンで閉ざされたガラス越しの店内には製麺機が見られる。麺帯を巻き取っている作業が見られるので製麺の真っ最中のようだ。そんな光景に興奮しながら扉を開けて店内に入ってみる。

すると製麺室で作業中の女性店主さんらしき方から「カウンターへどうぞ」と声をかけられ、カウンターの一番奥の席に腰を下ろして卓上メニューから品定めを始める。すると突然に「こちらの席でお願いします」と入口近くの席へと強制移動を強いられる。カウンターへと言われたのでカウンター奥から詰めて座っただけなのに嫌そうな顔で対応されるのは良い気分ではないが、女性店主おひとりのワンオペなので店を守るためには強い気持ちがないとならないのだろうと自分に言い聞かせた。

早朝でも豊富なラインナップの中からメニューの下の方にあった醤油系の中のチャーシュー麺を告げると先払い方式でトレイに代金を入れるシステムだ。お釣りなどのお金をやりとりした後に手を洗わないのが気になったが、衛生面や接客を採点に反映させない方針なので心を鎮める為にセルフでお冷を汲んで店内観察をはじめる。

壮大なクラシックが流れる店内はオシャレと言うよりは研究室のような雰囲気があり、様々なジャンルのラーメンを生み出す設備が揃っている。そんな厨房機器の中でも特に珍しかったのがスープ炊き用のレンジが電磁式だった事で、スープ用としては初めて見たかもしれない。店主さんは調理と並行して、ロール状に巻かれた麺帯を包丁で裁断されている。その手際の良さは場数をこなしてないと達する事の出来ない領域へと昇華されていて、さらには同時にメンマの味付けもこなしながらのオペレーションは圧巻だった。そんな調理工程に見とれていると着席して7分ほどで我が杯が到着した。

その姿は川越めぐりで出会った超人気店である「頑者」と同じ白磁の高台丼に鳳凰の描かれた器の中で、とても700円とは思えない豪勢な景色を見せている。しかし価格設定も評価の対象としないので、さらに気持ちを落ち着かせてレンゲを手にとった。

まずは渋紙色のスープをひとくち。表層には豚背脂の脂片が散りばめられた霞みがかったスープにレンゲを沈めると、程よい香りが穏やかに漂ってきた。豚骨由来ではあるがクセのない香りに導かれるようにスープを口に含んでみると、動物系の香りに反して魚介系の風味が花開いた。特に煮干しの中でも上品でクセのない香味が口の中に広がった。その豚由来の動物系と煮干し主体の魚介系のバランスは、何一つとして尖った味覚のない個性を抑えた仕上がりとなっている。最大限に煮干しの旨みを引き出しながらもエグ味やクセを排除して、豚背脂を利かせながらも動物系の力強さを感じさせない優しいスープに一瞬で引き込まれてしまった。そんなバランス感覚に優れたスープに含まれるとカエシも非常に繊細で、過度な輪郭を与えるわけではないがスープの味がボヤけないようにメリハリを付けている。

待望の自家製麺は製麺室に設置されていた大和製作所の〝リッチメン〟で打たれたストレート細麺で、麺上げまで15秒と博多ラーメンのバリカタにも匹敵する早茹で麺だった。しかしながら高密度のグルテンを感じられる食感の良さは使用されている小麦粉の特徴なのだろうか。製麺室内には日清製粉 特ナンバー1の粉袋が置かれていたので内麦にも劣らない高級外麦で製麺されているようだ。特段に香りが高いわけではないが細麺とは思えない弾力感が食べ応えを強く与えて、喉越しはしなやかに胃袋へと収まっていく。さすがは店主さんが惚れ込んだ小麦粉だけに特徴を完璧に引き出されていると感じた。この麺の美味さが本日の最高到達点かと思われたが、この先には更に驚くべき具材が待っていた。

このあとに食べたチャーシューは、私の豚バラ焼豚の歴史を塗り替えるような素晴らしい仕上がりだった。一枚目のひとくち目を食べた時に、チャーシュー麺にして良かったと心から思える逸品だった。今回は偶然かもしれないが私に切り分けられた部位は、豚バラ肉の中でも脂身の極端に少ない部分が与えられていた。一枚あたりの九割を赤身が占め、残りの一割が脂身という赤身派の私にとっては奇跡のような部位なのだ。その豚バラチャーシューは豚肩ロースのような強い歯応えがありながらも、とろけるような豚バラ肉の脂身も必要最低限にサンドされているので甘みも程よく感じられる。盛り付け直前にはテフロン加工のフライパンで豚脂肪の融点まで、きちんと温め直されていたのが脂身の甘みを感じやすくなっていた理由だろう。そんなダイナミックな食べ応えと、繊細な旨みが同居した豚バラチャーシューが厚切りで5枚も入っているとは圧巻としか言いようがない。これで 700円とは、価格設定も評価の対象外ではあるが実際には驚きが隠せなかった。

メンマは板状のタイプを手仕込みされていて、やや滑りのある質感が特徴的だ。過度な味付けはされず、程よい発酵臭を残した安心感のあるメンマだ。味や香りは印象を残さなかったが、柔らかめでもシャキッとした食感を与えてくれ心地良いアクセントとなっていた。

薬味の玉ねぎはコンカッセほどに大きく刻まれていたが、あえて玉ねぎ本来の甘味や辛味をダイレクトに感じられるように水にさらしたりせず切りっぱなしで添えられてあった。この大きさなので不必要にスープに混じり込んだりしないのも私にとってはありがたかった。

そんなスープの邪魔をしない玉ねぎとは反対に、バラ海苔は終始スープや麺に絡んできて磯の個性を加えてこようとする。ただ香りの弱い海苔だったなのが幸いして、過剰すぎる味変ではなかったが助かった。それでも海苔は板海苔の方が必要な時だけ口に含めるので私の好みにはありがたく、今回のバラ海苔は残念ながら必要性を感じられなかった。

最終的には液面に浮かんだバラ海苔をレンゲの中に回収してから一気に食べて、浮遊物のなくなった純粋なスープだけを両手で丼を傾けて飲み干した。最後は海苔の香りに邪魔される事なくスープの自然な旨みを味わって丼を置いた。

色々とあったがラーメンだけに関すると高評価は必然的で、バラ海苔がなければ大台突破とも思えるような素晴らしいラーメンだった。こんな店が近所にあったら朝から通ってしまいそうで、健康上の観点からは遠くて良かったとも思ってしまった。

満足で店を出るとまだ午前9時を少し回ったばかりで今回の高崎めぐりの番外編の拡大版を更に足を伸ばしてみようかと、コミュニティバスの一日乗車券を握りしめてバス停まで歩いて戻った一杯でした。

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