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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.120点
最終レビュー日 2019年10月16日
660 551 14 2,106
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「旨味醤油らぁ麺 ¥750 +味付玉子 ¥100」@Life is beautiful らぁ麺 & Cafe'barの写真平日 晴天 11:20 待ちなし 後客3名

〝ニューオープン 探検記〟

昨晩は埼玉県 鴻巣駅近くに移転オープンした「 INDIEラーメン」のオープン初日にお邪魔した後、電車とバスを乗り継いで草加健康センターにやって来た。思い返せば台風15号が上陸した夜もここにいて、翌朝の新店めぐりではバスを乗り継いで何とか行ったのを思い出した。こちらはサウナ付き大浴場施設というだけでは収まりきらない、お風呂エンターテイメントである。他の施設が〝ふろ〟ならば、こちらは〝ぷろ〟に値する。

草加健康センターに来たのが午後7時すぎ。サウナーなら誰もが知っている名物〝爆風ロウリュ〟は終了しているはずの時間だったが、何気なく入った1セット目で不穏な空気を感じ取った。それは普段よりもサウナ内の湿度が高い点で、これは何かしらあると勘付いた。そうなれば 20時ちょうどに2セット目のピークを迎えるように時間調整をして、最上段で耐え忍んでいると赤いTシャツ姿の二人のスタッフが入ってきた。その両手にはブロワーと呼ばれる送風機を持っている。青いポリバケツの中の氷をサウナストーブにぶちまけると、いよいよ灼熱地獄のスタートだ。

予想にもしてなかった〝爆風ロウリュ〟の時がやって来たのだ。

今まで穏やかなヒーリングミュージックが流れていた静寂のサウナ内に、いきなりブロワーの轟音が鳴り響いた。その光景は、逃げ込んだ山小屋に現れたチェーンソーを振り回すジェイソンのようである。ひな壇に座った男どもは、各々の限界をジェイソンに手を上げて知らせるまで、熱波を浴びせられ続けるのだ。

本来はガマン厳禁のサウナだが、ついつい頑張ってしまうのが男って生き物である。今回も右隣りに座っていた客人の、流れ弾ならぬ〝流れ熱波〟をくらってしまい、翌朝まで右乳首がヒリヒリするという代償を受けてしまった。いつも通りに食事処へ向かい、たらふくのビールを夜が更けるまで楽しんでからベッドに横たわった。

翌朝は 8:50発の無料送迎バスに揺られて草加駅に着くと、コーヒーを飲みながら本日の作戦を立てる。最新情報ではなかったが8月に隣町でオープンしていたコチラを発見した。お店情報では最寄駅からも遠く困難な道のりではありそうだったが、レビューも少なく興味が湧いて初訪問を決意した。

開店時間に合わせて東武スカイツリーラインで二駅で、最寄りの新田駅には着いた。西口を出ると、そこにはパラダイスが広がっていた。決して〝駐輪場マニア〟ではない私でも心踊るような、駐輪場天国が壮大な景色を見せる。一体どれだけの自転車が西口周辺に集まって来ているのだろう。それはまるで自転車たちの明治神宮初詣を思わせる圧巻の光景だ。聞くとこによると、これと同じ景色が東口にもあるらしい。感覚的には世界中の自転車の8割近くが集合している感じだ。そんな駐輪場の聖地を抜けて進んで行くが歩いて 20分近くもかかってしまい、草加駅から電車に乗っている時間よりも随分と長かった。

通り沿いの向こうに、店の看板よりも先に店頭に山積みされた黄色い麺箱が見えてきてラーメン店だと分かった。定刻10分前の現着となったので行列は無かったが、入口で待つと店内から丸見えなので自販機の陰で待機した。店頭に置かれた写真付きのメニューで品定めを済ませると、定刻ちょうどに営業中の立て札が掛けられてオープンとなった。

ガラス張りの店内に入ると券売機はなく、ひとまずはカウンターに腰を下ろす。卓上メニューの中から見当をつけておいた表題を、女性スタッフさんに告げて店内観察を始める。こちらでは、お冷ではなく市販されている2リットルの冷えたペットボトルが卓上に置かれた独自のスタイルだ。それも各メーカーに配慮して麦茶から烏龍茶まで、様々な銘柄のお茶が用意されていた。私が座った席の前は麦茶だったので、氷の入ったステンレス製の保冷グラスに注いで喉を潤した。L字カウンターの他にも小上がり席が設けられた、カフェを思わす内装となっている。店内の至る所には大ファンと思われる〝ケツメイシ〟のライブグッズなどが飾られている。もちろんBGMもケツメイシだ。そんな独特の雰囲気を放つ店内を、ご夫妻だろうか二人で切り盛りされている。ポップなBGMに反して落ち着いた調理作業と、明るく丁寧な接客の中で心地良く待っていると我が杯が到着した。

着席から5分で登場したラーメンは、木製の角盆に乗せられたオシャレな白磁切立丼の中に収められている。その姿には今っぽい要素も見られ、カフェ風の店内や器のシルエットともマッチしている。一見すると〝またおま〟にも見えなくない表情だが、見た目の穏やかさに安心しながらレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。目視では確認できなかったが、確かな香ばしさを感じるのは焦がしネギからだろう。表層には多くの具材陣が並んでいるので、落とし込む場所に狙いを定めてレンゲを沈めた。すると品の良い鰹節の香りが湯気と共に立ち昇ってきて、鼻腔を通じて脳に魚介出汁をインプットする。すでに脳内がシーワールドと化した所でスープを口に含んでみると、濁りの中に多少のザラつきを感じる口当たりで忍び込んできた。それに伴った魚介の旨味が圧倒的に口の中に広がり、焦がしネギが風味にアクセントを加える安心感のある味わいだ。動物系の旨みを感じないので魚介出汁だけなのかもしれないが、それにしては複雑で奥深い重なりがあるので不思議だ。合わせるカエシも、出汁の風味を壊すことなく寄り添う感じで見事に調和している。かなりの好印象のままに麺に取り掛かってみる。

箸袋にまで店名が入ったエコ箸に持ち替えて、麺上げまでジャスト60秒の麺をスープの中から引き上げてみる。箸先には 24センチ程に切り出しされた中細ストレート麺が現れた。見るからに全粒粉のフスマを散りばめられた麺は、箸を持つ指先に重さを感じさせない軽やかさだ。そんな加水率の低さを思いながら一気にすすり上げると、やや弱めのハリが唇を通過した。それと同時に飛び込んできた存在感のある小麦の香りは、全粒粉ならではの香味なのだろう。他でも見た目に全粒粉配合だと分かる麺もあるが、これほどまでに強く小麦の香りを感じられる麺は多くはない。いや、もしかしたら過去の中でもトップランクに値する小麦感だ。噛めば強い弾力性がある訳ではないが、きっちりと咀嚼に応じてくれる歯切れの良さが楽しめる。初見では失礼ながらも〝またおま〟などと思ってしまったが、良くありそうな組み合わせの中にオリジナルをアピールする要素がいくつも含まれている。そんなスープと麺を味わうと、おのずと具材陣にも期待が高まり味わう事にした。

具材のチャーシューには、部位の異なる二枚が盛り付けてある。上に盛り付けてある豚バラ肉の煮豚の方から食べてみると、提供直前に炙りの一仕事が施されている。口にする前から香ばしさが食欲をそそり、大判の厚切りなので歯応えも良い。赤身よりも脂身の多い部位だったが、とろけるような柔らか仕上げではないのが助かった。やはり豚バラでも肉々しい食感の方が好みである。一方の豚肩ロースは、より強い噛み応えで赤身の旨みを引き出している。

追加した味玉は写真からも分かるように半切りで盛り付けてあるが、黄身が流れ出す限界点ギリギリで耐え忍んでいる。熟成度は高くはないが、しっかりと漬けダレが黄身にも浸透して程よく水分が抜けている。よって卵本来の旨みが凝縮して半熟ゆで卵とは別物となり、味玉を名乗る資格を得ている。追加して良かったと思える味玉だった。

メンマには流行りの穂先メンマが採用されていて、発酵食品ならではの香りを残した下処理となっている。その発酵臭を活かすために薄味仕立てとなっており、過剰な演出をするでもなく軽やかな食感と共に名脇役を演じている。

薬味の白ネギは、アンチ白髪ねぎ派の私でも香りの良さに驚いた。高級和食料理店の繊細さはないが、敢えて香りを引き立たせる粗めの切り方が狙いだろうか。それでいて辛みは適度にさらしてあるので刺激は弱く、穏やかなスープや麺の邪魔をしない。

序盤から箸の勢いは止まる事なく完食完飲していたが、最後の最後に黒コショウのようなスパイスの辛味で幕を閉じた。全体的に平和なラーメンだったので、最後のひとくちの強い印象が残ってしまった一杯でした。

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「特製インディー ¥1080」@INDIEラーメンの写真日曜日 曇天 17:05 先客4名 後客1名

〝ニューオープン 探検記〟

午前中に因縁のスパコン対決を群馬県内で終えると、運良くギリギリで帰りのバスに間に合った。11:30 オープンの2番手で食べ始めて 11:45発のバスに乗るのは至難の業だったが、幸運にも店の前がバス停だったので必死で食べ急いで何とかセーフだった。そこからは本日の二食目に計画しておいたコチラを目指して、先ほど降り立った磯部駅から信越本線で高崎駅へ向かい高崎線に乗り換えて最寄りの鴻巣駅までやって来た。

新店情報によると、まさに本日オープンのようで昼の部終了まで残り 30分を切っていた。慌てて改札を出てナビを片手に店を探すが、スクランブル交差点を過ぎてもラーメン店らしき建物がない。その先にある郵便局を脇を入ってみると、やっと開店祝いの花を見つけた。昼の部が終わってない事を願って近寄ってみると、営業しておらず店内には荷物が散乱していた。よくよく聞いてみると本日オープンは間違いないのだが、夜の部 17時からのオープンだったのだ。それまで3時間近くもあったが、せっかくなので夜の部を待とうと駅前に戻った。

コーヒーで時間をつぶすには余りにも時間があるので困っていたら、駅前の商業施設には運良く映画館が入っていた。特に観たいタイトルはなかったが、すぐに上演が始まる映画を見つけて館内に飛び込んだ。お世辞にも面白い映画ではなかったが、ちょうど良い時間が過ぎていた。17時過ぎに再び店先へと向かうと店内には数人の客が入り、目出度く初日のオープンを迎えていた。

特に暖簾や立て看板がある訳ではないが、営業しているのは間違いなさそうなので自動ドア風の手動ドアを開けて店内に入った。広く殺風景な店内には券売機は設置されておらず、ひとまずはカウンターに座って卓上メニューに見入る。数種類あるメニューの筆頭を飾っていたのがマイスタンダードの醤油系に思え、当店一番人気となっていたので、心に決めてスタッフさんの動向を待っていた。すると後客が隣に座りオーダーを先に告げて、遠慮をしているうちに順番を越されてしまった。しかし慌てた用もないので、忙しそうなスタッフさんが落ち着くのを待つ事にした。本日は洗い物を中心としたスタッフを含めて三人体制で回しているが、洗い物担当のアルバイトスタッフさんは注文を受ける事はないようだ。様子を見ながら注文を無事に終えると、セルフでカウンター奥に置かれたサーバーからお冷を汲んできた。何かのトラブルだろうか、水が冷えておらず応急処置としてアイスペールに氷が入っていた。ステンレス製の断熱グラスに氷を入れ直すと、ようやく喉も心も落ち着いて店内観察を始める。

