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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.102点
最終レビュー日 2019年10月22日
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「中華そば ¥700+味付煮玉子 ¥100」@井出商店の写真土曜日 晴天 22:00 先客6名 後客4名

〝ラーメン紀行〟ならぬ〝ラーメン奇行〟は

まだ続いている。長野県上諏訪から移動した三重県桑名での前食の前に立ち寄った喫茶店で、すでに次の作戦を立てていたのだ。

最初はお隣の奈良県第1位の店への突撃を画策していたのだが、前食を終えてからでは夜の部営業時間内までの移動手段がなく、物理的に諦めなければならなかった。そこで奈良県を越えて一気に和歌山県を攻める策を練ってみた。和歌山県第1位もあるが、和歌山といえば行かなければならない有名店がある事を思い出した。それがコチラだったのだ。

お店情報では23時半まで営業しているとあるので移動手段はなんとかなりそうだ。早じまいなどの危険もあるが未開拓の地、和歌山攻略を目指して初訪問を決めた。

桑名から和歌山へは最安値ルートだと、近鉄名古屋線で伊勢中川で近鉄大阪線に乗り換え、鶴橋JR線で鶴橋、天王寺を経由して阪和線で和歌山入りする経路があるが、4時間半もかかってしまい和歌山に着くのはコチラの閉店間際となってしまうので最短ルートを検索した。

すると桑名から一度は名古屋に戻るが新幹線で新大阪まで行き、関空特急はるかで日根野で乗り換えれば、3時間弱で目的地の和歌山にたどり着けると知り、止むを得ず最短ルートを選択した。乗換時間が6分しかない駅もあるので、入念にJR桑名駅でチケットを揃えて再出発を無事に果たした。

難関だった名古屋駅での新幹線へ6分間での乗り換えも華麗にこなし順調すぎるほどに和歌山駅に着いた。現在時刻は22時前と閉店時間まで1時間半もあるが、何が起きるかわからないので、今夜の宿も見つけてないままに店へと急いだ。

和歌山駅からはナビの指示通りに10分もかからずに大通りの交差点に赤提灯が見えてきた。黄色い大きな看板もボンヤリと明るいが店内が薄暗く営業しているのか心配になるくらいだ。慌てて駆け寄ると、かなりの距離から独特の匂いがしてきた。目を閉じてもいても豚骨醤油だと分かるほどだった。新横浜には行った事があるが総本山は初めてで、一世を風靡した名店だけに緊張感が走る。

店頭の営業中の看板を確認して中へと入る。すると外国人スタッフの元気な声で出迎えられた。壁沿いのカウンターにお冷のグラスが置かれた。そこが私の席のようで案内されるがままに腰を下ろした。券売機はなく壁に書かれた大きなメニューから基本のお題と煮玉子を追加してスタッフさんに告げた。

さすがに年季の入った風格すら感じる店内を見渡してみる。調理場は奥に独立した完全非公開。客席は壁沿いカウンターとアイランド式カウンターが設けてある。それと入口の正面には、ままごと用みたいな小さな二名テーブル席もあるが本当に座れるのだろうかと不思議に思った。店内の所々にガタはきているが、掃除は行き届いてるのでとても気持ち良い。荷物置きの棚にすらホコリひとつ無い。店の外で嗅いだ匂いの何倍もの臭気が店内には満ちている。厨房内は見えづらいがこっそりと覗いてみた。昔の家庭の台所では薪を使って羽釜で米を炊いたりおかずを煮炊きしていたと思うが、その時代の〝おくどさん〟を思わすような二連式のガス台で調理しているのが見えた。右側では中型の寸胴鍋でスープを沸かし、左側では同じ大きさの寸胴鍋で麺を茹でている。簡易的ではあるが麺の茹で湯の交換が大変そうに思えた。そんな店内を本日は五人体制で回している。客層は休日だからか地元客よりも私のような観光客が多く占めていた。

和歌山弁が聴こえてこない店内で待つこと5分ほどで我が杯が到着した。別皿で提供された煮玉子は撮影用にイン。オリジナルの屋号の入った切立丼の中の姿は決して美しいとは言えないが、これも味の一部なのだろう。私にとっては懐かしさやノスタルジーは感じず、ただ素朴さだけは伝わってくる。

まずはスープをひとくち。店内の匂いから豚骨ベースなのは脳に刷り込まれている。いざスープを飲もうとレンゲを探すがどこにもない。そう言えば昔の屋台の夜鳴きそばには、洗い物を増やさない為かレンゲなど付いていなかった記憶がある。その精神を現代にも受け継いでいるのもまた良しかと。郷に入れば郷に従えで、最初から丼を持ち上げて口元へと傾けてみる。さほど熱くはないスープが唇に触れると、思いのほかサラリとした口当たりだ。豚清湯と濃厚豚骨スープの中間くらいの粘度に思える、香りは豚骨にも負けない醤油の香りが立っている。醤油の名産地の紀州ならではの抜きん出た香りだ。スープの見た目からは、もっと力強いスープを思い描いていたが想像よりも二割引だった。それでも白めしを求めてしまいそうな味付けではある。そう言えばカウンターには押し寿司のような包みがあったが、酢飯なら幾らか中和してくれるのかもと思った。

麺はストレートの細麺でスープの中で泳いでいるように見える。箸で拾い上げてみると柔らかそうな麺質と、丸みを帯びた切り刃の麺肌が印象的。出来るだけスープを落として啜ってみたが、強気なスープの味は麺にも入り込んでいるので、濃い味の付いた麺を食べてる感覚だった。

具材は豚バラ焼豚が三枚。これぞ和歌山ラーメンと思える仕上がり。こちらも味が強いので薬味の青ネギと食べることで難を逃れた。

追加の味付煮玉子は文句を言ってはいけないレベル。これが昔ながらと言われれば、温度の冷たさなど言ってはキリがない。

メンマだけは薄味だったのでラーメンの中で唯一のよりどころとなってくれた。歯応えも適当で繊維質も残らない優良メンマだった。

薬味の青ネギは昔のネギのように香りが強く、最近では味わった事のない力強さ。スープの豚骨や醤油にも全く物怖じしない香りで存在感を出している。露地ものの地ネギなのだろうか、歯ざわりは雑で粗いが独特の香りには引き寄せられた。この青ネギのパワーを借りて食べ進められと言ってもいいくらいだ。

中盤からは、そんな青ネギの補助がなくなり全てを平らげる事は出来ずに箸とレンゲを置いた。

店を出て駅前に戻りホテルを探した。土曜日だったが空室がありチェックインをしてから、再び夜の和歌山のネオン街に向かった。何気なく入ったバーのマスターとラーメン話に花が咲いた。マスターによると和歌山は空前の家系ブームが押し寄せているらしい。その理由は、慣れ親しんだ和歌山ラーメンにプラスされた魚介の風味と太めの麺に、若者たちは目新しさを求めて行列するらしい。

深夜1時には大半の飲み屋が閉まるらしい和歌山市内きっての繁華街「アラチ」をあとにしてホテルに帰るタクシーのドライバーさんの言われた、コチラの中華そば屋の話が気になった。

「観光客ばかりで地元の人間は行かなくなったね」と、これが本当でない事を願い、これからも地元に愛される名店であって欲しいと願う一杯でした。

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