カウンターとテーブル席も設けられた店内は、ゆったりとしたレイアウトで広々としている。装飾品は壁に掛けられた一枚の海辺の写真だけなので、何か寂しさを感じてしまう。そんな静かな客席とは違って、厨房内ではオープン初日のオペレーション不足で大騒ぎとなっていた。レードルなどの置き場が定まってなかったり、チャッカマンに火が着かなかったりとドタバタ劇が続いている。一番客と思われる男性にもオープンしてから15分過ぎても配膳されておらず、かなりの準備不足を思わせる。私にとっては店内を物色する時間が増えるので、ありがたく様子を見守る。

お店情報では同県内の吹上駅からの移転リニューアルのようたが、実は先日に新店めぐりで訪れた「中華そば つけめん まるこう」の場所にあったようなのだ。移転オープンと言っても厨房機器は新品が揃えてあり、レードルや雪平鍋などの調理道具もピカピカである。厨房の奥にあるスープ炊き用の大型寸胴鍋と入口のレジスターだけが年季が入って見えるくらいだ。バタバタしながらも、ようやく調理が波に乗ってきたところで我が杯が到着した。着席してから 30分ほど経ち、あたりは薄暗くなっていたが無事に目の前に登場して安心した。

その姿はオシャレな白磁の切立丼の中で、その洒落た装いに反して丁寧さを欠いた姿を見せていた。具材や薬味のすべての配置のバランスが悪く、美しさを表現しない第一印象は残念だった。しかし見た目は評価の対象とせずに美味しい事だけが基準としているので、ビジュアルは意識せずにレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。不揃いに盛り付けられた具材の隙間から見えるスープには、しっかりと乳化した濁りが見られる。よって表層には多くの油膜が張っておらず、所々に粒子が点在しているだけだ。少し重たそうなスープにレンゲを沈めると、乳化による抵抗がレンゲの侵入を拒んでくる。さらに押し込み注がれてきた液体は、淀みながら黒いレンゲの中に湛えられた。かなりの濃厚さを覚悟してスープを口に含んでみると、濃度の中に豚骨由来の動物性コラーゲンが唇から喉元までをコーティングする。そこには油っぽさや臭みがないので、濃厚スープのアプローチとしては穏やかに感じる。豚骨スープの香りを上回っているのが焦がしネギの風味で、この香りには食欲をそそる安定感がある。豚骨を潰して炊いたスープに合わせるカエシは強めにアジャストしてあるので、薄味志向の私には少し塩分高めだったが麺とのバランスだろうとエコ箸に持ち替えた。

麺上げまでジャスト75秒の中細ストレート麺を持ち上げると、20センチ程に切り出しされた短めの麺が現れた。都内では見かける事の少ない「水屋製麺」の麺箱があったので、移転前からの取り引きなのだろう。とても滑らかそうに見える麺を一気にすすり込むと、ザラつきではないが多少の粉っぽさが舌の上に残る。二口目からは感じなかったが、最初の印象がインプットされてしまった。開店直後なので茹で湯の濁りではないだろうが、不思議な舌触りが後を引いた。とてもスープと絡みやすい麺質なので、小麦の香りを楽しむよりはスープとの相性を味わうタイプのようだ。麺を口に含んでスープを追わなくても、十分に完結する組み合わせとなっている。

具材のチャーシューには意表を突かれたと言うか、目と舌を疑ってしまうような驚きの食材を使われていた。それは何と〝牛タン〟で、チャーシューとしては初めて味わう部位だった。外国産とはいえ、豚バラや肩ロースよりも原価の高い牛タンで仕込まれたチャーシュー (チャーシューと呼んで良いのか疑問) が二枚も入っていた。しっかりと香辛料を利かせた下味の良さと、薄切りながらも牛タンならではの歯応えが面白い。保守派の私でも興味を惹かれる具材だった。もう一枚の豚バラの煮豚は牛タンに打って変わり柔らかさが持ち味となっている。とろけるような舌触りで、両者の違いを明確に表現している。

ハイエンドモデルの特製にしたので、もちろん味玉入りとなっている。表面のマダラ模様が気になったが、熟成感も適度にあり即席味玉ではないが漬けダレの醤油が主張しすぎている。白身の上っ面だけが塩っぱく、黄身の甘みを打ち消してしまっている。

メンマには短めの極太タイプで仕込まれていて、薄味の中の甘みが特徴的な味わいをみせる。極太ながらも繊維質のさばけが良く、後を残さずに消えていく食感も見事だった。

三枚も添えられた焼き海苔はスープと合わせると塩気が強いが、品質と鮮度の高さから香りもあり口溶けも良い海苔を使われていた。保存状態が悪いと劣化しやすい海苔だけに、いつまでもこのクオリティを保って欲しいと願う。

それに反して薬味の白ネギは残念な仕事ぶりで、乾いた切り口や盛り付けの量の少なさが、見た目だけでなく薬味としての存在感を台無しにしてしまう。もし切り口の潤った白ネギが多めに添えてあったなら、先程の牛タンで巻いて楽しみたかったと欲が出てしまった。

中盤からも高めギリギリの塩気を感じながらも、麺と具材は平らげていた。スープは半分近く残してしまったが、麺を楽しむためには必要な塩分と思えた。

店舗が移転して導線が変わると、こんなにも作業が違うものなのかを目の当たりにした。しかし盛り付け以外はラーメンの仕上がりに問題はなかったようで、評価を下げる要素は見られなかった。あまり得意でないジャンルの豚骨醤油だったが、不快な気持ちにならずに食べ終えた。これからオペレーションが落ち着けば、もっと効率が上がってくる事を期待しながら席をたった。

着席から店を出るまで40分以上もかかったが、オープン初日の大変さを感じられた貴重な一杯となりました。

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「味玉中華そば ¥800」@中華そば つけめん まるこうの写真土曜日 晴天 14:10 先客3名 後客なし

〝ニューオープン 探検記〟

先ほどはスパコンとの因縁対決を終えた水海道駅から都内へ戻ろうと思い、関東鉄道 常総線の車中で新たな新店情報を探していた。すると先週まで挙がっていなかったコチラを見つけ、詳しくお店情報を見てみると、先日オープンしたばかりのようだ。所在地までは複数の路線を経由しないと、たどり着けないようだが初訪問を決意した。

常総線を守谷駅で降りると、つくばエキスプレスに乗り換えて南流山駅に着いた。そこから武蔵野線にて南浦和駅を経由して、さいたま新都心駅までは京浜東北線に乗車した。最後は高崎線で最寄りの吹上駅まで、計5路線を乗り継いで2時間を超える移動時間をかけてやって来た。運賃は1800円程だったが、ちょうど映画一本分の時間とお金を費やした。しかし映画にも負けないよな車窓の移り変わりを楽しめたので、大きな満足感を得て吹上駅に降り立っていた。

そこから整備された北口を出て3分も歩けば、開店祝いの花が並んだ店先が見えてきた。吹上駅前交差点そばの好立地に店を構えた店頭には、つけ麺と書かれた幟旗が風に揺れ、白提灯には中華そばと書かれてある。これを見て、つけ麺推しだけではないと安心して真新しい白い暖簾をくぐった。店内に入ると入口正面に置かれた小型券売機の中から、マイスタンダードの醤油系に味玉が入った表題を発券した。カウンターに腰を下ろし食券を手渡すと、先客方が退店したのでじっくりと店内観察をはじめる。

新店舗らしい白と木目調を活かした内装となっているが、カウンターの天板だけは居抜き物件の名残がある。年季の入った木目には味わいがあり、新店なのに落ち着いた雰囲気を醸し出している。その他にもテーブル席も設けてあり、近所の家族向けの対応も整っている。そんな明るい店内を本日はご夫妻だろうか、二人体制で切り盛りしている。休日の昼どきを終えて来客も落ち着いていたので、仕込み作業と並行しての調理風景を眺めていた。

そんな時にふと飲んだお冷が、この上なく美味しいのには驚いてしまった。よく「当店では◯◯水を使用しています」と大きく謳っているラーメン店がある中、なんの主張もしていないのに高品質の軟水を使われているあたりに店主さんの思いが伝わってきた。オープン直後は高機能の浄水器を設置しても配管工事に使われる塩ビ管や接着剤の影響で、水に不純物が含まれる事が多い。配管が落ち着くまで数ヶ月もかかると言われているが、こちらの場合は新店舗だが配管工事は手直しされていないと思われる。その事が浄水器の機能がフルに活かされているので、とにかくまろやかな水を生み出しているのだろう。この水は一飲の価値があり、この水で仕込まれたスープならばと期待が高まったところに我が杯が到着した。

着席から4分で登場した姿は、オシャレな白磁の切立丼の中で素朴な色合いを見せている。流行りの具材たちに頼らずに、シンプルで潔い表情で出迎えてくれた。唯一の不安要素であるナルトは、卓上のティッシュに忍ばせて今回も出演を辞退してもらった。これで、ビジュアル面からの危惧が取り除かれたところでレンゲを手に取った。

まずは渋さを持った胡桃色のスープをひとくち。表層には煮干し由来の水泡と、かなり厚手の香味油が浮かんで見える。初見では節粉のザラつきと油膜の油っぽさを思わせる液面にレンゲを落とし込んでみると、予想通りにレンゲをには大量の油分と節粉の粒子が張り付いてきた。ある程度の口当たりの悪さを覚悟してスープを口に含んでみると、見た目の印象と同じく清らかさとは別方向の舌触りで入ってきた。とは言え、不快な程のザラつきではないので味わってみると、最初に感じたのは酸味が主役となっている点だ。それはカエシの醤油由来の酸味もあるが、多くは血合い部分の節系特有の酸味と思われる。卓上のウンチクには書かれてないが、サバ節のような特殊な味わいが含まれている。それがウンチクにあるサンマ節由来なのだろうか、よくありそうな味わいの中にも個性的な隠し味が潜んでいる。そんなオリジナリティのある魚介出汁の土台には、鶏ガラ主体の動物系出汁が支えている。初動ではスープが熱々なので感じない他の旨味も隠れていそうに思いながらレンゲを箸に持ち替えた。

引き上げた箸先には、20センチほどで切り出しされた中細麺が現れた。ちぢれを少し見せる黄色みを帯びた麺肌が特徴をアピールしている。麺幅と麺厚のバランスから平打ちにも見える麺を一気にすすり上げると、平均的な口当たりで滑り込んできた。適度に溶け出したグルテンと香味油が潤滑油となり、麺肌のウェーブを緩和させて口の中に収まってくる。さほど口当たりを主張するタイプの麺ではなく、あくまでも穏やかに存在感を隠している。すすり心地は悪くないが、麺を吸い込む度に伴ってくるスープの酸味が鼻に付き始める。個人的に不得手なだけの酸味に、麺までも支配されてしまっていた。

具材のチャーシューには豚モモ肉と思われる赤身の部位が使用されていて、煮豚型で仕込まれている。夜の部は博多豚骨ラーメンを提供しているようで、そちらに合わせたチャーシューに思えた。火入れが強すぎたのか豚肉の赤身本来の旨みは抜けていて、パサついた舌触りが印象に残る。赤身の旨みがない反面、煮汁に利かせた生姜の香味が主役となっていた。

メンマには中太タイプが採用されていて、スープにも負けない酸味を含んでいた。強めに残した歯応えを噛みしめる度に湧いてくる、不思議な酸味が追い打ちをかけてくる。あまり味わった事のないメンマだったので印象深いが、追加トッピングする事はないと思った。

追加した味玉を噛んで割った瞬間に、残念な事に黄身が流れ出しスープを汚してしまった。黄身が固まる寸前まで熱く温め直されていたので、提供温度は申し分ないが下茹での半熟加減が強すぎたようだ。しかしながら柔らかすぎる黄身には漬けダレの浸透が進んでいたので、個人的な好みの熟成度合いの可能性を秘めている味玉だった。

薬味の白ネギの小口切りは、水にさらしたりせずに素朴な粗々しさが持ち味だ。野性味のある白ネギの辛味を、そのまま味わえる力強い薬味をアピールしていた。それに反して少量ばかり添えられた青み役も兼ねるカイワレは、いつ口に入ったのかも分からないくらいの存在感の無さだった。やはり青み役には茹でた青菜がふさわしく、手抜き感の否めないカイワレでは荷が思い。

最終的に麺は平らげたが、スープは残してしまいレンゲを置いた。最後あたりで飛び込んできた黄柚子の皮が清涼感で締めくくってくれた。

食べ終えて店を出たが、今夜も明日も予定がなく、せっかくここまで来たのでRDBの超高性能スパコンがオススメする店のある高崎エリアへと足を伸ばしてみる事にした一杯でした。

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「中華そば ¥750+味玉 ¥100」@Miya De La Soulの写真平日 晴天 11:05 待ちなし 後待ち (車内待機なので不明) 後客多数

〝ニューオープン 探検記〟

再び所沢のサウナを拠点とした連食計画を立てた。

昨晩は都内での会食があった為に深夜を過ぎての所沢入りとなったが、そこからでも十分にサウナライフが楽しめる施設なのだ。たっぷりと大浴場を満喫したが、今回の目玉は何と言ってもサウナ後の水風呂だ。夏真っ盛りでも水温 13℃をキープしていたが、少し気温が下がった昨晩はデジタル水温計で 12.1℃を示していた。たった 1℃の違いでも年間 200日以上サウナを愛し〝サ道〟を極めんとする私は、小さな温度差を感じ分けられる体感を得ているのだ。それは風邪をひいた時に、微熱でも体調の違いがあるのと似ている。この 13℃を下回る水温には身も心も震え上がってしまい、天地がひっくり返るような幻想が浮かんできた。この水温を味わってしまっては、他のサウナの水風呂など熱湯に思えるくらいだ。

午前1時も過ぎると大浴場は貸切状態となり優雅な時間を過ごせたのは良いのだが、深夜2時の食事処は営業中にも関わらず座敷に毛布を持ち込んで寝ているマナー知らずの客が多い。そんな無法者の大いびきを聞きながら呑む生ビールは美味いものではなく、そそくさと切り上げて予約しておいたラグジュアリーなVIPルームのベッドに身を沈めた。

翌朝は朝食も摂らずに本日の連食計画の為に身支度を整えると、午前10時のチェックアウトと同時に一軒目に向けて出発した。本日の目的の二店舗は少し前に初訪問を目論んでいたのだが、どちらも祝日明けの火曜定休との事で断念した新店なのだ。そこで昨晩から所沢に前泊して目指すのは、入間市にオープンして一週間ほどのコチラだ。

自宅からでは間違いなく1時間半はかかるであろう道のりなのだが、所沢からだと半分以下の40分で行けるルートを見つけた。西武線で入間駅にやって来ると、南口から西武バス 入市51系統 入間市博物館行きに乗り込んだ。地方のバスには乗り慣れているが思いのほか乗客が多いのは途中に三井アウトレットパークがあるからだろう。そちらまでは車内は満員だったが案の定、ほとんどの乗客が降りるとガラガラになったバスで揺られながら入間駅から20分で最寄りの北中野バス停に着いた。そこからは新築住宅の建築ラッシュと長閑な茶畑を眺めながら8分も歩いて行くと、突如として周辺の民家とは異なる建物が現れた。真っ黒な外壁で覆われた建物をグレーの砂利が敷き詰められた駐車場が取り囲んでいるが、そこがラーメン店だとは周辺からでは確認できないような造りとなっている。

そんなオシャレな外観に暖簾や幟旗は似合うわけもないのあるはずもなく、看板さえもスマートに飾られているだけだ。定刻の30分近くも前の現着となったので並びどころか客用の駐車場には一台も停まっておらず、陽射しを遮るものが何もない店先で一番手にて待機を始める。

自宅兼店舗と思われる立派な店構えを見ただけで、店主さんのこだわりの強さを感じられる。お店情報では同じ入間市からの移転のようだが、この地において一国一城の主となった証のようなパワーがみなぎっている。それはさておきオシャレ重視は良いのだが、建物が南向きの上に日本家屋のような軒先も無いので直射日光をダイレクトに浴びながらの待機は相当に過酷だ。広い駐車場があるので車で続々と押し寄せて来る後続の客人方は車中で待機をしているが、歩兵民の私には非常に待ちづらい店先だった。秋が近づいているとはいえ真昼の太陽の陽射しは老い始めた肉体には堪えたが、そんな事を知ってか知らずか8分も早くオープンとなった。

CLOSEの立て札がOPENに裏返されると、クールな外観の中でも温もりを感じられる木目調のドアを開けて店内に入った。入口左手に設置された券売機の中から本日のお題を吟味すると、背脂推しかと思ったらマイスタンダードである醤油系の中華そばがトップを飾っていた。それを見れば何の迷いもなく味玉入りのボタンを押して、広々とした客席の中のカウンターの端席に腰を下ろした。

そのカウンター越しに店内を見渡してみると店主さんの遊び心や夢が随所に詰まっていて、贅沢な大人のおもちゃ箱を思わせる。オールドアメリカンを彷彿とさせる市松模様の床材や、店内の各所に置かれた古き良きアメリカを感じさせるオブジェには店主さんの趣味や思いが詰まっている。コンクリートの打ちっ放し風のクロスが張られた壁の無機質感と古めかしいオブジェの温かさのギャップが不思議と交差した店内を、ご夫妻と思われるお二人だけで切り盛りしている。

とても二人で回すには広すぎると思われるカウンターとテーブル席が多い客席にも、様々なこだわりを感じられる。それは私が座ったカウンター席のダンパー仕様のバーチェアだったり、カウンターの前面にはグラスや調味料を目隠しして収納できる引き戸棚を設けてあるのだ。そこには店主さんの〝ミニマリズム〟の美学を感じさせ、他の設備にも美的感覚を思わせる要素が見られた。そんな美意識高い系の店内には屋号からも想像がつくようにオールドスクールヒップホップが流れていて、日本ではバブルガムブラザーズが流行らせた懐かしい4ビートのリズムを刻みながら待っていると着席して6分で我が杯が到着した。

そのラーメンの姿を見て何よりも驚いたのは店の雰囲気とのギャップの大きさだった。そこには大変クラシカルな見た目の、双喜に龍の切立丼の中に収まった懐かしい表情を見せていた。ポップな装いの店内からは想像してなかったトラディショナルな姿には意表を突かれたが、考えてみればどちらもオールドスタイルという意味では同じである。そんな懐かしさの象徴でもある〝おナルト様〟は今回もティッシュに包み隠して出演を辞退していただいた。

まずは丁子染色のスープをひとくち。丼の口縁ギリギリまで液面が押し寄せているので、こぼさないように気を付けてレンゲを沈めてみる。表層には香味油の粒子が見られないが、一枚の薄い油膜となって張り詰めている。レンゲによって破かれた隙間からは、節系の魚介の香りが熱い湯気に含まれて立ち昇ってきた。粘度を感じさせずにレンゲに注がれてきたスープを口に含んでみると、主軸となっている魚介出汁はサバ節による香りと旨みだろうか。煮干しなどの複雑な旨みの中でも、特に抜きん出ていると感じたのがサバ節だった。豚清湯と思われる動物系出汁の土台の上で華やかな魚介の香りが優雅に舞う組み合わせだが、魚介の方が強めに主張してくるスープだ。そこに合わせるカエシの塩梅も程よく、年配客にも受け入れやすい味わいに仕立ててある。現に本日の客にも高齢者がいらして店内のインテリアとはミスマッチだが、目の前のラーメンとの相性はバッチリだった。

続いて麺上げまでジャスト240秒の麺を持ち上げると、長い茹で時間にも耐えうる強靭そうな平打ちタイプの中太ちぢれ麺が現れた。箸先にはズッシリとした手応えを感じ、グルテンの密度が濃さが食べずとも伝わってくる。麺肌には薄っすらとした透明感があり、香味油をまとってキラキラと輝いている。その光を見た瞬間にウェーブ状の麺質と相まって、ある人の姿と頭の中で重なった。それはまさに美輪明宏さんのような金髪ソバージュで、艶やかながらも怪しく光り輝いている。これぞ妖艶を感じながら一気に麺をすすり上げると、箸先から伝わったきたタフそうな手応えに反する優しい口当たりで滑り込んできた。それは繊細とも思える滑らかなすすり心地の良さで、すする度にスープの魚介の香りを引き連れてくる。この行為が喜びに変わると、箸のスピードは更に加速した。素晴らしいのは口当たりや舌触りだけでなく、噛み応えの面でも私の本能を魅了してくれた。高めの加水率と熟成が生み出す奥歯を押し返すようなグルテンの弾力が、咀嚼の楽しさを与えてくれて気が付けば麺を半分以上も食べていた。時間が経っても麺がダレる事はなさそうな麺質なので、麺を離れて具材を楽しむ事にした。

具材のチャーシューは豚肩ロースよりもウデ肉に近い部位だろうか、大好物の赤身よりも脂身も多く含まれた部分が切り分けられた。かなり厚みを持たせて切られているので食べ応えは十分あるが、豚肉本来の旨みが逃げ出していて味付けも薄味仕立てなので物足りなさを感じてしまった。また脂身の集中した部分が硬くなって、軟骨でも食べているかのような歯応えも残念だった。

ランダムなサイズのメンマは軽やかな食感も良く、噛めば醤油の香ばしさがにじみ出てくるような味わいもアクセントとなってくれた。

追加した味玉は白身に唇が当たる前から温度の高さが感じられ、盛り付け前に丁寧に温め直された証である。好みの熟成感は生まれてないがスープと合わせて食べる事で薄味の寂しさを回避したが、期待した味玉とは違ったので追加しなくても良かったと思ってしまった。

ラーメン海苔としては定番の大きさである十字8切で添えられた海苔は、密度の詰まった黒々とした見た目なので味や香りは濃いが口溶けの悪さが気になった。

薬味には白ネギが散りばめられていて、香りや辛味を主張しすぎない脇役としての役割を果たしている。青み役にはカイワレが添えてあったが、やはりこのタイプのラーメンには茹でた青菜の方が望ましいと勝手に思ってしまった。一手間かかった茹で青菜には、切っただけのカイワレとは比べ物にならない存在感があると思う。

中盤からも麺の変化を心配する事なく食べ進めて、スープとナルト以外は平らげていた。気が付けばオープンと同時に広い客席は満席となっていたようで、外待ちの行列も発生していた。

店を後にして連食予定の練馬駅近くの新店に向かったのだが、店頭のメニューを見て愕然となった。唯一そこにあるはずのラーメン系の煮干しそばが品切れとなっていたのだ。その他のメニューは、つけそばや油そばだけでラーメンの文字はない。本日は昼時を過ぎてしまったせいで売り切れになってしまったのだろうと、連食計画を断念して明日のオープン直後に出直そうと気持ちを切り替えた一杯でした。

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「味玉煮干中華そば ¥950」@煮干中華蕎麦 舞〜Mau〜の写真平日 晴天 13:05 先客7名 後客6名

〝ニューオープン 探検記〟

最近お気に入りである錦糸町のサウナに前泊してからの新店めぐりを思いついた。RDBの新店情報で見つけたこちらは、お隣は埼玉県の中でも行った事のない吉川市で産声を上げた新店だ。

埼玉県南部を横断する武蔵野線の吉川駅が最寄り駅で自宅からではアクセスが困難なので前乗りの宿泊施設を探していると、武蔵野線を使わずとも辿り着けるルートが挙がってきた。それは越谷駅を経由するルートだったので、地下鉄半蔵門線の駅を持つ錦糸町に宿泊先の白羽の矢が立ったのだ。

となれば、蒸し風呂密集地帯である錦糸町の中でも利用頻度が多くなっているサウナへと向かう事にした。駅から少し離れた繁華街にあるサウナだが、お気に入りの理由の一つにチェックアウトが昼の12時と遅い事が挙げられる。通常のサウナは10時チェックアウトがほとんどだが、こちらは朝風呂ならぬ昼風呂の背徳感を味わえる点が最大の魅力である。予約客限定の焼鮭朝食を楽しんだ後の世間の喧騒とは無縁の昼風呂を、ゆっくりと楽しんでいる時の浮世離れした感覚は他では味わえない恍惚の時間だ。

サウナの詳細は前回の「房州館山 にぼし味らーめん めん楽亭」のレビューに記しているので割愛するが、今回の新たな発見だけは書き残しておきたい。昼前までサウナを含めた大浴場を楽しんた後は脱衣所にて館内着に着替えをするのだが、鍵付きロッカーではなく棚が設けられただけの銭湯スタイルの脱衣所なのだ。他の入浴客の着替えと間違えないように棚には工夫が凝らしてあり、棚には覚えやすいように番号ではなく都道府県名が割り当てられているのだ。全部で54個ある棚なので47都道府県をすべて振り分けても余りがあるはずなのに、不思議な事に無い都道府県名がいくつもあるのだ。北は北海道から順調に配列されているかと思いきや、都道府県名ではない札幌や仙台の棚が現れた。54個の棚なので苦肉の策だと思っていたが木更津や松本や博多までも登場してきて、さらには丸の内の棚までもが存在していたのだ。南国の九州地方の順番になると案の定、都道府県名の無い地方が現れてきた。熊本 宮崎 鹿児島の名前は確認する事が出来なかったのに、なぜに丸の内の棚があるのか疑問で仕方なかった。

そんなモヤモヤを抱えながら新店めぐりの為に錦糸町を出発した。東武スカイツリーライン直通の半蔵門線錦糸町駅から南栗橋行きにて40分で越谷駅に着くと、東口から出ている朝日バスの吉川駅北口行きに乗車すると25分ほどで最寄りの保第二公園バス亭までやって来た。そこからは3分も歩くと非常に珍しい一文字だけの地名〝保(ほ)〟にある交差点の脇にある〝煮干中華蕎麦〟と書かれた白い看板を見つけた。店先には開店祝いの花が並んでいたので、すぐにそこが店だと分かった。

昼時を過ぎていたので行列はなく店内にひと席だけ空席があるのをガラス窓越しに確認すると、さっそく扉を開けて店内に。入口右手に設置された券売機の中のヘッドライナーは当然ながら〝煮干そば〟が飾っているが、その隣には〝煮干中華そば〟というイメージ的には煮干感の弱そうなボタンを見つけたので好物の味玉入りのボタンを発券してカウンターに腰を下ろした。

新店舗らしい真新しい店内をカウンター越しに見渡すと、商品の説明書きの貼り紙が店内の壁に貼ってあった。するとそこには私のオーダーした〝煮干中華そば〟の方が〝煮干そば〟よりも少し濃厚となっていて、ニボ耐性の弱い私は勝手な憶測で判断してしまった事を悔やんだ。さらにはより濃厚な〝煮干そば極〟なるメニューもあったので、それよりは淡麗そうなので良かったと自分に言い聞かせた。本日の客層は若い方が、多く私が瞬間最高年齢を記録したようだ。白を基調とした清潔感のある店内は郊外の立地を活かした広々とした造りとなっていて、テーブル席は無いが中待ちスペースも設けてある。そんな店内を本日はお二人で切り盛りせれていて、ピカピカの厨房内で黙々と調理を進めている。厨房内からあふれてくる煮干しの香りに包まれながら待っていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は受け皿に乗った白磁の切立オシャレ鉢の中で、よく見かける景色ではあるが器の口縁にカエシなどの飛散が見られない丁寧な盛り付けを見せている。煮干系としては非常に好印象な初対麺で、店主さんの仕事ぶりが詰まっていると感じながらレンゲを手にした。

まずは煤竹色のスープをひとくち。その液面が鶏と煮干しのスープである事を物語っていて、鶏由来の油膜と煮干し由来の水泡が見られる。先客のご夫妻が〝煮干そば〟と〝煮干中華そば〟の食べ比べをしていたので何気なく見比べてみると、色調としては〝煮干そば〟の方が明らかに濃く濁った色をしていた。味の感想も「全然違うね」との事だが、何がどう違うのかまでは聞き取れなかった。ヴィジュアル的にはセメント系とは見えない表層にレンゲを沈めてみると、やはり濃度の強さをレンゲを持つ指先には感じない。表層の油膜の下にはサラリとした印象のスープが潜んでいて、淀みなくレンゲの中に収まってくる。そんなスープを口に含むと、苦味が最優先ではあるが旨みもしっかり基礎を築いている。煮干出汁の旨みも感じられるが、やはり主体となってあるのは鶏出汁だ。そこに煮干特有の香味が重なる事でバランスのとれたスープとなっている。初動では強く感じた苦味も時とともに和らいで、後味の良い良質な苦味だった。

続いて麺上げまでジャスト45秒の中細ストレート麺を持ち上げるが、こちらの割箸は長めの七寸箸なので箸さばきが楽でとても持ちやすい。他店では経費の都合上で安価な六寸箸が主流となっているが、持ちやすさを重視した長めの割り箸を採用している店主さんの客目線の思いやりが素晴らしい。箸さばき良く持ち上げられた箸先には、煮干系には定石の身軽い手応えが伝わってきた。悪く言えば〝またおま系〟と認識しながら一気に麺をすすり上げると、予想外の密度の濃いグルテン質が唇を通過していった。切刃の角が残るシャープさの中にも、みっちりと重厚感のある舌触りに驚いた。そんなキレと図太さを持ち合わせた麺を噛みつぶすと、よくある粉っぽい歯切れはなく、もっちりとしたハリとコシが咀嚼行為を喜びに変えてくれる。先程まで〝またおま系〟かと思ってしまった自身の先入観を恥ずかしく感じた。麺上げ工程を見ていても〝煮干そば〟にも同じ麺が使用されているようなので、この麺と煮干しスープとの相性も大いに気になった。高加水麺ではないが、これだけ水分が含まれている麺ならば、ある程度の時間ならばダレる事はなさそうなので具材を楽しんでみた。

具材のチャーシューには豚肩ロースの低温調理が厚切りで二枚も添えてあり、見た目にも発色の鮮やかなロゼ色がまずは目を惹く。今回は豚肩ロースの中でも脂身の多い部位が切り分けられてあり、スジの多さを予想しながら口に運んだ。レアチャーシューなれど過剰な生っぽさを感じさせない低温調理を熟知された仕上がりではあったが、やはり懸念されたスジ切りの甘さが露呈していた。しっとりと柔らかな赤身に対して、脂身をつなぐスジが噛み切れず口の中に残ってしまう。下味のソミュール液などの赤身の仕上がりが良いだけに余計に歯切れの悪さが際立つ事で、結果として残念な印象が優位に立ってしまった。

追加した味玉も私の〝味玉論〟からは外れた仕上がりが残念だった。冷蔵庫から取り出されたばかりのような冷たさが残り、温め直しなどの一手間がなく熱いスープの中では異物感を生んでいる。漬けダレの浸透も白身の表面だけには色づいているが、黄身には全く届いておらず好みの熟成度は皆無。リッチな黄身の色を残してあり半熟ゆで卵としては満点ではあるが、味玉を名乗るには漬けダレの浸透圧の効果は出ていなかった。

口縁に添えられた十字4切の大判な海苔は硬めの強い食感ではあるが、磯の香りを存分に楽しめた。海苔自体の質の良さもあるだろが、保存状態の良さがあればこそ為せる香り高さと感心した。

薬味の玉ねぎアッシェは敢えて辛味を残したタイプとなっていて、フードプロセッサーなどの文明の力に頼らずに丁寧な手切り感を味わえる。手切りならではの切り口の滑らかな舌触りが、強烈なはずの玉ねぎ本来の辛味を幾分か和らげているようにも思える。そんな薬味ひとつにも強いこだわりを感じられた。

中盤以降は煮干しの持つ苦味にも慣れてきたので箸の勢いは止まる事を知らず、気がつけばチャーシューのスジ以外は平らげていた。初動では感じなかった酸味が後味をサッパリとしてくれたのは鰹節由来の酸味なのだろうか。そんな細部まで綿密に計算されたバランスの良いスープと食べ応え満点の麺だっただけに、具材の仕上がりが残念で仕方なく箸とレンゲを置いた。

帰りのバスまでは時間があったので吉川駅まで歩いて向かう事にしたが、次回は味玉抜きの煮干そばに挑戦して、チャーシューの切り分け部位が赤身中心である事を願って再訪したみたいと思った一杯でした。

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「中華そば  ¥850+味玉 ¥100」@麺匠 三はしの写真平日 曇天 14:00 先客3名 後客3名

〝ニューオープン 探検記〟

中央前橋駅にオープンした「上州麺処 石川商店」にて新店参りを終えてから、往路と同じくバスルートで前橋駅を経由して両毛線で高崎駅まで戻ってきた。都内へと帰る新幹線を待つ間にコーヒーを飲みながら思い付いたのが、こちらへの連食計画だった。

RDBの新店情報で見つけたこちらは今月の初旬に都内の四谷から移転してきた店のようだが、恥ずかしながら移転前には訪れた事が無いばかりか名前さえも耳にした事が無かった。お店情報を見ると、もりそばが主軸となっているようだがメニューには中華そばも存在しているので不安はあるが初訪問を決めたのだった。

急遽決めた訪問なので少し先を急ぐ必要があり、たった一駅ではあるが上越新幹線を利用する事にした。高崎 12:38発 とき318号にて25分で大宮駅に着くと、高崎線に乗り換えて赤羽駅へ、そこからは京浜東北線で川口駅までやって来た。東口バス停からは国際興業バス 川07系統 サンタピア行きに乗車すると15分ほどで最寄りの八幡木中学校入口バス停に、前食の中央前橋駅から6路線を股にかけて3時間近くでようやくたどり着いた。

最後のバスの車内から川口駅近くにも「AFURI」がオープンしたのかと思って看板をよく見てみたら、個人住宅ローンを扱う「ARUHI」だった。バス停を降りると、目と鼻の先には開店祝いの花で埋め尽くされた店が見えてきた。黒い三角屋根の立派な一軒家で、移転前の四谷では考えられない程の贅沢な店構えとなっている。店先に暖簾は出ていないが「営業中」と木彫りされたオブジェと、製麺所の立て看板が立っていたので昼の部に間に合ったようだ。

店内に入ると正面の券売機から決めておいたお題のボタンを探してみるがオススメである、もりそばに追いやられるように下の方に設定されていた。追加で味玉のボタンも押して、木製のベンチタイプのカウンター席に座り店内を見渡してみる。

客席にはテーブル席でなく小上がりの座敷があり、小さなお子さま連れにはありがたい造りとなっている。L字カウンターの中が調理場となっているが、奥にも広いスペースがありそうなので仕込み場になっているのだろうか。とにかくゆったりとした広い間取り店主さんの夢と願いが詰まっているようだ。そんな店主さんは屋号の入った黒いポロシャツユニフォームで淡々と調理をこなしていて、明るいホールスタッフさんは地元客とのやり取りにも親しみやすさがある。調理場内は無機質なステンレスが鈍く光りを放ち、客席は木の温もりを感じさせてくれる。本日はそんな店内をお二人で切り盛りされていて調理に専念する店主さんの無骨さと接客担当の明るいスタッフさんとの組み合わせが、無機質な調理場と有機質な客席とリンクしているようで面白い。そんな都心では味わえない凛としていながらも和やかな雰囲気の中で待っていると、着席して8分で我が杯が到着した。

その姿は黒釉薬の八角丼の中で、黒い器に相対する暖かな色合いの景色を見せている。つけ麺タイプがイチオシの店のラーメンとしては、表層に節粉が浮いていない清らかな表情に思えた。今回こそは持論である〝つけ麺推し店のラーメンは不味い〟が払拭されるかもと期待を寄せて黒いレンゲを手にした。

まずは丁子色のスープをひとくち。器の中では大きな具材が液面を占領しているので、レンゲを沈める場所が限られている。そんな中から少ないエリアを見つけてレンゲをそっと忍ばせると、ゆっくりと濃度を感じさせながらレンゲの中にスープが注がれてきた。すでに動物系由来の香りが立ち昇ってきて、野菜由来のトロみのような粘度も感じられる。いざスープを口に含むと、メラミン製のレンゲを介してでも唇を焼くような熱さが伝わってくる。スープの粘着質が更に熱さを感じやすくさせていて、味覚が作用せずに飲み込んでしまった。ふたくち目こそは良く冷ましてから味わってみると、豚骨や鶏ガラと思われる土台の後ろには乾物由来の旨みも感じる。また野菜の甘みと香味油の甘みが味わいの先頭を切ってくるが、その甘みに隠れた塩分の強さもかなり感じた。口当たりはオイリーであるが喉越しはサラリとして、馴染みやすいだけに味の濃さが中年男子には堪えるスープだ。

麺上げまでジャスト220秒の平打ち麺を持ち上げると透明感と黄色みを併せ持った北海道の麺を思わせるが、調理場に積まれた麺箱を見ると北海道ではなく関東の製麺所で作られた麺だった。その箸先には重みが掛かってくるので加水率は高そうで、麺肌に玉取りの後が波状に残っているのでストレート麺とは違った表情を見せる。麺肌に浮かんだ切刃のエッジを楽しむように麺を一気にすすり上げると、期待通りのシャープな口当たりの上に非常に滑らかなすすり心地の良さが訪れた。適度に溶け始めた麺肌のグルテンと香味油が潤滑油となって、麺の滑り込むスピードに拍車をかける。しなやかな口当たりで勢いよく飛び込んできた麺を噛みつぶすと、もっちりと奥歯を押し返しながらも歯切れの良さも持ち合わせた素晴らしい麺を楽しんだ。店主さんの麺選びの目利きの良さを思わずにはいられなかった。

具材のチャーシューには豚肩ロースの煮豚型が大判ではあるが、かなりの薄切りで盛り付けてある。最初の見た目のインパクトのままに食べてみると、味の方は印象はそれ程でもなかった。スープが強気な設定なので敢えて控えめな味付けにされているのかもしれないが、豚肉本来の旨みも煮汁に奪われてしまったようで物足りなさだけが残ってしまう。また柔らか仕上げなので食べ応えもなく、赤身肉のポテンシャルは鳴りを潜めていた。

メンマは中サイズの板メンマで仕込まれていて、適度な硬さを残した食感が途中途中でアクセントになってくれた。

追加した味玉は半カットされて入っているが、残念ながら普通の半熟ゆで卵がほんのり色づいた程度の出来栄えだった。これらの具材陣の薄味はスープの塩分に配慮された味付けなのだろうか、箸休め的な食べ方とすれば丁度良いのかもしれない。しかし単体で食べると味気なさの方が強く感じてしまう。

器の色に同化して見えづらいが十字4切と大判の海苔が口縁に添えてあるが、とても硬く口溶けの悪さが舌に残る。香りはあるので品質が悪い訳ではなく、最旬期を過ぎて収穫された春先の海苔かと思われる。巻き寿司などには最適だがラーメンの中には向いていない気がする海苔と思った。

薬味の白ネギの小口切りは少なめに添えてあったので持ち味を味わえないままに消えていた。

序盤からスープ自体は諦めて食べ進めたが、麺だけは十分に楽しんで平らげていた。やはり、もりそばが主軸なだけあってスープの塩分設定は高かったようで残念だ。

食べ終える直前に地元の広報誌か何かの取材の申し入れの電話がかかっていたので、何かしらの媒体に出るとなれば行列は必至だと思うのでオープン直後に初訪問を果たして良かったと思う一杯でした。

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「支那そば ¥700+味玉 ¥100」@アントキのラーメン屋の写真土曜日 晴天 10:55 待ちなし 後客4名

〝ニューオープン 探検記〟

少し前から新店情報を知ってはいたのだが、一度は〝ワケ〟あって初訪問を見送った新店なのだ。その〝ワケ〟というのはコチラのオープンを知ると店名のネーミングセンスが気になり翌日には計画を立てたのだが、当日はメットライフドームでライオンズ戦があり常宿が確保できなかったのだ。そこで日を改めて試合やライブが開催されていない日を選んで、所沢に前泊して初訪問を仕切り直した。

昨晩は神楽坂での所用を終え飯田橋駅に向かうと、密かに計画しておいた 22:16発の S-TRAINに乗り込んで所沢を目指した。まったくもって余談ではあるが S-TRAINに乗った事がある方なら分かると思うが、主要駅の池袋には停車せず上石神井や保谷に停まるのが謎である。結果として平日のS-TRAINはガラガラで乗る側からすればありがたいが、収益的には大手企業が相手ながら心配になるくらいだ。

そんな、お門違いな心配をしているうちに40分ほどで所沢駅に着いた。すでに駅前東口の常宿を予約済みだったので、慌てる事なく宿泊先に向かった。所沢界隈を訪れる際には再三お世話になつているサウナ付きの宿だが、昨夜は個室の VIPエグゼクティブキャビンルームを予約したのだ。個室といっても他室とはアコーディオンカーテンで仕切られているだけだが、専用の冷蔵庫やワークデスクが完備されていてありがたい。しかも昨晩は利用客が少なく隔離された VIPエリアは非常に静かで、まさにラグジュアリー気分で快適に過ごした。

お決まりのサウナ 水風呂 外気浴の3セットを楽しんだが、今回の水風呂も 13.1℃と関東でもトップクラスの冷たさを誇る名冷水だ。最近は 20℃くらいの水風呂に慣れてしまっていたので、あまりの冷たさに意識が遠のきそうになる。そんな意識を取り戻してくれるのが、露天風呂の湯船の中に設置されたリクライニングチェアーなのだ。お湯の温度も体温に程近い 35.8℃と身体に負担がかからない絶妙な温度設定で、その上バイブラと呼ばれる、ジェットバスとは異なる気泡が生み出す浮遊感に全てが〝ととのう〟のである。やはり、ここの水風呂と露天風呂でのクールダウンは他にはない整い方をしてくれる。

もちろんサウナあがりの醍醐味である生ビールも〝男気ジョッキ〟なる大ジョッキがあり注文する回数が省けるのだが、副原料のコーンスターチ入りの銘柄なのが残念なのだ。そんな文句を言いながらも、たらふく呑んでからベッドに身を沈めた。翌朝も早めに起きて朝サウナで整ってから、午前10時のチェックアウトに合わせてホテルを出たが目的地のコチラへは歩いて3分ほどの距離なので、一旦は駅ビル内のカフェに避難して時間が過ぎるのを待った。コーヒーを飲んでるうちにオープン予定の11時が近づいてきたので、定刻の10分前に店を目指して歩いて向かった。

お店情報や写真などを見ると赤い看板が目印のようなので探しながら歩いていたら、すぐに赤い看板のラーメン店が見つかったが近づいてみると別の店だった。実際にはその店から少ししか離れていない場所にも、同じような赤い看板が目立つ店があった。定刻の5分前の現着だったので行列はなく一番手で待機しながら、店先のメニューを見て本日のお題を決める。

店頭のガラス扉には「かつおぶしが嫌いな方 ご遠慮ください」という挑戦的な言葉が大きく書かれてあるが、この時点では日本人で鰹節が嫌いな人がいるのだろうかくらいにしか思ってなかったのだ。これが後で痛い目にあうとは思っても見なかった。

定刻通りに真っ赤な暖簾が掛けられ、営業中の木札を床に直置きするとオープンとなった。先頭にて店内に入ると、入口左手の券売機から基本のお題に味玉を追加発券した。女性のホールスタッフさんに食券を手渡し、L字カウンターの奥の方に腰を下ろして店内観察を始める。

カウンターだけの狭い店内だが、本日は土曜日の休日という事もあってか三人体制をとっている。通常はツーオペでも回せそうな客席だけに休日のオープン特需を予想しての布陣と思われる。オープンを合図にチラホラと後客がカウンターを埋めていくが満席にはならず、本日はスロースタートのようである。厨房内では男性陣お二人による調理が始まっていて安定感のあるコンビネーションの、とてもテンポの良いリズム感のある手さばきを眺めていると着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は胴が朱赤で見立てには双喜に龍の描かれた切立丼の中で、器に似合ったノスタルジーの詰まった景色を見せていた。しかし懐かしくはあるが、一切の親しみを感じさせない姿にも見えてしまった。それは苦手は魚粉の浮遊物が液面を覆っていた事に由来すると思われる。この時に店頭に書かれた「かつおぶしが嫌いな方ご遠慮ください」の言葉がようやく理解できた。こちらで言う〝かつおぶし〟とは〝節粉〟の事だったのだ。それを知っても時すでに遅しで、新たな魚粉系との出会いを信じてレンゲを手にとった。

まずは栗皮茶色のスープをひとくち。大量に浮かんだ節粉の下には透明度の高い清湯スープが潜んでおり、節粉抜きに見れば清らかそうにも見える。油膜も薄っすらとしているので濃厚といった質感ではない液面にレンゲを沈めると、やはり手応えとしても抵抗力の少ないスープがレンゲに注がれた。その際の香りの主導権を握っているのは魚介出汁の香りなのは間違いなく、香りとしては親しみがあり美味しそうに思える。いざスープを口に含むと、魚粉特有のザラつきのある舌触りが残念に思える。大半の人はこれが良いと思うのだろうが、私には不要な口当たりだ。旨みの土台には鶏主体の動物系出汁がしっかりとしているので、節粉は旨みよりも香りを大きく支えているかと思う。その節粉もカツオ節よりもサバ節の風味の方が強く出ていて香り高い仕上がりを見せるが、せっかくの清湯スープを濁らせてしまう〝清湯汚し〟に思えて仕方ない。ひとくち目でスープを飲む事は諦めて麺に取り掛かってみる。

麺上げまでジャスト65秒の中細ストレート麺を箸で持ち上げる際に、盛り付けにクセがあるので一苦労した。それは麺をテボの中で茹でる工程で、麺が癒着しないように丁寧に一本だけの菜箸でかき混ぜていた事が原因と思われる。そのクセというのは、盛り付けられた麺がトルネード状に渦を巻いてしまって箸運びを邪魔してくるのだ。丁寧な攪拌のおかげで麺がくっついたりはしてないが、とにかく引き上げづらい盛り付けとなっているのだ。何度もスープをくぐらせてから口に運ぶ作業が食べ心地を悪くしていた。麺を何とか持ち上げた箸先には色白タイプの美白麺が現れ、スープの褐色の色彩とのコントラストが美しい。そんな美麺を一気にすすり込むと、あまり感じた事のない不思議な口当たりで滑り込んできた。ポソッとした口当たりから低加水麺と思われるが、よくあるタイプの低加水麺よりもかなり粉っぽくザラつきすらも感じられる。それでいてハリやコシのない麺は食べ応えとしては物足りなく、咀嚼の喜びも感じられない。またスープと全く絡まずに麺自体の風味ばかりを主張してくるので、一体感がまるでない。この麺を採用されているには理由があるだろうが、その意図を全く計り知れない。もしかしたら徐々に持ち味を発揮してくるタイプの麺なのかもと、一旦麺を離れて具材に取り掛かってみる。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚タイプだが、かなり薄味なのでスープに負けてしまっている。それでも素材の旨みが味わえれば良かったのだが、外国産冷凍豚バラのようにポテンシャルの低い素材からは豚肉本来の旨みを感じる事は出来なかった。

追加した味玉は、本来は別皿にて供されたものを記念撮影用に自身で盛り付けたのだ。その時に味玉に触れた指先には冷たさが伝わって、口にする前から印象が悪かったのだ。実際に食べてみても冷蔵庫の冷たさが残る味玉は、ゆで卵が少しだけ色付いただけのようにしか思えなかったので追加しなくても良かった味玉だった。

メンマは色の強さから見ると醤油感の強さを感じさせるが食べてみると甘みを中心に仕込まれてあり、滑りのある食感ばかりが特徴の板メンマだった。

海苔は磯の香りの乏しいタイプで口溶けも良いとは言いがたいレベルの品物だった。

薬味の玉ねぎは手切りで仕込まれていてランダムな切り口からは、甘みと辛みを同時に味わえる。鮮度も良く果実のような食感が心地良いアクセントとなっていたが、それに対して青ネギは存在感のない薬味だった。今回も彩り要員のナルトには手を付けずに箸を置いた。

中盤から再び麺に戻ってみたがスープとの一体感は生まれておらず、私にとってはチグハグな印象のまま食べきる事なく終わってしまった。

店を出て振り返ってみると、先ほど目にした「かつおぶしが嫌いな方ご遠慮ください」の注意書きを受け入れなかった自分自身を悔やむ事になった一杯でした。

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「みそラーメン ¥800+味付け玉子 ¥100」@miso style となみの写真日曜日 雨天 14:05 先客6名 のちスープ切れにて閉店

〝第34回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を開催する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく、自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去33戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」「◯心厨房」「家系総本山 吉村家」「自家製麺 くろ松」「麺処 いち林」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は33戦14勝10敗8分7KO勝ち1KO負け1没収試合と、先日の高崎遠征では悔しくも連戦連敗を喫したしまった。しかしスパコンのオススメの精度が上がってきた事には嬉しくも思い複雑な心境なのだ。

そこで本日は茨城県内の新店パトロールの合間を縫っての開催となった。茨城県内の連食と言っても車を持たない歩兵民の私には一度埼玉県を経由しなければ辿り着けない連食計画を立ててしまったので、その道中に寄り道をしてスパコンと対決しようと決めたのだ。

午前中の一食目を食べ終えた店からバスを含む三路線を乗り継ぎながら、1時間半もかけて最寄りの西浦和駅までやって来た。しかしスパコン対決するほど万全な胃袋の状態ではないので、ひとまずは駅前でコーヒーでも飲みながら時間が経過するのを待った。午後2時を過ぎると胃袋に余裕が出来たので対戦会場へと向かう事にした。西浦和駅からは至近距離ですぐに目的地のあるビルが見えてきて、角を曲がる前からすでに良い匂いが漂ってきた。逸る気持ちを落ち着かせて角を曲がって店先を見ると、スープ切れによる早じまいの貼り紙が出ていたのだ。店内ではまだラーメンを食べている客も多くいるので、わずかな時間差で間に合わなかったのだろう。コーヒーなんか飲んでる場合じゃなかったと、悔やんでみても仕方なく店を去った。

ここまでは昨日の経緯で、ここからが再チャレンジの話となっている。

平日 曇天 11:15 待ちなし 後待ち8名 後客6名

前回の大失態から5日ほど経ってしまったが、やっとリベンジマッチを迎えられた。昨晩は体調を万全にするために大好きなサウナで心身ともに〝整える〟ためだけに鶯谷駅に降り立った。それは東京サウナの聖地でもある「サウナセンター」を訪れるためだ。

本日は自宅からは関東逆サイドの西浦和で行うスパコン対決のために、東サイドにある鶯谷に前泊する計画だ。午後10時に老舗サウナに入館すると早々に 10 × 3 セットをこなした。約5年ぶりになるサウナセンターだったが、サウナの温度が以前よりも低くなっている気がした。それでも体感では 100℃は超えていると思われるが設備が古くなってきたのだろうか。しかし水風呂は 14℃とまずまずの冷たさだ。こちらのサウナは外風呂がないのが残念だが、ペンギンルームなる冷蔵室が完備されているので室内のイスに座って身体を冷ましながら休憩ができるのが良い。

サウナで十分に身体を整えた後は、食事処にて気持ちも整える。もちろんラーメンのメニューもあるが夜中の食事を極力控えているので、冷奴だけをつまみに生ビールで喉と心を潤す事にした。生ビールも杯を重ねると調子に乗ってしまい追加でハムエッグを注文してしまったが、これがビールのつまみに何とも合うのだ。さらに酒が進んで気が付けばラストオーダーの深夜1時半となっていた。こちらは簡易的な休憩ベッドしかないので他人のイビキの大合唱の中で寝なければならないのが難点だが、これだけ飲んでいれば気にもならず〝秒〟で堕ちていた。

せっかく前泊したので朝はゆっくりと起きるつもりだったが、まさかの館内改装中で朝から工事の音で起こされた。さらには隣のビルも建設中なので、おちおち寝られる場合ではなく仕方なしに早起きとなった。少しだけ残った昨夜のアルコールを朝サウナで流すと、午前10時にチェックアウトして鶯谷駅に向かった。

京浜東北線から南浦和で武蔵野線に乗り換えれば40分足らずで五日ぶりの西浦和駅に着いた。騒音などのハプニングもあったが移動時間の短さを思うと、前泊したの甲斐があったと思える。しかし11時半開店までは40分近くあるので、駅前でコーヒーを飲みながら時間を待った。

定刻の15分前に店に向かうと並びもなく先頭にて待機をはじめる。すでにスープのに匂いが漂っている店先で待っていると、中からスタッフさんが中待ち用のイスを持ってきてくれたので座りながらの待ち時間を過ごした。すると間もなく並びが増え始めて5分前には三席の外待ちイスも埋まり、さらに行列は増え続けた。

定刻よりも2分早くオープンとなり、店内に入ると入口左手の小型券売機にてシンプルなメニュー構成の中から基本の味噌ラーメンと味玉を追加発券した。カウンターに座る前にセルフでお冷を汲んでから一番奥の席に座り、食券を手渡すと店内観察を開始する。

まず何よりも驚いたのは、先ほど外待ちイスを持ってきてくれた方が店主さんだったという事だ。しかもワンオペの中での気配りと目配りには驚きを超えて感動してしまった。カウンターだけの客席ではあるが製麺室まで設けられているので自家製麺は間違いなく、全てをこなす店主さんの生産性の高さには舌を巻いた。つけ麺人気も高いようで麺を茹でるタイミングに時間差をつけながら淀みなく調理が続いていく。エアコンの効いた店内の冷たい空気に、中華鍋であおられた熱々のスープからの湯気が冷却されるとスモークのように蒸気が客席にまで流れてきた。それはまるで「未知との遭遇」のオープニングのようであった。そんな神秘的ながらもワイルドな光景の中で待っていると、着席して7分で我が杯が到着した。

その姿は黒釉薬で焼かれた鳴門丼の中で、かつて見た事のない風景を見せている。まさに未知との遭遇が目の前で起こっている。あまりの予習不足だったようで、味噌系だと知っていたがこれ程までに強烈なビジュアルが待ち構えているとは思いもしなかった。しかしこれも全てはスパコンのオススメとあれば超高性能AIを信じてレンゲを手にとってみた。

まずは色調すらも分からないくらいに液面に覆い被さる具材を押し込むようにしてレンゲを沈めると、具材の抵抗とは違った力がレンゲを伝わってきた。そんなドロドロとレンゲにゆっくりと流れ込んでくるスープを見た時に、去年京都で食べた「極鶏」の高濃度なスープを思い出した。その姿は茶系の色調も手伝って〝コーヒーフラペチーノ〟の如く見え、保守派の私には手に負えなさそうなヤンチャなスープと思ってしまった。そんなスープを飲むという表現よりも食べると言った方が適切に思えるスープを口に含むと、懸念したほどのザラつきはないが強いニンニクの匂いが襲ってきた。見た目でも動物系の粉骨タイプと分かるスープだが、動物系のクドさは思ったよりは少なく感じので芋類などの野菜もミキシングされているのだろうか。動物系のインパクトよりもニンニクの匂いが方が先行して脳に届いたので、この後も終始ニンニクの匂いに支配されて食べなければならなくなった。そんな濃厚スープに合わせる味噌は色調が穏やかなのと甘みが強いので白味噌が麦味噌だろうか。塩気の強さがないのがせめてもの救いで助かったが、いきなりの先制パンチを食らってしまった。

ひ弱な味覚の私には合わなかったスープを諦めて、気をとりなおして期待の持てる麺に取り掛かってみる。製麺室の中には大成機械工業の製麺機 タイセー2型が鎮座しているので、そこから生み出された自家製麺だろう。そんな渾身の自家製麺をスムージーなスープの中から引き上げてみると、麺上げまで220秒と割と短かい茹で時間とは思えない程の太麺が現れた。そんな太麺の周りにはべったりとスープが付着しているので箸を左右に振って出来るだけスープを落としてみると、微かに本来の麺肌が姿を見せた。所々に全粒粉のフスマが見られる麺肌で、箸先に加わる重みはかなりの重量だ。多加水麺を感じさせる質量からは食べ応えの強さを想像させてくれる。そんな強麺と超濃厚スープとの組み合わせなので、さすがに一気にすすり上げる勇気はなかった。かと言って紙エプロンをするのも面倒なので、口元から迎えに行く食べ方で麺を口に運んでみた。わずか二本ばかりを口に含んだだけなのに、口の中が一杯になるほどに麺一本あたりの質量の大きさを感じた。そんな太麺は口の中を暴れまわるが、押さえ込むように噛めばもっちりとした歯応えを生んで咀嚼に応じてくれる。スープの強い香りの中でも小麦の香りも立っているので贅沢にも内麦を使われているのだろうか。見た目に負けず強い噛み応えが持ち味だと思うが、密かに主張している気高い小麦の香りも重要な要素と思えた。

自家製麺の素晴らしさには感心したが、この後の具材陣が好みとかけ離れていて残念だった。具材の中心的存在のチャーシューは豚肩ロースの低温調理が薄切りながらも大判で入っている。ワンオペなので仕方なく思うが、切り置きしてからの時間が経ち過ぎて切り口が乾いてしまっていた。その上、冷蔵保存の冷たさが残っていてチャーシューの旨みの感じ方が半減してしまっていた。スープが高温なので浸して食べれば温度は上がるだろうが、それでは低温調理の意味がなくなってしまう。冷たさゆえに余計にスジの硬さも感じてしまった。

追加した味付け玉子も本当は味が定着しているのかもしれないが、このスープの中では単なる半熟ゆでたまごにしか思えない仕上がりで好みとは違い残念だった。

極太メンマには特徴がなく汎用品に思えたが、これだけスープと自家製麺に力を入れているので具材の細部までは手仕込みとはいかないのだろう。隣の客の追加トッピングのメンマの量を見た時には、二度見してしまったくらいに大量に添えてあった。

その他のキクラゲや薬味に関しても個人的には残念ながら高評価とはならなかった。あえて繊細な薬味を必要とはしないスープと麺なので、粗々しい切り口の白ネギでも問題なくも思えた。 中華鍋であおられたモヤシやニラも香りを発揮できずに食感だけのアクセント役で終わってしまった。

中盤からは液面に浮かんでいた自家製ラー油がスープに溶け込んでしまうと、唐辛子の辛味だけでなく更なるニンニク臭が加わる事で私にとっては不要なインパクトが勢いづいてしまった。そうなると、もう手に負えなくなってしまい半分ほど食べただけで箸とレンゲを置いてしまった。

その時点での本日の客層は若い男子が中心で女性客は一人もおらず、元気な勢いにあふれていた。若者たちの胃袋を満たす大切な存在だとは思うが、年老いた私の胃袋は白旗を振ってしまった。

半分近く残してしまった丼をカウンターの棚上に上げて席を立つと、店主さんは背中を向けて調理中なのに気が付いてくれた。そして大きな明るい声で挨拶をしてくれた時は本当に店主さんに申し訳なく思い、苦手ジャンルをオススメしてきたスパコンを恨んだ。自家製麺や接客などの素晴らしい一面もあったが、目の前のラーメンに対しての個人的な評価として55点となりスパコンに対しては久しぶりの KO勝利を収めた。

これで通算対戦成績は34戦15勝10敗8分8KO勝ち1KO負け1没収試合となったが、まだまだスパコンは好みと違うラーメンを薦めてくる。現在もオススメ店に挙がっているのは、つけ麺のレビューが一件もない私に対して6店舗中で4店舗がつけ麺専門店なのだ。もはや関東に近いオススメ店でラーメンがメニューにある店は、湯河原の超有名人気店しか残ってない状況だ。よってそろそろ本気で湯河原に乗り込む為のマッチメイクを考えなければならないと痛感した一杯でした。

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「特製真鯛白湯 (醤油) ¥900」@麺屋 鯛鯛の写真平日 曇天 11:30 先客なし 後客2名

〝ニューオープン パトロール〟

これは十日以上も前の話なのだが、早朝に発生した地震と豪雨情報によって昨日から考えていた新店めぐりを断念しようかと思ったのだが、都内でも強い揺れを感じた地震だったが交通機関も午前中には平常運転に戻っていた。そこで出発は遅くなったが新店を目指して自宅を出た。

昨夜はRDBの新店情報の中に新たな名前を見つけ詳細を調べてみるが、分かっているのは店名と所在地くらいで情報がとにかく少ない。定休日も営業時間すら分からない中での初訪問を決意するには大変な勇気が必要だったが、自宅からは遠いが乗り換えいらずとアクセスが悪くはないので東武スカイツリーライン直通の半蔵門線に乗車した。

移動の車内ではこちらの屋号の〝鯛鯛〟の二文字にラーメンの姿を想像しながら向かった。鯛干しを使った店なのか、もしくは得意ではない鮮魚系のスープなのかと期待と不安を胸に50分ほど進むと最寄りの草加駅に着いた。思い返すと草加市内のラーメン店には来た事があるが、草加駅にラーメンの為に降り立ったのは初めてだと気づいた。西口改札を出てナビの指示通りにたどり着いた店先には非常にも一週間後のオープンを知らせる貼り紙がしてあったのだ。

RDBの新店情報だけをたよりに草加まで乗り込んで来たが、まさかの誤情報だった。そこで日を改めて確かなオープン情報と他レビュアーのレビューを元に再び草加の地へと戻って来たのだったが、まさかの水漏れによる工事の為に臨時休業の貼り紙が貼られていた。十日で二度もフラれるとは何か因縁めいたものを感じて、三たび草加の駅に降り立ったのだ。

もうナビに頼らなくても道順は頭に入っているくらいに通いなれた道を進んで行き定刻の15分前に現着すると、本日はドアが半分開けられて中には人の気配も感じるので定休日や臨時休業ではなさそうだ。それを確認すると行列もないので周辺の散策に出掛けた。店のすぐ裏には立派な草加神社があり、お参りする為に大鳥居をくぐった。お参りを終えると神社の横には児童公園があり、なんと園内には蒸気機関車の C56 (通称シゴロク) が展示されていたのだ。なぜここに置かれているのか分からないが、保存状態は決して良いとは言えず残念な姿になりつつある。せっかくの公園のシンボルなので草加市も少し予算を組んで欲しいと願った。

SLを見つけて驚きと哀しさが同時に訪れた後に、再び店先へと戻った。すると定刻ちょうどのようで中からスタッフがメニュー看板を店頭に置くとオープンとなった。やっと三度目の正直となって初訪問が叶う時が来た。

店内に入ると入口右手の券売機にて本日のお題を品定めする。大まかに分けると醤油白湯か塩白湯と、つけ麺のラインナップなので迷う事なくマイスタンダードの醤油系を選んだ。不運にも二度もフラれているので、特製ボタンを押してカウンターに腰を下ろて店内観察を開始する。

妙な緊張感があるのは無音のBGMのせいだろうか。店内はカウンターだけだが、かなり広めのレイアウトとなっていて空調と換気の容量が少ないのかエアコンが全く機能していない。ただ座っているだけで汗が流れてくるような環境の店を本日は二人体制で回している。屋号から想像していた〝鯛〟のイメージからも海を思わせる、ボーダーシャツとキャスケット帽のユニフォームが店に映える。内装は流行りの白と木目を基調とした変則的なL字カウンターで清潔感があるが、やはり換気ダクトの容量不足のせいで店内にはスープの仕込みの生臭さが若干残っている。現に茹で麺機の湯気もダクトから随分と漏れて逃げているので換気がうまく出来てないのだろう。環境面は採点には考慮しないので気を落ち着かせて待っていると、着席して5分でワンロット1杯の丁寧なオペレーションにて我が杯が到着した。

その姿は、おそろいの白粉引の受け皿と玉淵丼で提供された。丼に屋号も描かれてありオリジナリティあふれる器の中で、あまり親しみのない第一印象を受けた。それは以前、錦糸町の鮮魚系で受けた衝撃が大き過ぎて、トラウマのような苦手意識が生まれてしまったからなのだ。それ以来は鮮魚系を口にしていなかったのだが、天然真鯛の名産地である徳島で食べた鯛ラーメンの美味さを知ってからは苦手意識も和らいできた。そこで本日は苦手を完全克服すべく草加までやって来たのも大きな理由なのだ。しかし見慣れない景色には戸惑ってしまったが、覚悟を決めてレンゲを手にした。

まずは丁子色のスープをひとくち。動物系の白湯のように完全に乳化を果たしていると言うよりは、半濁といった感じの穏やかそうなスープが湛えられている。液面には油膜も微かに見られるが、鯛 100%のスープとなっているので鯛由来の油分だと思われる。そんな液面にはレンゲを沈めてスープをすくい上げると、明らかに乾物を使った魚介系とは異なる鮮魚系の香りが立ち昇った。それは鯛のアラ汁や潮汁のような個性的な香りで、ラーメンのスープとして認識するには時間が必要となりそうだ。ウンチクには正直に〝愛媛県宇和海産養殖鯛〟と明記されていて、いかにも天然鯛を使用しているように謳っている他店とは違って消費者には信用できるウンチクだ。もちろん養殖鯛には配合飼料や日焼けによる問題で天然鯛には敵わないが、調理法を工夫される事で養殖鯛特有の臭みを軽減しているのだろう。そこにも潔さが感じられるのは、生姜や香味野菜などの香りでごまかさずに養殖鯛のクセと共にスープを仕上げている点だ。そんな独特のクセのある香りを伴ったスープを口に含んでみると、最初に感じたのはコラーゲンの豊かさで唇に張り付いた粘着質の強さに驚いた。ひとくち目では慣れないスープに味覚も戸惑ったが、次第にスープの個性を受け入れられるようになってきた。塩気も少し高めではあるが麺や、〆のお茶漬けとの相性を考えての設定なのだろう。口当たりのまろやかさの中に、ハッキリとした塩気が輪郭をつけているようだ。

続いて麺を持ち上げてみると、麺上げまでジャスト60秒の中細ストレート麺が現れた。麺肌にはスープの色合いに同調するような全粒粉のフスマ色が浮き出ていて、見た目にはしなやかそうに映っている。箸先の重みからも適度な加水率と思われ、しっとりとした口当たりを思いながら一気にすすり上げてみた。口先の感覚よりも先に反応したのは嗅覚の方で、すすった吸気に寄り添う鯛出汁の香りが印象強く残る。それだけに麺が主張の少ないタイプであるとも言え、口当たりや歯応えの全てが悪くないがスープの強さに押され気味に思えた。また全体的にスープの量が少ないので丼の中で麺の流れが悪くなってしまい、スープのコラーゲンと麺のグルテンが生み出したすすり心地の良さも半減してしまっていた。

具材のチャーシューは鶏ムネ肉の低温調理を極薄にスライスして山型に盛り付けてある。そのまま食べると提供温度の冷たさは気になるが、味付けは下味のソミュール液が利いているので淡白になり過ぎない。素材の鶏肉自体の品質も良いのだろうか、しっとりとしたレア感は残しながらも生っぽさを感じさせない。また燻製などの香り付けで逃げる事なく勝負されている点も素晴らしい。ほかの鮮魚系の店では、もともと生臭いスープに燻製チャーシューでフタをするといった、昔よくあった〝タバコ臭いタクシーが芳香剤でごまかす〟ような手法で逃げていると感じた事があったので、こちらの鶏チャーシューは正々堂々としていると思った。

鶏チャーシューには感心したが、ここからの具材は少し残念な仕上がりのものが多かった。鯛を謳っているだけにワンタンの餡にも鯛の身が使われていてフワッとした柔らかな食感が特徴的だが、ワンタン皮の厚みと餡の包み方による硬さが柔らかい餡の舌触りを邪魔していた。また餡にも余計な香りを付けていないので、鯛のほぐし身の魚臭さを感じてしまった。鯛本来の持ち味を活かした調理が、私には残念なワンタンとなってしまった。

特製には味玉が半個分入っていたが、私には物足りない味玉だった。メニューにも味付玉子となっているので醤油感か出汁感を味わえるものだと思っていたが、ゆで卵そのものを食べているようで味気なかった。

中太メンマは食べやすさを考慮してか短めにカットされて添えてあった。メンマの味付けには敢えて個性を削ぎ落とした平均的な味付けで、そこには店ならでは手作り感が見られなかったので汎用品なのだろうか。

薬味はいつ口にしたか覚えてないほど少量の白ネギとカイワレが添えてあった。そんな存在感のない薬味に対して、海苔とその上に乗せられた鯛のほぐし身を炙ったものは存在感を大いに発揮していた。海苔の上質な磯の香りと口溶けの良さと、ほぐし身の香ばしさがスープと一体となった時に口の中が本日最高の旨みと香りの頂点に達した。

この後も強気なスープの塩気をお冷で緩和しながら麺と具材は平らげる事が出来た。もともと少ないスープではあるが飲み干す事はできずに箸とレンゲを置いた。

周囲の方を見ると、お茶漬けセットがスタンバイされている客がいらした。普段はラーメンと炭水化物のセットを欲しない私なのだが、このスープ茶漬けに先程の海苔を合わせたならと思うと喉が鳴ってしまった一杯でした。

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「特製醤油ラーメン ¥1120」@麺屋 武嶋屋の写真土曜日 曇天 11:20 先待ち7名 後客12名

〝ニューオープン パトロール〟

本日は難攻不落と思われた秩父で産声を上げた新店攻略のために所沢に前泊している。RDBの新店情報で見つけたこちらへの初訪問するには自宅からでは移動時間がかかるので、昨夜は深夜1時を越えた頃に所沢に乗り込んできた。

日本国内で二ヶ所しかないらしいサウナの聖地フィンランド産の木材で造られたサウナと、埼玉屈指の冷たさを誇る水風呂を有する宿泊施設で朝を迎えた。水風呂の冷たさは良かったが肝心のサウナの温度が今ひとつ熱さが足りずで肉体的は整いきれずで残念だったが、食事処の生ビールは裏切る事なく精神的には完璧に整った。

翌朝は西武秩父駅までの最短ルートとなっている所沢 9:52発 西武池袋線特急 ちちぶ9号にて向かう予定でホテルをチェックアウトしたのだが、三連休の初日なので有料特急は満席でチケットを予約してない事を悔やんだ。仕方なく小刻みに各停電車を小手指と飯能で乗り継いで向かう事になった。

休日の西武秩父線の車内は行楽を楽しむ家族づれや女子大生の仲良しグループの日帰り旅行でワイワイと賑わっている。そんな車内でラーメン一杯のためだけに秩父を目指しているのは私だけだろうなと思うと切なくなってきた。

少しセンチメンタルになりながら変わりゆく車窓の景色を眺めていると、最寄りの西武秩父駅に所沢駅を出てから1時間半程かけてたどり着いた。トレッキングシューズを履かずに秩父駅に降りたのは初めてかもしれないと思いながら、開店まで時間に余裕があったので久しぶりの秩父駅を見て回った。かなり立派にリニューアルされて食事も楽しめる温泉施設が併設されていて、以前のイメージとは全く違う風景になっていて驚いた。そんな施設内の食事処は昼時を前に多くの観光客で賑わっている。中には味噌ラーメン店も出店しているので、もしも目的の新店が臨時休業であってもリカバー出来ると妙な安心感が生まれた。

定刻の10分前になる頃に、いよいよ目指している店へと向かってみた。駅からはほんの数分歩くとパチンコ店の新装開店かと思うような、都内の開店祝いでは見かけなくなった大きな花輪がすごい数で出迎えてくれた。出迎えてくれたのは花輪だけでなく、大勢の開店待ちの行列もあった。失礼ながら、こんな所に開店待ちが出来ているとは目を疑ってしまった。待っている方々は偶然にもお知り合い同士のようで、会話の内容などから地元の方と思われる。そんな地元客の期待を一身に集めている新店なのだろうと、よそ者ながら私も期待を込めて最後尾を探した。

店頭には外待ち用の受付シートが置かれているが誰も記入せずに整列するでもなくバラバラに待機しているので最後尾が分からずに、少し間隔をあけてそれらしく開店を待つことにした。すると定刻よりも5分も早く暖簾が掛けられオープンとなった。

後待ちがなかったので先客が入店するのを見届けてから八番目で店内に入った。入口右手に設置された券売機の中から最上段に位置するのが醤油系だったのでためらう事なくメニューは決まったが、せっかく秩父まで来たので贅を尽くした特製のボタンを迷わず押した。ホールスタッフさんから「お好きなカウンター席へどうぞ」との事なので少しでも調理風景が見えそうな席を選んで腰を下ろした。

カウンター越しに店内を見渡すと新店舗らしく新しい木の匂いが残る客席は、カウンターよりもテーブル席を多く設けた複数人向けのレイアウトとなっている。所々に焼杉板を使われた内装はシックな落ち着きを感じさせてくれるが、打ちっ放しのコンクリート床と椅子の脚が擦れる音が大きく響くのが居心地の良さを半減させてしまっている。そんな店内を本日はオープン直後の週末なので、万全の六人体制の強化布陣をとっている。本日は土曜日という事でホールスタッフには初々しい学生バイトさんが実践を交えながら研修中のようで、慣れないオペレーションながらも着実に配膳が進む様子を眺めていると着席して20分で我が杯が到着した。

その姿は白粉引の八角丼の中で特製ならでは豪華布陣で出迎えてくれたが、少しやり過ぎではと思ってしまうような要素も含んで見えた。それだけお客様に喜んでもらおうという、店主さんの思いの表れでもあるとも感じながらレンゲを手にした。

まずは赭色のスープをひとくち。液面の油膜には細かな豚背脂と思われる脂片が浮かんでいて、強めの動物性を感じ取った。レンゲを落とし込んだ指先の感覚からは濃度の低さを感じるが、レンゲに注がれたスープには多めの香味油が伴ってきた。そんな四つ足系に思われるスープを口に含んでみると、意表をついて魚介系の香りが先行してきた。魚介系の中でも鰹節の香りが主で、節粉ではなく削りがつお由来のものと思われる。和出汁感の強いスープを支えているのはオーソドックスな鶏や豚主体の動物系清湯スープで、土台はしっかりとしているがクセにも感じる獣特有の臭みも潜んでいた。合わせる醤油ダレも少し強めに思われたが、塩っぱいほどではなくスープを引き締める役割を担っている。旨味の底上げも感じてしまったが、動物系と魚介系の基本的なWスープに仕上げてあった。

スープによって様々な麺を使い分けられているが醤油系には中細ストレート麺が採用されていた。麺上げまで60秒の中細麺を箸で持ち上げてみると、少しウェーブがあり透明感を見せる麺肌は丸みを帯びてグルテンが詰まっていそうに感じた。そんな麺を啜ってみると想像した通りの滑らかな口当たりで滑り込んできて、昔の中華麺にも共通するような啜り心地を思い出した。本日の客層が高齢だったので、皆さんにも馴染みのある麺質なのではと想像した。とりわけ小麦の香りが高いとか素材の甘みを感じるといった麺ではないが、幅広い年齢層に受け入れられるタイプの麺を採用されていた。オイリーな油膜の力を借りて口の中に飛び込んできた麺を噛みつぶすと、もっちりとした跳ね返りが食べ応えを強くしている。特別な個性がないのがかえって個性的にも感じるような麺だと思った。

具材のチャーシューは部位違いで二種類三枚が盛り付けてあった。いちばん手前には豚肩ロース焼豚が煮豚ながらも赤身がパサつくような事なくしっとりと仕上げてあり、味付けも適度に乗っており存在感のあるチャーシューだった。残る二枚は豚バラの煮豚型だったが、煮汁の味の薄さなのか豚バラ自体の質の悪さなのか獣臭が出てしまったいた。部位的には赤身と脂身のバランスの良い部分だったが、チャーシューとしての出来映えとしては私には残念な仕上がりだった。

初見で少しやり過ぎと思えた具材の味玉は、特製なのでだろうが一個半も盛り付けてあった、
きっと基本の醤油ラーメンでも半個入りなのだろうが、特製だからといって更に一個追加する事はないのではなかろうか。決して量が多くて文句を言っている訳ではないが、好みと違った固茹でたまごだったので不必要に思ってしまったのだ。

メンマは極太タイプを使われていたが手仕込み感はなく一般的な甘みを利かせた味付けは安定感はあるが、ここならではのメンマと言った仕上がりでなく残念だった。

薬味の白ネギは粗々しい切り口が素朴さを感じさせて、食感や辛味の面でも良い意味で〝洗練された〟とは真逆の野趣を味わえた。また清涼感を付け加えてくれる黄柚子の皮も彩りと共に爽やかな香りを中盤から与えてくれたが、この時期には黄柚子は珍しいのでハウス栽培の柚子だろうか。栽培方法や品種の改良で、食べ物の旬が曖昧になってきた事を実感する。

青みにはカイワレが少し添えてあったが、気が付けば食べていた程度の存在感しかなかった。提供時にはすでに丼に張り付いてしまっていた海苔は、ばら海苔のように溶けが早く香りも無かったので質の高さは感じられなかった。ナルトに関しては今回も口にする事はなかった。

中盤と言わず序盤から不要な旨味が箸の動きを妨げてきたが、なんとか戦いながら麺は大方食べきったがスープは残してしまった。

周囲を見ると極太のつけ麺や、中太麺の味噌ラーメンなどを楽しんでいる地元客で賑わっていた。こちらの店のもう一つのウリでもあり、屋号の由来と思われる有名店で修行された〝いなり寿司〟を食べている客がいなかったのが不思議に思いながら席を立った。関西ではうどんにおいなりさんの組み合わせをよく目にするが、ラーメンにいなり寿司のコンビが早く地元に根付いて欲しいと思いながら店を後にした。

今回は秩父観光をするでもなく次発のレッドアロー号にて帰路に就いたが、途中駅の飯能までを後ろ向きで走ると初めて知って驚きと戸惑いを感じる事になった一杯でした。

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